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労基法・最賃法の使用者の届出等における押印・署名の廃止

2020/10/09

労基法・最賃法の使用者の届出等における押印・署名の廃止
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執筆者:渡邉雅之
*本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Email_m-watanabe@miyake.gr.jp

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労基法・最賃法 の 使用者 の 届出 等 にお け る 押印・ 署名 の 廃止

2020年(令和2年)10月9日(金)に、厚生労働省労働基準局労働条件政策課・厚生労働省労働基準局賃金課から、パブリックコメント「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案に係る意見募集について」が公表されました(意見・情報受付締切日:2020年11月07日)。
省令の改正は、令和2年12月中旬予定で、施行期日は令和3年4月1日となります。
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1.改正の趣旨
 労働基準法(昭和22年法律第49号、「労基法」)及び最低賃金法(昭和34年法律第137号、「最賃法」)の規定に基づき使用者に提出を求めている届出等について、規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)等において、行政手続における押印の見直しが明記されたことを踏まえ、当該届出等に際し使用者及び労働者の押印又は署名(「押印等」)を求めないこととするものです。
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※「規制改革実施計画」(令和2年7月17日閣議決定)(抜粋)
6.デジタルガバメント分野
(3)新たな取組
<行政手続における書面規制・押印、対面規制の抜本的な見直し>
各府省は、・・・原則として全ての見直し対象手続について、恒久的な制度的対応として、年内に、規制改革推進会議が提示する基準に照らして順次、必要な検討を行い、法令、告示、通達等の改正やオンライン化を行う。
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2.改正の概要
(1)押印欄の廃止
労基法の委任に基づく労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)、事業附属寄宿舎規程(昭和22年労働省令第7号)、年少者労働基準規則(昭和29年労働省令第13号)及び建設業附属寄宿舎規程(昭和42年労働省令第27号)並びに最賃法の委任に基づく最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号)において、法令上押印等を求めないこととするとともに、労働基準監督署長等への届出等の際に押印等を求めている省令様式について押印欄を削除します。
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(2)労使協定等における過半数代表組合・過半数代表者であることの表明保証のチェックボックス
 押印等を求めている省令様式のうち、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)の記載のあるもの(いわゆる労使協定(※)に該当するもの)については、�@労働組合の記名がされている場合には事業場の労働者の過半数で組織されている旨を、�A過半数代表者の記名がされている場合には事業場の労働者の過半数を代表している旨及び当該過半数代表者が労働基準法施行規則第6条の2第1項各号のいずれにも該当する者である旨のチェックボックスを設けることとするほか、所要の改正が行われます。

_※「労使協定」は、労基法の規制の緩和のために締結することが義務付けられている協定です。

締結主体

過半数労働組合(過半数労働組合がない場合は過半数代表者)と使用者

適用範囲

事業場の労働者全員

効力

・免罰的効力(法の規制は解除され、使用者は法違反による処罰を免れる)
・強行性の解除(法の規定に抵触する法律行為も有効になる)

_過半数労働組合(過半数労働組合がない場合は過半数代表者)と使用者が締結します。

〇過半数代表組合
�@事業場の労働者の過半数で組織されている旨

〇過半数代表者
�@事業場の労働者の過半数を代表している旨
�A当該過半数代表者が労働基準法施行規則6条の2第1項各号(※)のいずれにも該当する者である旨

※労働基準法施行規則6条の2第1項各号
 (i) 管理監督者の地位にある者でないこと
 (ii) 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者で、かつ、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。
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〇労働基準法施行規則(昭和22 年厚生省令第23 号)

様式

様式名

過半数代表者の記載のあるもの

第1号

貯蓄金管理に関する協定届

第2号

解雇制限・解雇予告除外認定申請書

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第3号

解雇制限・解雇予告除外認定申請書

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第3号の2

1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届

第3号の3

清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に関する協定届

第4号

1 年単位の変形労働時間制に関する協定届

第5号

1 週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定届

第6号

非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請書・届

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第9号

時間外労働・休日労働に関する協定届

第9号の3

時間外労働・休日労働に関する協定届(新技術・新商品の研究開発業務に従事する労働者に時間外・休日労働を行わせる場合)

