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トピックス・法律情報

カスタマーハラスメントへの対応

2022/05/18

(執筆者:弁護士 内芝良輔)
【Q.】
最近、弊社の店舗に毎日来店されて従業員に長時間暴言を浴びせるお客様がいます。このようなお客様に対し、どう対応すればいいでしょうか。
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【A.】
1.はじめに
昨今、顧客や消費者からの過度なクレームや要求をするカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」といいます。)が問題になっており、企業活動が阻害される、従業員が心身の不良に見舞われるといった深刻な事態が生じるケースもあります。
本レポートでは、カスハラへの対応について、弁護士の立場からポイントと考えられる点を整理させていただきます。

2.カスハラ対応のポイント
(1) 要求内容の把握
カスハラの可能性がある案件への対応にあたっては、事案の内容や客側の要求を把握することが重要です。骨の折れる作業ですが、まずは客側の言い分を十分に聞き取っていただければと思います。
もし客側のクレームや要望が正当であることが判明すれば、企業としても誠実にお詫び・説明するなど対応していくことになります。
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(2) 対応策の検討・実行
ア 方針の決定・説明
次に、客側から聞き取った内容を踏まえ、どう対応するか(例えば、商品の返品・交換には応じるが金銭の支払いには応じない、今後当該客の入店を認めないなど)を決定します。そして、決定した方針を基に客側に説明を行いますが、客側の要求事項や態度に応じて、面談・書面・メールなど様々な方法が考えられます。
この点、従業員が対応する段階であっても、対応方針や説明方法などについて、必要に応じて弁護士に法的な観点からの意見を求めることは有益です。

イ 弁護士への委任
従業員だけでの対応が難しい場合や悪質な事案である場合、弁護士に対応を委任することも考えられます。費用はかかりますが、従業員がカスハラ対応から解放されること自体に大きなメリットがありますし、客側も弁護士が相手では無理難題も言いにくく、終息に向かう可能性も出てきます。
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ウ 警察への相談・被害届の提出、法的措置
さらに悪質なカスハラ行為、例えば、暴力行為で従業員が負傷した・商品が破損した(暴行、傷害、器物損壊)、暴言・暴行などで営業を妨害した(威力業務妨害)、従業員などに金銭や不当な要求をした(恐喝、強要、脅迫)、企業や従業員に対して侮辱的な発言や情報発信をした(名誉棄損、信用棄損、侮辱)などのケースでは、警察に相談して被害届を提出することも考えられます。
また、上記のような悪質なカスハラにより損害が発生したケースでは、企業側から客側に対して損害賠償請求訴訟を提起することも考えられます。そのほか、執拗で悪質なカスハラ行為には、訪問や架電の禁止を内容とする仮処分の発令を裁判所に求めることもあり得ます。
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3.従業員のフォロー
企業としては、カスハラ行為への対処とともに、対応に当たる従業員への配慮をする必要もあります。
厚生労働省のパワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)では、カスハラに関しても雇用管理上の配慮(①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、②被害者への配慮のための取り組み、③被害防止
のための取り組み)を行うことを企業に求めています。
この点を踏まえたカスハラ対応の場面での具体策としては、担当者に任せきりにするのではなく、上司を含めた複数の従業員で情報共有やフォローをしつつ進め、客側との面談を複数で行うなど組織として対応していくことが重要であると考えます。
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4.まとめ
カスハラは、「お客様は神様」という言葉を勘違いして悪質なクレームや要求をする者に最大の問題があるのですが、一部の企業や店舗が評判を気にしすぎて過度な要求を受け入れてきてしまった面も否定できません。
従業員を守るため、また、大多数のお客様に十分なサービスを提供するため、カスハラに対しては、弁護士や警察などと連携しつつ、毅然とした態度で臨むべきと考えます。

以 上

【雇用保険】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用保険求職者給付の特例について

2022/05/10

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本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

【雇用保険】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用保険求職者給付の特例について

厚生労働省が、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用保険求職者給付の特例に関するリーフレット『新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ』を公表しています。
以下の①・②のいずれにも該当する理由により、令和4年5月1日以降に離職した者は「特定理由離職者」として雇用保険求職者給付の給付制限を受けないこととなりました。[1]

①新型コロナウィルス感染症の影響により事務所が休職していること(部分休業を含み、また、休業手当の支払いの有無を問わない)
②概ね1カ月の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったこと。

