TOPICS

トピックス・法律情報

延期:無料ウェビナー(9月24日(金)18時〜20時):令和3年改正銀行法

ウェビナーの解説動画・解説資料を掲載いたします。

解説動画:令和3年改正銀行法

解説資料:令和3年改正銀行法

————————
お申込みの皆様:

大変恐れ入りますが準備が十分できなかったため、9月24日(金)午後6時〜8時に変更いたします。
Zoomウェビナーのアドレス等は変更在りません。
https://us02web.zoom.us/j/81725563003?pwd=MlZSZDNIU25peVhUdmNveU9BbU1GQT09
ウェビナーID 817 2556 3003
ウェビナーのパスコード_ 869901

Youtube動画として公開して後で視聴できるようにする予定です。
あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
———–
渡邉雅之弁護士が9月22日(水)午後6時〜午後8時に『無料ウェビナー:令和3年改正銀行法』と題するウェビナーを行います。
本ウェビナーでは令和3年5月26日に公布された『新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律』(令和3年法律第46号)に基づき、銀行法の規制がどう変わるかについてパブリックコメントによる政省令案・監督指針案も踏まえて解説いたします。

お申込みはpeatixでお願いします。
無料ウェビナー(9月22日(水)18時〜20時):令和3年改正銀行法

※Youtubeにて同時配信いたします。講演後に三宅法律事務所のホームページに動画記録をアップいたします。_
あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
※解説資料をウェビナーの開始前に弁護士法人三宅法律事務所のホームページに掲載いたします。
※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するセミナーであることにご留意ください。
※弁護士・コンサルタントなど同業者の方もご視聴いただいて構いません!

1.業務範囲規制
銀行法の業務範囲規制の基本的なルールから解説
(1)銀行本体
・業務に、銀行業の経営資源を主として活用して営むデジタル化や地方創生などに資する業務を追加
・従属業務会社の数値基準の削除
※ 内閣府令に個別列挙(自行アプリやITシステムの販売や、幅広いコンサル・マッチングなど)
_それに伴う監督指針の改正についても解説
(2)子会社・兄弟会社
テック企業に加え、新たに、地方創生などに資する業務を営む会社を子会社・兄弟会社に追加
※ 通常は個別認可制だが、財務健全性・ガバナンスが充分なグループが銀行の兄弟会社において一定の業務を営む場合は届出制
2.出資を通じたハンズオン支援の拡充
(1)出資可能範囲・機関の拡充(内閣府令事項):5%・15%ルール
※早期の経営改善・事業再生支援や、中小企業の新事業開拓の幅広い支援
(2)非上場の地域活性化事業会社について、事業再生会社と同様に議決権100%出資を可能に。
3.海外で稼ぐ力の強化
(1)買収した外国金融機関の子会社などについて、現地の競争上必要があれば継続的な保有を認めることを原則に
(2)リース業や貸金業を主として営む外国会社について、迅速な買収を可能に

渡邉雅之弁護士が執筆した『令和2年改正 個人情報保護法Q&A(増補版)〜ガイドライン対応 実務と規程例』が第一法規より発刊されます。

渡邉雅之弁護士が執筆した『令和2年改正 個人情報保護法Q&A(増補版)〜ガイドライン対応 実務と規程例』が第一法規より2021年9月11日より発刊されます(アマゾンで予約受付中)。

(はしがき抜粋)
 個人情報・データガバナンス・サイバーセキュリティを取り巻く問題がいま「熱い」です。
 2019年の「リクナビ問題」、2021年の「LINE問題」と、平成29年5月30日に改正法が施行された個人情報保護法では想定されていなかった問題が起こってきております。
 これは情報化の進展や個人情報の有用性の高まりのほか、GAFAなどのプラットフォーマーを通じた国境を越えた情報の通信が増え、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)のような個人(データ主体)の権利を厚く保護する外国法の立法がなされる一方、データローカリゼーションや政府の無制限のアクセスが懸念される立法をする国々も出てきているためです。
 いわゆる令和2年改正(「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和2年法律第44号))では、保有個人データに関する取扱いが強化されるとともに、リクナビ問題を契機に個人情報以外の個人に関する情報(個人関連情報)の取扱いについて定められました。また、外国の第三者への個人データの提供に際しての情報提供の充実が求められることになりますが、機を同一にして海外の委託先の個人データのアクセスが問題となったLINE問題がおこりました。
 令和3年改正法(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第37号))では、今まで縦割りだった国・独立行政法人・地方公共団体の個人データの取扱いがようやく個人情報保護法に一元化されます。
 本書では、令和2年改正法を中心に、政令・委員会規則・ガイドラインの内容も取り込みQ&A形式で解説しております。令和3年改正法も全体像について俯瞰しています。また、リクナビ問題・LINE問題についてはその内容に踏み込んだ解説をしています。
 さらに、各Q&Aの理解を促進する選択問題のほか、改正法に基づく個人情報保護方針、個人情報取扱規程、情報漏えい等の対応手続のモデル例を掲載しております。これらが皆様の会社の実務の一助となれば幸いです。

【無料ウェビナー:9月21日(火)午後6時〜】FATF第4次対日相互審査報告書を読み解く:継続的顧客管理方法や今後の改正のポイントなど

(ウェビナー資料)
分析資料:FATF第4次対日相互審査報告書に基づく金融機関等に求められる対応

レジュメ:FATF第4次対日相互審査報告書

——————
渡邉雅之弁護士が9月21日(火)午後6時〜午後8時、『FATF第4次対日相互審査報告書を読み解く:継続的顧客管理方法や今後の改正のポイントなど』と題する講演を行います。

お申込みはpeatixでお願いします。
無料ウェビナー:FATF第4次対日相互審査報告書を読み解く:継続的顧客管理方法や今後の改正のポイントなど

2021年8月30日に公表された、FATF第4次対日相互審査報告書に関して解説いたします。9月9日(木)18時より実施したウェビナー『2021年9月9日に実施した『速報解説:FATF第4次対日相互審査報告書』の内容をより掘り下げ、金融機関・DNFBP(非金融機関/職業専門家)の今後の実務対応や法令改正の方向性について具体的かつ明確に説明いたします。
※Youtubeにて同時配信いたします。講演後に三宅法律事務所のホームページに動画記録をアップいたします。_
あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
※解説資料をウェビナーの開始前に弁護士法人三宅法律事務所のホームページに掲載いたします。
※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するセミナーであることにご留意ください。
※弁護士・コンサルタントなど同業者の方もご視聴いただいて構いません!

9月9日のウェビナーの解説動画と解説資料は以下のとおりです(当日は解説資料を改訂してブラッシュアップしたものを使います。)
(解説動画)
動画解説:FATF第4次対日相互審査報告書
(解説資料)
解説:FATF第4次対日相互審査報告書

【講演内容】
〇FATF第4次対日相互審査報告書の内容(法令等整備状況・有効性)について分かりやすく整理
1.法令改正の方向性
�@犯罪収益移転危険度調査書(NRA)の全面見直し
�APEPsの範囲の拡大(国内・国際機関)
�B代理権の確認の厳格化(電話・金融機関の知識_書面化必要)
�C商業登記所への実質的支配者の申告
�D内部管理体制違反の制裁金は設けられない方向。
2.態勢整備の強化
�@2021年2月の改正された金融庁マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに基づく態勢整備が必須(2024年3月までの対応期限)
�A個別の顧客のリスクに応じた特定・評価・リスク低減措置(顧客管理措置)が必要
�B継続的な顧客管理の推進・誤検知率を押さえた高度化した取引モニタリング・フィルタリングシステムが必要に。
�C既存顧客の実質的支配者情報の確認が必要。

【動画解説・解説資料】FATF第4次対日相互審査報告書

2021年9月9日に実施した『速報解説:FATF第4次対日相互審査報告書』の解説動画とレジュメを掲載いたします。

(解説動画)
動画解説:FATF第4次対日相互審査報告書
(解説資料)
解説:FATF第4次対日相互審査報告書

——-
2021年8月30日日本時間午後7時30分に、FATFは第4次対日相互審査報告書を公表しました。
Japan’s measures to combat money laundering and terrorist financing
(対日相互審査報告書:英語)
Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021 (pdf, )
(対日相互審査報告書(概要版):英語)
Executive-Summary-Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021 (pdf, )

同時に、日本の財務省も対日相互審査報告書の概要版の仮訳と今後3年間の「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」を公表するとともに、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置について」および「FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話」を出しています。
FATF(金融活動作業部会)対日相互審査報告書が公表されました
〇対日相互審査報告書の概要版の仮訳
〇マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画
〇マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置について
FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話