第9号の4

時間外労働・休日労働に関する協定届(適用猶予事業・業務に従事する労働者に時間外・休日労働を行わせる場合)

第9号の5

時間外労働・休日労働に関する協定届(事業場外労働に関する協定の内容を付記して届け出る場合)

第9号の6

時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議届

第9号の7

時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届

第10号

断続的な宿直又は日直勤務許可申請書

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第11号

集団入坑の場合の時間計算特例許可申請書

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第12号

事業場外労働に関する協定届

第13号

専門業務型裁量労働制に関する協定届

第13号の2

企画業務型裁量労働制に関する決議届

第13号の4

企画業務型裁量労働制に関する報告

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第13号の5

休憩自由利用除外許可申請書

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第14号

監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可申請書

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第14号の2

高度プロフェッショナル制度に関する決議届

第14号の3

高度プロフェッショナル制度に関する報告

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第14号の4

職業訓練に関する特例許可申請書

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第15号

業務傷病に関する重大過失認定申請書

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第23号の2

適用事業報告

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第24号

預金管理状況報告

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〇事業附属寄宿舎規程(昭和22 年労働省令第7号)

様式

様式名

過半数代表者の記載のあるもの

第1号

寄宿舎設置・移転・変更届

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第3号

事業附属寄宿舎規程第三十六条による適用特例許可申請書

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第4号

事業附属寄宿舎規程第二章適用除外許可申請書

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○年少者労働基準規則(昭和29 年労働省令第13 号)

様式

様式名

過半数代表者の記載のあるもの

第1号

寄宿舎設置・移転・変更届

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第3号

事業附属寄宿舎規程第三十六条による適用特例許可申請書

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第4号

事業附属寄宿舎規程第二章適用除外許可申請書

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〇最低賃金法施行規則(昭和34 年労働省令第16 号)

様式

様式名

過半数代表者の記載のあるもの

第1号

精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者の最低賃金の減額の特例許可申請書

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第2号

試の使用期間中の者の最低賃金の減額の特例許可申請書

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第3号

基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者の最低賃金の減額の特例許可申請書

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第4号

軽易な業務に従事する者の最低賃金の減額の特例許可申請書

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第5号

断続的労働に従事する者の最低賃金の減額の特例許可申請書

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○建設業附属寄宿舎規程(昭和42 年労働省令第27 号)

様式

様式名

過半数代表者の記載のあるもの

別紙様式

寄宿舎設置・移転・変更届

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【速報】IR基本方針案の再パブコメを分析(Zoomウェビナー・無料・100名限定)

同日のセミナーレジュメを掲載いたします。

【速報 】 IR 基本方針案の再パブコメを分析

Zoom無料セミナー:渡邉雅之弁護士が2020年10月12日(火)午後12時(午後13時まで)より『【速報】IR基本方針案の再パブコメを分析(Zoomウェビナー・無料・100名限定)』と題するZoomセミナー(ウェビナー)を行います。(※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するセミナーであることにご留意ください。)

Peatixのページにてお申込みお願いします。

2020年10月9日に「特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)第5条第1項の規定に基づく「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」等のパブリックコメントが再度でました。
新型コロナウィルス新型コロナウイルス感染症の拡大によりIR誘致を検討している自治体の準備に影響が出ていることなどを踏まえ、基本方針案等について所要の修正を加え、修正部分について再度パブリックコメントを実施するものです。
本ウェビナーでは、基本方針案の再パブコメにより、どこが変わったか、どのような修正対応が必要かなどについて、解説いたします。

〇「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」に関する再意見募集について
〇特定複合観光施設区域整備法第5条第1項の規定に基づく「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※修正部分のみ)に関する再意見募集について
〇「特定複合観光施設区域整備法に基づく区域整備計画の認定等に関する省令(仮称)の案」及び「特定複合観光施設区域整備法に基づく区域整備計画の認定に必要な事項等を定める告示(仮称)の案」に関する意見募集について

お申込みはPeatixでお願いします。

※Youtubeで同時配信する予定です(URLはこちらです。)。
あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
※レジュメは終了後、本ウェブページに掲載予定です。
※個人情報の保護について
利用目的:�@セミナーへの招待、�A質疑への回答、�B今後の営業活動、�Cサービスの向上
安全管理:事務所のデスクトップパソコンにのみご参加者の個人情報を保管いたします

