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Q&A決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ 報告書(決済制度見直し編)

2019/12/27

以下にPDF形式のファイルも掲載しております。

Q&A決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ 報告書(決済制度見直し編)

(下記もご覧ください)
Q&A決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ 報告書 (金融サービス仲介法制編)

(全体取りまとめ版)
「Q&A「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ報告」

(金融審議会情報)
金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告の公表について
金融審議会「決済制度及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(資料・議事録)

 金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(座長 神作裕之 東京大学大学院法学政治学研究科教授、以下「ワーキング・グループ」といいます。」)においては、令和元年(2019年)10月より、計7回にわたり、決済法制及び金融サービス仲介法制の在り方について、検討及び審議を行い、同年12月20日に「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告(以下「本報告書」といいます。)を公表いたしました[1][2]。同報告書は、「決済制度の見直し」と「新金融サービス仲介法制の創設」について示しています。本報告書を基に、2020年通常国会に資金決済に関する法律(以下「資金決済法」といいます。)の改正法案と新金融サービス仲介法制の法案が提出される見込みです。
本ニュースレターでは、本報告書で示された改正の内容のうち、決済制度の見直しに関して、Q&A形式で分かりやすく解説いたします。
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
TEL 03-5288-1021
FAX 03-5288-1025
Email m-watanabe@miyake.gr.jp

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Q1 本報告書ではどのような改正や制度の創設が提示されていますか。

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本報告書は、情報通信技術の発展を背景に、イノベーションの促進を通じ、利用者利便の向上と利用者保護のバランスに留意した以下の制度の整備を提言しています。
第1 決済法制
キャッシュレス時代の利用者ニーズに応え、利便性が高く安心・安全な決済サービスを実現するため、柔軟かつ過不足のない規制を整備。
1 資金移動業
〇資金移動業者について、現行の100万円以下の送金を取り扱う事業者に加えて、「高額」(100万円超)送金を取り扱う事業者、「少額」(数万円程度)送金を取り扱う事業者の類型が創設され、3類型となる(3類型の併営可能)。
〇「高額」(100万円超)送金を取り扱う事業者
〇認可制(現行資金移動業者は登録制)
〇具体的な送金指図を伴わない資金の受入れを禁止
〇現行制度(100万円以下の送金)を前提に事業を行う事業者
〇利用者資金残高が送金上限額(100万円)を超える場合、事業者が送金との関連性を確認し、無関係な場合は払出し。
〇「少額」(数万円程度)送金を取り扱う事業者
〇利用者資金について、供託等の現行の保全方法に代えて、自己の財産と分別した預金での管理を認める。
〇供託、保全契約、信託契約の併用を認めるなど、利用者資金の保全方法を合理化。
2 前払式支払手段
〇チャージ残高の譲渡が可能なものについて、不適切な取引を防止するために発行者に求められる対応を明確化。
* 利用者資金の保全額(半額)の引き上げについては、共通の認識が得られず(直ちに実施せず)。
3 無権限取引への対応
〇事業者の自主的な対応を促す観点から、利用者に対する情報提供事項に個社の対応方針を追加。
4 収納代行
〇割り勘アプリについて、資金移動業の規制対象であることを明確化。
* エスクローについては、共通の認識が得られず(直ちに制度整備せず)。

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第2 金融サービス仲介法制
多様な金融サービスの提供をワンストップで受けられる利便性の高い金融仲介サービスを実現する観点から、このようなサービスを提供しようとする仲介業者に適した業種を創設。
1 新たな仲介業の創設
〇業種毎の登録等を受けずとも、1つの登録で銀行・証券・保険全ての分野での仲介を可能に。
※一定の要件を満たせば、電子決済代行業の登録手続を省略可能。
〇特定の金融機関への所属を求めず、業務上のパートナーとして金融機関と連携・協働する関係に。
※これにより、金融機関は、�@仲介業者に指導等を行う義務や、�A仲介業者が顧客に加えた損害を原則として賠償する責任、を負わない。
2 業務範囲
〇銀行・証券・保険分野の金融サービスのうち、仲介にあたって高度な説明を要しないと考えられるものの媒介。
3 参入規制
〇賠償資力の確保に資するよう、事業規模に応じた額の保証金の供託等の義務付け。
4 行為規制
〇仲介する金融サービスの特性に応じて必要な規制を過不足なく適用するアクティビティ・ベースの規制体系を志向。
・ 顧客資産の受入れの禁止
・ 顧客情報の適正な取扱いの確保
・ 仲介業者の中立性の確保(手数料の開示等)
・ 顧客に対する説明義務
5 その他
〇新たな仲介業者に係る協会や紛争解決手続の規定の整備。