従前から伝えられていたとおり、日本は今回「重点フォローアップ国」の評価となっています。

「有効性の評価」および「法令等整備状況の評価」は以下のとおりです。
〇有効性の評価
IO.1 リスクの理解_SE
IO.2 国際協力_SE
IO.3 金融機関・DNFBPの監督_ME
IO.4 金融機関・DNFBPの予防措置_ME
IO.5 法人・法的取極の悪用防止_ME
IO.6 金融機密情報の活用_SE
IO.7 マネー・ローンダリングの捜査・訴追・制裁_ME
IO.8 犯罪収益の没収_ME
IO.9 テロ資金供与の捜査・訴追・制裁_ME
IO.10 テロ資金の凍結・NPOの濫用防止_ME
IO.11 拡散金融_ME
注:有効性の評価は、High-HE、Substantial-SE、Moderate-ME、Low-LE。

〇法令等整備状況の評価
1_____ リスク評価とリスクベース・アプローチ_LC
2_____ 国内関係当局間の協力_PC
3_____ 資金洗浄の犯罪化_LC
4_____ 犯罪収益の没収・保全措置_LC
5_____ テロ資金供与の犯罪化_PC
6_____ テロリストの資産凍結_PC
7_____ 大量破壊兵器の拡散に関与する者への金融制裁_PC
8_____ 非営利団体(NPO)の悪用防止_NC
9_____ 金融機関秘密法が勧告実施の障害となることの防止_C
10____ 顧客管理_LC
11____ 本人確認・取引記録の保存記録_LC
12____ PEP(重要な公的地位を有する者)_PC
13____ コルレス銀行業務_LC
14____ 送金サービス提供者の規制_LC
15____ 新技術の悪用防止_LC
16____ 電信送金(送金人・受取人情報の通知義務)_LC
17____ 顧客管理措置の第三者依存_N/A
18____ 金融機関・グループにおける内部管理方針の整備義務、海外支店・現法への勧告の適用_LC
19____ 勧告履行に問題がある国・地域への対応_LC
20____ 金融機関における資金洗浄、テロ資金供与に関する疑わしい取引の届出_LC
21____ 内報禁止及び届出者の保護義務_C
22____ DNFBPにおける顧客管理_PC
23____ DNFBPによる疑わしい取引の報告義務_PC
24____ 法人の実質的所有者_PC
25____ 法的取極の実質的所有者_PC
26____ 金融機関に対する監督義務_LC
27____ 監督当局の権限の確保_LC
28____ DNFBPに対する監督義務_PC
29____ FIUの設置義務_C
30____ 資金洗浄・テロ資金供与の捜査_C
31____ 捜査関係等資料の入手義務_LC
32____ キャッシュ・クーリエ(現金運搬者)への対応_LC
33____ 包括的統計の整備_LC
34____ ガイドラインの策定義務_LC
35____ 義務の不履行に対する制裁措置_LC
36____ 国連諸文書の批准_LC
37____ 法律上の相互援助、国際協力_LC
38____ 法律上の相互援助:凍結及び没収_LC
39____ 犯人引渡_LC
40____ 国際協力(外国当局との情報交換)_LC
注:法令等整備状況の評価は、C-適合、LC-概ね適合、PC-一部適合、NC-不適合。

重点的フォローアップとなるのは、以下の4つの場合です。
1.法令等整備状況の評価について、8以上のNC(不履行)またはPC(一部履行)がある場合
2.法令等整備状況の評価のうち、勧告3(資金洗浄の犯罪化)、勧告5(テロ資金供与の犯罪化)、勧告10(顧客管理)、勧告11(本人確認・取引記録の保存義務)、勧告20(疑わしい取引の届出)のいずれかについて1つ以上のNC(不履行)またはPC(一部履行)がある場合
3.有効性の評価の11のIOのうち、7以上のIOについて、低レベル(LowLevel)または中レベル(ModerateLevel)の評価を受けた場合
4.有効性の評価の11のIOのうち、4以上のIOについて、低レベル(LowLevel)の評価を受けた場合

日本は、�@法令等整備状況の評価(TC)の40項目のうち、PCが10、NCが1なので、上記1に該当するとともに、�A勧告5(テロ資金供与の犯罪化)がPCなので、上記2にも該当します。また、�B有効性の評価(IO)の11項目のうち、MEのIOが8ですので上記3にも該当します。
以上の観点から、重点的フォローアップ国となりました。

第4次相互審査を受けたFATF加盟国の現在までの結果は以下のとおりです。
(通常フォローアップ国)(8か国)・・・イタリア・英国は審査終了
スペイン、イタリア、ポルトガル、イスラエル、英国、ギリシャ、香港、ロシア
(重点フォローアップ国)(19か国)・・・カナダ、米国は審査を終了
ノルウェー、オーストラリア、ベルギー、マレーシア、オーストラリア、カナダ、シンガポール、スイス、米国、スウェーデン、デンマーク、アイルランド、メキシコ、サウジアラビア、中国、フィンランド、韓国、ニュージーランド、日本
(観察対象国)(2か国)
アイスランド、トルコ
※今後の審査予定国
フランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、インド、ブラジル、アルゼンチン

通常フォローアップ国となった場合は、相互審査後3年後にフォローアップ報告をし、5年後にフォローアップ評価がなされます。
重点フォローアップ国となった場合は、5年後のフォローアップ評価の前に3回のフォローアップ報告が必要となります。
観察対象国となった場合は、1年間の観察期間があり、不備事項が再審査され、対応がなされない場合は国名が公表されます(グレーリスト)。

相互審査報告書においては、日本が優先的に取り組むべき行動が以下のとおり記載されています。

a) 金融機関、暗号資産交換業者、DNFBPsがAML/CFTに係る義務を理解し、適時かつ効果的な方法でこれらの義務を導入・実施するようにする。これらにおいては、事業者ごとのリスク評価の導入・実施、リスクベースでの継続的な顧客管理、取引のモニタリング、資産凍結措置の実施、実質的支配者情報の収集と保持を優先する。

b) 前提犯罪の捜査の早い段階でマネロンについて検討することや、より広範な犯罪、特にハイエンドな犯罪収益の入手につながる高リスクの犯罪類型についての第三者によるマネロン(サードパーティー・マネー・ローンダリング)を優先することを含め、より重大な前提犯罪を対象としたマネロン罪の適用を増やす。

c) 警察庁、法務省、検察庁の間で、検察庁の訴追裁量の適用を再検討することを含め、重大なマネロン事案の捜査・訴追の優先度を高めることに合意し、マネロン事案の起訴率を改善するための措置を探求し、マネロン事案の訴追を優先させる政策を実施する。

d) マネロン罪の法定刑の上限を、少なくとも日本で犯罪収益を最も頻繁に生み出す重大な前提犯罪と同水準に引き上げる。

e) 優先リスク分野について、資産の追跡捜査、保全措置及び没収をより優先的に行う。また、犯罪に用いられた道具及び密輸された現金又は持参人払い式の譲渡可能支払手段をより一貫して没収する。

f) リスクベースでのAML/CFT監督を強化する。これには、特定事業者において実施されている予防的措置の評価のためのオフサイト・モニタリングとオンサイト検査の組み合わせについて、その頻度及び包括性を強化することや、金融機関、DNFBPs、暗号資産交換業者による義務履行における肯定的な効果を確保するために、抑止力のある行政処分と是正措置が適用されることを含む。

g) テロ行為との関連性がない場合に、個々のテロリスト又はテロ組織の資金供与が犯罪化されることを確実にし、勧告5の分析で明らかになった日本のテロ資金供与の犯罪化に関するその他の技術的欠陥を是正することを確実にするために、拘束力があり強制力のある方法を採用するか、テロ資金提供処罰法を改正する。

h)

対象者を指定した金融制裁を遅滞なく実施するために必要な更なる改善がなされ、対象者を指定した金融制裁を実施するための全ての自然人及び法人に係る義務が明確でありFATF基準に沿ったものであることを確保する。

i) テロ資金供与に悪用されるリスクがあるNPO等、特にリスクの高い地域で活動しているNPO等についての完全な理解を確保するとともに、リスクに見合ったアウトリーチ、ガイダンス提供、モニタリング又は監督を行う。

j) リスク評価の方法を引き続き改善し、マネロン・テロ資金供与リスクのより包括的な理解を促進する。これには、クロスボーダー・リスクや、法人・法的取極めに関連するリスクに特に焦点を当てることを含む。

k) 法人及び法的取極めに関する基本情報や実質的支配者情報が、日本の規制・監督・捜査の枠組みの一部として確立されるようにすることを確保する。

今後、日本が行う行動計画は、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」に示されています。

1.マネロン・テロ資金供与・拡散金融に係るリスク認識・協調

(1)国のリスク評価書の刷新

マネロン、テロ資金供与及び拡散金融に対する理解を向上させるため、リスク評価手法の改善等によって、国のリスク評価書である犯罪収益移転危険度調査書を刷新する。
期限:令和3年末

