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トピックス・法律情報

渡邉雅之弁護士が執筆した『Q&A「ビジネスと人権」に関わる企業の取組み』が労働事業2023年4月1日号(1467号)(産労総合研究所)に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『Q&A「ビジネスと人権」に関わる企業の取組み』が労働事業2023年4月1日号(1467号)(産労総合研究所)に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『営業店で取り組む継続的顧客管理 第1回 継続的顧客管理の必要性』が近代セールス2023年4月1日号に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『営業店で取り組む継続的顧客管理 第1回 継続的顧客管理の必要性』が近代セールス2023年4月1日号に掲載されました。

組織の不正を防ぐ効果も。公益通報者保護法の改正と中小企業への影響

2023/03/06

(執筆者:弁護士 水関莉子)

【Q.】
 近年、内部通報を契機に事業者の不正が発覚したというケースをたびたび耳にします。中小企業である当社も、何か対応をとるべきでしょうか。また、公益通報者保護法が改正されたとの話ですが、何が変わったのか、中小企業にどのような影響があるのかについても教えてください。

【A.】
1.はじめに
 公益通報者保護法は、公益通報を通じて事業者の不祥事を早期に発見し、または未然に防ぐために、通報者の保護の内容等を定めた法律です。近年も事業者の不祥事が後を絶たず社会問題となる中、令和4年6月1日に同法の改正法が施行され、あらためて公益通報者保護法の果たす役割が注目されています。
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2.改正公益通報者保護法の概要
 公益通報者保護法によって保護される「公益通報」とは、労働者等が、不正の目的でなく、法定の通報受付先に対して行った通報であって、その内容が法定の通報対象事実(法令違反等)に該当するものをいいます(法2条)。
 今回の改正によって、通報者の範囲が拡大され(「労働者」以外に、新たに「1年以内の退職者」と「役員」が追加されました。)、保護の内容も強化されました。また、これまでハードルが高いとされていた行政機関への公益通報(行政通報)の保護要件が大幅に緩和されました。これらの改正によって、従業員等が以前よりも公益通報、とくに行政通報がしやすくなったといえます。
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3.中小企業への影響──行政通報のリスクの拡大
 そもそも中小企業にとって、行政通報されることは大きなリスクになり得ます。通報体制の整備が進んでいない中小企業の場合は、行政機関が通報の受け皿となり、社内で法令違反等の事実を認識していないうちに、突然、行政通報がなされるという事態があり得ます。そして、行政機関が実際に調査等に動き出すと、その事実が金融機関や取引先に知れ渡ったり、メディアで報道されたりすることで信用棄損やイメージダウン等が発生し、さらには刑事事件に発展するおそれもあるなど、自社が受けるダメージは甚大なものとなります。
 そのため、社内に通報受付窓口を設置するなどして、まずは内部への通報を促し、いきなり行政通報されてしまうのを回避する必要があります。
 改正法により導入された通報体制を整備する義務(法11条2項)は、従業員の数が300人以下の事業者については「努力義務」にとどまりますが、前述の通り、行政通報のリスクは中小企業も決して無関係ではないため、通報受付窓口を設置するなどの対応を考えなければなりません。
 なお、通報受付窓口の設置のほか、内部通報に対応するために必要な体制の整備については、法改正に伴い消費者庁が発表した「公益通報者保護法に基づく指針」(※1)及び「指針の解説」(※2)の中で詳しい説明がなされています。どのような体制を整備すればよいかは、各事業者の規模や業種・業態等の実情によっても異なりますが、参考になさってください。
※1 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000223501
※2 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_211013_0001.pdf
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4.おわりに
 通報体制を整備することは、先に述べたようなリスクの回避という消極的な意義をもつにとどまりません。通報体制を整備し、効果的に運用することで、社内の自浄作用を発揮させ、法令違反等を可能な限り未然に防止すること、また、万が一、法令違反等が発生した場合でも迅速に事態を把握し対処することで、影響を最小限に抑えることが期待でき、事業者にとって大きなメリットになります。
 今般の改正を機会に、通報受付窓口を設置するなどの対応を検討してみてはいかがでしょうか。その際、社内において機能する通報体制を構築できるよう、内部統制に詳しい専門家に相談することもご検討ください。

以 上

渡邉雅之弁護士と松崎嵩大弁護士が執筆した『事例で学ぶ銀行グループ会社業務範囲規制〜第4回 広告・マーケティング業務』が金融法務事情2204号(2023年2月25日号)に掲載されました。

渡邉雅之弁護士と松崎嵩大弁護士が執筆した『事例で学ぶ銀行グループ会社業務範囲規制〜第4回 広告・マーケティング業務』が金融法務事情2204号(2023年2月25日号)に掲載されました。