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※特定理由離職者とは?
雇用保険の失業等給付のうち、「一般被保険者」[2]については、「一般受給資格者」「特定受給資格者」「特定理由離職者」に分類され、適用ルールが異なる。
「特定受給資格者」とは、「倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者」のことをいう。「特定理由離職者」とは、「特定受給資格者以外の者であって、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者」のことをいう。
「特定理由離職者」には、①更新希望したにもかかわらず、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者、②正当な理由により離職した者(体力不足・心身の障害、疾病等、妊娠、出産、育児等、通勤不可能・困難等)が該当する。[3]
「特定理由離職者」に該当する場合、通常であれば被保険者期間が12カ月以上必要となりますが、特定受給資格者や特定理由離職者になると、この期間が短縮されて6カ月以上あれば失業保険等の受給資格を得ることができる。

[1]シフト制労働者(勤務日数や時間がシフトにより決定される労働者)については、新型コロナウィルス感染症の影響によりシフトが減少し(労働者が希望して減少した場合を除く)、概ね1カ月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより、令和3年3月31日以降に離職した場合は「特定理由離職者」となる。

[2]給付対象者には他に、「短期雇用特定被保険者」「日雇労働被保険者」がある。

[3]詳細は、『特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準』参照。

添付ファイル:_

【雇用保険】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用保険求職者給付の特例について

製造業の3分野に係る特定技能外国人材制度の分野が統合

2022/05/10

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本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
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製造業の3分野に係る特定技能外国人材制度の分野が統合

_ _令和4年4月27日、出入国在留管理庁は、製造業の3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野および電気・電子情報関連産業分野)について、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に統合する省令および告示の改正に関するパブリックコメント募集を開始しました。
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1.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野への統合[1]
(1)現状(在留資格認定医証明書交付の一時停止)
_ _産業機械製造業分野における特定技能1号外国人数は、令和4年2月末現在で5400人との数値が公表され、受入れ見込数(5250)を超える状況となっています。
_ _このため、令和4年4 月1 日、出入国管理及び難民認定法第7条の2第3項に基づき、法務大臣に対して在留資格認定証明書の一時的な交付停止を求め、同日、同条第4項により、法務大臣により、在留資格認定証明書の一時的な交付停止がなされました。
*在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置の後であっても、特定技能1号への在留資格の変更及び在留期間の更新については、これまでと同様に、必要な要件を満たしていれば、引き続き許可されます。
(2)製造3分野の統合
_ _製造3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)については、制度の活用が進む中で、1事業所で複数の分野による受入れが増えており、事業者や業界団体からは、分野毎の受入れ手続が煩雑かつ事務負担が大きいとして、一本に統合することで、手続を簡素化してほしいとの要望や意見が政府に寄せられておりました。
これらを踏まえ、より実態に則した運用となるよう、製造3分野を統合し「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」とすることについて、令和4年4月1日に、閣議決定されました。
 今後、関係省令・告示の施行をもって、「産業機械製造業分野」を対象としてなされた在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置は失効し、産業機械を製造している事業所を含め現行の製造3分野に該当する事業所においては、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として特定技能外国人の受入れが可能となります。
_ _なお、現に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」へ入会済みの事業者及び入会手続き中の事業者においては、今回の製造3分野の統合に伴う再度の入会手続きは不要です。
2.改正内容
(1)法務省令・法務省告示の改正[2]
_ 『出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令の一部を改正する省令』(平成31年法務省令第6号)が改正され、法務省令で定める産業上の分野のうち、「素形材産業分野」、「産業機械製造業分野」及び「電気・電子情報関連産業分野」が「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に統合される。
 また、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令及び特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の規定に基づき特定の産業上の分野を定める件」(平成31年法務省告示第65号)においても同様の改正がなされる。
(2)素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準(経済産業省告示)の制定[3]
 上記(1)のとおり、製造3分野を統合し素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野とされることに鑑み、現行の製造業の3分野(素形材産業、産業機械製造業及び電気・電子情報関連産業)毎に定められた分野の特有の事情に鑑みて定める基準が廃止され、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準に統合されます。
(3)公布日・施行日
_ _公布日は令和4年5月中であり、公布日に施行されます。
 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の一部変更について」(令和4年4月26日閣議決定)において、素形材産業分野、産業機械製造業分野及び電気・電子情報関連産業分野の統合が決定されているところ、統合される特定産業分野の一つである産業機械製造業分野について、出入国管理及び難民認定法第7条の2第4項に基づき本年4月1日から在留資格認定証明書の交付が停止されていることに鑑みれば、速やかに統合の手続を進めることが合理的であることから速やかに意見募集期間が終了され、公布・施行される予定です。