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Q2 本報告書によれば、資金移動業については、送金額に応じた規制が導入されることになるとのことですが、具体的にはどのようになりますか。

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〇資金移動業の類型ごとの規制

類型

送金上限額

参入規制・体制整備

滞留規制

利用者資金の保全

第1類型:
「高額」送金を取り扱う事業者

上限額なし

認可制
※システムリスク管理、セキュリティ対策、マネロン・テロ資金供与対策は現行制度よりも充実した体制必要

�@具体的な送金指図を伴わない利用者資金は受入不可�A利用者資金は運用・技術上必要な期間を超えて滞留不可

供託、保全契約、信託のいずれの併用も認める。
信託契約については、�@保全すべき額を毎日算定し、�A不足がある場合、その翌日から起算して2営業日以内に信託する

第2類型:
現行制度を前提に事業を行う事業者

100万円相当額

登録制
※現行と変更なし

利用者の滞留資金が100万円を超えている場合、
�@為替取引に関するものであるか確認
�A為替取引に用いられる蓋然性が低いと判断される場合、利用者に払出しを要請。

供託、保全契約、信託契約のいずれの併用も認める(現行は供託と保全契約の併用のみ認める。)。
信託契約については、要履行保証額の算定が「営業日ごと」から「1週間以内」に変更。保全すべき期間はできる限り短縮。

第3類型:
「少額」送金を取り扱う事業者

数万円程度(5万円以下という意見あり)