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、その他関係省庁

(2)マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置

「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」を設置し、マネロン、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る国の政策を策定・推進する。

期限:実施中

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、内閣官房、その他関係省庁

(3)国の政策策定

刷新された犯罪収益移転危険度調査書に基づき、マネロン、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る国の政策を策定する。

期限:令和4年春

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、内閣官房、その他関係省庁

2.金融機関及び暗号資産交換業者によるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策及び監督

(1)マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の監督強化

マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する監督当局間の連携の強化、適切な監督態勢の整備するほか、リスクベースでの検査監督等を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(2)金融機関等のリスク理解向上とリスク評価の実施

マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に係る義務の周知徹底を図ることで、金融機関等のリスク理解を向上させ、適切なリスク評価を実施させる。

期限:令和4年秋

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(3)金融機関等による継続的顧客管理の完全実施

取引モニタリングの強化を図るとともに、期限を設定して、継続的顧客管理などリスクベースでのマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化を図る。

期限:令和6年春

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(4)取引モニタリングの共同システムの実用化

取引時確認、顧客管理の強化および平準化の観点から、取引スクリーニング、取引モニタリングの共同システムの実用化を図るとともに、政府広報も活用して国民の理解を促進する。

期限:令和6年春

担当官庁:金融庁

3.特定非金融業者及び職業専門家によるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策及び監督

(1)監督ガイドライン策定・リスクベースの監督強化

マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、適切な監督態勢を整備するほか、リスクベースでの検査監督を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁

(2)特定非金融業者及び職業専門家に対するリスク評価・顧客管理強化等

マネロン・テロ資金供与対策義務に関する周知徹底を図り、リスク理解を向上させる。この他、マネロン・テロ資金供与対策の強化の一環として、継続的顧客管理及び厳格な顧客管理措置、疑わしい取引の届出の質の向上に取り組む。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁
4.法人、信託の悪用防止

(1)法人・信託の悪用防止

法人及び信託がマネロン・テロ資金供与に悪用されることを防ぐため、法人及び信託に関する適切なリスク評価を実施し、リスクの理解を向上させる。

期限:令和4年春

担当官庁:法務省、警察庁

(2)実質的支配者情報の透明性向上

〇全ての特定事業者が、期限を設定して、既存顧客の実質的支配者情報を確認するなど、実質的支配者に関する情報源を強化する。

期限:令和6年春

担当官庁:法務省、警察庁、特定事業者所管行政庁

〇株式会社の申出により、商業登記所が実質的支配者情報を保管し、その旨を証明する制度を今年度中に開始するとともに、実質的支配者情報を一元的に管理する仕組みの構築に向け、関係省庁が連携して利用の促進等の取組みを進める。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁、特定事業者所管行政庁

_

(3)民事信託・外国信託に関する実質的支配者情報の利用・正確性確保

信託会社に設定・管理されていない民事信託及び外国信託に関する実質的支配者情報を利用可能とし、その正確性を確保するための方策を検討し、実施する。
期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、その他関係省庁

(4)法人・信託に関するガイダンス作成

都道府県警や国税庁等の法執行機関向けに、法人及び信託の実質的支配者情報に適時にアクセスするためのガイダンスを作成する。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、財務省及びその他関係省庁

(5)特定非金融業者及び職業専門家の顧客管理の実施

全ての特定非金融業者及び職業専門家に実質的支配者情報の確認を含む顧客管理義務の対象とすることを検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年秋

警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁

5.マネロン・テロ資金供与の捜査及び訴追等

(1)マネロン罪の法定刑引上げ

組織的犯罪処罰法について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:法務省、内閣官房

(2)マネロン罪の捜査・訴追の強化

重大・複雑なマネロンの更なる捜査・訴追や、マネロンの起訴率の向上のため、タスクフォースの設置、各種通達等の発出等を行い、これらを踏まえた捜査・訴追を実施する。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁

(3)捜査・没収の強化

犯罪収益や、マネロンに関連する犯罪供用物の押収・没収・追徴を適切に実施するため、リスクが高い分野に関する犯罪収益追跡捜査、没収・追徴及びその保全の積極活用、没収の執行強化を行う。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁

(4)税関の対応強化

国境での現金の差し止めを強化するとともに、現金の輸出入情報の警察庁への共有を促進する。

期限:実施中

担当官庁:財務省

(5)テロ資金等提供罪の強化

テロ資金提供処罰法について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:法務省、内閣官房

(6)テロ資金等提供罪の捜査・訴追の強化等

テロ資金等提供罪の捜査・訴追に関する関係省庁の連携強化のためのタスクフォースを設置し、テロ資金等提供罪の捜査・訴追に取り組む。

また、テロ資金供与のリスク理解向上のため、当局及び特定事業者への周知を実施する。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁、その他関係省庁

6.資産凍結及びNPO

(1)資産凍結措置の範囲の拡大と明確化

制裁対象者に支配される者等の資産凍結を実施するとともに、外為法による資産凍結措置の範囲を告示等により明確にする。また、国際テロリスト財産凍結法についても検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:
【外為法】

財務省、経済産業省

【国際テロリスト財産凍結法】

内閣官房、警察庁、その他関係省庁

(2)遅滞なき資産凍結

国連安全保障理事会制裁委員会等による資産凍結等の対象となる個人・団体の指定後遅滞なく資産凍結措置を行うため、告示の発出プロセスを迅速化する。

期限:実施中

担当官庁:外務省、財務省、警察庁

(3)特定事業者による資産凍結措置の執行の強化

特定事業者のモニタリングなどにより、第三者が関与する制裁対象者との取引の防止を含め、資産凍結措置の執行を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:財務省、特定事業者所管行政庁

(4)大量破壊兵器拡散に関わる居住者の資産凍結

国連安全保障理事会決議等で指定された大量破壊兵器拡散に関わる居住者の資産凍結を実施するための法制度の整備について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:内閣官房、警察庁、外務省、財務省、経済産業省、その他関係省庁

(5)NPOのリスク評価とモニタリング

NPOがテロ資金供与に悪用されるリスクについて適切に評価を行い、リスクベースでモニタリングを実施する。

期限:令和4年春

担当官庁:内閣府、文部科学省、厚生労働省、外務省、警察庁、財務省

(6)NPOへの周知

高リスク地域で事業を実施するNPOの活動の健全性が維持されるよう、テロ資金供与リスクとテロ資金供与対策の好事例に関する周知を行う。

期限:令和4年春

担当官庁:内閣府、文部科学省、厚生労働省、外務省、警察庁、財務省

_

渡邉雅之弁護士が執筆した『医療データの活用を促進する「公衆衛生例外規定の運用の明確化』が医療業務2021年9月15日号(産労総合研究所)に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『医療データの活用を促進する「公衆衛生例外規定の運用の明確化』が医療業務2021年9月15日号(産労総合研究所)に掲載されました。

【動画解説・解説レジュメ】中華人民共和国個人情報保護法

9月6日に開催したウェビナー『速報解説:中国個人情報保護法・中国データセキュリティ法』の動画解説(Youtube)と解説レジュメ、法令の翻訳を掲載いたします。GDPRや個人情報保護法と比較しながら解説しています。

解説動画:中華人民共和国個人情報保護法

解説レジュメ:中華人民共和国個人情報保護法

(仮訳・対訳)中華人民共和国個人情報保護法
(仮訳・対訳)中華人民共和国データセキュリティ法

_

執筆者:渡邉雅之
* ご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Email_m-watanabe@miyake.gr.jp

_

【2021年9月1日施行】マイナンバー法改正:従業者本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供

2021/09/02

 令和3年(2021年)通常国会において成立し、同年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第37号、以下「デジタル社会形成整備法」又は「改正法」といいます。)における「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「マイナンバー法」又は「法」といいます。)その他の法律及び同時に成立した関連法により、個人番号(以下「個人番号」又は「マイナンバー」といいます。)関連の改正がなされることになりました。2021年9月1日には「従業員本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供」が施行されましたので以下解説いたします。

1.改正概要
 改正法によるマイナンバー法の改正により、特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報、以下同じ。)が第三者に提供できる場合として、「使用者A」における「従業者等」(従業者、法人の業務を執行する役員等)であった者が「使用者B」の従業者等になった場合、当該「従業者等」の同意を得て、「使用者A」が「使用者B」に対して、その個人番号関係事務を処理するために必要な限度で当該従業者等の個人番号を含む特定個人情報を提供する場合が追加されます(法19条4号)。
 これは、従業員等の出向・転籍・退職等があった場合において、本人の同意があるときは、転籍・退職前の使用者から、出向・転籍・再就職した使用者に、当該従業員等の特定個人情報の提供を可能にするものです。
2.施行期日
 この改正は、令和3年9月1日に施行されました(改正法附則1条本文)。
_
〇従業者本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供