11/2無料WEBセミナー「今さら聞けない個人情報保護法のツボ・ プライバシーポリシー(クッキーポリシー含む)・個人情報保護規程の作り方 〜改正個人情報保護法にも対応〜」

※お申込みいただいた方へ
 10/27にセミナーのURLをメールにてお送りしております。
 不着の場合はお手数ですがご連絡お願い致します。

                  無料WEBセミナー
              ≪今さら聞けない個人情報保護法のツボ・
      プライバシーポリシー(クッキーポリシー含む)・個人情報保護規程の作り方
                〜改正個人情報保護法にも対応〜≫

 リクナビ問題やジャパンタクシーに対する指導のように個人情報保護法に対する個人情報保護委員会の執行も強化されてきました。重要な事項は、ガイドラインやQ&A、パブリックコメントなどに記載されていたりします。また、GDPRなどの海外法の執行状況(同意の取得など)も無視できません。
 本セミナーでは、個人情報保護法において理解してもらいたい「ツボ」について網羅的に解説するとともに、プライバシーポリシー(クッキーポリシー)や個人情報保護規程を作成する上のポイントについても各規定ごとに解説いたします。
2020年改正個人情報保護法に基づく対応についても実践的に解説します(現時点ではまだ分かりませんが、漏えい時の対応マニュアルや個人関連情報の取扱いに基づくクッキーポリシーについても私案を提示いたします。)。

スケジュール
◆日時 2020年11月2日(月)午後6時〜8時 定員100名
  本セミナーのLIVE配信は、Zoom(ウェビナー)を利用します。
◆主催 弁護士法人三宅法律事務所
◆セミナー内容
  第1部__ 今さら聞けない個人情報保護法のツボ
  第2部__ プライバシーポリシー(クッキーポリシー含む)・個人情報保護規程の作り方
  (第1部・第2部とも2020年改正個人情報保護法改正を踏まえたものです)
◆講師 弁護士 渡邉雅之
◆お申込み https://ssl.alpha-prm.jp/miyakemail.jp/kojinjouhou.html
 申込期日:10月26日(月)までにお申し込みください。
 定員に達したためお申込みの受付を終了いたしました。
※YouTubeで同時配信する予定です。
 https://www.youtube.com/watch?v=XFGJBKmSW1Y&feature=youtu.be

【本人確認書類】2020年10月1日より、健康保険証の「保険者番号及び被保険者等記号・番号」が告知要求制限に〜本人確認書類としての取扱いはどうなるか〜

2020/10/06

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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Email m-watanabe@miyake.gr.jp

【2020年10月15日更新】_
厚生労働省のウェブページ『医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について』の『3.本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項』において、健康保険証上のQRコードの取扱いについての記載がなされました。
『※被保険者証等にQRコードがある場合について、そのQRコードを読み取ると2.の記号・番号等がわかるものについては、2.の記号・番号等同様にマスキングを施す必要があります』
これにより、2020年10月以降に金融機関等が本人確認書類として受領した健康保険証に、QRコードで記号・番号等がわかるものについては、QRコードをマスキングすることが必要となりましたのでご留意ください。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です

【本人確認書類】2020年10月1日より、健康保険証の「保険者番号及び被保険者等記号・番号」が告知要求制限に〜本人確認書類としての取扱いはどうなるか〜(2020年10月15日更新版)

 『医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律』(令和元年法律第9号)により、健康保険法その他の医療保険関連の法律が改正され、2020年(令和2年)10月1日より、健康保険証等の「被保険者等記号・番号等」について告知要求が制限されることになりました。
本ニュースレターでは、健康保険証等の「被保険者等記号・番号等」の告知要求制限の背景および実務上の取扱いについて説明いたします。
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1.健康保険証等の「被保険者等記号・番号等」の告知要求制限がなされる背景
 2021年3月から、保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、個人番号カード(マイナンバーカード)によるオンライン資格確認を導入されます。すなわち、マイナンバーカードが、健康保険証として使えることになります。(※)
(※)「マイナポータル」でマイナンバーカードを健康保険証として利用することの事前登録が必要です。【マイナンバーカードの健康保険証利用が始まります〜病院・歯科医院・薬局で利用可能〜】
 オンライン資格確認では、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報が確認できます。