登録制
※マネロン・テロ資金供与規制も第2類型と同水準

設けない方向

供託、保全契約、信託契約に代えて、自己の財産と分別した預金で管理することを認める。

※複数類型の併営可能。併営に伴う弊害防止の観点から、複数類型を併営する場合、利用者がどの類型を利用しているかを明確に認識できるようにするとともに、類型ごとに保全が必要な額を区分管理する。第1類型と第2類型を併営する場合、第2類型において、為替取引との関連性が認められない利用者資金を保有しないための措置を適切に講ずる。
※「少額」を超える送金を第3類型のアカウントでは受け取れない措置が必要。
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1 現行資金移動業制度の送金限度額(100万円相当額以下)
 従前、為替取引は銀行等のみに認められてきましたが、資金決済法の施行(2010年(平成22年)4月1日)により、資金移動業者にも解禁されることとなりました。このような経緯や、資金移動業者の業務遂行の実態を見極める必要があること、資産保全等の仕組みが必ずしも有効に機能しない場合の懸念もあり得ること等から、資金移動業の登録をした資金移動業者が営むことができる「為替取引」は、「少額の取引として政令で定めるものに限る」とされています(同法2条2項)。
 資金決済法施行令2条においては、「法第2条第2項に規定する政令で定める取引は、百万円に相当する額以下の資金の移動に係る取引とする」と規定されており、資金移動業の対象となる為替取引は100万円相当額以下のものに限定されます。
「少額の取引として政令で定めるもの」については、現在銀行等で行われる為替取引の一件当たりの平均金額や現金書留の損害要償額などを踏まえ、50万から100万円程度になると国会審議の中でされていました(平成21年4月14日の衆議院財務金融委員会における石原宏高委員の質問に対する与謝野馨国務大臣の答弁)。
�@銀行等の為替取引の一件当たりの平均金額が、業態別でまちまちな点であるものの、80万円から250万円というような幅になっていること、�A現金書留の損害要償額が50万円といること、などを踏まえて50万から100万円の幅が妥当であると考えられました(平成21年6月4日の参議院財務金融委員会における尾立源幸委員の質問に対する内藤純一政府参考人の答弁)。業界からの要望で最終的に上方の数値である「100万円相当額」とされたものと考えられます。
2 送金額に応じた規制の導入
現行規制上、資金移動業者が取り扱うことができる送金には、上限額(1件当たり100 万円)が設けられていますが、海外送金を含め、個人による高額商品・サービスの購入や企業間決済の際に利用するなど、現行の送金上限額を超える利用者のニーズが一定程度存在するとの指摘があります。こうしたニーズに対応していくため、1件当たり100 万円を超える「高額」送金を取り扱うことができる資金移動業の新類型を設けることが考えられます(第1類型:「高額」送金を取り扱う事業者のニーズ)。
他方で、実態として、既存の資金移動業者が取り扱っている送金額は1件当たり数万円以下のものが多く、利用者資金の残高も1人当たり数万円程度のものが多くなっています。現行の送金上限額を大幅に下回るような「少額」送金に伴うリスクは相対的に小さいと考えられます。これに加えて、利用者1人当たりの受入額も「少額」とすれば、資金移動業者が破綻した場合でも、個々の利用者が被る影響を限定的なものとすることができると考えられる。これらを前提とすれば、「少額」送金を取り扱う資金移動業者については、規制緩和の余地があると考えられます(第3類型:「少額」送金を取り扱う事業者のニーズ)。
こうした考え方に基づき、資金移動業者に対する規制が、機能やリスクに応じた柔軟なものとなるよう、�@「高額」送金を取り扱う事業者、�A現行規制を前提に事業を行う事業者、�B「少額」送金を取り扱う事業者の3類型に分けた上で、それぞれの類型に過不足のない規制を適用していくことが適当と考えられます。
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3 「高額」送金を取り扱う事業者(第1類型)
「高額」送金については、その履行が確保されない場合に資金の受け手が資金繰りに窮するなどの社会的・経済的な影響が大きく、また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の重要性も相対的に高まることとなります。「高額」送金を取り扱うことができる資金移動業の新類型を設けるにあたっては、こうした点を踏まえた制度整備が必要と考えられます。
(1)参入規制・体制整備
「高額」送金を取り扱う場合の参入規制は、資金移動業を行うために最低限必要な要件を満たしていることを確認するため、既存の資金移動業者と同様に登録制の対象とした上で、「高額」送金を取り扱うことに伴うリスクを踏まえた対応として、認可制の対象とすることが考えられます。
こうした枠組みの下で、「高額」送金に係る事業の具体的な内容や収支計画、当該事業を適正かつ確実に遂行するための体制整備の状況等を追加的に確認することが考えられます。
特に、�@システムリスク管理、�Aセキュリティ対策、�Bマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等に関しては、「高額」送金を取り扱うことに伴うリスクを踏まえ、現行規制における資金移動業者と比較して充実した体制整備を求めることが必要と考えられます。
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(2)滞留規制
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〇利用者資金の滞留規制の必要性
資金移動業者に、為替取引との関連性に疑義がある利用者資金が滞留することについては、�@資金移動業者が利用者資金を受け入れた状態で破綻した場合、利用者が還付を受けるまでに相応の時間を要するなど、利用者保護の観点からの課題がある、�A資金移動業者が本来的には必要がない保全コストを負担することとなり、効率的な業務運営の妨げとなり得る、�B出資法の預り金規制に抵触する疑義が生じる、といった問題があります。(金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第6回)「決済法制に関する補足討議資料」
(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/kessaichukai_wg/siryou/20191210/hosoku.pdf))