(出所)「デジタル改革関連法案について」(令和3年3月)(内閣官房IT総合戦略室・デジタル改革関連法案準備室・総務省自治行政局)

3.改正の背景・効果
 個人情報保護法が本人同意を根拠とする個人情報の第三者提供を認められています(同法23条1項)。
 特定個人情報以外の従業員の個人情報については、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(解説)」の「(参考4)採用、出向・転籍、退職時点における個人情報の適正な取扱いを確保するための留意点」において、「退職者の転職先又は転職予定先に対し当該退職者の個人情報を提供することは第三者提供に該当するため、あらかじめ本人の同意を得なければならない。」として従業員の同意を得た上で直接、転籍・再就職先に提供することが認められています。
 他方、特定個人情報の場合は、本人であってもマイナンバー法19条各号が特に認める場合を除き、第三者に提供することが禁止されています。
 従業員等は、転籍・退職等により雇用先を変更した場合に、転籍・再就職後の勤務先に対し、改めてマイナンバーを提供しなければならず、国民・事業者の負担が極めて大きいため、見直しを求める要望があったためになされた改正です。
 これにより、従業員等の転籍・退職等があった場合、従業員等が改めて特定個人情報を提供する必要がなくなるため、国民・事業者の負担が軽減されることが期待されます。

4.実務上の対応
(1)従業員の同意の取得時期
 「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「事業者ガイドライン」といいます。)の改正(以下「改正事業者ガイドライン」といいます。)において、特定個人情報の提供は、従業者等の出向・転籍・退職等があった場合に、当該従業者等の同意を得た上で、行われるものであるので、出向・転籍・退職等前の使用者等は、当該従業者等の出向・転籍・再就職等先の決定以後に、個人番号を含む特定個人情報の具体的な提供先を明らかにした上で、当該従業者等から同意を取得することが必要となるとされています。
 したがって、特定個人情報を出向・転籍・再就職先の使用者に提供することについて雇用契約等において採用時点において同意を取得したり、就業規則に同意をしていることとは認められないものと考えられます。
(2)従業員の特定個人情報の提供の時期
 個人番号を含む特定個人情報の提供時期については、従業者等の出向・転籍・再就職等により「他の使用者等における従業者等になった場合」になります。 その解釈については、その立場や状況が個々に異なる ことから一律に取り扱うことはできませんが、例えば、「内定者」が確実に雇用されることが予想される 場合(正式な内定通知がなされ、入社に関する誓約書 を提出した場合等)には、その時点で個人番号の提供を求めることができると解されることから、個人番号 を含む特定個人情報の提供もこれに準じて考えることができると解されます。(ガイドライン案パブコメ回答4番)
(3)同意の取得方法
 「従業者等の同意を得」るとは、従業者等の承諾する旨の意思表示を使用者等が認識することをいい、特定個人情報の取扱状況に応じ、従業者等が同意に係る 判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切 な方法によらなければなりません。(ガイドライン案パブコメ回答5番)
 そこで、改正事業者ガイドラインにおいては、『どのような特定個人情報が出向・転籍・再就職等先の使用者等に対して提供されることになるのか、従業者等が認識した上で、同意に係る判断を行うことができるよう、出向・転籍・退職等前の使用者等は留意する必要がある。』とされています。
 具体的な同意取得の方法は、『従業者等からの同意する旨の口頭による意思表示のほか、従業者等からの同意する旨の書面(電磁的記録を含む。)の受領、従業者等からの同意する旨のメールの受信、従業者等による同意する旨の確認欄へのチェック、従業者等による同意する旨のウェブ上のボタンのクリック、従業者等による同意する旨のタッチパネルへのタッチ、ボタン等による入力等』とされています。
(4)同意の任意性
 本人の同意というものは自由意思によるものであり、従業員等の意思に反して特定個人情報を出向・転籍・再就職先の使用者に直接提供することについて同意をすることを強制することはできないと考えられます。また、従業員等は一度、特定個人情報を転籍先・再就職先に直接提供することについて同意してもこれを撤回することができるものと考えられます。
 ※参議院内閣委員会(令和3年5月11日)の杉尾秀哉議員(立憲民主)の質問に対する冨安泰一郎政府参考人(内閣官房内閣審議官)の回答
(5)従業員の出向に伴う共有データベースのマイナンバーの移動
 改正前の事業ガイドラインにおいては、従業員等の出向に伴い、本人を介在させることなく、共有データベース内で自動的にアクセス制限を解除する等して出向元の会社のファイルから出向先の会社のファイルにマイナンバーを移動させることは、提供制限違反とされていますが、改正事業者ガイドラインでは「本人の同意」があれば、出向者本人の意思に基づく操作なしに特定個人情報を移動することが可能となります。
(6)提供可能な情報の範囲
 具体的に提供可能な範囲の情報は「その個人番号関係事務を処理するために必要な限度」とされています(マイナンバー法19条4号)。
改正事業者ガイドラインによれば、『例えば、従業者等の氏名、住所、生年月日等や前職の給与額等については、これらの社会保障、税分野に係る届出、提出等に必要な情報であることが想定されるため、本号に基づく提供が認められる。一方、個別の事案ごとに、具体的に判断されることになるが、前職の離職理由等の、当該届出、提出等に必要な情報であるとは想定されない情報については、本号に基づく提供は認められないと解される。』とされています。
 すなわち、社会保険の資格届や給与支払報告書等の提出に必要な「氏名、住所、生年月日等」や「前職の給与額等」は、従業員本人の同意があれば転職先等に提供することが認められます。
 これに対して「前職の離職理由」等の社会保険の資格届や給与支払報告書の届出・提出等に必要な情報であるとは想定されない情報は、従業員本人の同意があっても転職先等に提供することは認められません。
(7)本人確認の要否
 改正事業者ガイドライン案によれば、本人の同意に基づき、出向・転籍先・再就職先の使用者に特定個人情報を移転させる場合には、マイナンバー法に基づく本人確認は不要とされています。
(8)従業員への通知の要否
 マイナンバー法において、個人番号を含む特定個人情報の提 供を受けた使用者等は、従業者等に対し、当該情報の提供を受けたことを通知する義務はありません。したがって、特定個人情報の提供を受けたことの従業者等に対する通知を行うか否かについては、当該情報の提供を受けた事業者において任意に判断して行うことになります。(ガイドライン案パブコメ回答6番)

執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Email_m-watanabe@miyake.gr.jp

_

【無料ウェビナー:9月9日(木)午後6時〜】速報解説:FATF第4次対日相互審査報告書

ウェビナーの動画解説と解説資料を掲載いたします。
(解説動画)
動画解説:FATF第4次対日相互審査報告書
(解説資料)
解説:FATF第4次対日相互審査報告書
——-
渡邉雅之弁護士が『【無料ウェビナー:9月9日(木)午後6時〜】速報解説:FATF第4次対日相互審査報告書』と題するウェビナーを行います。

お申込みは以下のpeatixページでお願いします。
(無料ウェビナー)速報解説:FATF第4次対日相互審査報告書

※Youtubeにて同時配信いたします。
あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
※解説資料をウェビナーの開始前に弁護士法人三宅法律事務所のホームページに掲載いたします。
※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するセミナーであることにご留意ください。
※弁護士・コンサルタントなど同業者の方もご視聴いただいて構いません!
本ウェビナーでは、FATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)が2021年8月30日に公表した第4次対日相互審査報告書のポイントについて解説いたします。

————–
2021年8月30日日本時間午後7時30分に、FATFは第4次対日相互審査報告書を公表しました。
Japan’s measures to combat money laundering and terrorist financing
(対日相互審査報告書:英語)
Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021 (pdf, )
(対日相互審査報告書(概要版):英語)
Executive-Summary-Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021 (pdf, )

同時に、日本の財務省も対日相互審査報告書の概要版の仮訳と今後3年間の「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」を公表するとともに、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置について」および「FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話」を出しています。
FATF(金融活動作業部会)対日相互審査報告書が公表されました
〇対日相互審査報告書の概要版の仮訳
〇マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画
〇マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置について
FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話

従前から伝えられていたとおり、日本は今回「重点フォローアップ国」の評価となっています。

「有効性の評価」および「法令等整備状況の評価」は以下のとおりです。
〇有効性の評価
IO.1 リスクの理解_SE
IO.2 国際協力_SE
IO.3 金融機関・DNFBPの監督_ME
IO.4 金融機関・DNFBPの予防措置_ME
IO.5 法人・法的取極の悪用防止_ME
IO.6 金融機密情報の活用_SE
IO.7 マネー・ローンダリングの捜査・訴追・制裁_ME
IO.8 犯罪収益の没収_ME
IO.9 テロ資金供与の捜査・訴追・制裁_ME
IO.10 テロ資金の凍結・NPOの濫用防止_ME
IO.11 拡散金融_ME
注:有効性の評価は、High-HE、Substantial-SE、Moderate-ME、Low-LE。