[1]『製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)の統合と今後の対応について』(令和4年4月1日・同月26日更新)

[2]『出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令の一部を改正する省令等について(意見募集)』(2022年4月27日・同年5月12日意見募集締切)

[3]『特定技能外国人材制度のおける素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の特有の事情に鑑みて定める基準の制定に対する意見公募について』(2022年4月27日・同年5月12日意見募集締切)

添付ファイル:_

製造業の3分野に係る特定技能外国人材制度の分野が統合.pdf

【在留資格】製造業の3分野に係る特定技能外国人材制度の分野が統合

2022/05/10

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本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

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製造業の3分野に係る特定技能外国人材制度の分野が統合

_ _令和4年4月27日、出入国在留管理庁は、製造業の3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野および電気・電子情報関連産業分野)について、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に統合する省令および告示の改正に関するパブリックコメント募集を開始しました。
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1.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野への統合[1]
(1)現状(在留資格認定医証明書交付の一時停止)
_ _産業機械製造業分野における特定技能1号外国人数は、令和4年2月末現在で5400人との数値が公表され、受入れ見込数(5250)を超える状況となっています。
_ _このため、令和4年4 月1 日、出入国管理及び難民認定法第7条の2第3項に基づき、法務大臣に対して在留資格認定証明書の一時的な交付停止を求め、同日、同条第4項により、法務大臣により、在留資格認定証明書の一時的な交付停止がなされました。
*在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置の後であっても、特定技能1号への在留資格の変更及び在留期間の更新については、これまでと同様に、必要な要件を満たしていれば、引き続き許可されます。
(2)製造3分野の統合
_ _製造3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)については、制度の活用が進む中で、1事業所で複数の分野による受入れが増えており、事業者や業界団体からは、分野毎の受入れ手続が煩雑かつ事務負担が大きいとして、一本に統合することで、手続を簡素化してほしいとの要望や意見が政府に寄せられておりました。
これらを踏まえ、より実態に則した運用となるよう、製造3分野を統合し「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」とすることについて、令和4年4月1日に、閣議決定されました。
今後、関係省令・告示の施行をもって、「産業機械製造業分野」を対象としてなされた在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置は失効し、産業機械を製造している事業所を含め現行の製造3分野に該当する事業所においては、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として特定技能外国人の受入れが可能となります。
_ _なお、現に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」へ入会済みの事業者及び入会手続き中の事業者においては、今回の製造3分野の統合に伴う再度の入会手続きは不要です。
2.改正内容
(1)法務省令・法務省告示の改正[2]
_ 『出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令の一部を改正する省令』(平成31年法務省令第6号)が改正され、法務省令で定める産業上の分野のうち、「素形材産業分野」、「産業機械製造業分野」及び「電気・電子情報関連産業分野」が「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に統合される。
また、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令及び特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の規定に基づき特定の産業上の分野を定める件」(平成31年法務省告示第65号)においても同様の改正がなされる。
(2)素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準(経済産業省告示)の制定[3]
上記(1)のとおり、製造3分野を統合し素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野とされることに鑑み、現行の製造業の3分野(素形材産業、産業機械製造業及び電気・電子情報関連産業)毎に定められた分野の特有の事情に鑑みて定める基準が廃止され、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準に統合されます。
(3)公布日・施行日
_ _公布日は令和4年5月中であり、公布日に施行されます。
特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の一部変更について」(令和4年4月26日閣議決定)において、素形材産業分野、産業機械製造業分野及び電気・電子情報関連産業分野の統合が決定されているところ、統合される特定産業分野の一つである産業機械製造業分野について、出入国管理及び難民認定法第7条の2第4項に基づき本年4月1日から在留資格認定証明書の交付が停止されていることに鑑みれば、速やかに統合の手続を進めることが合理的であることから速やかに意見募集期間が終了され、公布・施行される予定です。

[1]『製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)の統合と今後の対応について』(令和4年4月1日・同月26日更新)

[2]『出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令の一部を改正する省令等について(意見募集)』(2022年4月27日・同年5月12日意見募集締切)

