「媒介」と「媒介に至らない行為」の境界線― 「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)(銀行代理業関係等) ―(金融規制ニュース)(PDFファイル)
平素より大変お世話になっております。
金融庁は、令和8年7月30日、「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)を公表し、パブリックコメントに付しました(意見募集期限:令和8年8月31日18時00分。以下「本改正案」といいます。)。銀行等がAPI等を活用して他の事業者と連携して提供するサービスについて、①利用者に対する誤認防止のために必要な措置と、②連携事業者の行為の銀行代理業(媒介)該当性を明確化するものです。
本改正案の意義は、銀行代理業の許可要否にとどまりません。「媒介」と「媒介に至らない行為」の区分は、外国銀行代理業務、金融サービス仲介業、保険募集、金融商品仲介業、貸付けの媒介、さらには銀行のビジネスマッチング・顧客紹介業務にも共通する基幹的な論点であり、本改正案は、デジタルサービスにおける媒介該当性の判断要素を当局が初めて具体的に言語化したものとして、横断的な参照価値を有します。
本ニュースレターでは、本改正案の内容を条項ごとに整理するとともに、報酬面の判断軸を定める銀行法等ガイドライン(平成30年5月30日制定)との関係、保険募集該当性やビジネスマッチングへの示唆を併せて解説いたします。連携サービスの企画・画面設計・報酬設計の検証の参考としていただければ幸いです。
令和8年8月1日
弁護士法人三宅法律事務所
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金融規制ニュース
「媒介」と「媒介に至らない行為」の境界線
― 「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)(銀行代理業関係等) ―
| 【目次】 1 改正の概要 2 前提――現行の判断枠組み 3 改正①――媒介該当性の判断枠組み(Ⅷ-3-2-1-1(2)(注)【新設】) 4 改正②――許可不要行為(媒介に至らない行為)の具体化 5 改正③――API連携時の顧客の誤認防止措置(Ⅲ-3-4-1【新設】) 6 改正④――非対面の標識掲示・金融サービス仲介業 7 補論――報酬体系(銀行法等ガイドライン) 8 横断的意義――保険募集・ビジネスマッチングへの示唆 9 実務上のチェックポイント 10 おわりに |
本改正案の対象は、主要行等向け・中小・地域金融機関向け・系統金融機関向け・漁協系統信用事業の各総合的な監督指針及び金融サービス仲介業者向けの総合的な監督指針の5指針であり、内容は実質的に共通しています。パブリックコメント終了後、所要の手続を経て適用される予定であり、現時点ではなお確定した監督指針ではない点に留意が必要です。
| 【本改正案の核心】 金融機関のサービスを「そのまま通す」限り媒介に至らない可能性があるが、事業者が独自に情報を追加・加工し、推奨・説明し、契約締結に向けて顧客を動かせば媒介に該当し得る。 |
銀行代理業とは、銀行のために、①預金又は定期積金等の受入れ、②資金の貸付け又は手形の割引、③為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介を行う営業をいい(銀行法第2条第14項)、これを業として行うには内閣総理大臣の許可を要します(同法第52条の36第1項)。無許可営業は刑事罰の対象です。
現行の主要行等向け監督指針Ⅷ-3-2-1-1は、許可の要否について次の構造をとっています。
| 項 | 内容 |
| (1) 判断基準 | 預金等の受入れ等を内容とする契約の成立に向けた一連の行為における当該行為の位置付けを踏まえた上で総合的に判断する必要があり、一連の行為の一部のみを取り出して直ちに許可が不要であると判断することは適切でない。 |
| (2) 許可が必要 | ①勧誘/②勧誘を目的とした商品説明/③契約の締結に向けた条件交渉/④契約の申込みの受領(単なる申込書の受領・回収、誤記・記載漏れ・添付漏れの指摘のみを行う場合を除く)/⑤契約の承諾 |
| (3) 許可が不要 | ①「顧客のために」代理・媒介を行う場合/②媒介に至らない行為を銀行から受託して行う場合(イ.資料の配布等、ロ.申込書の受領・回収、ハ.説明会での一般的説明、ニ.勧誘を伴わない紹介)/③無人設備たるATMの設置のみを受託する場合 |
