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トピックス・法律情報

新型コロナウイルス感染症等に伴う措置への対応について(2022年3月25日以降)

2022/03/25

当事務所においては、2020年4月以降新型コロナウイルス感染症の感染防止に関する対応を行ってまいりましたが、現下の状況を踏まえ、2022年3月25日(金)以降、次のとおりの対応といたします。
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【2022年3月25日(金)以降の当事務所の対応(大阪事務所・東京事務所 共通)】
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1.執務時間
_ 当面、午前9時30分から午後5時30分といたします。

2.従前より、リモートワークによる所員の業務を推奨し、依頼者様とのご連絡や打合せにつきましても、適宜電話、web会議等により実施することとしてまいりましたが、一層、この取組みを推進いたします。
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3.当事務所主催のセミナー(ウェブセミナーを除く。)については当面実施いたしません。

当事務所の弁護士・職員を装った不審メールに関するお詫びとお知らせ

2022/02/04

この度、当事務所の一部パソコンがコンピュータウイルスに感染し、当事務所の弁護士・職員を装った不審なメール(なりすましメール)が過去に当事務所の弁護士・職員とメール連絡をされた複数の方に送信されていることが確認されました。現在、専門機関に調査を依頼し、その助言に従い被害拡大の防止に努めておりますが、本件につきましては、「Emotet」と呼ばれるコンピュータウイルスの可能性が高いとの報告を受けております。
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当事務所より発信されたようにみえますメールにつきまして、差出人・送信元のメールアドレスをご確認いただき、当事務所のドメイン(@miyake.gr.jp, @ml.miyakemail.jp)からのメールでない場合は決して開かずに削除していただきますようお願い申し上げます。本文中には当事務所のメールアドレスが記載されているものであっても、本文ではなく、必ず差出人・送信元のメールアドレスをご確認ください。
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この度の事態により、ご依頼者・関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。
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当事務所では、今回の事態を受け、より一層の情報セキュリティ対策の強化を推進してまいる所存でございます。ご依頼者・関係者の皆様におかれましては、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。_________________________________________________________________________ _ _ _ _ _ _ __ __________ 以上

【2022年1月31日施行】実質的支配者情報一覧(実質的支配者リスト)制度のQ&A

2022/01/31

2022年(令和4年)1月31日に施行された「商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則」により、株式会社(特例有限会社を含む)からの申出により、商業登記所(法務局)の登記官が、その実質的支配者に関する情報を記載した書面(実質的支配者情報一覧)を保管し、申出者にその写しを交付する制度が設けられました。
金融機関としては、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認のため、株式会社(特例有限会社を含む)である顧客に対して、実質的支配者情報一覧の写しの提出を求めることが考えられます。
金融機関以外の事業会社も取引先の実質的支配者の反社チェックのために取引先に対して実質的支配者情報一覧の写しの提出を求めることが考えられます(任意の制度なので、取引会社間の力関係も関係してきます。)。
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Emailm-watanabe@miyake.gr.jp

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1・実質的支配者とは
マネロン・テロ資金供与対策のための法律の一つである犯罪収益移転防止法においては、金融機関等が法人顧客に対する取引時確認の一つとして実質的支配者の本人特定事項(氏名、住居、生年月日)の確認が求められます。
法人顧客が株式会社である場合は、以下の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)の順に実質的支配者が判定されます。
(1)法人顧客の50%超の議決権を直接・間接に保有する自然人
(2)(1)がいない場合は、法人顧客の議決権の25%超の議決権を直接・間接に保有する自然人
(3)(1)・(3)に該当する自然人がいない場合は、出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人顧客の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人がいる場合は、当該自然人
(4)(1)から(3)に該当する自然人がいない場合は、当該法人顧客の業務執行をする代表者である自然人
(1)・(2)の基準に該当しても、その自然人が法人顧客の事業経営を実質的に支配する意思または能力を有していないことが明らかな場合(例えば意思能力がない場合など)は実質的支配者に該当しない。
「直接保有」とは、例えば,自然人Aが、法人顧客であるB社の議決権株式を自ら直接有していることをいう。「間接保有」とは、自然人Aが法人顧客であるB社の株主であるD社を介して間接的に甲株式会社の議決権株式を有していることをいう。この場合、間接保有というためには、自然人Aは、D社の50%超の議決権を有していることが要件となります。(下記図表参照)
実質的支配者に該当するのは原則として自然人であり法人は該当しないが、国、地方公共団体、上場会社またはその子会社は自然人とみなされるため、(1)・(2)の基準に該当する場合は実質的支配者に該当します。
実質的支配者リストの対象となる実質的支配者は(1)・(2)の基準に該当する自然人に限られ、(3)・(4)の基準に該当する自然人は対象とならない。
実質的支配者リストが適用される法人顧客は株式会社(特例有限会社を含む)に限られ、一般社団法人・財団法人、医療法人、学校法人、合同会社などの法人については、犯罪収益移転防止法上は実質的支配者である自然人の確認が必要となりますが、実質的支配者リスト制度の対象とならない。ただし、上場会社である株式会社である法人顧客については実質的支配者の確認は求められません。