[3]『特定技能外国人材制度のおける素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の特有の事情に鑑みて定める基準の制定に対する意見公募について』(2022年4月27日・同年5月12日意見募集締切)

【金商法】銀証ファイアーウォール規制見直し(令和4年4月22日パブコメ回答反映版)

2022/04/27

ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制見直し(令和4年4月22日パブコメ回答反映版)

 令和4年4月22日に「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和4年内閣府令第35号)が公布されました。
 同日に金融庁は、「「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」を公表しました。同公表における「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」においては、パブリックコメントに対する金融庁の回答が示されています(以下各パブコメ番号のことを「PC〇」といいます。)。
これは、令和3年(2021年)12月24日に金融庁から公表されたパブリックコメント「「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について」(令和4年(2022年1月24日意見募集締切)に対するパブリックコメント回答です。
_ 本改正は公布後直ちには施行されず、証券会社等の準備期間のために、令和4年6月22日から施行されます。
_ 同改正は、令和3年6月30日になされた外国会社である顧客についての銀証ファイアーウォール規制から適用除外に続き、上場企業等である顧客へのオプトアウト制度の緩和や「電磁的方法による同意」の導入がなされます。
なお、利益相反管理体制に関する監督指針の改正もありますが、本ニュースレターでは銀証ファイアーウォール規制見直しに絞って解説いたします。

ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制見直し(令和4年4月22日パブコメ回答反映版)
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
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添付ファイル:_

ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制見直し(令和4年4月22日パブコメ回答反映版)

改正職業安定法(逐条解説)(令和4年4月26日改訂版) 〜届出書の様式例・リコメンドの判断基準 求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜

2022/04/27

「雇用保険法等の一部を改正する法律」が令和4年3月30日に国会で成立し、翌31日に公布されました(令和4年法律第12号、以下「改正法」という。)。
 本ニュースレターでは、改正法のうち、職業安定法の改正(求人メディア等のマッチング機能の質の向上)に関して解説いたします(同改正については令和4年10月1日に施行)。
 今回のニュースレターは、令和4年4月1日付のニュースレター及び令和4年4月19日付のニュースレターのアップデート版であり、令和4年4月25日(月)に開催された「第341回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料」において示された「特定募集情報等提供事業届出書などの様式」や「リコメンド」が「募集情報等提供」と「職業紹介」のいずれに該当するかの具体例について追記しております。
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改正職業安定法(逐条解説)(令和4年4月26日改訂版) 〜届出書の様式例・リコメンドの判断基準 求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜

本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
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弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

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添付ファイル:_

改正職業安定法(逐条解説)(令和4年4月26日改訂版) 〜届出書の様式例・リコメンドの判断基準 求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜

改正職業安定法(逐条解説)〜政省令案の方向性:求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜

2022/04/19

「雇用保険法等の一部を改正する法律」が令和4年3月30日に国会で成立し、翌31日に公布されました(令和4年法律第12号、以下「改正法」という。)。
本ニュースレターでは、改正法のうち、職業安定法の改正(求人メディア等のマッチング機能の質の向上)に関して解説いたします(同改正については令和4年10月1日に施行)。
今回のニュースレターは、令和4年4月1日付のニュースレターのアップデート版であり、第340回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会(令和4年4月13日)[2]の「資料1 改正職業安定法の施行について」に示された政省令案の方向性についても記載しています。

ニュースレター:改正職業安定法(逐条解説:政省令案の方向性)

ニュースレター:改正職業安定法(令和4年4月1日版からの修正履歴)

本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
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弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

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[1]https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/208.html

[2]https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25005.html

[3]https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000928240.pdf

添付ファイル:_

ニュースレター:改正職業安定法(政省令案の方向性)

ニュースレター:改正職業安定法(令和4年4月1日版からの修正履歴)

【特定複合観光施設】区域整備計画における要求基準(資金調達の蓋然性)の判断の重要性

2022/04/11

長崎新聞に関連取材記事が掲載されました(2022年5月22日)。
長崎IRの行方 「資金調達 厳正審査を」渡邉雅之氏 区域整備計画審査へ 識者インタビュー<上>

Business Lawyersにも記事が掲載されました(2022年4月20日)。
IR(特定複合観光施設)誘致に関する区域整備計画における要求基準(資金調達の蓋然性)の判断の重要性
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本論稿に関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
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弁護士法人三宅法律事務所
弁護士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

