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業務提携と独占禁止法

2024/04/08

(執筆者:弁護士 福田泰親)

人口減少や少子高齢化などの社会構造の変化、地政学リスクや技術革新など、企業を取り巻く競争環境は、日々目まぐるしく変化しています。各企業は、このような状況の中で常に最善策を選択することを迫られており、その選択肢の一つとして、業務提携が幅広く用いられています。

業務提携は、事業活動の効率化等を目的に行われるものであり、かつ複数の企業が協働することによるシナジー効果が期待できます。他方で、業務提携契約では、相手方にただ乗りされないよう、権利・義務を明確に定め、互いの一定の行動を拘束する合意が盛り込まれることになります。
また、業務提携においては、合併や買収と異なり、必要な範囲の業務活動に限定して行われることが多いため、各当事者は引き続き独立して事業活動を行うことになります。また契約の満了や解除などにより、比較的容易に解消させるため、当事者間での一体化の程度は、合併や買収と比べて大きくありません。
このように、当事者が引き続き独立して競争していくことが予定されている中で、一定の業務活動について共同で行うという点に業務提携の特色があり、独禁法の問題もここから生じることになります。

独禁法は、「他の事業者と共同して…相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する」場合(独禁法2条6項)には、「不当な取引制限」の禁止に違反するとしています(独禁法第3条)。そのため、業務提携に係る合意又はこの合意にしたがって行われる共同事業が不当な取引制限に該当しないよう注意が必要です。

では、どのような業務提携が独禁法上の問題を生じさせるのでしょうか。
結論を先取りすると、業務提携の内容・形態は多種多様であるため、独禁法上の評価が難しいのが実情です。特に、複雑なスキームになればなるほど、独禁法上の評価が容易ではなく、当事者が意識せずに取り決めた内容が独禁法違反となるおそれもあります。
以下では、業務提携において不可欠となる情報交換・共有について、CPRCが公表している「業務提携に関する検討会報告書」(令和元年7月10日)に沿ってご説明します。

一般に、業務提携では、各当事者が自らの秘密情報(技術やノウハウなど)を持ち寄り、新たなビジネスやソリューションを検討・実施することになります。このような情報交換・共有を通じて、各当事者が単独では達成できない効率的な事業活動を実現することが可能となり、市場での競争をさらに促進する効果を有することになります。
しかしながら、秘密情報を交換・共有することは、互いの手の内をさらすことになりますので、相互の行動を予測しやすくなり、どのような条件を満たせば相互に歩調を合わせられるかについて、ある程度推測できるようになります。また、相互の行動を予測できるようになれば、他の当事者の抜け駆けを監視し、抜け駆けをした場合には制裁を加えることもできるようになります。このような状況の中では、コストをかけて切磋琢磨するよりも、互いに協調して行動することによって共同の利益を最大化し、その利益を分け合った方が、最終的に得られる利益が大きくなります。一般的に、プレイヤーが少ない寡占的な市場や需給の変動が少ない市場などでは、情報交換・共有により、協調的な行動が助長されるおそれが高まる傾向にあるといわれています。

したがって、業務提携において情報交換・共有を行う場合には、交換・共有される情報が当該業務提携を遂行する上で必要な範囲に限られているか、センシティブ情報(価格、数量、品質など)を交換・共有する必要がある場合には適切な取扱い方法(情報遮断措置)がとられているかなどを吟味する必要があります。情報遮断措置の具体例としては、部門間におけるファイアウォールの設置、業務提携に携わる担当者との秘密保持契約の締結、担当者以外からのアクセス制限などが挙げられます。

業務提携の中でも、たとえば共同出資会社の設立・取得であって、一定の要件を満たす場合には、公取委への事前届出が必要です。また、事前届出の要件を満たさない業務提携であっても、市場におけるシェアが大きい当事者間で業務提携を行う場合など、競争に与える影響が大きいと見込まれる場合には、公取委に事前相談することが有用です。

弊所は、独禁法に関する幅広いご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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