【出所】厚生労働省作成資料

 健康保険証等の被保険者記号・番号は、これまで、世帯単位で付与されていました。新規発行の保険証については、個人を識別する2桁の番号が追加され、個人単位となります。発行済みの保険証は、2桁番号がなくても使用できることとし、回収・再発行を不要とされます。
 なお、75歳以上の後期高齢者医療制度は個人単位なので、保険証は変更されません。

【出所】厚生労働省作成資料

 医療保険の被保険者等記号・番号が個人単位化されることに伴い、保険者番号及び被保険者等記号・番号(「被保険者等記号・番号等」)について、個人情報保護の観点から、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止する「告知要求制限」の規定が設けられました。
 告知要求制限の規定は2020年(令和2年)10月1日から施行され、同日以降、原則とし て、本人確認等を目的として被保険者等記号・番号等の告知を求めることが禁止されます。

【出所】厚生労働省作成資料

2.告知要求制限の対象となる被保険者等記号・番号等
 告知要求制限の対象となる被保険者等記号・番号等は、次に掲げる記号・番号等です。

健康保険法(大正11 年法律第70 号)第194 条の2第1項に規定する「被保険者等記号・番号等」(保険者番号及び被保険者等記号・番号)

船員保険法(昭和14 年法律第73 号)第143 条の2第1項に規定する「被保険者等記号・番号等」(保険者番号及び被保険者等記号・番号)

私立学校教職員共済法(昭和28 年法律第245 号)第45 条第1項に規定する加入者等記号・番号等(保険者番号及び加入者等記号・番号)

国家公務員共済組合法(昭和33 年法律第128 号)第112 条の2第1項に規定する組合員等記号・番号等(保険者番号及び組合員等記号・番号)

国民健康保険法(昭和33 年法律第192 号)第111 条の2第1項に規定する「被保険者記号・番号等」(保険者番号及び被保険者記号・番号)

地方公務員等共済組合法(昭和37 年法律第152 号)第144 条の24 の2第1項に規定する組合員等記号・番号等(保険者番号及び組合員等記号・番号)

・高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57 年法律第80 号)第161 条の2第1項に規定する「被保険者番号等」(保険者番号及び被保険者番号)

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3.告知要求制限の具体的内容
 健康保険法では、以下の告知制限が設けられています(健康保険法194条の2)。
何人も、業として行う行為に関し、取引の契約の締結した相手方又は当該相手方以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはなりません(同条3項)。
業として、被保険者等記号・番号等の記録されたデータベースを構成することも禁止されます(同条4項)。
 厚生労働大臣は、これらの規定に違反した者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができます(同条5項)。
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〇健康保険法
(被保険者等記号・番号等の利用制限等)
 第百九十四条の二 厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため保険者番号及び被保険者等記号・番号(以下この条において「被保険者等記号・番号等」という。)を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。
 2 厚生労働大臣等以外の者は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。
 3 何人も、次に掲げる場合を除き、その者が業として行う行為に関し、その者に対し売買、貸借、雇用その他の契約(以下この項において「契約」という。)の申込みをしようとする者若しくは申込みをする者又はその者と契約の締結をした者に対し、当該者又は当該者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。
  一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、被保険者等記号・番号等を告知することを求めるとき。
  二 厚生労働大臣等以外の者が、前項に規定する厚生労働省令で定める場合に、被保険者等記号・番号等を告知することを求めるとき。
 4 何人も、次に掲げる場合を除き、業として、被保険者等記号・番号等の記録されたデータベース(その者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を含む情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの(以下この項において「提供データベース」という。)を構成してはならない。
  一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、提供データベースを構成するとき。
  二 厚生労働大臣等以外の者が、第二項に規定する厚生労働省令で定める場合に、提供データベースを構成するとき。
 5 厚生労働大臣は、前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。
 6 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。