〇法令等整備状況の評価
1_____ リスク評価とリスクベース・アプローチ_LC
2_____ 国内関係当局間の協力_PC
3_____ 資金洗浄の犯罪化_LC
4_____ 犯罪収益の没収・保全措置_LC
5_____ テロ資金供与の犯罪化_PC
6_____ テロリストの資産凍結_PC
7_____ 大量破壊兵器の拡散に関与する者への金融制裁_PC
8_____ 非営利団体(NPO)の悪用防止_NC
9_____ 金融機関秘密法が勧告実施の障害となることの防止_C
10____ 顧客管理_LC
11____ 本人確認・取引記録の保存記録_LC
12____ PEP(重要な公的地位を有する者)_PC
13____ コルレス銀行業務_LC
14____ 送金サービス提供者の規制_LC
15____ 新技術の悪用防止_LC
16____ 電信送金(送金人・受取人情報の通知義務)_LC
17____ 顧客管理措置の第三者依存_N/A
18____ 金融機関・グループにおける内部管理方針の整備義務、海外支店・現法への勧告の適用_LC
19____ 勧告履行に問題がある国・地域への対応_LC
20____ 金融機関における資金洗浄、テロ資金供与に関する疑わしい取引の届出_LC
21____ 内報禁止及び届出者の保護義務_C
22____ DNFBPにおける顧客管理_PC
23____ DNFBPによる疑わしい取引の報告義務_PC
24____ 法人の実質的所有者_PC
25____ 法的取極の実質的所有者_PC
26____ 金融機関に対する監督義務_LC
27____ 監督当局の権限の確保_LC
28____ DNFBPに対する監督義務_PC
29____ FIUの設置義務_C
30____ 資金洗浄・テロ資金供与の捜査_C
31____ 捜査関係等資料の入手義務_LC
32____ キャッシュ・クーリエ(現金運搬者)への対応_LC
33____ 包括的統計の整備_LC
34____ ガイドラインの策定義務_LC
35____ 義務の不履行に対する制裁措置_LC
36____ 国連諸文書の批准_LC
37____ 法律上の相互援助、国際協力_LC
38____ 法律上の相互援助:凍結及び没収_LC
39____ 犯人引渡_LC
40____ 国際協力(外国当局との情報交換)_LC
注:法令等整備状況の評価は、C-適合、LC-概ね適合、PC-一部適合、NC-不適合。

重点的フォローアップとなるのは、以下の4つの場合です。
1.法令等整備状況の評価について、8以上のNC(不履行)またはPC(一部履行)がある場合
2.法令等整備状況の評価のうち、勧告3(資金洗浄の犯罪化)、勧告5(テロ資金供与の犯罪化)、勧告10(顧客管理)、勧告11(本人確認・取引記録の保存義務)、勧告20(疑わしい取引の届出)のいずれかについて1つ以上のNC(不履行)またはPC(一部履行)がある場合
3.有効性の評価の11のIOのうち、7以上のIOについて、低レベル(LowLevel)または中レベル(ModerateLevel)の評価を受けた場合
4.有効性の評価の11のIOのうち、4以上のIOについて、低レベル(LowLevel)の評価を受けた場合

日本は、�@法令等整備状況の評価(TC)の40項目のうち、PCが10、NCが1なので、上記1に該当するとともに、�A勧告5(テロ資金供与の犯罪化)がPCなので、上記2にも該当します。また、�B有効性の評価(IO)の11項目のうち、MEのIOが8ですので上記3にも該当します。
以上の観点から、重点的フォローアップ国となりました。

第4次相互審査を受けたFATF加盟国の現在までの結果は以下のとおりです。
(通常フォローアップ国)(8か国)・・・イタリア・英国は審査終了
スペイン、イタリア、ポルトガル、イスラエル、英国、ギリシャ、香港、ロシア
(重点フォローアップ国)(19か国)・・・カナダ、米国は審査を終了
ノルウェー、オーストラリア、ベルギー、マレーシア、オーストラリア、カナダ、シンガポール、スイス、米国、スウェーデン、デンマーク、アイルランド、メキシコ、サウジアラビア、中国、フィンランド、韓国、ニュージーランド、日本
(観察対象国)(2か国)
アイスランド、トルコ
※今後の審査予定国
フランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、インド、ブラジル、アルゼンチン

通常フォローアップ国となった場合は、相互審査後3年後にフォローアップ報告をし、5年後にフォローアップ評価がなされます。
重点フォローアップ国となった場合は、5年後のフォローアップ評価の前に3回のフォローアップ報告が必要となります。
観察対象国となった場合は、1年間の観察期間があり、不備事項が再審査され、対応がなされない場合は国名が公表されます(グレーリスト)。

相互審査報告書においては、日本が優先的に取り組むべき行動が以下のとおり記載されています。

a) 金融機関、暗号資産交換業者、DNFBPsがAML/CFTに係る義務を理解し、適時かつ効果的な方法でこれらの義務を導入・実施するようにする。これらにおいては、事業者ごとのリスク評価の導入・実施、リスクベースでの継続的な顧客管理、取引のモニタリング、資産凍結措置の実施、実質的支配者情報の収集と保持を優先する。

b) 前提犯罪の捜査の早い段階でマネロンについて検討することや、より広範な犯罪、特にハイエンドな犯罪収益の入手につながる高リスクの犯罪類型についての第三者によるマネロン(サードパーティー・マネー・ローンダリング)を優先することを含め、より重大な前提犯罪を対象としたマネロン罪の適用を増やす。

c) 警察庁、法務省、検察庁の間で、検察庁の訴追裁量の適用を再検討することを含め、重大なマネロン事案の捜査・訴追の優先度を高めることに合意し、マネロン事案の起訴率を改善するための措置を探求し、マネロン事案の訴追を優先させる政策を実施する。

d) マネロン罪の法定刑の上限を、少なくとも日本で犯罪収益を最も頻繁に生み出す重大な前提犯罪と同水準に引き上げる。

e) 優先リスク分野について、資産の追跡捜査、保全措置及び没収をより優先的に行う。また、犯罪に用いられた道具及び密輸された現金又は持参人払い式の譲渡可能支払手段をより一貫して没収する。

f) リスクベースでのAML/CFT監督を強化する。これには、特定事業者において実施されている予防的措置の評価のためのオフサイト・モニタリングとオンサイト検査の組み合わせについて、その頻度及び包括性を強化することや、金融機関、DNFBPs、暗号資産交換業者による義務履行における肯定的な効果を確保するために、抑止力のある行政処分と是正措置が適用されることを含む。

g) テロ行為との関連性がない場合に、個々のテロリスト又はテロ組織の資金供与が犯罪化されることを確実にし、勧告5の分析で明らかになった日本のテロ資金供与の犯罪化に関するその他の技術的欠陥を是正することを確実にするために、拘束力があり強制力のある方法を採用するか、テロ資金提供処罰法を改正する。

h)

対象者を指定した金融制裁を遅滞なく実施するために必要な更なる改善がなされ、対象者を指定した金融制裁を実施するための全ての自然人及び法人に係る義務が明確でありFATF基準に沿ったものであることを確保する。

i) テロ資金供与に悪用されるリスクがあるNPO等、特にリスクの高い地域で活動しているNPO等についての完全な理解を確保するとともに、リスクに見合ったアウトリーチ、ガイダンス提供、モニタリング又は監督を行う。

j) リスク評価の方法を引き続き改善し、マネロン・テロ資金供与リスクのより包括的な理解を促進する。これには、クロスボーダー・リスクや、法人・法的取極めに関連するリスクに特に焦点を当てることを含む。

k) 法人及び法的取極めに関する基本情報や実質的支配者情報が、日本の規制・監督・捜査の枠組みの一部として確立されるようにすることを確保する。

今後、日本が行う行動計画は、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」に示されています。

1.マネロン・テロ資金供与・拡散金融に係るリスク認識・協調

(1)国のリスク評価書の刷新

マネロン、テロ資金供与及び拡散金融に対する理解を向上させるため、リスク評価手法の改善等によって、国のリスク評価書である犯罪収益移転危険度調査書を刷新する。
期限:令和3年末

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、その他関係省庁

(2)マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置

「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」を設置し、マネロン、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る国の政策を策定・推進する。

期限:実施中

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、内閣官房、その他関係省庁

(3)国の政策策定

刷新された犯罪収益移転危険度調査書に基づき、マネロン、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る国の政策を策定する。