上記(2)の①~⑤の構造は、保険業法における保険募集の定義(保険会社向けの総合的な監督指針Ⅱ-4-2-1(1)①:ア.勧誘、イ.勧誘を目的とした保険商品の内容説明、ウ.申込の受領、エ.その他の保険契約の締結の代理又は媒介)とほぼ平仄が取られています。本改正案は、この(2)及び(3)②に手を入れるものです。
許可が必要である場合に(注)が新設され、媒介該当性は個別事例ごとに実態に即して実質的に判断する必要があるとした上で、インターネット上の表示等を用いる場合であっても、当該表示等を用いた上で特定の者に対して銀行との預金等の受入れ等を内容とする契約の締結に向けた「誘引行為」を行っていると評価できる場合には、当該インターネット上の表示等を含めた一連の行為が媒介に当たり得るとされました。
したがって、「ウェブサイトに掲載しただけ」「リンクを設定しただけ」「アプリから銀行画面に遷移させただけ」という形式だけで、当然に広告や単なる紹介に整理されるわけではありません。画面の表示方法、説明内容、顧客への働きかけ、その後の申込手続とのつながりを含めて判断されることとなり、オンライン完結型サービスにおいては、画面設計・導線設計そのものが媒介該当性の評価対象となります。
他方で、事業者が自らの固有サービスにおいて当該サービスの顧客を銀行に送客する場合(送客元のサービスに係る画面上で預金等の受入れ等の機会を提供する場合を含みます。)について、次の要件を満たす限り、媒介に至らない行為と考えられるとされました。
| 区分 | 内容 |
| 前提―― あらかじめ明示すべき事項 | ① 預金等の受入れ等を行う相手方が銀行であること ② 預金等の受入れ等に係る説明等が当該銀行により提供されるものであること |
| 禁止―― 事業者が独自に行わないこと | ① 預金等の受入れ等に係る情報の追加 ② 説明内容の加工 ③ 預金等の受入れ等の勧誘・推奨・説明 ④ 取引の成立に向けた条件交渉 |
要するに、銀行が用意したものを、加工せず、そのまま通す受動的なパイプに徹する限りは媒介に至らないが、事業者が自らの付加価値として情報を足す・加工する・勧める瞬間に媒介該当性が生じ得るという整理です。
| 項目 | 現行 | 改正案 |
| イ.資料の配布 | 商品案内チラシ・パンフレット・契約申込書等の単なる配布・交付 | 単なる配布又は交付若しくは提供(電磁的方法によるものを含む。) |
| イ.(注) | 配布又は交付する書類の記載方法等の説明をする場合には媒介に当たり得る | 配布又は交付若しくは提供する資料の記載方法・内容等の説明をする場合には媒介に当たり得る(+比較サイト等に関する記述を追加) |
| ニ.紹介(総論) | 「紹介」には以下の行為を含む | 「紹介」には以下の行為を含む(各行為の全部又は一部を組み合わせるものであったとしても「紹介」に含まれる場合がある。) |
| ニ b.関係等の説明 | 当該業者と金融機関の関係又は当該金融機関の業務内容について説明を行うこと | 対面又は当該業者のウェブサイト上等において、当該業者と金融機関の関係又は業務内容について説明を行うこと |
| ニ c.リンク設定 | 金融機関のサイトへの単なるリンクの設定のみを行い、契約の締結に至る交渉や手続は当該金融機関と顧客との間で行い、当該契約の締結に当たり当該業者は関与をもたないこと | 当該業者のウェブサイト上等において、リンクの設定や金融機関から提供を受けたサービス案内等のコンテンツの転載のみを行い〔以下同旨〕。ただし、当該リンクの設定や当該コンテンツの転載とあわせて、当該業者独自の見解として当該サービスを推奨・説明する場合には媒介に当たり得る。 |
商品情報の提供を主たる目的とするサービス(比較サイト等)について、次の整理が新設されました。
| 行為 | 評価 |
| 取扱金融機関から提供を受けた商品案内等のコンテンツを単にウェブサイトに転載する | 差し支えない |
| 加工したコンテンツを掲載する | 媒介に当たることがあり得る |
| 自らが推奨する商品のコンテンツが上位に表示されるようなデザインやアルゴリズムの仕組みを設ける | 媒介に当たることがあり得る |
表示順位を制御するアルゴリズムやUIデザインが媒介該当性の判断要素として明示された点は、比較サイト・ポータル運営事業者にとって極めて実務的な意味を持ちます。線引きは、「転載は可、論評は不可」と整理することができます。
