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【動画解説・動画資料】BO新法で何が変わるのか 法人等の実質的支配者(BO)に係る情報の把握等に関する有識者会議(第1回)を読む~FATF第4次対日相互審査の宿題と第5次審査対応

2026/09/26

【動画解説】BO新法で何が変わるのか 法人等の実質的支配者(BO)に係る情報の把握等に関する有識者会議(第1回)を読む~FATF第4次対日相互審査の宿題と第5次審査対応(外部YouTube)
【動画資料】BO新法で何が変わるのか 法人等の実質的支配者(BO)に係る情報の把握等に関する有識者会議(第1回)を読む~FATF第4次対日相互審査の宿題と第5次審査対応(PDFファイル)

【お問い合わせ】
本件に関するご相談は、弁護士法人三宅法律事務所 弁護士 渡邉雅之(TEL 03-5288-1021/m-watanabe@miyake.gr.jp)までお願いいたします。

※本動画及び資料は、2026年9月24日に開催された内閣官房「法人等の実質的支配者(BO)に係る情報の把握等に関する有識者会議」(第1回)の配布資料(資料1〜6)等、2026年9月26日時点で公表されている資料に基づき、制度案と論点を整理したものです。制度案は検討段階のものであり、法案ではありません。今後の議論の過程で内容が変更され得ます。資料中のクイズの会社は架空のものです。

【説明】
BOとは、Beneficial Owner(ビネフィシャル・オーナー)の略です。日本語では「実質的支配者」といい、犯罪収益移転防止法(犯収法)で用いられている用語です。

2026年9月24日、内閣官房で「法人等の実質的支配者(BO)に係る情報の把握等に関する有識者会議」の第1回会合が開催されました。示された制度案は、上場企業等を除く全ての内国法人に、実質的支配者の情報を把握させ、公的登録機関へ届け出させるというものです。BOの定義は、資本多数決法人の場合、総議決権の25%超を直接又は間接に有する自然人等が検討されています。届出を行わない法人には、催告、過料(悪質な虚偽届出には刑事罰)を経て、届出期限から3年間届出をしない場合に登記の閉鎖等の措置を講ずることが検討されています。

現行の犯収法でも、銀行等の特定事業者は、法人顧客との取引に際して実質的支配者の本人特定事項を確認しなければなりません(犯収法4条1項4号)。しかし、次のような限界があります。
・日本の登記簿(登記事項証明書)には株主の記載がありません。
・法律上は、代表者等からの申告を受ける方法で足ります(同法施行規則11条1項)。
・2022年に始まった実質的支配者リスト制度は任意にすぎません。
そのため実務上は、金融機関が法人税確定申告書の別表二(同族会社等の判定に関する明細書)や株主名簿の提出を求めて確認しているのが実情です。

なお、上場会社等は犯収法上の「国等」に該当し、会社自体の実質的支配者の確認は求められません(同法4条5項、同法施行令14条)。上場会社の株主構成は、有価証券報告書の「大株主の状況」や大量保有報告制度(金融商品取引法27条の23)によって把握できるためです。裏を返せば、非上場会社の株主は会社の外からは見えません。この空白を埋めるのがBO新法です。

制度整備の直接の背景には、FATFの第4次対日相互審査報告書(2021年8月30日公表)があります。同報告書の評価は次のとおりでした。
・勧告24(法人の透明性と実質的支配者):一部適合(PC)
・勧告25(法的取極めの透明性と実質的支配者):一部適合(PC)
・直接的効果5(法人・法的取極めの悪用防止):中程度(ME)
日本は重点フォローアップ国とされました。その後のフォローアップで法令等整備の評価は回復しましたが、有効性の評価は残された課題です。2028年夏頃に予定される第5次対日相互審査に向けて、2022年3月改訂の勧告24が求める「多面的アプローチ」への対応が迫られています。G7の中でBO情報の届出制度がないのは日本だけです。

本動画では、第1回会議の資料1〜6を一気に読み解きます。「議決権を25%ずつ持つ4人家族の会社のBOは誰か」というクイズから入り、図解で具体的に解説します。主な内容は次のとおりです。