〇実質的支配者の判断基準

出所:法務省「実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)」

2.実質的支配者情報一覧制度
(1)実質的支配者情報一覧制度の創設
日本の法人については実質的支配者についての商業登記制度がないため、犯罪収益移転防止法における法人顧客の実質的支配者の確認は専ら当該法人顧客の取引担当者からの申告によっています。これに対して、諸外国を見るとイギリス、フランス、ドイツ等には実質的支配者の登録制度があり、金融機関をはじめ、何人も実質的支配者情報にアクセスできます。
公的機関において法人の実質的支配者に関する情報を把握することについては、法人の透明性を向上させ、資金洗浄等の目的による法人の悪用を防止する観点から、FATF(Financial Action Task Forces:金融活動作業部会)の勧告や金融機関からの要望等、国内外の要請が高まっていた。FATFが2021年8月30日に公表した第4次対日相互審査報告書においても、法人の実質的支配者の透明性について厳しい評価を受けました。
これを受け、政府は、「商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則」を2021年9月17日に公布しました。同規則は、2022年(令和4年)1月31日に施行されました。
同規則に基づく実質的支配者情報一覧制度は、株式会社(特例有限会社を含む)からの申出により、商業登記所(法務局)の登記官が、その実質的支配者に関する情報を記載した書面を保管し、その写しを交付する制度です。
株式会社は、その本店の所在地を管轄する商業登記所の登記官に対し、当該株式会社に係る「実質的支配者情報一覧」の保管及び実質的支配者情報一覧の写しの交付の申出をすることができます。
申出を受けた登記官は、添付書面及び商業登記所の保有する情報等に基づき「実質的支配者情報一覧」の内容を調査します。
登記官は、調査が終わると「実質的支配者情報一覧」をスキャンして保管するとともに、申出法人について、「実質的支配者情報一覧」が保管されている旨を登記簿に付記します。これにより、「実質的支配者情報一覧」を届け出ている信用性の高い会社と評価され得ます。
その上で、登記官は、当該法人に対し,「実質的支配者情報一覧」の写し(登記官が写しであることの認証を付したもの)を交付します。
「実質的支配者情報一覧」の申請は、個人情報を含むプライバシー性の高い情報であるため、申出した株式会社のみができ、関係当局・提出先の金融機関等の事業者は実質的支配者情報一覧の交付申請をすることができません。この点については今後更なる法改正が期待されます。
「実質的支配者情報一覧」に記載する実質的支配者の情報は申出日から1か月以内の情報である必要があります。
申請した株子会社は、商業登記所に対して、「実質的支配者情報一覧」の写しの交付申請を無料で行うことができ、再交付の申請もできます。
ただし、保存されている「実質的支配者情報一覧」に記載されている会社の商号、本店又は作成者である会社の代表者が変更されている場合には、再交付の申出をすることができません。この場合には,新たに実質的支配者情報一覧を作成して、申出をすることになります。
なお、本制度は、任意の申出に基づいて「実質的支配者情報一覧」の写しを発行するものであるので、「実質的支配者情報一覧」に記載されている情報に変更があった場合であっても、変更後の「実質的支配者情報一覧」の保管及び写しの交付の申出をするかどうかも任意となります。

〇実質的支配者情報一覧(表面)

〇実質的支配者情報一覧(裏面)