下請法運用基準の改正と「買いたたき」

2023/02/09

(執筆者:弁護士 植村一晴)
【Q.】
 先日、取引先から、「原材料費や電気料金等が高騰しているので、単価を引き上げさせてほしい」と要請されましたが、長年同じ単価で取引していたこともあり、「単価は据え置きにしてほしい」と伝え、従来どおりの単価で合意をしました。このような当社の行為は、下請法で禁止されている「買いたたき」に該当するのでしょうか。

【A.】
※今回のお話は、ご質問の件が下請法の適用対象となる取引であることを前提としています。適用対象となるかは、資本金規模と取引の内容で定義されていますので、詳しくは、公正取引委員会ホームページの「下請法の概要」をご参照ください。
公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/gaiyo.html

1.はじめに
 公正取引委員会による「買いたたき」に対する勧告または指導件数は、令和元年度には721件であったのが、令和2年度は830件と増加傾向にあり、令和3年度は866件と、実体規定違反全体(7878件)の11.0%に及んでいます。また、昨今は原油価格や原材料価格が高騰しており、中小企業等が上昇したコストを適切に転嫁できないおそれも懸念されています。こういった背景の下、令和3年12月27日に、内閣官房(新しい資本主義実現本部事務局)、消費者庁、厚生労働省、経済産業省、国土交通省及び公正取引委員会によって、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(※1)が取りまとめられました。
 その取り組みの1つとして、令和4年1月26日、公正取引委員会により「下請法に関する運用基準」(以下「運用基準」)が改正され、「買いたたき」の解釈が明確化されました。また、「違反行為情報提供フォーム」が新たに設置されています。
※1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/partnership_package_set.pdf

2.買いたたきとは
(1)買いたたきの定義・判断基準
 親事業者と下請事業者の間で下請代金の額を決定するときに、発注した商品・役務等に対して、通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めることは、「買いたたき」として下請法違反となります(下請法第4条第1項第5号)。
 買いたたきに該当するか否かについて、運用基準では、以下の(ア)〜(エ)等を総合的に勘案して判断するとされています。
(ア)下請代金の額の決定方法(下請事業者と十分な協議が行われたかどうか等)
(イ)下請代金の額の決定内容(差別的であるかどうか等)
(ウ)通常支払われる対価と当該代金との乖離状況
(エ)当該給付に必要な原材料等の価格動向
(2)運用基準の改正内容
 従前の運用基準でも、下請事業者が労務費や原材料費の上昇分を取引価格に反映するよう求めたにもかかわらず、親事業者が一方的に単価を据え置くことは、買いたたきに該当するおそれがあるとしていました。
 令和4年の改正では、これに加えて、「エネルギーコストの上昇分も反映の対象に含めること」や、「下請事業者からの価格転嫁の求めに対して、明示的な協議が必要であること」「価格転嫁しない場合にはその理由を書面・電子メール等で回答する必要があること」が明確化されました。
 なお、運用基準では、そのほかの買いたたきの例として、親事業者の予算単価のみを基準として、一方的に通常の対価より低い単価で下請代金の額を定めた場合や、合理的な理由がないにもかかわらず特定の下請事業者を差別して取り扱い、ほかの下請事業者より低い下請代金の額を定めた場合などが挙げられています。
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3.「違反行為情報提供フォーム」の新設
 令和4年1月26日、買いたたきなどの下請法違反が疑われる親事業者について、下請事業者が匿名で通報できる窓口として、「違反行為情報提供フォーム」が公正取引委員会(※2)や中小企業庁(※3)のホームページ上に設置されました。
 このフォームで提供された情報は、独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査(公正取引委員会)や下請法上の定期調査(公正取引委員会、中小企業庁)における対象業種の選定、調査票の送付先の選定などに活用されます。匿名による情報提供が可能となり、通報のハードルが下がった分、親事業者としては、より慎重な対応を求められることになったと言えます。
※2公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/cgi-bin/formmail/formmail.cgi?d=joho
※3中小企業庁 https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/jigyokankyo/20220126

4.おわりに
 下請代金の額を決定する際は、下請事業者の事情を十分考慮して協議が尽くされたといえるかが重要となります。また、協議が行われた場合でも、それが十分でなかった場合や、前述の(イ)〜(エ)等の事情次第では、買いたたきに該当する可能性があります。買いたたきなどの下請法違反が懸念されるときは、(親事業者・下請事業者のいずれの立場でも)専門家へ相談することもご検討ください。

以 上

大阪事務所に水関莉子弁護士、東京事務所に宮澤朋樹弁護士が入所しました。

2023/01/05

本年1月より、水関莉子弁護士(修習75期)を大阪事務所に、宮澤朋樹弁護士(修習75期)を東京事務所に新たに迎えることになりました。
当事務所と同様のご交誼並びにご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

詳細は、弁護士等紹介のページ(http://www.miyake.gr.jp/profile)をご覧ください。

渡邉雅之弁護士と松崎嵩大弁護士が執筆した『事例で学ぶ銀行グループ会社業務範囲規制:第2回・システム関連業務・DX支援〜銀行本体編〜』が金融法務事情2022年12月25日号に掲載されました。