・基礎知識
 - BO(Beneficial Owner)=実質的支配者の意味と判定の順序(犯収法施行規則11条2項1号〜4号)
 - 上場会社等を「自然人とみなす」ルール(同条4項)
・現行の確認実務
 - 登記簿に株主の記載がないこと
 - 申告による確認(同条1項)と、ハイリスク取引での書類確認(犯収法4条2項、同法施行規則14条3項)
 - 実質的支配者リスト制度(任意)
 - 法人税確定申告書別表二による裏付け
 - 上場会社等の取扱い(「国等」、有価証券報告書、大量保有報告制度)
・FATF第4次対日相互審査報告書の評価と、BO関連の優先行動(a・j・k)
・第4次審査の宿題への対応
 - 2021年8月の行動計画
 - 実質的支配者リスト制度(2022年1月31日運用開始)
 - 第2回(2023年10月)・第3回(2024年10月)フォローアップ報告での勧告24・25の再評価
 - 「代替手段」路線から「登録制度」路線への転換
・第5次対日相互審査
 - 改訂勧告24(2022年3月)・勧告25(2023年)
 - 有効性中心の審査への移行
 - FATFの要請と制度案の対応関係
・国内の必要性:トクリュウによる約500社・約4,000口座の悪用事例と、現行制度との違い
・BO新法(法人)の制度案
 - 対象:上場企業等を除く全ての内国法人、一部の外国法人
 - 届出情報:氏名・住所・生年月日・国籍
 - BOの定義:25%超。間接保有の考え方と「50%超除外」の論点(犯収法施行規則11条2項・3項)
 - 届出の方法・期間:特定事業者による代理提出
 - 履行確保:催告、過料、刑事罰、3年での登記閉鎖等。会社法472条(休眠会社のみなし解散)との比較
 - 閲覧:行政機関、特定事業者(同意)。通報義務も検討
・信託と土地
 - 受託者による「信託関係当事者」の把握・保存義務と、家族信託の取扱い
 - 土地等所有外国法人の届出、内国法人の議決権25%超取得時の変更届出
・各界の意見と4つの論点(日本商工会議所・東京商工会議所、全国中小企業団体中央会、太田洋委員、根本直子委員)
 - 論点①:「25%超」か「25%以上」か(EU AML規則(Regulation (EU) 2024/1624)との比較)
 - 論点②:閲覧の範囲と個人情報保護(EU司法裁判所2022年11月22日判決、個人情報保護法61条1項・69条)
 - 論点③:登記閉鎖「3年」の是非
 - 論点④:中小企業の「うちの株主、本当は誰?」問題(会社法128条1項・215条4項・332条2項)
・推進側の視点:AML/CFT・経済安全保障、ウルフパック、フェニックス企業、許認可行政
・海外比較:ドイツ、英国、シンガポール、EU、米国(CTAの2025年3月暫定最終規則)
・実務対応
 - 施行を待たずに始める5つの準備
 - M&A・取引先DD
 - 金融機関・士業の代理届出とCDDの接続

本動画で最もお伝えしたいのは、BO新法の本質が「支配の見える化」にあるという点です。
・任意の実質的支配者リスト制度から、罰則付きの義務へ変わります。
・金融機関による取引時の「申告」確認から、法人自身による公的機関への届出へ変わります。
・「誰が支配しているか」を説明できない会社そのものが、リスクになります。

中小企業では、次のような会社で注意が必要です。
・株券を発行していない会社
・株券を交付しないまま株式を譲渡した会社
・取締役の任期を10年として長期間登記を変更していない会社
こうした会社では、届出をきっかけに、同族間の支配権の認識の違いが表面化するおそれがあります。施行までの期間は約1年と短いとの指摘もあります(日本商工会議所・東京商工会議所意見)。自社の支配構造を、登記簿ではなく「実質」で説明できるよう、株主名簿の総点検から準備を始めることが重要です。

【主な参照資料】
・内閣官房「法人等の実質的支配者(BO)に係る情報の把握等に関する有識者会議」第1回(2026年9月24日)議事次第・資料1〜6
 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/beneficial_ownership/dai1/gijishidai.html
 資料1 開催について(令和8年9月14日 内閣官房長官決裁)
 資料2 内閣官房 法人等の実質的支配者情報関係制度準備室 資料
 資料3 日本商工会議所・東京商工会議所 意見
 資料4 全国中小企業団体中央会 意見
 資料5 太田洋委員 意見
 資料6 根本直子委員 意見
・FATF「Mutual Evaluation Report of Japan」(2021年8月30日公表)・財務省仮訳
・FATF第2回(2023年10月)・第3回(2024年10月)フォローアップ報告
・マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2021年8月)・同(2024-2026年度)
・FATF勧告24(2022年3月改訂)・勧告25(2023年改訂)及び解釈ノート
・経済財政運営と改革の基本方針2026(2026年7月21日閣議決定)
・詐欺及びストーカー被害拡大防止のための緊急対策(2026年7月28日)
・外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策(2026年1月23日)
・法務省「実質的支配者リスト制度」(商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則)
・経済産業省「企業買収における行動指針」(2023年8月31日)
・Regulation (EU) 2024/1624(EU AML規則)
・EU司法裁判所2022年11月22日判決(C-37/20・C-601/20)
・犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項4号・2項・5項・6項、6条、同法施行令14条、同法施行規則11条1項〜4項・14条3項
・金融商品取引法24条、27条の23
・会社法121条、128条1項、215条4項、332条2項、472条
・個人情報の保護に関する法律61条1項、69条

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