出所:法務省「実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)」

(2)実質的支配者情報一覧の作成方法・必要書類
「実質的支配者情報一覧」の保管の申出は、会社の代表者又は代理人が申出法人の本店所在地の法務局に対して行います。手数料は無料で郵送による申出も可能です。
申出書(「実質的支配者情報一覧の保管及び写し交付申出書」)には、(i)申出年月日、(ii)会社法人等番号、(iii)商号、(iv)本店所在地、(v)申出人の表示、(vi)(代理人がいる場合は)代理人の表示、(vii)必要な写しの通数・交付方法(「窓口で受取」・「郵送」の別)、(viii)利用目的(「金融機関への提出」・「その他」の別)を記載します。
「実質的支配者情報一覧」の作成は【図表2】の「実質的支配者情報一覧(みほん)」のとおり行います。実質的支配者情報一覧には、①実質的支配者の住居、②氏名、③国籍等、④生年月日、⑤議決権保有割合(間接保有が有る場合には別紙に支配関係図を記載)、⑥添付書面、⑦本人確認書面(記載は任意)を記載します。実質的支配者が複数人いる場合は、議決権保有の多い順に記載します(最大3名)。
必ず添付しなければならない添付書面としては「申出会社の申出日における株主名簿の写し」です。株主名簿の写しに代えて、申告受理及び認証証明書(公証人発行,設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。)又は法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの)を添付することも認められます。実質的支配者情報一覧の記載と株主名簿の写し等の記載とで内容が合致しない場合(例えば、議決権保有割合が25%超でも支配する意思・能力を有しないことが明らかな者がいる場合)には,その理由を記載した代表者作成に係る書面等の添付を要します。
任意に添付できる添付書面としては、運転免許証の表裏両面のコピー,住民票の写し 等の実質的支配者の本人確認書面、支配法人の申出日における株主名簿の写し等があります。
その他、申出書又は委任状に代表者印が押印されている場合を除き,申出書に記載した申出会社の代表者の氏名・住所を確認することができる本人確認書面の添付を要します。また、代理人によって申出をする場合には委任状等の代理権限を証する書面の添付を要します。

3.金融機関が実質的支配者情報一覧を要求すべき場合
現在、犯罪収益移転防止法において、取引時確認の際の実施的支配者の本人特定事項の確認は、法人顧客の代表者や取引担当者の申告により行われており、その信用性が担保されていません。
今回創設される実質的支配者情報一覧制度も、法人顧客の申告により作成されるものですが、法務局に虚偽の事実を記載した実質的支配者情報一覧を申告すると公正証書原本不実記載罪に問われる可能性があるので、その内容について一定程度信用性を担保することができます。
新規の法人顧客が預貯金口座を開設する際には、契約自由の原則により顧客に対して追加の書類を徴求することも可能であるので、当該法人顧客に対して実質的支配者情報一覧の写しの提出を求めることにより、信用性の高い実質的支配者情報を把握することが期待できます。
また、既存の法人顧客から新規融資の申込があった際の査書類の一部として実質的支配者情報一覧の写しを求めることで、企業の健全性を推し量ることができます。
さらに、既存の法人顧客について、継続的顧客管理の中でリスクに応じて適切に顧客の実質的支配者の本人確認事項を確認することが求められていますが、一定程度リスクが高いと判断した顧客については、「信頼に足る証跡」として、実質的支配者情報一覧の写しの提出を求めることが考えられます。
金融機関としては、継続的顧客管理の観点で最新の法人顧客の「実質的支配者情報一覧」を求める場合には、当該法人顧客に対して、「実質的支配者情報一覧」の保管及び写しの交付の申出を再度することを求めることが考えられます。
金融機関以外の事業会社も取引先の実質的支配者の反社チェックのために取引先に対して実質的支配者情報一覧の写しの提出を求めることが考えられます(任意の制度なので、取引会社間の力関係も関係してきます。)。
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4.実質的支配者情報一覧の見方
「実質的支配者情報一覧」には、任意ではあるものの運転免許証の両面の写しなどの実質的支配者の本人確認書面が添付書面として提出される場合もあるため、実質的支配者の本人特定事項(氏名、住居、生年月日)について正確な情報を知ることができます。
「実質的支配者情報一覧」は国籍情報も求めているため、外国籍の実質的支配者の情報もある程度正確に知ることができます。
実質的支配者について、議決権保有割合の中に間接支配の部分がある場合には、別紙に支配関係図を記載することが求められるため、株主の支配関係について正確な情報を知ることができます。
実質的支配者が支配株主を介して間接的に25%超の議決権を保有している場合には、任意ではありますが支配株主の株主名簿の写し等が提出されれば、支配株主の支配構造も知ることができます。
金融機関の担当者は 「実質的支配者情報一覧」の写しから、その企業の大株主実質的支配者の本人特定事項(氏名、住居、生年月日)を把握することができ、その情報を基に自行庫の反社データベースと照合することにより、反社会的勢力とのつながりをより高精度にチェックできます。
法人顧客に対して、「実質的支配者情報一覧」の写しの提出を求めたところ、当該法人顧客の代表者が実質的支配者であるとの申告がある場合には、当日時点の株主名簿の写しや法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの)の提出を求め、実質的支配者となり得る25%超の議決権株式を保有する者がいないか確認することを要します。もし、25%超の議決権保有者がいる場合にその者を実質的支配者として申告しない場合は、法人の代表者や取引担当者に質問をして合理的な回答をしない場合は取引を謝絶することも検討する必要があります。
なお、本制度は、任意の申出に基づいて「実質的支配者情報一覧」の写しを発行するものであるので、「実質的支配者情報一覧」に記載されている情報に変更があった場合であっても、変更後の「実質的支配者情報一覧」の保管及び写しの交付の申出をするかどうかも任意となる。新たな情報が記載された「実質的支配者情報一覧」の写しを必要とする場合には,改めて申出をすることとなります。金融機関としては、継続的顧客管理の観点で最新の法人顧客の「実質的支配者情報一覧」を求める場合には、当該法人顧客に対して、「実質的支配者情報一覧」の保管及び写しの交付の申出を再度することを求めることが考えられます。
これによって、法人顧客のその時点での最新の実質的支配者情報を把握することができ、大株主に変更があるか把握できます。

ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制の見直し

2022/01/26

(2022年4月27日更新)
ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制見直し(令和4年4月22日パブコメ回答反映版)

 令和4年4月22日に「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和4年内閣府令第35号)が公布されました。
 同日に金融庁は、「「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」を公表しました。同公表における「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」においては、パブリックコメントに対する金融庁の回答が示されています(以下各パブコメ番号のことを「PC〇」といいます。)。
これは、令和3年(2021年)12月24日に金融庁から公表されたパブリックコメント「「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について」(令和4年(2022年1月24日意見募集締切)に対するパブリックコメント回答です。
_ 本改正は公布後直ちには施行されず、証券会社等の準備期間のために、令和4年6月22日から施行されます。
_ 同改正は、令和3年6月30日になされた外国会社である顧客についての銀証ファイアーウォール規制から適用除外に続き、上場企業等である顧客へのオプトアウト制度の緩和や「電磁的方法による同意」の導入がなされます。
なお、利益相反管理体制に関する監督指針の改正もありますが、本ニュースレターでは銀証ファイアーウォール規制見直しに絞って解説いたします。

ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制見直し(令和4年4月22日パブコメ回答反映版)
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令和3年(2021年)12月24日に金融庁からパブリックコメント「「金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について」が公表されました(令和4年(2022年1月24日意見募集締切)。
同改正は、令和3年6月30日になされた外国会社である顧客についての銀証ファイアーウォール規制から適用除外に続き、上場企業等である顧客へのオプトアウト制度の緩和や「電磁的方法による同意」の導入がなされます。
なお、利益相反管理体制に関する監督指針の改正もありますが、本ニュースレターでは銀証ファイアーウォール規制見直しに絞って解説いたします。

ニュースレター:銀証ファイアーウォール規制の見直し
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Emailm-watanabe@miyake.gr.jp

大阪事務所に植村一晴弁護士が入所しました。

2022/01/05

本年1月より、植村一晴弁護士(修習70期)を大阪事務所に新たに迎えることになりました。
当事務所と同様のご交誼並びにご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

詳細は、弁護士等紹介のページ(http://www.miyake.gr.jp/profile)をご覧ください。

TCFDにおけるシナリオ分析

2021/11/30

「TCFDにおけるシナリオ分析」
執筆者  弁護士・経営法曹会議幹事 黒 田 清 行

2021年6月11日コーポレートガバンス・コード改訂により、開示すべき原則が拡大し、とりわけ
サステナビリティーへの取り組みに関する補充原則3-1③プライム市場上場会社向の「TCFDまたは
それと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」について、コンプライorエ
クスプレインの判断に悩まれている実務担当者も少なくないのではないかと思います。本稿では、
TCFDの中核的要素「戦略」のシナリオ分析について解説させていただきます。

令和3年改正銀行法の実務解説(第1回) 〜銀行本体の業務範囲の拡大〜

2021/11/29

令和3年改正銀行法の実務解説(第1回)〜銀行本体の業務範囲の拡大〜
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Emailm-watanabe@miyake.gr.jp