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4.告知要求制限の対象とならない場合
(1)医療保険者や保険医療機関等、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行のために被保険者証の記号・番号等を利用する者、 (2)(1)以外の者が健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行のために被保険者証の記号・番号等の利用が特に必要な場合 は、告知要求制限の対象にならず、記号・番号等の告知を求めることが出来ます。これらは健康保険法施行規則等に定められており、具体例として以下のようなケースが挙げられます。
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(1)に該当する者(健康保険法施行規則第156条の2第1項)の例
・保険医療機関、保険薬局、指定訪問看護事業者等
・医療保険の保険者
・都道府県知事、市町村長 他
(2)に該当する場合の例
・保険者から委託を受けた者が、当該委託を受けた健康保健事業に関連する事務を行う場合(例:医療保険者と 委託契約を締結したスポーツクラブ)
・被保険者の同意を得た者又は被保険者から委託を受けた者が、それぞれ当該同意を得た又は当該委託を受けた 保険者(当該保険者から委託を受けた者を含む。)に対する保険給付に係る請求その他の行為を行う場合(例: 保育施設が児童の被保険者証の写しを預かる場合)
・特定健康診査、特定保健指導その他の健康診断を実施する機関が、当該健康診断を実施する場合

5.本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項
 総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省は共同で、2020年(令和2年)7月8日に「医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について」と題する事務連絡(「事務連絡」)を発出しました。この事務連絡は、同年10月5日付の事務連絡「医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について」で更新されています。
 これらの事務連絡では、犯罪による収益の移転の防止に関する法律(「犯収法」)などで求められる本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項として以下の点について留意することとされています。

�@被保険者証の提示を受ける場合には、当該被保険者証の被保険者等記号・番号等を書き写すことのないようにすること。また、当該被保険者証の写しをとる際には、当該写しの被保険者等記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。
�A被保険者証の写しの送付を受けることにより本人確認等を行う場合には、あらかじめ申請者や顧客等に対し被保険者等記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けること。また、被保険者等記号・番号等にマスキングが施されていない写しを受けた場合には、当該写しの提供を受けた者においてマスキングを施すこと。
�B被保険者等記号・番号等の告知を求めているかのような説明を行わないこと。例えば、ホームページ等において、「被保険者証の記号・番号が記載された面の写しを送付してください」といった記載を行わないよう留意すること。
�Cなお、これらの取扱いは、令和2年10 月1日の改正法施行以降に被保険者等記号・番号等の告知を求める場合に適用されるものであり、改正法施行前に取得した被保険者証の写し等について、改めてマスキングを施す等の対応を求めるものではないこと。(※2020年10月5日付の事務連絡で追加された留意事項)
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 上記�Aのとおり、非対面で健康保険証の写しを本人確認書類として送付を受ける場合には、事前に顧客に対して被保険者等記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けることが必要となります。
 また、仮に顧客が被保険者等記号・番号等をマスキングしないで健康保険証の写しを送付してきた場合には、事業者側においてマスキングを施すことが必要となります。
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6.健康保険証のQRコードはどうするのか?
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です
 協会けんぽが発行する保険証には2015年(平成27年)からQRコードが券面に表示されています。
これをスマートフォンのQRコード読み取りアプリで読み取ると当該被保険者の記号・番号が分かります。
「事務連絡」には記載がありませんが、厚生労働省のウェブページ『医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について』の『3.本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項』において、以下の健康保険証上のQRコードの取扱いについての記載がなされました。

『※被保険者証等にQRコードがある場合について、そのQRコードを読み取ると2.の記号・番号等がわかるものについては、2.の記号・番号等同様にマスキングを施す必要があります』

これにより、2020年10月以降に金融機関等が本人確認書類として受領した健康保険証に、QRコードで記号・番号等がわかるものについては、QRコードをマスキングすることが必要となりましたのでご留意ください。

なお、QRコードに関する株式会社デンソーウェーブのFAQによれば、商標利用しない場合であっても、登録商標文の記載を求めていることから、「※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です」といった記載をした方がよいと思われます(商用利用でない場合に商標権侵害とまで言えるかは疑問がありますが・・・)。このような登録商標文を記載したくないのであれば、「二次元バーコード」といった言葉を代わりに用いることも考えられます。