意義規定(Ⅲ-3-4-1-1)が新設され、API等を通じた銀行、他の金融・非金融の事業者間の連携が強化される中で、顧客にとってシームレスに様々なサービスを利用することが可能となる一方、サービスの提供者、内容及び責任の所在等が理解しにくくなるおそれもあり、利便性と利用者保護の両立を図っていくことが重要となる旨が明記されました。主な着眼点(Ⅲ-3-4-1-2(2))は次のとおりです。
| 号 | 内容 |
| ① | 次の事項について情報提供・説明を行っているか――アプリ等の提供主体/銀行サービスの内容及び提供主体(当行名)/銀行と事業者の関係/事故時の対応等の責任・補償/問合せ先 |
| ① (なお書) | 「〇〇バンク」等の名称を付して提供される場合には、追加で次の3点―― イ.「〇〇バンク」等は、当該銀行と事業者等が連携して提供するサービスの名称であること ロ.預金の受入れ・送金・口座振替等の銀行サービスは当該銀行が提供しているものであり、これを利用する場合には、顧客は当該銀行に口座開設等をする必要があること ハ.事業者等の役割や責任のほか、当該事業者等が銀行サービスを行うことはできず、また、行うものではないこと |
| ② | ①の記載が、顧客が容易に知ることができる場所及び方法で顧客に対し明示されているか(約款の奥深くに記載するのみでは足りない) |
| ③ | 顧客情報の提供を受ける場合には、情報の受領者及び利用目的を明示するとともに、顧客情報が顧客の同意なく流用されることのないよう、Ⅲ-3-3-3を踏まえた対応が適切に講じられているか |
いわゆるネオバンク型サービスにおいて、事業者のブランド名を冠することにより生じる「顧客がどの主体と契約しているのか分からない」状態を、正面から規律するものです。
銀行代理業者による標識の掲示等(銀行法第52条の40、施行規則第34条の40、第34条の45第2項)について(注)が新設され、インターネット等の通信手段を利用した非対面の取引において銀行代理行為を行う旨を掲示する場合には、顧客の目につきやすいように、他の記載と判別しやすい色調やレイアウトを用いて説明することが適当であるとされました。デジタル完結型の銀行代理業においては、標識掲示義務の履行方法としてUI上の視認性が監督上の着眼点となります。なお、引用条項も「第34条の45第3項」から「第2項」に改められています。
| 箇所 | 内容 |
| Ⅴ-1-2-3(4) 【新設】 | API等を活用して銀行等と連携する場合の措置。利用時に顧客が容易に知ることができる場所及び方法で、アプリ等の提供主体・サービスの内容及び提供主体・預金等媒介業者と銀行等の関係・事故時の対応等の責任・補償・問合せ先等について情報提供・説明を行うこと。「〇〇バンク」等の名称使用時の3項目は、預金等媒介業者及び銀行等におけるアプリ等の双方において明示することが求められる。 |
| Ⅴ-2-1-1-1(2)(注)【新設】 | 登録が必要である場合につき、銀行代理業と同一の「誘引行為」基準及び送客に係る整理を規定(登録根拠は金融サービス提供法第12条)。 |
| Ⅴ-2-1-1-1(3)② | 登録が不要である場合につき、電磁的方法による資料提供の明示、記載「内容等」の説明、比較サイトのアルゴリズム、リンク設定+コンテンツ転載と独自見解による推奨・説明の区別など、銀行代理業と同旨の具体化。 |
本改正案には報酬に関する記述がありませんが、これは報酬が問題とされないことを意味しません。この点は、金融庁「銀行法等に関する留意事項について(銀行法等ガイドライン)」(平成30年5月30日制定。「銀行法施行令等の一部を改正する政令等(案)」に対するパブリックコメントの結果等・別紙8)の2-1及び2-2が既に整理しています。本改正案(行為態様の軸)と同ガイドライン(対価の軸)は、車の両輪として一体的に検討する必要があります。
| 項 | 要点 |
| 2-1 | 銀行法第2条第14項の「銀行のために」行う営業とは銀行から委託を受けて行うものを意味し、専ら「顧客又は利用者のためだけに」行う営業は含まれない。次の場合は銀行代理業に該当しない――①銀行からの直接又は間接的な委託に基づき、預金等の受入れ等を内容とする契約の締結の代理又は媒介に関与するものではない場合/②契約の条件の確定又は締結に関与する対価として、銀行から直接又は間接的に、名目のいかんにかかわらず経済的対価を受領するものではない場合 |