期限:令和4年春

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、内閣官房、その他関係省庁

2.金融機関及び暗号資産交換業者によるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策及び監督

(1)マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の監督強化

マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する監督当局間の連携の強化、適切な監督態勢の整備するほか、リスクベースでの検査監督等を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(2)金融機関等のリスク理解向上とリスク評価の実施

マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に係る義務の周知徹底を図ることで、金融機関等のリスク理解を向上させ、適切なリスク評価を実施させる。

期限:令和4年秋

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(3)金融機関等による継続的顧客管理の完全実施

取引モニタリングの強化を図るとともに、期限を設定して、継続的顧客管理などリスクベースでのマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化を図る。

期限:令和6年春

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(4)取引モニタリングの共同システムの実用化

取引時確認、顧客管理の強化および平準化の観点から、取引スクリーニング、取引モニタリングの共同システムの実用化を図るとともに、政府広報も活用して国民の理解を促進する。

期限:令和6年春

担当官庁:金融庁

3.特定非金融業者及び職業専門家によるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策及び監督

(1)監督ガイドライン策定・リスクベースの監督強化

マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、適切な監督態勢を整備するほか、リスクベースでの検査監督を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁

(2)特定非金融業者及び職業専門家に対するリスク評価・顧客管理強化等

マネロン・テロ資金供与対策義務に関する周知徹底を図り、リスク理解を向上させる。この他、マネロン・テロ資金供与対策の強化の一環として、継続的顧客管理及び厳格な顧客管理措置、疑わしい取引の届出の質の向上に取り組む。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁
4.法人、信託の悪用防止

(1)法人・信託の悪用防止

法人及び信託がマネロン・テロ資金供与に悪用されることを防ぐため、法人及び信託に関する適切なリスク評価を実施し、リスクの理解を向上させる。

期限:令和4年春

担当官庁:法務省、警察庁

(2)実質的支配者情報の透明性向上

〇全ての特定事業者が、期限を設定して、既存顧客の実質的支配者情報を確認するなど、実質的支配者に関する情報源を強化する。

期限:令和6年春

担当官庁:法務省、警察庁、特定事業者所管行政庁

〇株式会社の申出により、商業登記所が実質的支配者情報を保管し、その旨を証明する制度を今年度中に開始するとともに、実質的支配者情報を一元的に管理する仕組みの構築に向け、関係省庁が連携して利用の促進等の取組みを進める。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁、特定事業者所管行政庁

_

(3)民事信託・外国信託に関する実質的支配者情報の利用・正確性確保

信託会社に設定・管理されていない民事信託及び外国信託に関する実質的支配者情報を利用可能とし、その正確性を確保するための方策を検討し、実施する。
期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、その他関係省庁

(4)法人・信託に関するガイダンス作成

都道府県警や国税庁等の法執行機関向けに、法人及び信託の実質的支配者情報に適時にアクセスするためのガイダンスを作成する。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、財務省及びその他関係省庁

(5)特定非金融業者及び職業専門家の顧客管理の実施

全ての特定非金融業者及び職業専門家に実質的支配者情報の確認を含む顧客管理義務の対象とすることを検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年秋

警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁

5.マネロン・テロ資金供与の捜査及び訴追等

(1)マネロン罪の法定刑引上げ

組織的犯罪処罰法について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:法務省、内閣官房

(2)マネロン罪の捜査・訴追の強化

重大・複雑なマネロンの更なる捜査・訴追や、マネロンの起訴率の向上のため、タスクフォースの設置、各種通達等の発出等を行い、これらを踏まえた捜査・訴追を実施する。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁

(3)捜査・没収の強化

犯罪収益や、マネロンに関連する犯罪供用物の押収・没収・追徴を適切に実施するため、リスクが高い分野に関する犯罪収益追跡捜査、没収・追徴及びその保全の積極活用、没収の執行強化を行う。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁

(4)税関の対応強化

国境での現金の差し止めを強化するとともに、現金の輸出入情報の警察庁への共有を促進する。

期限:実施中

担当官庁:財務省

(5)テロ資金等提供罪の強化

テロ資金提供処罰法について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:法務省、内閣官房

(6)テロ資金等提供罪の捜査・訴追の強化等

テロ資金等提供罪の捜査・訴追に関する関係省庁の連携強化のためのタスクフォースを設置し、テロ資金等提供罪の捜査・訴追に取り組む。

また、テロ資金供与のリスク理解向上のため、当局及び特定事業者への周知を実施する。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁、その他関係省庁

6.資産凍結及びNPO

(1)資産凍結措置の範囲の拡大と明確化

制裁対象者に支配される者等の資産凍結を実施するとともに、外為法による資産凍結措置の範囲を告示等により明確にする。また、国際テロリスト財産凍結法についても検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:
【外為法】

財務省、経済産業省

【国際テロリスト財産凍結法】

内閣官房、警察庁、その他関係省庁

(2)遅滞なき資産凍結

国連安全保障理事会制裁委員会等による資産凍結等の対象となる個人・団体の指定後遅滞なく資産凍結措置を行うため、告示の発出プロセスを迅速化する。

期限:実施中

担当官庁:外務省、財務省、警察庁

(3)特定事業者による資産凍結措置の執行の強化

特定事業者のモニタリングなどにより、第三者が関与する制裁対象者との取引の防止を含め、資産凍結措置の執行を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:財務省、特定事業者所管行政庁

(4)大量破壊兵器拡散に関わる居住者の資産凍結

国連安全保障理事会決議等で指定された大量破壊兵器拡散に関わる居住者の資産凍結を実施するための法制度の整備について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:内閣官房、警察庁、外務省、財務省、経済産業省、その他関係省庁

(5)NPOのリスク評価とモニタリング

NPOがテロ資金供与に悪用されるリスクについて適切に評価を行い、リスクベースでモニタリングを実施する。

期限:令和4年春

担当官庁:内閣府、文部科学省、厚生労働省、外務省、警察庁、財務省

(6)NPOへの周知

高リスク地域で事業を実施するNPOの活動の健全性が維持されるよう、テロ資金供与リスクとテロ資金供与対策の好事例に関する周知を行う。

期限:令和4年春

担当官庁:内閣府、文部科学省、厚生労働省、外務省、警察庁、財務省

FATF第4次対日相互審査報告書の公表(日本は重点フォローアップ国に)

2021/08/30

【無料ウェビナー:9月9日(木)午後6時〜】速報解説:FATF第4次対日相互審査報告書

2021年8月30日日本時間午後7時30分に、FATFは第4次対日相互審査報告書を公表しました。
Japan’s measures to combat money laundering and terrorist financing
(対日相互審査報告書:英語)
Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021 (pdf, )
(対日相互審査報告書(概要版):英語)
Executive-Summary-Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021 (pdf, )

同時に、日本の財務省も対日相互審査報告書の概要版の仮訳と今後3年間の「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」を公表するとともに、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置について」および「FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話」を出しています。
FATF(金融活動作業部会)対日相互審査報告書が公表されました
〇対日相互審査報告書の概要版の仮訳
〇マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画
〇マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置について
FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話

金融庁も同時に公表しています。
FATF(金融活動作業部会)による第4次対日相互審査報告書の公表について

従前から伝えられていたとおり、日本は今回「重点フォローアップ国」の評価となっています。

「有効性の評価」および「法令等整備状況の評価」は以下のとおりです。
〇有効性の評価
IO.1 リスクの理解_SE
IO.2 国際協力_SE
IO.3 金融機関・DNFBPの監督_ME
IO.4 金融機関・DNFBPの予防措置_ME
IO.5 法人・法的取極の悪用防止_ME
IO.6 金融機密情報の活用_SE
IO.7 マネー・ローンダリングの捜査・訴追・制裁_ME
IO.8 犯罪収益の没収_ME
IO.9 テロ資金供与の捜査・訴追・制裁_ME
IO.10 テロ資金の凍結・NPOの濫用防止_ME
IO.11 拡散金融_ME
注:有効性の評価は、High-HE、Substantial-SE、Moderate-ME、Low-LE。