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 令和3年(2021年)5月26日に公布され、同年11月22日に施行された「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律」について、関連改正政令・改正内閣府令・改正監督指針及びこれらの案に対する金融庁のパブリックコメント回答を踏まえて解説いたします。第1回は、銀行本体の業務範囲の拡大について解説いたします。

逐条解説:中国個人情報保護法(条文仮訳付+データ越境安全評価弁法(意見募集案))

2021/11/02

下記の逐条解説の誤りを修正いたしました。(2022年1月25日現在)

(改訂版)逐条解説:中国個人情報保護法

※具体的には、36頁・37頁の条文の引用が誤っていました。
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 本ニュースレターにおいては、2021年8月20日に成立し、2021年11月1日に施行された中華人民共和国個人情報保護法(以下「中国個人情報保護法」、「本法」又は「法」といいます。)について解説いたします。
 併せて、『仮訳:中国個人情報保護法』および2021年10月29日に公表された『仮訳:データ越境安全評価弁法(意見募集案)』の仮訳も掲載いたします。

逐条解説:中国個人情報保護法

仮訳:中国個人情報保護法

仮訳:データ越境安全評価弁法(意見募集案)
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
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弁護士渡邉雅之
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FAX 03-5288-1025
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東京事務所に深見敏正弁護士が入所しました(10月1日付)。

2021/10/21

本年10月1日より深見敏正弁護士を東京事務所に新たに迎えることになりましたので、 ご報告申し上げます。
詳細は、弁護士等紹介のページ(https://www.miyake.gr.jp/profile)をご覧ください。

Q&A宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

2021/10/13

ウェビナーのレジュメを掲載いたします。
解説資料:Q&A宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

本ニュースレターにおいては、国土交通省が2021年10月8日に公表した『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』(以下「本ガイドライン」といいます。)について、Q&A形式で解説いたします。PDFファイル版は下記(↓)をご覧ください。

Q&A宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
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執筆者:渡邉雅之
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弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
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第1.本ガイドラインの制定の背景
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Q1 本ガイドラインの制定の背景について教えてください。

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A1 本ガイドライン制定は、以下の現状(�@)と課題(�A)を背景としています。
�@不動産取引における人の死の告知の現状
不動産取引においては、とりわけ住宅として用いられる不動産において、過去に人の死が発生した場合、その事案の内容に応じて、一部の買主・借主にとって不動産取引において契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があることから、売主・貸主は、把握している事実について、取引の相手方等である買主・借主に対して告知する必要があり、過去の裁判例に照らせば、取引目的、事案の内容、事案発生からの時間の経過、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上、これを取引の相手方等に告知すべき義務の有無が判断されています(高松高判平成26 年6月19 日判時2236 号101 頁、東京地判平成22 年3月8日WJ、大阪高判平成26 年9月18 日判時2245 号22 頁等)。
また、不動産取引においては、とりわけ住宅として用いられる不動産において、過去に人の死が発生した場合、その事案の内容に応じて、一部の買主・借主にとって不動産取引において契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があることから、売主・貸主は、把握している事実について、取引の相手方等である買主・借主に対して告知する必要があり、過去の裁判例に照らせば、取引目的、事案の内容、事案発生からの時間の経過、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上、これを取引の相手方等に告知すべき義務の有無が判断されています。
しかしながら、現状、不動産取引に当たって、取引対象の不動産で生じた人の死について、適切な調査や告知に係る判断基準がありません。これにより、不動産の円滑な流通、安全できる取引が阻害されています。
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�A不動産取引における人の死の告知に係る課題
 上記�@のとおり、現状、不動産取引において取引対象の不動産で生じた人の死について判断基準がないことで、所有する物件で死亡事故等が生じた場合に、全て事故物件として取り扱われるのではないかとの所有者の懸念があります。これにより、不動産取引に際し、借主に対し、当該不動産において過去に生じた人の死に関する事案の全てを告げる対応を行うことによって、賃貸住宅の入居の場面において、貸主が、入居者が亡くなった場合、亡くなった理由の如何を問わずその事実を告知対象にしなければならないと思い、特に単身高齢者の入居が困難となっています。
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 上記のような背景の下、不動産取引に際して、当該不動産において過去に人の死が発生した場合における対応の判断に資するよう、一定の考え方を示すことが求められています。
 これを踏まえ、令和2年(2020年)2月より、国土交通省において「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」(座長:中城康彦 明海大学不動産学部長)を開催し、不動産において過去に人の死が生じた場合において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、学識経験者による議論を行い、過去の裁判例の蓄積の状況等も踏まえて、過去に人の死が生じた居住用不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、現時点で妥当と考えられる一般的な基準を本ガイドラインとして取りまとめたものです。
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第2.本ガイドラインの位置付け
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Q2 本ガイドラインの位置付けについて教えてください。

