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【速報】小売・外食企業に影響を与えるプラスチック使用製品の使用の合理化

2021/08/24

 令和3年通常国会で成立・公布(令和3年法律第60号、令和4年4月1日施行予定)された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に関して、令和3年8月23日に開催された『産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 中央環境審議会 循環型社会部会 プラスチック資源循環小委員会 合同会議(第10回)』において、「政省令・告示の方向性」が示されました。
以下においては、小売・外食企業に特に影響のある「特定プラスチック使用製品提供事業者」の講ずべき事項について説明いたします。

出所:産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 中央環境審議会 循環型社会部会 プラスチック資源循環小委員会 合同会議(第10回)の「資料1 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の政省令・告示について」

1.事業者の判断の基準となるべき事項(法28条1項)
 主務大臣は、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するため、主務省令で、その事業において「特定プラスチック使用製品」を提供する事業者(フランチャイジーを有するフランチャイザー(加盟店)(※)を含む)(「特定プラスチック使用製品提供事業者」)が特定プラスチック使用製品の使用の合理化によりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するために取り組むべき措置に関し、当該特定プラスチック使用製品提供事業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。
(※)法律上、フランチャイザーは「定型的な約款による契約に基づき、当該業種に属する事業を行う者に特定の商標、商号その他の表示を使用させ、商品の販売又は役務の提供に関する方法を指定し、かつ、継続的に経営に関する指導を行う事業を行う者」と定義されている。

(1)特定プラスチック使用製品【政令事項】
 商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品のうち、提供量が多く使用の合理化の取組によってプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制が見こまれる観点、過剰な使用の削減を促すべき観点、代替素材への転換を促す観点等から、以下を指定する。
〇主としてプラスチック製のフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、櫛、剃刀、シャワー用のキャップ、歯刷子、ハンガー、衣類用のカバー

(2)特定プラスチック使用製品提供事業者の業種【政令事項】
 特定プラスチック使用製品の提供量が多く、使用の合理化を行うことが特に必要な業種として、以下を指定する。(主たる事業が下記の業種に該当しなくても、事業活動の一部で下記の業種に属する事業を行っている場合には、その事業の範囲で対象となる。)
・各種商品小売業、各種食料品小売業、その他の飲食料品小売業、無店舗小売業、宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、洗濯業

(3)判断の基準【主務省令事項】
�@目標の設定:
 事業において提供する特定プラスチック使用製品の使用の合理化に関する目標を定め、これを達成するための取組を計画的に行うものとする。

�A特定プラスチック使用製品の使用の合理化:
 次に掲げる取組その他の特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組のうち、使用の合理化のために業種や業態の実態に応じて有効な取組を選択し、設定した目標の達成に向けて当該取組を行うことにより、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するものとする。

【提供方法の工夫】
・消費者にその提供する特定プラスチック使用製品を有償で提供すること
・消費者が商品を購入し又は役務の提供を受ける際にその提供する特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供(ポイント還元等)すること
・提供する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認すること
・提供する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促すこと

【提供する特定プラスチック使用製品の工夫】
・薄肉化又は軽量化等の特定プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類(再生可能資源、再生プラスチック等)について工夫された特定プラスチック使用製品を提供すること
・商品又はサービスに応じて適切な寸法の特定プラスチック使用製品を提供すること
・繰り返し使用が可能な製品を提供すること

�B情報の提供:
 消費者によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制を促進するための情報等について、以下の方法又はその他の措置を講ずることにより情報提供する。
・店頭又はウェブサイトにおいてプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に資する事項について掲示又は情報発信すること
・提供する特定プラスチック使用製品にプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制の重要性についての表示を付すこと

�C体制の整備等:
 特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組に関する責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、その従業員に対し、特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組に関する研修を実施する等の措置を講ずるものとする。

�D安全性等の配慮:
 安全性、機能性その他の必要な事情に配慮するものとする。

�E特定プラスチック使用製品の使用の合理化の実施状況の把握等:
 提供した量並びに特定プラスチック使用製品の使用の合理化のために実施した取組及びその効果を適切に把握し、情報を公開するよう努めるものとする。

�F関係者との連携:
 国、関係地方公共団体、消費者、関係団体及び関係事業者との連携を図るよう配慮するものとする。その際、必要に応じて取引先の協力を求めることとする。
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2.基準の策定・必要な改定(法28条2項〜4項)
 「事業者の判断の基準となるべき事項」(上記1)は、基本方針に即し、かつ、特定プラスチック使用製品の使用の合理化の状況、特定プラスチック使用製品の使用の合理化に関する技術水準その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。(法28条2項)
主務大臣は、「事業者の判断の基準となるべき事項」を定め、又はその改定をしようとするときは、あらかじめ、環境大臣に協議しなければならない。(法28条3項)
 主務大臣は、「事業者の判断の基準となるべき事項」を定め、又はその改定をしたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。(法28条4項)
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3.指導及び助言(法29条)
 主務大臣は、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するため必要があると認めるときは、特定プラスチック使用製品提供事業者に対し、「事業者の判断の基準となるべき事項」(上記1)を勘案して、特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制について必要な指導及び助言をすることができる。
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4.勧告及び命令(法30条)
(1)特定プラスチック使用製品多量提供事業者への勧告・命令(法30条1項)
 主務大臣は、特定プラスチック使用製品提供事業者であって、その事業において提供する「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」の特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制の状況が「事業者の判断の基準となるべき事項」に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」に対し、その判断の根拠を示して、特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
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※「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」の要件【政令事項】
 使用の合理化の取組を促す必要性・実効性・事業規模などを勘案し、多量提供事業者の要件を以下のとおり規定する。
・当該年度の前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上であること
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(2)フランチャイザーにおける加盟店の提供する特定プラスチック使用製品の量の勘案(法30条2項)
 上記1の「特定プラスチック使用製品の量」(=当該年度の前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上)には、フランチャイジー(加盟店)の事業において提供する特定プラスチック使用製品の量を含む。
※省令において、加盟者の約款の定めについて本部事業者からの指示、助言を受けることその他所要の規定を定めることとされている。
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(3)勧告に従わなかった特定プラスチック使用製品多量提供事業者の公表(法30条3項)
 主務大臣は、上記(1)の勧告を受けた特定プラスチック使用製品多量提供事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
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(4)措置命令(法30条4項、62条、66条)
 主務大臣は、上記(1)の勧告を受けた特定プラスチック使用製品多量提供事業者が、上記(3)の勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制を著しく害すると認めるときは、審議会等で政令で定めるものの意見を聴いて、当該特定プラスチック使用製品多量提供事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
 措置命令違反の特定プラスチック使用製品多量提供事業者には、当該違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処せられる(法62条)。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、当該違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。(法66条)

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執筆者:渡邉雅之
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