〇法令等整備状況の評価
1_____ リスク評価とリスクベース・アプローチ_LC
2_____ 国内関係当局間の協力_PC
3_____ 資金洗浄の犯罪化_LC
4_____ 犯罪収益の没収・保全措置_LC
5_____ テロ資金供与の犯罪化_PC
6_____ テロリストの資産凍結_PC
7_____ 大量破壊兵器の拡散に関与する者への金融制裁_PC
8_____ 非営利団体(NPO)の悪用防止_NC
9_____ 金融機関秘密法が勧告実施の障害となることの防止_C
10____ 顧客管理_LC
11____ 本人確認・取引記録の保存記録_LC
12____ PEP(重要な公的地位を有する者)_PC
13____ コルレス銀行業務_LC
14____ 送金サービス提供者の規制_LC
15____ 新技術の悪用防止_LC
16____ 電信送金(送金人・受取人情報の通知義務)_LC
17____ 顧客管理措置の第三者依存_N/A
18____ 金融機関・グループにおける内部管理方針の整備義務、海外支店・現法への勧告の適用_LC
19____ 勧告履行に問題がある国・地域への対応_LC
20____ 金融機関における資金洗浄、テロ資金供与に関する疑わしい取引の届出_LC
21____ 内報禁止及び届出者の保護義務_C
22____ DNFBPにおける顧客管理_PC
23____ DNFBPによる疑わしい取引の報告義務_PC
24____ 法人の実質的所有者_PC
25____ 法的取極の実質的所有者_PC
26____ 金融機関に対する監督義務_LC
27____ 監督当局の権限の確保_LC
28____ DNFBPに対する監督義務_PC
29____ FIUの設置義務_C
30____ 資金洗浄・テロ資金供与の捜査_C
31____ 捜査関係等資料の入手義務_LC
32____ キャッシュ・クーリエ(現金運搬者)への対応_LC
33____ 包括的統計の整備_LC
34____ ガイドラインの策定義務_LC
35____ 義務の不履行に対する制裁措置_LC
36____ 国連諸文書の批准_LC
37____ 法律上の相互援助、国際協力_LC
38____ 法律上の相互援助:凍結及び没収_LC
39____ 犯人引渡_LC
40____ 国際協力(外国当局との情報交換)_LC
注:法令等整備状況の評価は、C-適合、LC-概ね適合、PC-一部適合、NC-不適合。

重点的フォローアップとなるのは、以下の4つの場合です。
1.法令等整備状況の評価について、8以上のNC(不履行)またはPC(一部履行)がある場合
2.法令等整備状況の評価のうち、勧告3(資金洗浄の犯罪化)、勧告5(テロ資金供与の犯罪化)、勧告10(顧客管理)、勧告11(本人確認・取引記録の保存義務)、勧告20(疑わしい取引の届出)のいずれかについて1つ以上のNC(不履行)またはPC(一部履行)がある場合
3.有効性の評価の11のIOのうち、7以上のIOについて、低レベル(LowLevel)または中レベル(ModerateLevel)の評価を受けた場合
4.有効性の評価の11のIOのうち、4以上のIOについて、低レベル(LowLevel)の評価を受けた場合

日本は、�@法令等整備状況の評価(TC)の40項目のうち、PCが10、NCが1なので、上記1に該当するとともに、�A勧告5(テロ資金供与の犯罪化)がPCなので、上記2にも該当します。また、�B有効性の評価(IO)の11項目のうち、MEのIOが8ですので上記3にも該当します。
以上の観点から、重点的フォローアップ国となりました。

第4次相互審査を受けたFATF加盟国の現在までの結果は以下のとおりです。
(通常フォローアップ国)(8か国)・・・イタリア・英国は審査終了
スペイン、イタリア、ポルトガル、イスラエル、英国、ギリシャ、香港、ロシア
(重点フォローアップ国)(19か国)・・・カナダ、米国は審査を終了
ノルウェー、オーストラリア、ベルギー、マレーシア、オーストラリア、カナダ、シンガポール、スイス、米国、スウェーデン、デンマーク、アイルランド、メキシコ、サウジアラビア、中国、フィンランド、韓国、ニュージーランド、日本
(観察対象国)(2か国)
アイスランド、トルコ
※今後の審査予定国
フランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、インド、ブラジル、アルゼンチン

通常フォローアップ国となった場合は、相互審査後3年後にフォローアップ報告をし、5年後にフォローアップ評価がなされます。
重点フォローアップ国となった場合は、5年後のフォローアップ評価の前に3回のフォローアップ報告が必要となります。
観察対象国となった場合は、1年間の観察期間があり、不備事項が再審査され、対応がなされない場合は国名が公表されます(グレーリスト)。

相互審査報告書においては、日本が優先的に取り組むべき行動が以下のとおり記載されています。

a) 金融機関、暗号資産交換業者、DNFBPsがAML/CFTに係る義務を理解し、適時かつ効果的な方法でこれらの義務を導入・実施するようにする。これらにおいては、事業者ごとのリスク評価の導入・実施、リスクベースでの継続的な顧客管理、取引のモニタリング、資産凍結措置の実施、実質的支配者情報の収集と保持を優先する。

b) 前提犯罪の捜査の早い段階でマネロンについて検討することや、より広範な犯罪、特にハイエンドな犯罪収益の入手につながる高リスクの犯罪類型についての第三者によるマネロン(サードパーティー・マネー・ローンダリング)を優先することを含め、より重大な前提犯罪を対象としたマネロン罪の適用を増やす。

c) 警察庁、法務省、検察庁の間で、検察庁の訴追裁量の適用を再検討することを含め、重大なマネロン事案の捜査・訴追の優先度を高めることに合意し、マネロン事案の起訴率を改善するための措置を探求し、マネロン事案の訴追を優先させる政策を実施する。

d) マネロン罪の法定刑の上限を、少なくとも日本で犯罪収益を最も頻繁に生み出す重大な前提犯罪と同水準に引き上げる。

e) 優先リスク分野について、資産の追跡捜査、保全措置及び没収をより優先的に行う。また、犯罪に用いられた道具及び密輸された現金又は持参人払い式の譲渡可能支払手段をより一貫して没収する。

f) リスクベースでのAML/CFT監督を強化する。これには、特定事業者において実施されている予防的措置の評価のためのオフサイト・モニタリングとオンサイト検査の組み合わせについて、その頻度及び包括性を強化することや、金融機関、DNFBPs、暗号資産交換業者による義務履行における肯定的な効果を確保するために、抑止力のある行政処分と是正措置が適用されることを含む。

g) テロ行為との関連性がない場合に、個々のテロリスト又はテロ組織の資金供与が犯罪化されることを確実にし、勧告5の分析で明らかになった日本のテロ資金供与の犯罪化に関するその他の技術的欠陥を是正することを確実にするために、拘束力があり強制力のある方法を採用するか、テロ資金提供処罰法を改正する。

h)

対象者を指定した金融制裁を遅滞なく実施するために必要な更なる改善がなされ、対象者を指定した金融制裁を実施するための全ての自然人及び法人に係る義務が明確でありFATF基準に沿ったものであることを確保する。

i) テロ資金供与に悪用されるリスクがあるNPO等、特にリスクの高い地域で活動しているNPO等についての完全な理解を確保するとともに、リスクに見合ったアウトリーチ、ガイダンス提供、モニタリング又は監督を行う。

j) リスク評価の方法を引き続き改善し、マネロン・テロ資金供与リスクのより包括的な理解を促進する。これには、クロスボーダー・リスクや、法人・法的取極めに関連するリスクに特に焦点を当てることを含む。

k) 法人及び法的取極めに関する基本情報や実質的支配者情報が、日本の規制・監督・捜査の枠組みの一部として確立されるようにすることを確保する。

今後、日本が行う行動計画は、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」に示されています。

1.マネロン・テロ資金供与・拡散金融に係るリスク認識・協調

(1)国のリスク評価書の刷新

マネロン、テロ資金供与及び拡散金融に対する理解を向上させるため、リスク評価手法の改善等によって、国のリスク評価書である犯罪収益移転危険度調査書を刷新する。
期限:令和3年末

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、その他関係省庁

(2)マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議の設置

「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」を設置し、マネロン、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る国の政策を策定・推進する。

期限:実施中

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、内閣官房、その他関係省庁

(3)国の政策策定

刷新された犯罪収益移転危険度調査書に基づき、マネロン、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る国の政策を策定する。

期限:令和4年春

担当官庁:警察庁、財務省、金融庁、法務省、外務省、内閣官房、その他関係省庁

2.金融機関及び暗号資産交換業者によるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策及び監督

(1)マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の監督強化

マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する監督当局間の連携の強化、適切な監督態勢の整備するほか、リスクベースでの検査監督等を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(2)金融機関等のリスク理解向上とリスク評価の実施

マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に係る義務の周知徹底を図ることで、金融機関等のリスク理解を向上させ、適切なリスク評価を実施させる。

期限:令和4年秋

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(3)金融機関等による継続的顧客管理の完全実施

取引モニタリングの強化を図るとともに、期限を設定して、継続的顧客管理などリスクベースでのマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化を図る。

期限:令和6年春

担当官庁:金融庁、その他金融機関監督官庁

(4)取引モニタリングの共同システムの実用化

取引時確認、顧客管理の強化および平準化の観点から、取引スクリーニング、取引モニタリングの共同システムの実用化を図るとともに、政府広報も活用して国民の理解を促進する。

