【動画解説・動画資料】消費者契約法アップデート 中間取りまとめとパブリックコメント~配慮規定・契約からの解放手段・サブスクの解約・解約料
【動画解説】消費者契約法アップデート 中間取りまとめとパブリックコメント~配慮規定・契約からの解放手段・サブスクの解約・解約料(外部YouTube)
【動画資料】消費者契約法アップデート 中間取りまとめとパブリックコメント~配慮規定・契約からの解放手段・サブスクの解約・解約料(PDFファイル)
【お問い合わせ】
本件に関するご相談は、弁護士法人三宅法律事務所 弁護士 渡邉雅之(TEL 03-5288-1021/m-watanabe@miyake.gr.jp)までお願いいたします。
※本動画及び資料は、2026年9月10日に公表された消費者庁「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」中間取りまとめに基づき、消費者契約法の見直しの方向性を整理したものです。同中間取りまとめは法案ではなく、今後の法制的な検討の過程で内容が変更され得ます。
【説明】
令和8年9月10日、消費者庁「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」(座長:山本隆司教授)の中間取りまとめが公表されました。令和4年改正の際の衆参両院の附帯決議を出発点として、有識者懇談会、解約料研究会、消費者委員会パラダイムシフト専門調査会という3段階の検討を経て、検討会9回・ワーキンググループ8回を重ねた到達点です。
そして令和8年9月16日から、同中間取りまとめについてのパブリックコメントが始まりました。締切は10月31日です。意見公募要領には「法制的な検討に先立ち」と明記されており、条文の骨格が固まる前に事業者が意見を述べ得る段階にあります。
本動画では、中間取りまとめの5つの柱を、条文に即して解説します。具体的には、
・令和4年改正附帯決議から中間取りまとめまでの経緯と、パラダイムシフトという前提
・「脆弱な消費者」ではなく「消費者の脆弱性」― 類型的・属性的、限定合理性、状況的の3類型
・配慮規定(プリンシプル)の新設 ― 取消権(法4条)・不当条項の無効(法8条〜10条)では対応しきれない理由
・配慮の二層構造 ― 「配慮しなければならない」層と「配慮する努力を促す」層
・生活の現状の著しい悪化の回避と、扶養親族の範囲(民法877条〜880条)
・事業者の把握可能性 ― 積極的な調査は不要だが、知り得た事情はどう扱われるか
・指針と官民協議会 ― 事業者・事業者団体が指針策定に参画する意義
・取引基盤提供者・決済事業者・広告提供者への広がりと、アテンション・エコノミー
・新たな解除権 ― ワーキンググループの3要件案から「深刻な結果」+「事業者の認識」への絞り込み
・既存の業法・実務との重複整理 ― 金商法40条1号、保険業法294条の2、貸金業法13条・13条の2、割賦販売法30条の2との関係
・継続的契約(サブスク)の規律 ― 解約妨害の禁止、合理的な離脱方法、自動更新の事前通知、消費者死亡時の対応手順
・定型約款の重要変更時の個別通知義務(民法548条の4第1項2号との関係)
・諸外国の動向 ― 米FTCのClick-to-Cancel規則の顛末、EUデジタル公正法、ドイツ民法312k条の解約ボタン
・「解約料」― 法9条1項1号の3つの課題、A案・B案・折衷案、そして説明責任の強化へ
・目的規定の見直しと、パブリックコメントへの意見提出の実務
を整理します。
本動画で最もお伝えしたいのは、規律の強度が3層に分かれているという点です。明確な義務となるのは定型約款の重要変更時の個別通知。禁止された上で適格消費者団体の差止請求の対象となるのが解約妨害。そしてそれ以外の大半は、努力義務ないし配慮にとどまります。
「すべてが義務になる」という受け止め方は、社内での過剰反応を招きます。他方で、差止の対象となる解約妨害は、個別の消費者との紛争ではなく仕組みそのものを止められ得るという点で、実務上のインパクトが大きい規律です。この濃淡を正確に伝えることが、法務部門の最初の仕事になります。
もう一点、着手の時期についてです。「解約導線の点検」「約款変更の通知設計」「解約料の説明」の3つは、現行法の下でも法3条1項2号・4号、9条2項、12条の4の努力義務と整合する取組であり、条文化を待つ必要がありません。むしろ実務を棚卸ししてはじめて、自社の業態において機能しない規律が見えてきます。点検が先、意見提出が後という順序でも、10月31日には十分間に合います。
なお、同日の令和8年9月10日には「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の中間取りまとめも公表され、こちらも9月16日から10月31日までパブリックコメントに付されています(案件番号235060029、所管は消費者庁取引対策課)。チャット等による勧誘規制、ダークパターン、解約手続妨害などを含む内容であり、別途取り上げる予定です。所管課が異なるため提出先も別である点にご注意ください。
【主な参照資料】
・消費者庁「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会 中間取りまとめ」(令和8年9月10日)
・同検討会ワーキンググループ「論点整理」(令和8年5月)
・消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会 中間取りまとめ」(令和8年9月10日)
・消費者委員会「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」報告書(令和7年7月・座長:沖野眞己教授)
・消費者庁「解約料の実態に関する研究会 議論の整理」(令和6年12月・座長:丸山絵美子教授)
・消費者庁「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会 議論の整理」(令和5年7月)
・第5期消費者基本計画(令和7年3月18日閣議決定)
・最高裁令和7年12月23日第三小法廷判決(令和6年(受)第204号)
・消費者契約法(平成12年法律第61号)、民法(明治29年法律第89号)、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)
・e-Govパブリックコメント(案件番号235030052・235060029/令和8年9月16日公示・令和8年10月31日締切)
・出典ページ:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/meeting_materials/review_meeting_006/
※個別案件については、取り扱う契約の類型、顧客層、解約条件、約款変更の実務、広告・申込画面の設計等を踏まえた検討が必要です。