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論稿:区域整備計画における要求基準(資金調達の蓋然性) の判断の重要性

現在、IR(特定複合観光施設)の誘致を進めている各自治体は、特定複合観光施設区域整備法(以下「IR整備法」という。)5条1項の規定に基づき、2020年12月18日に観光庁より公表された、特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(以下、「IR基本方針」という)に基づき、2022年4月28日の申請期日に向け申請準備を進めている佳境にある。大阪府市、和歌山県(和歌山市)、長崎県(佐世保市)の3つの都道府県等が区域整備計画の認定申請を国土交通大臣にする模様である。
今後、国の審査・認定プロセスに入るにあたり、基本方針にて謳われている区域整備計画認定における「要求基準」・「評価基準」の中でとりわけ重要であり各自治体において活発な議論が行われ、また今後区域整備計画の認定において重要なポイントとなりうる資金調達の蓋然性について下記の通り検討する。

1.「要求基準」と「評価基準」(「要求基準」の判断の重要性)
区域整備計画の認定にあたっては、「認定を受けるために適合していなければならない基準」をいう「要求基準」と、「申請のあった区域整備計画が優れたものであるかを公平かつ公正に審査するための基準」をいう「評価基準」の二つの基準が認定の基準として定められている(IR基本方針第4 – 7 – (1))。
IR基本方針には、要求基準と評価基準について以下の記載がある。

IR整備法第9条第1項の規定に基づく認定の申請のあった区域整備計画については、まず、要求基準に適合するものかどうかの確認を行い、要求基準に適合しない場合には、認定を行わない。

要求基準に適合する場合は、評価基準に従って、審査委員会が評価を行い、その結果を国土交通大臣に報告する。国土交通大臣は、審査委員会の審査の結果に基づき、認定を受けることとなる区域整備計画の数が3を超えない範囲内で、優れた区域整備計画を認定するものとする。

今回、区域整備計画の認定申請が予定されている都道府県等の数が、区域整備計画の認定の数の上限(IR整備法8条11項7号)と同じ「3」であることに鑑みると、「評価基準」よりも「要求基準」に適合しているか否かがより重要となる。
「評価基準」は合計1000点満点中、相対評価で、合計点数において最上位の都道府県等の区域整備計画と合計点において乖離が大きい都道府県等の区域整備計画であったとしても、「要求基準」に全て適合しているのであれば、3つの都道府県等の区域整備計画しかない中で「優れた区域整備計画」ではないということで区域整備計画の認定をしないというのは困難ではないかと思われる。