7.確認記録への記録事項
 犯収法では確認記録に「記号番号その他の当該本人確認書類又は補完書類を特定するに足りる事項」(犯収法施行規則20条1項11号)を記録することが求められます。
 この点、健康保険証については、今後は「被保険者等記号・番号等」を確認記録に記録することが許されなくなるので、代わりに何を記録すればよいか問題となります。
 この点、同様に告知要求制限が設けられている国民年金手帳の基礎年金番号(国民年金法108条の4)については、基礎年金番号以外の事項(例えば、交付年月日等の国民年金手帳に記載されている事項)を記載することとされています。
 この取扱いを参考にすると、健康保険証の「保険者名称」「交付年月日」を記録することが考えられます。

渡邉雅之弁護士が執筆した『令和2年個人情報保護法Q&A〜改正の背景から法改正内容まで〜』(第一法規)が出版されました。

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Zoomウェビナー(100名限定)『2020年改正個人情報保護法を一挙解説!(仮名加工情報・Cookie・IPアドレス等の取扱いから保有個人データの取扱いの強化まで)』

Zoom無料セミナー:渡邉雅之弁護士が2020年10月20日(火)午後2時(午後4時まで)より『2020年改正個人情報保護法を一挙解説!』と題するZoomセミナー(ウェビナー)を行います。(※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するセミナーであることにご留意ください。)

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※Youtubeで同時配信する予定です(URLはこちらです。)。

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「改正個人情報保護法Q&A(2020年8月21日全面改訂版)」を作成いたしましたのでご覧ください。
Q&A改正個人情報保護法(2020年8月21日全面改訂版)

【セミナーの概要】
2020年改正個人情報保護法について一挙に解説します。

第1.改正の経緯
 1.個人情報保護委員会の中間整理・制度改正大綱
 2.リクナビ問題
 3.改正法施行のロードマップ(施行期日、政令・委員会規則・ガイドラインの公表時期)

第2.個人関連情報の提供制限・Cookie等のオンライン識別子の取扱い
 1.改正法の内容(改正26条の2):提供先の第三者が同意を取得・提供元がそれを確認
    ※同意の方法は明示的な方法が求められる。 ※確認の方法は報告・申告を受ける方法
 2.日本版Cookieポリシーはどうなる?
 3.JIAA(日本インタラクティブ広告協会)のガイドラインでの対応はどうなる?
 4.GDPR・CCPAにおけるクッキーポリシーとの比較

第3.適正な利用義務(改正16条の2)※リクナビ問題・どのような場面が問題?

第4.仮名加工情報
 1.創設の背景
 2.個人情報・非個人情報に該当するものあり。
 3.匿名加工情報との違い
 4.削除等情報が漏えいした場合の対応
 5.仮名加工情報の第三者提供は禁止・内部利用原則(個人データとして提供可能)
 6.実際使いますか?(開示等請求が免除されるだけ)

第5.個人データの漏えい等報告の義務化
 1.対象事案(一定数以上の大規模漏えい、要配慮個人情報・不正アクセス等による漏えい)
 2.速報・確報
 3.本人への通知
 4.金融分野事業者は対応緩和されるか?

第6.オプトアウトの厳格化(対象限定・届出対象事項の追加・確認記録の開示義務化)

第7.保有個人情報の対応強化(事業者にとっては一番影響)
 1.短期保有データの適用除外廃止
 2.開示請求のデジタル化
 3.利用停止等の要件緩和

第8.越境データの移転
 1.外国にある第三者への提供の際の情報提供の充実
 2.域外適用の実効化

第9.罰則の強化(課徴金無理なことのバーター)
 1.委員会による命令違反・委員会に対する虚偽報告等の法定刑の引き上げ
   _1年以下の懲役・100万円以下の罰金
 2.データベース等不提供罪・委員会による命令違反の罰金について、法人に対して罰金刑を引き上げ(法人重科)

第10.新型コロナ対応
 1.委員会ガイドラインの改正(名刺の取扱い)
 2.接触確認アプリ

渡邉雅之弁護士が執筆した『改正個人情報保護法~個人情報保護のあり方[最終回(第3回)]:個人情報を取り巻く環境と今後の展望』が地銀協月報2020年9月号(一般社団法人全国地方銀行協会)に掲載されました。