渡邉雅之弁護士と松崎嵩大弁護士が執筆した『事例で学ぶ銀行グループ会社業務範囲規制:第2回・システム関連業務・DX支援〜銀行本体編〜』が金融法務事情2022年12月25日号に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『改正職業安定法をチェックする』が企業実務2023年1月号に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『改正職業安定法をチェックする』が企業実務2023年1月号に掲載されました。

BtoC企業は要注意! 消費者契約法の改正と企業の対応

2022/12/16

(執筆者:弁護士 森村 奨)

【Q.】
 先日、消費者契約法が改正されたとのニュースを見ました。この改正は、消費者との取引があるわが社にも関係してくると思われます。改正によって何が変わるのか、企業はどういった対応を求められるのかについて教えてください。
【A.】
1.はじめに
 令和4年5月25日、「消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第59号)」(以下「改正法」)が成立しました。そのうち、消費者契約法の改正部分については、一部を除き、令和5年6月1日に施行されます。
 そこで本稿では、今回の改正内容と求められる企業の対応についてご説明します。
 
2.具体的な改正内容と求められる企業の対応について
 今回の消費者契約法の改正のうち、企業実務に影響し得る事項として、以下の3点が挙げられます。

(1)免責の範囲が不明確な条項の無効(改正法8条3項)
 消費者契約法8条1項2号及び4号では、事業者等の故意または重過失による債務不履行または不法行為により消費者に生じた損害賠償責任について、その一部を免責する条項を無効とするとの規定が設けられています。これを受けて、契約書等では、一部免責について「法律上許される限り、事業者の損害賠償責任を免除する」「法律上許容される場合において、事業者の損害賠償額の限度額を○万円とする」などと規定されることがありました。しかし、一般的な消費者はこのような規定を見ても、「事業者等の軽過失の場合に限り、一部免責がされる」ことはなかなか理解できません。そこで今回の改正では、上記のような事業者等の「重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていない」一部免責の規定を無効とする旨が明らかにされました。
 したがって、企業としては、規約や契約書の雛形の見直しを行い、必要に応じて、一部免責を軽過失の場合のみに限定することを明示する規定(例えば、「当社に故意または重大な過失がある場合を除き、○万円を限度とする」など)の修正を検討したほうがいいでしょう。

(2)契約の取消権の追加(改正法4条3項)
 消費者契約法では、事業者が不当な勧誘行為を行ったことにより消費者が誤認等をした場合に、契約(意思表示)を取り消すことができる旨が定められています。今回の改正では、新たな「不当な勧誘行為」として、以下の行為が追加されました。
 �@勧誘することを告げずに、退去困難な場所に同行し勧誘すること
 �A威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害すること
 �B契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にすること
 そのため、企業としては、不当な勧誘行為であるとの疑義が生じないようにするために、営業マニュアル等の見直しを行うことも考えられます。

(3)事業者の努力義務の強化
 今回の改正では、前述の事項のほかに事業者の努力義務として、以下の事項が追加されています。いずれも努力義務ではありますが、消費者との紛争予防の観点からは、可能な限り遵守することが望ましいといえます。
 �@消費者または適格消費者団体からの求めに応じて、解除に伴う損害賠償額の予定または違約金の算定根拠の概要(適格消費者団体からの求めがある場合は算定根拠)を説明すること(改正法9条2項、12条の4)
 �A契約締結の勧誘の際の情報提供を行うに当たって、事業者が知ることができた個々の消費者の事情を総合的に考慮するものとし、個々の消費者の事情として、知識及び経験のほかに、年齢及び心身の状態も考慮すること(改正法3条1項2号)
 �B民法第548条の2第1項に規定する定型取引合意に該当する消費者契約の締結を勧誘する際に、消費者が同項に規定する定型約款の内容を容易に知り得る状態に置く措置を講じているときを除き、消費者が同法第548条の3第1項に規定する請求を行うために必要な情報を提供すること(改正法3条1項3号)
 �C消費者の求めに応じて、消費者契約により定められた当該消費者が有する解除権の行使に関して必要な情報を提供すること(改正法3条1項4号)
 �D適格消費者団体の要請に応じて、契約条項や同団体より差止請求を受けて講じた措置を開示すること(改正法12条の3及び5)
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3.最後に
今回の改正により、企業では規約の変更等の対応が求められることがありますので、必要に応じて専門家にもご相談いただきながら、対応内容をご検討ください。

以 上

渡邉雅之弁護士の執筆した『継続的顧客管理が求められる背景を押さえよう』がバンクビジネス2022年12月増刊に掲載されました。

渡邉雅之弁護士の執筆した『継続的顧客管理が求められる背景を押さえよう』がバンクビジネス2022年12月増刊に掲載されました。

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