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A2 本ガイドラインは、「宅地建物取引業者の義務の判断基準」となるものです。これに対して、宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応を行った場合であっても、「民事上の責任」を回避できるものではありません。
�@ 宅地建物取引業者の義務の判断基準としての位置づけ
 宅地建物取引業者は、「宅地若しくは建物の・・・取引条件・・・であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為が禁じられます(宅地建物取引業法47条1号ニ)。
上記Q1の「本ガイドライン制定の背景」のとおり、本ガイドラインは、不動産において過去に人の死が生じた場合において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、トラブルの未然防止の観点から、現時点において裁判例や取引実務に照らした一般的な判断基準として取りまとめられたものです。
過去に人の死が生じた不動産の取引に際し、宅地建物取引業者が本ガイドラインで示した対応を行わなかった場合、そのことだけをもって直ちに宅地建物取引業法違反となるものではありませんが、宅地建物取引業者の対応を巡ってトラブルとなった場合には、行政庁における監督に当たって、本ガイドラインが参考にされることとなります。
�A 民事上の責任の位置づけ
 個々の不動産取引において、人の死の告知に関し紛争が生じた場合の民事上の責任については、取引当事者からの依頼内容、締結される契約の内容等によって個別に判断されるべきものであり、宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応を行った場合であっても、当該宅地建物取引業者が民事上の責任を回避できるものではないことに留意する必要がありません。
もっとも、宅地建物取引業者が、一般的な基準として本ガイドラインを参照し、適切に対応することを通じて、不動産取引に際し、当該不動産において過去に生じた人の死に関する事案について、買主・借主が十分な情報を得た上で契約できるようにすることにより、取引当事者間のトラブルの未然防止とともに、取引に関与する宅地建物取引業者との間のトラブルの未然防止が期待されます。
媒介を行う宅地建物取引業者は、売主・貸主による告知書等への記載が適切に行われるよう必要に応じて助言するとともに、売主・貸主に対し、事案の存在について故意に告知しなかった場合等には、民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましいです。
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第3.適用範囲について
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Q3 本ガイドラインはどのような「対象事案」、「対象不動産」に適用されますか。

A3 本ガイドラインは 、取引の対象となる不動産において生じた「人の死に関する事案」に適用されます。また、「住宅として用いられる不動産(居住用不動産)」を対象とします。
 居住用不動産とオフィス等として用いられる不動産を比較した場合、居住用不動産は、人 が継続的に生活する場(生活の本拠)として用いられるものであり、買主・借主は、居住の快適性、住み心地の良さなどを期待して購入又は賃借し、入居するため、人の死に関する事案は、その取引の判断に影響を及ぼす度合いが高いと考えられることから、本ガイドラインは、「居住用不動産」を対象としています。
 オフィス等として用いられる不動産において発生した事案については、それが契約締結の判断に与える影響が一様でないことから本ガイドラインの対象外としているものであり、これらの不動産の取引においては、取引当事者の意向を踏まえつつ、適切に対処する必要があります。
第4.調査について
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Q4 調査の対象・方法
宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・買主に告知書等に過去に生じた事案について記載を求めれば義務を果たしたことになりますか。それとも、自ら周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットを調査するなどの自発的な調査を行う義務を負いますか。

