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不当表示に注意! 他社製品との「比較広告」に関する規制

2021/07/05

(執筆者:弁護士 竹村知己)
【Q.】
当社では現在、自社製品の販売促進策として、競合する他社製品と比較してその優位性を示す広告を打つことを検討しています。ですが、そのような広告はそもそも許されるのでしょうか。また、どのような点に気を付けなければいけないのでしょうか。規制があれば、教えてください。_

【A.】
1.「比較広告」とは
「比較広告」とは、一般に、自己の供給する商品または役務(以下「商品等」)について、これと競争関係にある特定の商品等を比較対象として示し、商品等の内容や取引条件に関して評価することによって比較する広告をいいます。ご質問にある、自社製品を競合する他社製品と比較してその優位性を示す広告は、まさに比較広告に当たるといえるでしょう。
こうした比較広告は、同種の商品等の内容や取引条件についての特徴を比較検討することができるため、消費者による適正な商品選択に役立つことが期待されます。しかし一方で、これを無制限に許容した場合には、適切な比較検討が妨げられ、消費者による適正な商品選択も阻害されることになりかねません。
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2.景品表示法による規制について
景品表示法第5条第1号は、自己の供給する商品等の取引について、商品等の内容が実際のものよりも著しく優良であると示し、または事実に相違して当該事業者と同種もしくは類似の商品等を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示を、いわゆる「優良誤認表示」として禁止しています。
また、同条第2号は、商品等の取引条件が実際のもの、または当該事業者と同種もしくは類似の商品等を供給している他の事業者に係るものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を、いわゆる「有利誤認表示」として禁止しています。

3.比較広告への適用
比較広告についても、これらの規制が適用されることになります。では、具体的に、どのように適用されるのでしょうか。
この点について、消費者庁から「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_37.pdf) が発出されており、比較広告が不当(違法)な表示とならないようにするためには、次の3つの要件を満たす必要があるとの考え方が示されています。

①比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
②実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③比較の方法が公正であること

したがって、例えば、比較広告で主張する事項について、社会通念上及び経験則上、妥当と考えられる方法によって主張しようとする事実が存在することの調査が行われ、当該事実の存在が客観的に実証され、かつ、その結果を、前提となる条件等も含めて正確に引用し、さらにその比較を恣意的に行うことなく公正な方法で行っている場合には、上記3要件に沿うものとして「適法」であると考えられます。
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4.おわりに
このように、競合事業者の商品等との比較そのものが禁止されるわけではありませんが、上記規制には十分に留意しなければなりません。違反した場合には、措置命令や課徴金納付命令を受けることもあり得ます。
なお、上記3要件が具体的にどのように適用されるかについては、さらに深い検討を要するため、比較広告を行う場合には、必要に応じて専門家に相談するなど、不当な表示とならないように注意しましょう。

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