〇要求基準

基準番号

基準内容

要求基準1
1〜5号施設に関する政令要件への適合

要求基準2
カジノ施設の数・ゲーミング区域の床面積の合計

要求基準3
IR区域の一体的な管理

要求基準4
IR区域の土地の使用の権原・IR施設の設置根拠についての妥当性

要求基準5
公平かつ公正な民間事業者の公募及び選定

要求基準6
地域における合意形成の手続

要求基準7
IR事業者によるコンプライアンスの確保のための体制及び取組

要求基準8
IR事業者の役員及び株主又は出資者についての反社会的勢力の排除

要求基準9
審査委員会の委員へ不正な働きかけを行っていないこと

要求基準10
IR区域と国内外の主要都市との交通の利便性

要求基準11
一体的かつ継続的なIR事業の実施

要求基準12
設置運営事業者と施設供用事業者との適切な責任分担及び相互の緊密な連携

要求基準13
IR事業者が会社法に規定する会社で、専ら設置運営事業を行うものであること

要求基準14
設置運営事業者によるIR施設の所有

要求基準15
カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うための措置等

要求基準16
カジノ事業の収益の活用

要求基準17
認定都道府県等入場料納入金・認定都道府県等納付金の見込額及び使途

要求基準18
IR区域の整備による経済的社会的効果

要求基準19
カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うための必要な施策及び措置

_
〇評価基準

基準番号

基準内容

配点

評価基準1
IR区域全体のコンセプト
30

評価基準2
IR区域内の建築物のデザイン
30

評価基準3
IR施設の規模
10

評価基準4
ユニバーサルデザイン、環境負荷低減、多文化共生、フェアトレード
30

評価基準5
国際会議場施設及び展示等施設の規模
20

評価基準6
国際会議場施設及び展示等施設の種類、機能、外観及び内装の特徴、設置及び運営の方針
50

評価基準7
国際会議場施設及び展示等施設の設置及び運営の方針、業務の実施体制及び実施方法
50

評価基準8
魅力増進施設の種類、機能、規模、外観及び内装の特徴、設置及び運営の方針、業務の実施体制及び実施方法
50

評価基準9
送客施設の種類、機能、規模、外観及び内装の特徴、設置及び運営の方針、業務の実施体制及び実施方法
50

評価基準10
宿泊施設の種類、機能、規模、外観及び内装の特徴、設置及び運営の方針
20

評価基準11
宿泊施設の設置及び運営の方針
10

評価基準12
宿泊施設の業務の実施体制及び実施方法
30

評価基準13
その他観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設の施設ごとの種類、機能、規模、外観及び内装の特徴、設置及び運営の方針、業務の実施体制及び実施方法
30

評価基準14
カジノ施設の種類、機能、数、規模、配置、外観及び内装の特徴、設置及び運営の方針
20

評価基準15
IR区域の交通利便性
5

評価基準16
IR区域の整備の推進、滞在型観光の実現に関する施策・措置
15

評価基準17
観光への効果
50

評価基準18
地域経済への効果
50

評価基準19
2030 年の政府の観光戦略の目標達成への貢献
50

評価基準20
IR事業者やその構成員が事業を確実に遂行できる能力、役割分担と連携
50

評価基準21
財務の安定性
50

評価基準22
防災及び減災のための取組等
50

評価基準23
地域における十分な合意形成
50

評価基準24
カジノ事業の収益の活用
50

評価基準25
カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除
150

合計
1000

1.区域整備計画審査における資金調達の蓋然性の位置づけ

(1)「要求基準」のうち、IR事業者の資金調達の蓋然性という項目は要求基準の一つ(以下、「要求基準4」という)として定められている。具体的には、「IR区域の土地の使用の権限をIR事業者が既に有し、又はその権原をIR事業者が取得する見込みが明らかにされ、及びIR施設を設置するために必要となる資金を調達する見込みが明らかにされるなど、IR施設を確実に設置できる根拠について妥当性が認められるものでなければならない。」(IR基本方針第4 – 7 -(2)- ア- (エ))とされている。
(2)そして、観光庁はIR基本方針で定めた項目を踏まえて、2021年7月30日に「特定複合観光施設区域整備計画に係る認定申請の手引き」を作成し公表している。この中で、「要求基準4」の具体的記載項目として、「�@IR区域の土地に関する所有権の取得等の方法及び予定時期」「�A収支計画及び資金計画(IR事業を行うために必要な資金の総額、内訳及び調達方法を含む。)」の二つを挙げ、「�@・�Aを踏まえ、IR施設を確実に設置できる根拠についての妥当性に係る説明を記載する」、ことが要求基準4に関しての説明内容として例示されている。
(3)資金調達の蓋然性は�Aの部分に関係しており、予定C/F計算書等を添付書類として提出する他、「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」としてコミットメントレター等の書類の提出が、添付書類の例示として挙げられている。
(4)重要となってくるのは、この「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」を踏まえた収支計画の妥当性である。極端なことを申し上げると、収支計画等は恣意的に計数等を設定することができIR事業者及び自治体にとって第三者のチェックを経ずとも計画として申請できてしまう。一方で、「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」はこの計画に“客観的”な観点から、IR事業者及び自治体が策定した収支計画の妥当性についてお墨付きを与えるものであるともいえる。
(5)先にみた通り、資金調達の蓋然性は要求基準として定められており、これが充足されなければ区域認定の審査を受けることすらできないことを意味する。すなわち、要求基準として定められている項目の重要性は高く、これが充足されなければIR施設を適切に設置・運営できないことを意味しており、「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」は計画申請を行うIR事業者がIR施設を確実に設置できるかどうか判断するための重要なポイントである。
(6)仮に「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」に基づかない、いい加減な「収支計画及び資金計画」が「要求基準」に適合するとされたとすれば、IR開業後に事業基本計画を含む区域整備計画の変更をしなければならず、都道府県等の議会の議決を経て、改めて国土交通大臣から区域整備計画の変更認定をうけなければならなくなる(IR整備法11条1項、3項、9条8項等)。これでは、IR全体の制度設計として失敗と言わざるを得ないだろう。