期限:令和6年春

担当官庁:金融庁

3.特定非金融業者及び職業専門家によるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策及び監督

(1)監督ガイドライン策定・リスクベースの監督強化

マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、適切な監督態勢を整備するほか、リスクベースでの検査監督を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁

(2)特定非金融業者及び職業専門家に対するリスク評価・顧客管理強化等

マネロン・テロ資金供与対策義務に関する周知徹底を図り、リスク理解を向上させる。この他、マネロン・テロ資金供与対策の強化の一環として、継続的顧客管理及び厳格な顧客管理措置、疑わしい取引の届出の質の向上に取り組む。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁
4.法人、信託の悪用防止

(1)法人・信託の悪用防止

法人及び信託がマネロン・テロ資金供与に悪用されることを防ぐため、法人及び信託に関する適切なリスク評価を実施し、リスクの理解を向上させる。

期限:令和4年春

担当官庁:法務省、警察庁

(2)実質的支配者情報の透明性向上

〇全ての特定事業者が、期限を設定して、既存顧客の実質的支配者情報を確認するなど、実質的支配者に関する情報源を強化する。

期限:令和6年春

担当官庁:法務省、警察庁、特定事業者所管行政庁

〇株式会社の申出により、商業登記所が実質的支配者情報を保管し、その旨を証明する制度を今年度中に開始するとともに、実質的支配者情報を一元的に管理する仕組みの構築に向け、関係省庁が連携して利用の促進等の取組みを進める。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁、特定事業者所管行政庁

_

(3)民事信託・外国信託に関する実質的支配者情報の利用・正確性確保

信託会社に設定・管理されていない民事信託及び外国信託に関する実質的支配者情報を利用可能とし、その正確性を確保するための方策を検討し、実施する。
期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、その他関係省庁

(4)法人・信託に関するガイダンス作成

都道府県警や国税庁等の法執行機関向けに、法人及び信託の実質的支配者情報に適時にアクセスするためのガイダンスを作成する。

期限:令和4年秋

担当官庁:警察庁、財務省及びその他関係省庁

(5)特定非金融業者及び職業専門家の顧客管理の実施

全ての特定非金融業者及び職業専門家に実質的支配者情報の確認を含む顧客管理義務の対象とすることを検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年秋

警察庁、特定非金融業者及び職業専門家所管行政庁

5.マネロン・テロ資金供与の捜査及び訴追等

(1)マネロン罪の法定刑引上げ

組織的犯罪処罰法について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:法務省、内閣官房

(2)マネロン罪の捜査・訴追の強化

重大・複雑なマネロンの更なる捜査・訴追や、マネロンの起訴率の向上のため、タスクフォースの設置、各種通達等の発出等を行い、これらを踏まえた捜査・訴追を実施する。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁

(3)捜査・没収の強化

犯罪収益や、マネロンに関連する犯罪供用物の押収・没収・追徴を適切に実施するため、リスクが高い分野に関する犯罪収益追跡捜査、没収・追徴及びその保全の積極活用、没収の執行強化を行う。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁

(4)税関の対応強化

国境での現金の差し止めを強化するとともに、現金の輸出入情報の警察庁への共有を促進する。

期限:実施中

担当官庁:財務省

(5)テロ資金等提供罪の強化

テロ資金提供処罰法について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:法務省、内閣官房

(6)テロ資金等提供罪の捜査・訴追の強化等

テロ資金等提供罪の捜査・訴追に関する関係省庁の連携強化のためのタスクフォースを設置し、テロ資金等提供罪の捜査・訴追に取り組む。

また、テロ資金供与のリスク理解向上のため、当局及び特定事業者への周知を実施する。

期限:令和4年秋

担当官庁:法務省、警察庁、その他関係省庁

6.資産凍結及びNPO

(1)資産凍結措置の範囲の拡大と明確化

制裁対象者に支配される者等の資産凍結を実施するとともに、外為法による資産凍結措置の範囲を告示等により明確にする。また、国際テロリスト財産凍結法についても検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:
【外為法】

財務省、経済産業省

【国際テロリスト財産凍結法】

内閣官房、警察庁、その他関係省庁

(2)遅滞なき資産凍結

国連安全保障理事会制裁委員会等による資産凍結等の対象となる個人・団体の指定後遅滞なく資産凍結措置を行うため、告示の発出プロセスを迅速化する。

期限:実施中

担当官庁:外務省、財務省、警察庁

(3)特定事業者による資産凍結措置の執行の強化

特定事業者のモニタリングなどにより、第三者が関与する制裁対象者との取引の防止を含め、資産凍結措置の執行を強化する。

期限:令和4年秋

担当官庁:財務省、特定事業者所管行政庁

(4)大量破壊兵器拡散に関わる居住者の資産凍結

国連安全保障理事会決議等で指定された大量破壊兵器拡散に関わる居住者の資産凍結を実施するための法制度の整備について検討し、所要の措置を講じる。

期限:令和4年夏

担当官庁:内閣官房、警察庁、外務省、財務省、経済産業省、その他関係省庁

(5)NPOのリスク評価とモニタリング

NPOがテロ資金供与に悪用されるリスクについて適切に評価を行い、リスクベースでモニタリングを実施する。

期限:令和4年春

担当官庁:内閣府、文部科学省、厚生労働省、外務省、警察庁、財務省

(6)NPOへの周知

高リスク地域で事業を実施するNPOの活動の健全性が維持されるよう、テロ資金供与リスクとテロ資金供与対策の好事例に関する周知を行う。

期限:令和4年春

担当官庁:内閣府、文部科学省、厚生労働省、外務省、警察庁、財務省

_

執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Email_m-watanabe@miyake.gr.jp

【無料ウェビナー:9月6日(月)午後6時30分〜】速報解説:中国個人情報保護法・中国データセキュリティ法

動画解説・解説レジュメを掲載いたします。

解説動画:中華人民共和国個人情報保護法
解説レジュメ:中華人民共和国個人情報保護法

渡邉雅之弁護士が2021年9月6日(月)午後6時30分〜8時に、『速報解説:中国個人情報保護法・中国データセキュリティ法』と題する講演を行います。

お申込みは以下のpeatixページでお願いします。
【無料ウェビナー:9月6日(月)午後6時30分〜】速報解説:中国個人情報保護法・中国データセキュリティ法

本ウェビナーにおいては、2021年8月20日に成立し、2021年11月1日に施行される中華人民共和国個人情報保護法について解説いたします。

OECD8原則に基づくもので、立て付けや規定を含めGDPR(EU一般データ保護規則)を意識した内容となっています。
ただし、2017年6月に施行された中国サイバーセキュリティ法においても定められていた、越境データ移転における一定の場合の国内保存義務など日本企業をはじめとする海外企業が留意すべき点もあります。
中国個人情報保護法とGDPR及び日本の個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」又は「個情法」といいます。)との相違点なども対比しながら解説いたします。
併せて2021年6月10日に成立し、2021年9月1日に施行される中華人民共和国データセキュリティ法についても解説いたします。

※下記の仮訳もご参照ください。
(仮訳・対訳)中華人民共和国個人情報保護法
(仮訳・対訳)中華人民共和国データセキュリティ法

1.定義規定
�@個人情報、死者の個人情報、センシティブ個人情報
�A匿名化・仮名化(GDPRと同じ)
�B処理(GDPRと同じ)
�C個人情報処理者
2.地理的適用範囲(GDPRとほぼ同じ)
3.処理の根拠(GDPRとほぼ同じ)
・・・同意、契約の履行、労働契約・・・・
4.処理に同意を要する場合
�@個人情報の第三者提供(法23条)
�A個人情報の公開(法25条)
�B公衆の場で収集された個人情報の目的外処理(法26条)
�Cセンシティブ個人情報の処理(法29条)
�D個人データの越境データ移転(法39条)
5.越境データ移転のルール
※GDPRの標準契約条項(SCC)に似た立て付け
※重要インフラ運営者および一定数以上の個人データを越境移転する場合には国家サイバースペース管理局のセキュリティ評価必要
6.個人の権利・・・GDPR類似
7.罰則・・・GDPRに似た重い罰則

※Youtubeにて同時配信いたします。
あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
※解説資料をウェビナーの開始前に弁護士法人三宅法律事務所のホームページに掲載いたします。
※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するセミナーであることにご留意ください。
※弁護士・コンサルタントなど同業者の方もご視聴いただいて構いません!

ACCESS 所在地
弁護士法人 三宅法律事務所  MIYAKE & PARTNERS

大阪事務所 OSAKA OFFICE

〒541-0042
大阪市中央区今橋3丁目3番13号
ニッセイ淀屋橋イースト16階
FAX
06-6202-5089

東京事務所 TOKYO OFFICE

〒100-0006
東京都千代田区有楽町1丁目7番1号
有楽町電気ビルヂング北館9階
FAX
03-5288-1025