A4 宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、告知書(物件状況等報告書)その他の書面(「告知書等」)に過去に生じた事案についての記載を求めることにより、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたことになります。
すなわち、告知書等に記載されなかった事案の存在が後日に判明しても、当該宅地建物取引業者に重大な過失がない限り、人の死に関する事案に関する調査は適正になされたものとされます。
なお、下記Q6の�Aの場合は、「概ね3年の経過」で人の死について告げなくてもよいこととされていますが、事件性等が特に高い場合等は、3年が経過した事案等についても告知する必要があるため、事案を把握する前に、売主・貸主に対して、3年を超える事案は一律に記載する必要がないと指示することは宅建業法違反に問われる可能性があります。
調査の過程において、照会先の売主・貸主・管理業者より、事案の有無及び内容について、不明であると回答された場合、あるいは回答がなかった場合であっても、宅地建物取引業者に重大な過失がない限り、照会を行った事実をもって調査はなされたものと解されます。
なお、国土交通省において示している「マンション標準管理委託契約書」においては、宅地建物取引業者が媒介等の業務のために、当該マンションに係る情報の開示を求めてきたときは、書面等をもって開示するものとされています。
宅地建物取引業者は、「特段の事情」がないのであれば、自ら周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットサイトを調査するなどの自発的な調査を行う義務はありません。
「特段の事情」は、例えば、複数の近隣住民から人の死に関する事案に係る情報が寄せられた場合等を指しております
仮に調査を行う場合においては、亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、特に慎重な対応が必要です。
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※告知書(物件状況等報告書)には、「周辺環境」に関する事項の一つとして、「事件・事故・火災等」の項目において、「売買物件やその近隣での自殺、殺傷事件等の心理的影響があると思われる事実があれば記入してください。」等の記載がなされている。(「知らない」「知っている」をチェックさせ、「知っている」場合は「概要」を記載する。)
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Q5 調査にあたっての留意事項
宅地建物取引業者は過去に人の死が生じたことの調査にあたってどのようなことに留意する必要がありますか。

A5 宅地建物取引業者は、売主・貸主による告知書等への記載が適切に行われるよう必要に応じて助言するとともに 、売主・貸主に対し、事案の存在について故意に告知しなかった場合等には、民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましいです。
告知書等により、売主・貸主からの告知がない場合であっても、人の死に関する事案の存在を疑う事情があるときは、売主・貸主に確認する必要があります。
取引の対象となる不動産において過去に人の死が生じた事実について、媒介を行う宅地建物取引業者は、契約後、引渡しまでに知った場合についても告知義務があるとする裁判例がある(高松高判平成26年6月19日判時2236号101頁)ことに留意する必要があります。
 後日トラブルとなり、訴訟等に発展した場合でも告知書等が証拠資料になり得るため、媒介を行う宅地建物取引業者は、売主・貸主に対して告知書等への適切な記載を求め、これを買主・借主に交付することが、トラブルの未然防止とトラブルの迅速な解決のためにも有効であると考えられます。媒介を行う宅地建物取引業者が、買主・借主から、「売主・貸主が宅地建物取引業者に告知した事案について、宅地建物取引業者が買主・借主に告げなかった」等と指摘され、トラブルに発展することの未然防止にも繋がるものと考えられます。

第5.告知について
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Q6 宅地建物取引業者はどのような場合に人の死について告げなくてもよいでしょうか?

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A6 以下の�@から�Bの場合は、人の死について原則として告げなくてもよい場合とされています。
�@【賃貸借取引・売買取引取引】の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)(特殊清掃や大規模リフォーム等(「特殊清掃等」)を行う場合を除く)
�A【賃貸借取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)・特殊清掃等が行われた�@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後(事件性、周知性、社会に与えた営業等が高い事案を除く)
�B【賃貸借取引・売買取引】の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死・特殊清掃等が行われた�@の死
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�@【賃貸借取引・売買取引取引】の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)(※事案発覚からの経過期間を問わない)

 老衰、持病による病死など、いわゆる「自然死」は、自宅における死因割合の9割を占めますが、裁判例においても、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在する(東京地判平成18 年12 月6日WJほか。)ことから、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いため、原則として、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、これを告げなくてもよいです。
 また、事故死に相当するものであっても、自宅の階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など、「日常生活の中で生じた不慮の事故」による死については、そのような死が生ずることは当然に予想されるものであり、これが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、自然死と同様に、原則として、これを告げなくてもよいです。この場合、下記�Aと違い、時間的経過を要しません。
 ただし、「自然死」や「日常生活の中での不慮の死」が発生した場合であっても、取引の対象となる不動産において、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃(孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス)や大規模リフォーム等(「特殊清掃等」)が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、下記�Aの基準(概ね3年間の経過)に従います。

�A【賃貸借取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)・特殊清掃等が行われた�@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後(事件性、周知性、社会に与えた営業等が高い事案を除く)

�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)が発生している場合又は�@の死(自然死・日常生活の中の不慮の死)が発生して特殊清掃等が行われた場 合、いつまで事案の存在を告げるべきかについては、その事件性、周知性、社会 に与えた影響等により変化するものと考えられますが、賃貸借取引については、過去の裁判例等を踏まえ、賃貸借取引の対象不動産において�@以外の死が発生している場合又は�@の死が発生して特殊清掃等が行われた場合には、特段の事情がない限り、これを認識している宅地建物取引業者が媒介を行う際には、�@以外の死が発生又は特殊清掃等が行われることとなった�@の死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよいです。
また、 借主が日常生活において通常使用する必要があり(例えば、ベランダ等の専用使用が可能な部分のほか、共用の玄関・エレベーター・廊下・階段のうち、買主・借主が日常生活において通常使用すると考えられる部分が該当する。)、借主の住み心地の良さに影響を与えると考えられる「日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分」における�@以外の死及び特殊清掃等が行われた�@の死は、賃貸借取引の対象不動産と同様に概ね3年間を経過した後は、原則として、借主にこれを告げなくてもよいです。
ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案については、概ね3年を経過した後でも宅地建物取引業者は人の死について告知しなければなりません。
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�B【賃貸借取引・売買取引】の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死・特殊清掃等が行われた�@の死(事件性、周知性、社会に与えた営業等が高い事案を除く)

賃貸借取引及び売買取引において、その取引対象ではないものの、その隣接住戸又は借主もしくは買主が「日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分」において�@以外の死が発生した場合又は�@の死が発生して特殊清掃等が行われた場合は、裁判例等も踏まえ、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、原則として、これを告げなくてもよいです。この場合、上記�Aと違い、時間的経過を問いません。
ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案については、宅地建物取引業者は(時間の経過を問わず)人の死について告知しなければなりません。
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Q7 宅地建物取引業者はどのような場合に人の死について告げなければならないのはどのような場合ですか?

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A7 上記Q7の�@から�Bのケース以外の場合は、宅地建物取引業者は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、買主・借主に対してこれを告げなければなりません。
 具体的には以下の(ア)から(ウ)の事案です。(ア)と(ウ)は時間的経過を問いません。
(ア)【売買取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)
(イ)【賃貸借取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)・特殊清掃等が行われた�@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過していない場合
(ウ)【売買取引・賃貸借取引】の事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案
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なお、地震等の大規模な災害により、対象となる不動産において人の死が生じたか明らかでないような場合には、その旨を告げれば足ります。
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Q8 宅地建物取引業者は、Q7の(ア)の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)については、いかに時間が経過しても買主・借主に人の死について告げなければならないのでしょうか。

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A8 人の死は日々各地で発生しているが、それがいわゆる心理的瑕疵に該当するかや、その継続性の評価は、事案の態様・周知性等や当該物件の立地等の特性によって異なり、時代や社会の変化に伴い変遷する可能性もあります。また、いわゆる心理的瑕疵は時間の経過とともに希釈され、やがて消滅するとの裁判例もあります。
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Q9 Q7のとおり、宅地建物取引業者は人の死について告げなければならない場合、「どのようなこと」を買主・借主に告げる必要がありますか。

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A9 Q7のとおり、宅地建物取引業者が「人の死」について告げる場合は、Q4の調査を通じて判明した点について実施すれば足り、買主・借主に対して事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合には発覚時期)、場所、死因 (自然死・他殺・自死・事故死等の別、不明である場合にはその旨)及び特殊清掃等が行われた場合にはその旨を告げなければなりません。
ここでいう事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合には発覚時期)、場所、死因及び 特殊清掃等が行われた旨については、Q4の調査において売主・貸主・管理業者に照会した内容をそのまま告げるべきです。
なお、売主・貸主・管理業者から不明であると回答された場合、あるいは無回答の場合には、その旨を告げれば足ります。
 

Q10 宅地建物取引業者は、買主・借主から問われた場合及び買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合は、買主・借主に「人の死」について告げる必要がありますか。

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A10 取引の対象となる不動産における事案の存在に関し、人の死に関する事案の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、その社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情 があると認識した場合等には、当該事案は取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるため、宅地建物取引業者は、Q4の調査を通じて判明した点を告げる必要があります。
この場合においても、調査先の売主・貸主_ 管理業者から不明であると回答されたとき、あるいは無回答のときには、その旨を告げれば足ります。
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Q11 宅地建物取引業者は、買主・借主に「人の死」について告げる場合、どのようなことに留意する必要がありますか。

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A11 告げる際には、亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにする必要 があることから、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死の態様、発見状況等を告げる必要はありません。
また、買主・借主に事案の存在を告げる際には、後日のトラブル防止の観点から、書面の交付等によることが望ましいです。

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