渡邉雅之弁護士が執筆した『改正個人情報保護法~個人情報保護のあり方[最終回(第3回)]:個人情報を取り巻く環境と今後の展望』が地銀協月報2020年9月号(一般社団法人全国地方銀行協会)に掲載されました。

Zoom無料セミナー(100名限定):2020年10月26日(月)午後6時より『GDPR:EU加盟国の監督当局による制裁事案を分析』と題するZoomセミナー(ウェビナー)を行います。

Zoom無料セミナー(100名限定):2020年10月26日(月)午後6時より『GDPR:EU加盟国の監督当局による制裁事案を分析』と題するZoomセミナー(ウェビナー)を行います。

Peatixのページにてお申込みください。

【プログラム】
2017年5月25日にGDPR(EU一般データ保護規則)が施行後、EU加盟国の監督当局による行政処分(制裁)事案が多数、European Data Protection Board(EDPB)により公表されています。
本ウェビナーでは各行政処分(制裁)事案について分析し、GDPRにおいて、管理者・取扱者となる企業が留意すべきポイントについて分析いたします。

※事務所主催のセミナーではなく、渡邉雅之弁護士が個人で開催するウェビナーであることにご留意ください。
※Youtubeで同時配信する予定です(URLはこちらです。)。あたらしい法律情報_弁護士:渡邉雅之のライブ配信
※レジュメは終了後、本ウェブページに掲載予定です。

※個人情報の保護について
利用目的:�@セミナーへの招待、�A質疑への回答、�B今後の営業活動、�Cサービスの向上
安全管理:事務所のデスクトップパソコンにのみご参加者の個人情報を保管いたします。

セミナー資料『本人確認の実務を再確認!(今問題となっている口座振替による本人確認からeKYCまで)』を掲載いたします。

2020年9月29日(火)に実施した『本人確認の実務を再確認!(今問題となっている口座振替による本人確認からeKYCまで)』のセミナー資料を掲載いたします。

セミナー資料(2020年10月15日修正)

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執筆者:渡邉雅之

本セミナー資料に関するご相談等がありましたら、下記にご連絡ください。

弁護士法人三宅法律事務所

弁護士渡邉雅之
03-5288-1021

Email: m-watanabe@miyake.gr.jp

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10/22無料オンラインセミナー「2021株主総会Web配信に向けた論点整理」

            無料オンラインセミナー              
        ≪2021株主総会Web配信に向けた論点整理≫
◆ 日時 2020年10月22日(木) 午後2時〜4時 ※配信はZoomを利用します。
◆ 主催 弁護士法人三宅法律事務所  
◆ 内容 第1部 2021株主総会Web配信に向けた論点整理
     弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 井上真一郎
     ・2020年6月総会の振り返り
     ・ハイブリッド型バーチャル株主総会ついて
     ・WEB配信にあたっての論点整理
        ・招集通知の記載、事前質問、事後配信など
        ・株主の肖像権、プライバシー等への配慮
        ・Web配信に伴う通信障害等のリスク
     ・2019年改正会社法(株主総会資料の電子提供制度)との親和性
     第2部 株主総会Web配信に向けたロードマップ
     宝印刷株式会社 コーポレート・リレーションズ支援部 桜井冬天
◆お申込み https://ssl.alpha-prm.jp/miyakemail.jp/kabunushisoukai.html
      申込期日:10月16日(金)までにお申し込みください。
      (1)お申し込み後、10/19〜21に登録メールが届きますので、ご登録をお願いします。
      (2)登録後、セミナー受講招待メールが届きます。
         メール内リンク先よりセミナー受講画面にお進みください。

 2020年6月株主総会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの新しい課題が表面化しました。中でも、2020年2月に経済産業省が公表した「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」において整理されたバーチャル株主総会は、コロナ下における株主総会の在り方として大きく注目されました。  
 本セミナーは、コロナ下での2021年の株主総会準備に向けて、第1部において、バーチャル株主総会に関する法的論点を改めて簡潔に整理しご紹介した上で、2021年には出席型または参加型の導入までは至らずともまずはWeb配信を検討したいと考える場合に注意すべき論点などを整理します。
 さらに第2部では、宝印刷株式会社から、Web配信に向けた具体的なロードマップをご紹介いたします。

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