2.資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料について
(1)それでは、「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」とは具体的にどういった資料を指すのであろうか。地方議会での各自治体の議論や区域整備計画(案)をみると、自己資本(Equity)については中核株主の財務健全性を示す資料並びに中核株主以外の少数株主の出資に対するコミットを示す資料や関心表明書(又はLetter of Intent “LOI”)の提出が予定されているようである。また、他人資本(Debt)の調達についてはコミットメントレターや関心表明書(又はLetter of Intent “LOI”)等の金融機関(主に銀行や証券会社)から取得した書面の提出が予定されているようだが、後者の他人資本の調達に関する資料内容が問題となっており、ここでは主にこの点について説明する。
(2)まず、コミットメントレターとは、貸付人が借入人(IRの場合、IR事業者)との正式な融資契約の締結前において、貸付人としての融資の意思を表明するために提示される書面である。コミットメントレターは融資契約締結に関して法的拘束力を有し、融資契約締結の留保条件や貸付人のコミットの期間等を付することが多い。
(3)次に、関心表明書とは、一般的にプロジェクトファイナンス等で詳細な条件が未定の段階で、金融機関が融資提供に対して興味関心があることを示すために提示される書面である。融資契約締結に関して法的拘束力はなく、内容として具体的な条件等が記載されることはあまりなく、興味関心を表明する記載に留まることが多い。
(4)上記の他に、コミットメントレターや関心表明書以外の名称の書類が提示されるケースがあるが、融資契約締結に関して法的拘束力を有するかどうかが大きな判断要素であり、この点について法的拘束力を有しなければ書面の名称如何問わず関心表明書と同等の意味合いしか持たない。
(5)書面を提示する金融機関の側からみると、法的拘束力を有するコミットメントレターは、金融機関にとり一定の条件が満たされれば融資実行を前提とした融資契約の締結を確約する内容であるため、その提示には十分な検討・審査が必要であり、正式な融資契約と同程度の機関決定が求められるといわれる。
(6)一方、関心表明書は、金融機関の融資への興味関心を確認するうえで有効な書面といわれるが、融資契約締結と同程度の機関決定は行われないといわれる。また法的拘束力を有するかどうかが、融資契約と同程度の機関決定をとることの分水嶺といわれている。

3.資金調達の蓋然性の判断にあたって
(1)先に見た通り、法的拘束力を有するかどうかが融資契約締結と同程度の機関決定が必要となるかの分水嶺と言われ、添付書類として提出された書類が法的拘束力を有するかどうかが、資金調達の確実性を判断する重要な要素となるだろう。
(2)また、一般的に、金融機関側が関心表明書を出す時点で、金融機関のリスク管理部署・機関において、詳細な融資条件や事業計画の審査を実施していないといわれる。詳細な融資条件が決まらず、金融機関側の機関決定がされていないとことは、金融機関側内での審査が進む中で様々な条件の変更が必要となる可能性が高い。当該変更によって事業計画にも影響が出た場合、区域整備計画として提出された収支計画、資金計画が変更となる可能性が高い点には留意が必要である。
(3)また、詳細の条件が未定であることが多い関心表明書と異なり、コミットメントレターには詳細な留保条件やコミットの期間といった内容が記載されることが多い。留保条件が多く付されることによって、かかる大規模なファイナンスに不慣れな借入人の場合、条件が多いことが資金調達の不確実性につながると受け取りがちだが、条件等の記載の多さは、金融機関が当該融資について検討や審査を詳細に行った裏返しであり、必要な機関決定を経たことの証左と評価できる。
(4)資金調達の蓋然性を判断する上では、上記で見た通り、金融機関が提出した書面が法的拘束力を有するか、書面を提出した金融機関において機関決定がなされているか、詳細な融資条件が検討されているか、といった点が重要と考えられる。