| 2-2 (前段) | 対価性は当該対価の名目ではなく、実質に着目して判断する。次の実質を有すると認められるものは、媒介の対価とは異なる――システム利用料(顧客等が銀行口座にアクセスできる状態の作成・維持の対価)/広告料/情報提供料等(顧客等の承諾を得た情報提供の対価)/顧客等からの手数料の代行徴収 |
| 2-2 (後段) | 経済的対価の算出方法が銀行取引の成約高(預金残高若しくは口座数、与信残高若しくは件数又は為替取引額若しくは件数など)に連動するとの事実は、当該経済的対価が銀行代理行為に係る契約の条件の確定又は締結に関与する対価であることを推認させる |
したがって、成功報酬型・成約高連動型の報酬を受領しながら「媒介に至らない単なる紹介である」と主張するには、この推認を覆す反証が必要となります。反証の柱としては、次のような整理が考えられます。
逆に言えば、「リンクを置いているだけ」と主張しながら、口座開設件数や融資実行額に連動した成功報酬を受領している場合、当該主張は当局に対して通りにくいといえます。比較サイトにおいてアフィリエイト報酬額と表示順位が相関している場合には、行為態様面(自ら推奨する商品の上位表示)と対価面(成約高連動)の双方から媒介該当性が基礎づけられることとなり、リスクは相当高いと考えられます。
| 論点 | 銀行代理業 | 保険募集(保険会社向け監督指針Ⅱ-4-2-1) |
| 中間概念 | 媒介に至らない行為 | 募集関連行為(従事者=募集関連行為従事者) |
| 判断軸 | 特定の者に対する契約締結に向けた誘引行為か(一連の行為から総合判断) | ①保険会社等からの報酬・資本関係等募集行為との一体性・連続性を推測させる事情、②具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであること |
| 単なる配布 | チラシ等の単なる配布・交付・提供(電磁的方法を含む)は許可不要 | 保険会社等の指示を受けて行う商品案内チラシの単なる配布は、保険募集・募集関連行為のいずれにも該当しない |
| 比較サイト | 転載は可/加工・推奨商品の上位表示アルゴリズムは媒介に当たり得る | 転載にとどまるものは募集関連行為/報酬を得て具体的な保険商品の推奨・説明を行う行為は保険募集に該当し得る |
| 報酬 | 銀行法等ガイドライン2-2:成約高連動は対価性を推認させる | 高額な紹介料・インセンティブ報酬は、本来行い得ない推奨・説明を行う蓋然性を高める |
| 委託元の責務 | 所属銀行の指導等義務(法第52条の58)、API連携時の誤認防止措置 | 募集関連行為従事者の適切な委託先管理・指導(法第294条の3) |
保険分野で先行して形成された「募集関連行為」の考え方が、機能的に銀行分野へ導入されたと評価できます。成果連動型の報酬は媒介・募集への傾斜を示す徴表であるという共通了解も、両分野で確立しています。銀行が非金融事業者と提携する場合において、当該提携が保険商品にも及ぶときは、銀行法上の媒介該当性と保険業法上の保険募集該当性を別個に検討しなければなりません。
銀行が顧客を他の金融機関・保険会社・リース会社・各種サービス事業者等に紹介し、紹介料を受領する場合には、当該紹介行為が相手方の業法上の「媒介」「募集」「仲介」に該当しないかを検討する必要があり、本改正案の判断軸はそのまま検証項目として用いることができます。とりわけ、銀行のアプリ・法人ポータル上で提携サービスを一覧表示する形態においては、表示順位・レコメンドロジックが「銀行が推奨している」と評価されないかという論点が正面から当てはまります。成約件数連動の紹介料を受領しているのであれば、反証の準備が不可欠です。
逆に、事業者から送客を受ける側に立つ場合には、銀行は提携先の表示内容・導線設計を継続的にモニタリングするとともに、自らが支払う紹介料の設計が提携先を媒介行為に踏み込ませる誘因となっていないかを検証すべきです。
| 【横断的に用いるべき5つの問い】 ① 誰が説明しているか(説明主体は誰か) ② 事業者独自の推奨・加工があるか ③ 特定の顧客を契約締結に向けて動かしているか(誘引行為か) ④ 一連の取引にどこまで関与しているか(総合判断) ⑤ 報酬が成約高に連動していないか。連動しているとして、その実質を説明できるか |
媒介該当性の検討は、①行為態様(本改正案)と②経済的対価(銀行法等ガイドライン)の二軸で行う必要があります。
