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【動画解説・動画資料】最近の公取委勧告事例から読み解く取適法対応の実務~差し引いた1.1%は、どこへ行ったのか

2026/09/12

【動画解説・動画資料】最近の公取委勧告事例から読み解く取適法対応の実務~差し引いた1.1%は、どこへ行ったのか

【動画解説】最近の公取委勧告事例から読み解く取適法対応の実務~差し引いた1.1%は、どこへ行ったのか(外部YouTube)

【動画資料】最近の公取委勧告事例から読み解く取適法対応の実務~自社の帳簿に現れない違反を、どう見つけるか(PDFファイル)

【お問い合わせ】
本件に関するご相談は、弁護士法人三宅法律事務所 弁護士 渡邉雅之(TEL 03-5288-1021/m-watanabe@miyake.gr.jp)までお願いいたします。

※本動画及び資料は、公正取引委員会が2026年9月9日に公表した勧告事例その他の公表資料に基づき、中小受託取引適正化法(取適法)への実務対応について整理したものです。特定の事業者の対応を批判することを目的とするものではなく、公表事例から、発注者・委託事業者一般に共通する法的・実務的なリスク及び内部統制上の留意点を検討しています。

【主な参照資料】

・公正取引委員会「株式会社トリドールホールディングスに対する勧告について」(2026年9月9日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/sep/260909_toridollholdings.html

・公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」(令和7年11月)

・公正取引委員会「中小受託取引適正化法に関する運用基準」(令和7年10月1日)

・製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)

【説明】

今回は、「最近の公取委勧告事例から読み解く取適法対応の実務~差し引いた1.1%は、どこへ行ったのか」をご案内いたします。

公正取引委員会は2026年9月9日、外食チェーンを展開する上場会社に対し、中小受託事業者に支払う製造委託等代金を減額していたとして勧告を行いました。

公表資料によれば、本件では、発注者と卸売業者との間で、卸売業者が発注者に受発注機能等を有する情報システムを無償で利用させる一方、「システム利用料」の名目で受注者から代金の1.1%相当額を徴収し、その一部を発注者に支払う仕組みが設けられていました。

本件の重要なポイントは、単に「代金から1.1%を差し引いた」ということだけではありません。

差引きを実際に行っていたのは、発注者自身ではなく、取引の間に入っていた卸売業者でした。発注者は卸売業者に対して製造委託等代金に相当する額を支払っているため、発注者自身の支払データや帳簿だけを確認しても、「減額」は容易には見えてきません。

それにもかかわらず、製品の仕様、受注者の選定及び代金額等を実質的に決定していたのが発注者である場合には、発注書や契約の名義だけではなく、実際に「誰が何を決めたのか」という取引の実態から、取適法上の委託事業者性が判断されます。

本動画解説・動画資料では、この勧告事例を素材として、特に次の3つの観点から取適法対応を整理しています。

第1は、「自社の帳簿に映らない違反」をどのように発見するかです。

商社、卸売業者、購買代行会社、受発注プラットフォーム、決済代行会社等が取引の間に入っている場合、自社の出金データには問題が現れないことがあります。そのため、自社がいくら支払ったかだけではなく、取引先である中小受託事業者が実際にいくら受け取ったのかを確認するという視点が重要になります。

特に、約定した代金額と受注者の実際の入金額に差がある場合には、その差額を誰が生じさせたのか、その金額が最終的にどこに帰属しているのかまで確認する必要があります。

第2は、商社や卸売業者等を介在させれば取適法上の責任を免れるわけではないという点です。

取適法上の「委託」は、契約書や発注書の名義だけではなく、給付の仕様・内容等を誰が指定し、受託事業者を誰が選定し、代金額を誰が決定したのかという実態から判断されます。

そのため、本部一括購買、共同購買、購買代行、BPO、商社を介した製造委託、プラットフォーム経由の取引、グループ会社経由の発注、決済代行を利用した支払等については、取引スキームを改めて確認する必要があります。

第3は、2026年1月に施行された取適法によって、違反を早期に発見・是正することの重要性が一段と高まったことです。

取適法では、中小受託事業者の責めに帰すべき理由なく製造委託等代金を減額した場合、減額分について年14.6%の遅延利息を支払う義務が定められています。本件は、この減額に対する遅延利息規定が適用された最初の勧告事例となりました。

したがって、「問題を指摘された段階で減額分を返せばよい」という従来型の対応では足りません。違反状態の発見が遅れるほど経済的負担が増加するため、早期発見の仕組みそのものがコンプライアンス上重要となります。

また、本件の勧告では、金銭の支払だけでなく、違反行為に該当することや今後同様の行為を行わないことについて、取締役会の決議による確認を行うこと、社内体制の整備、役員・従業員への周知、取引先への通知等も求められています。

取適法違反は、単なる担当部署の支払処理上の問題ではなく、最終的には取締役会・経営陣のガバナンスの問題になり得ることにも注意が必要です。

さらに本動画解説・動画資料では、「システム利用料」「振込手数料」「協賛金」「センターフィー」「販売促進費」「歩引き」「割戻金」等の名目にとらわれることなく、費用負担の適法性を検討するための実務上の視点として、

①その費用は本来誰が負担すべきものかという「費用の帰属」
②受注者が具体的にどのような便益を受けるのかという「対価性」
③利用しない選択肢等が確保されているかという「任意性」
④条件・算定根拠・徴収方法が事前に明らかになっているかという「透明性」

という4つの観点を整理しています。

あわせて、令和7年改正により新たに問題となる、価格協議に応じない一方的な代金決定の禁止、手形払等の禁止、特定運送委託及び従業員基準の追加についても解説しています。

企業の実務対応としては、まず、自社の支払データに存在する控除コードを洗い出すこと、次に、商社・卸売業者・プラットフォーム・決済代行会社等が介在する取引について受注者の実際の入金額を確認できる仕組みを整えること、さらに、問題が判明した場合には取締役会への報告・是正までを含む体制を構築することが重要です。

本件から得られる最も重要な教訓は、「自社がいくら支払ったか」だけを見るのではなく、「取引先が実際にいくら受け取ったか」を確認することです。

公表事例と同じ名称の手数料や利用料が自社に存在するかを探すだけでは十分ではありません。

重要なのは、「同じ名目がないか」ではなく、「同じ構造がないか」という観点から、自社の取引・契約・支払スキームを点検することです。

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