4.今後求められる対応
(1)これらの実態を踏まえると、まずIR事業者及び自治体は、残り僅かな期間しかないがIR施設の適切な設置・運営の確実性を高めるために、必要に応じてより確実性の高い「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」を金融機関等から提出を求めるべきであろう。
(2)今後区域認定に向けた審査を行う国(国土交通大臣)においては、先に述べた考慮要素を踏まえて資金調達の蓋然性を判断していくことが望ましい。先に見た通り、資金調達の蓋然性が低いと、収支計画や資金計画を区域認定後に変更しなければならない可能性がでてくる。公正な審査を行う大前提として、要求基準のうち資金調達の蓋然性は確りと検証することが必要であろう。
(3)IR施設は巨額の投資が必要な事業であり、また日本にとって初めての事業であるため、金融機関側は厳しい融資条件を提示することが想定される。そのため、詳細の融資条件が決まっていない段階では審査が十分でないといえ、早急に詳細の条件を固めていくことが必要である。また、先に見た通り、「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」は金融機関という第三者による客観的な評価資料として裏付けとなる。かかる資料に詳細な条件が付与されて検討されていることは、客観的な観点から事業計画の確からしさが担保されているといえ、確実なIR施設の設置につながっていくと考えられる。
(4)資金が不十分なまま区域認定がなされた場合、資金不足により建設工事に着手できないことやIR施設が建設中のまま放棄されることも懸念されうる。今後の日本の観光業の中核施設として重要な役割を担っていく日本版IRが健全に発展・成長していくために公正な審査・判断がなされていくことが必要であろう。

(2022年4月21日 追記)
2022年4月20日、和歌山県議会は本会議において、同県が誘致を進めるIRについて、「和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)」の国への認定申請をする議案を反対多数で否決した(反対22人、賛成18人)。「資金計画が不透明」などとして22人が反対、賛成は18人にとどまった。融資が予定されていた外資系金融機関(クレディ・スイス)から「コミットメントレター」(融資確約書)を取得しておらず、また、投資事業組合を含め出資確約も明確ではなく、「資金計画の蓋然性」が示されていないことが県議会での否決の大きな要因になったようである。

他方、同日、長崎県議会では「九州・長崎IR区域整備計画(案)」が賛成多数で可決された。同計画案においては、融資・出資ともに企業名は明らかにされていないが、「国は(計画が確実にできる)蓋然性を求めており、それは企業名を明かすことではない」と強調し、区域整備計画に添付するコミットメントレター(融資・出資の意思表明書)などを企業から十分取得しており、「蓋然性は示されている」としている(※)。
(※)
長崎新聞「資金調達先不明に疑問も 長崎IR計画審査 佐世保市議会」(2022年4月15日、2022年4月21日最終確認)
日本経済新聞「長崎IR、国に計画申請へ 長崎県議会が承認」(2022年4月20日、2022年4月21日最終確認)

(2022年5月9日 追記)
令和4年4月27日、観光庁が大阪府および長崎県の区域整備計画の認定の申請を受け付けたことを公表した(※)。
(※)国土交通省観光庁「特定複合観光施設区域整備計画の申請状況」(2022年4月27日)_

同文書には、『今後は、国土交通省に設置された外部有識者からなる審査委員会において、認定申請がされたIR区域整備計画について認定審査を行って参ります。慎重かつ十分な審査を行うことが必要なため、認定の時期は未定となっております。』と記載されている。

IR基本方針においては、「要求基準」については「評価基準」と異なり、「外部有識者からなる審査委員会」の審査を経ないように読めるが、「要求基準」も「評価基準」と同様に審査委員会の審査対象とするのか、あるいは、「要求基準」の審査は「評価基準」の審査の中で同時に審査されることになるのかが注目される。

【金商法】個人投資家の特定投資家への移行(プロ成り)の要件の緩和

2022/04/09

金融庁は、令和4年4月1日に、「金融商品取引業等に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」(以下「パブリックコメント案」といいます。)を公表しました。

 同パブリックコメント案は、「金融審議会市場制度ワーキング・グループ第二次報告—コロナ後を見据えた魅力ある資本市場の構築に向けて」 (金融庁(2021年6月18日)、以下「金融審報告書」といいます。)
 本ニュースレターでは、改正の背景、改正内容を具体的に解説いたします。

個人投資家の特定投資家への移行(プロ成り)の要件の緩和
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本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
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弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

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添付ファイル:_

個人投資家の特定投資家への移行(プロ成り)の要件の緩和

逐条解説:改正職業安定法〜求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜

2022/04/01

「雇用保険法等の一部を改正する法律」が令和4年3月30日に国会で成立し、翌31日に公布されました(令和4年法律第12号)。
本ニュースレターでは改正法のうち、職業安定法の改正(求人メディア等のマッチング機能の質の向上)に関して解説いたします。(令和4年10月1日施行)

逐条解説:改正職業安定法〜求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜

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逐条解説:改正職業安定法

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