| 軸 | 確認項目 | リスクが低い方向 | リスクが高い方向 |
| 行為態様 (本改正案) | 契約主体・説明主体 | 金融機関であることを明示 | 事業者の商品・説明であるかのような設計 |
| 商品説明 | 提供を受けた説明をそのまま掲載 | 独自に追加・要約・加工 | |
| 推奨 | 推奨しない | 「おすすめ」「最適」等と表示 | |
| 表示順位・アルゴリズム | 客観的・中立的 | 推奨商品を上位表示、顧客別に誘導 | |
| 手続への関与・条件交渉 | 金融機関が説明・申込みを処理/行わない | 事業者が実質的に申込みを受付/金利・手数料等を調整 | |
| 経済的対価 (ガイドライン) | 算定指標 | 定額、システム稼働量、表示回数等 | 口座数・残高・実行額等の成約高に連動 |
| 対価の実質・裏付け | 4類型として説明可能、算定根拠を文書化 | 名目のみを整えたもの、算定根拠が不明確 |
| 主体 | 対応事項 |
| 金融機関 | ① API連携・BaaS提携先ごとに提携先アプリ等の表示内容(提供主体・当行名・提携関係・責任補償・問合せ先)を棚卸しする。 ② 「〇〇バンク」等のブランド名使用時の3項目の表示状況・視認性(階層・遷移回数・フォントサイズ等)を確認する。 ③ 提携先に提供する商品案内コンテンツについて、加工の可否・範囲を業務提携契約上明確化し、是正プロセスを整備する。 ④ 顧客情報の授受について、受領者・利用目的の明示と同意取得の枠組みを再点検する。 ⑤ 支払対価の名目と実質の整合性を検証する(成約高連動案件の洗い出しと算定根拠資料の整備)。 |
| 提携事業者 | ① レコメンド文言・キャンペーン訴求文言・自社作成FAQ等に「独自の情報追加・加工・推奨」に当たる要素がないかを洗い出す。 ② 表示順位を決定するアルゴリズム及びUIデザインを検証する(アフィリエイト報酬額との相関に特に留意)。 ③ リンク設定・コンテンツ転載にあわせて自社の論評・推奨を付す運用がないかを確認する。 ④ 報酬体系の実質を裏付ける資料を整備する。 ⑤ 媒介に該当し得る場合には、銀行代理業の許可又は金融サービス仲介業の登録の要否を検討する。 |
これまで、外部事業者との連携については、「リンクを置くだけ」「申込みは金融機関が受け付ける」「契約には関与しない」といった形式面から、媒介には当たらないと整理されることが少なくありませんでした。
本改正案は、そのような形式的な整理だけでは足りず、表示内容やアルゴリズムを含む顧客導線全体から、契約締結への誘引があるかを判断するという方向性をより明確に示しています。既に銀行法等ガイドライン2-2が成約高連動報酬を対価性の推認事由としていることと併せて読めば、「媒介に至らない紹介」であることを主張する側が、行為態様と報酬の双方について積極的に説明責任を果たさなければならないというのが当局の姿勢であるといえます。
今後、金融機関と事業会社が新たな連携サービスを構築する際には、サービス開始後に媒介該当性を検討するのではなく、企画・画面設計・報酬設計の段階から法務・コンプライアンス部門が関与することが一層重要となります。パブリックコメントに寄せられる意見及びこれに対する当局の考え方においても、具体的事例に即した重要な解釈が示される可能性が高く、その内容を注視する必要があります。
なお、同日付で「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)(仕組預金関係)も公表されておりますので、あわせてご確認ください。
※本稿は令和8年7月30日に公表された改正案に基づくものであり、今後のパブリックコメントの結果や最終的な監督指針の内容により変更される可能性があります。
| 【参照】 ・金融庁「「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について(銀行代理業関係等)」(令和8年7月30日) https://www.fsa.go.jp/news/r8/sonota/20260730-2/20260730-2.html ・金融庁「銀行法等に関する留意事項について(銀行法等ガイドライン)」(平成30年5月30日制定) https://www.fsa.go.jp/news/30/ginkou/20180530/08.pdf ・主要行等向けの総合的な監督指針(Ⅷ 銀行代理業)/保険会社向けの総合的な監督指針(Ⅱ-4-2-1) |