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 「高額」送金を取り扱う事業者が破綻した場合に利用者に与える影響や社会的・経済的な影響を極小化するため、こうした事業者が受け入れる利用者資金については、厳格な滞留規制を課すことが必要と考えられます。
具体的には、英国の規制を参考に、�@具体的な送金指図を伴わない利用者資金は受入不可とし、�A利用者資金は運用・技術上必要な期間を超えて滞留不可とすることが考えられます。 
「具体的な送金指図」の要件としては、入金時点で、少なくとも、�@送金日時、�A送金先、�B送金額が全て明確に指定されていることが考えられます。
また、「運用・技術上必要」な場合としては、�@送金先口座に誤りがあった場合、�A送金先の金融機関が休業日であった場合等、事業者の努力だけでは滞留を回避することができない、真にやむを得ない場合が考えられます。
なお、こうした滞留規制の趣旨を踏まえれば、他者に送金を行う場合(仕向送金の場合)のみならず、他者から送金を受ける場合(被仕向送金の場合)であっても、利用者の第1類型のアカウントに資金が滞留することは認められないと考えられます。
(3)利用者資金の保全
本報告書では、「高額」送金を取り扱う事業者が破綻した場合の社会的・経済的な影響の大きさを懸念するあまりに厳格な制度整備を行った場合、我が国において利便性の高い新たなサービスが生まれにくくなるおそれがあることにも留意すべきとの考え方に基づき、上記(2)の滞留規制が適用されることを前提としつつ、「高額」送金を取り扱う事業者を含め、資金移動業者による送金サービスは、銀行による送金サービスとは破綻時の履行の確実性等が異なるものであることが利用者に正確に理解され、利用者資金が全額保全される前提で利用されるのであれば、必ずしも銀行と同等の枠組みを整備する必要はない[3]との考え方が示されました。そこで、現行の供託、銀行との保全契約、信託契約の3つの利用者資金の保全方法が維持されることになります。
ただし、後者の指摘の考え方を前提としたとしても、「高額」送金を取り扱う事業者が破綻した場合の社会的・経済的な影響の大きさを踏まえれば、利用者資金の全額保全をより確実なものとする観点から、利用者資金の受入れから保全が図られるまでのタイムラグをできる限り短期化することが必要と考えられます。
そこで、信託契約の利用を前提とした場合、現行の金融規制において、いわゆる外国為替証拠金取引業者(FX 業者)に対して、�@保全すべき額を毎日算定し、�A不足がある場合、その翌日から起算して2営業日以内に信託することを求めていることを参考にし、また、実務上の実現可能性も考慮し、「高額」送金を取り扱う事業者に対しても、これと同水準の対応を求めることが最低限必要と考えられます。
Q3のとおり、「現行制度を前提に事業を行う事業者」については、信託契約における要履行保証額の算定を「営業日ごと」から「週1回以上」に緩和されることになりますが、「「高額」送金を取り扱う事業者」については、「営業日」ごとの算定が必要な点は変更なく、信託するのが「翌営業日まで」から「2営業日以内」に緩和される以外は変更がないことになります。
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〇信託契約による保全

現行規制

�@各営業日の要履行保証額以上の額を、�A翌営業日までに保全することが求められる。

                            ↓

現行制度を前提に事業を行う事業者

要履行保証額の算定の頻度について、供託及び保全契約と同様に、「営業日」ごとから、「週1回以上」に統一される。
保全すべき額の算定日から実際に保全が図られるまでの期間は、機動的に短期化しうる枠組みとする(現行1週間以内)。

「高額」送金を取り扱う事業者

�@保全すべき額を毎日算定し、�A不足がある場合、その翌日から起算して2営業日以内に信託する。

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 このように、「高額」送金を取り扱う事業者について、「信託契約による保全」については、現行の取扱いと変更がほぼないこと、また、信託報酬もかかることから、現行規制の実務のように、多くの「高額」送金を取り扱う事業者は供託や銀行との保全契約により、信託契約による事業者はほとんど現れないのではないかと思われます。
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(4)送金上限額
 1件当たりの送金額については、�@主要な諸外国において、上限額を設けている例が見受けられないこと、�A利用者資金の全額保全を維持する限り、事業者の資金力等に照らし、おのずと送金可能額にも一定の制約が課されることになるとも考えられることを踏まえ、前述の参入規制・滞留規制や利用者資金の保全に要する期間の短期化を前提に、法令上の上限額は設けないこととされています。
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4 現行制度を前提に事業を行う事業者(第2類型)
(1)参入規制・体制整備
 参入規制に関しては、現行の登録制からの変更や体制整備の強化などは検討されていません。
(2)滞留規制
 本報告書は、現行規制を前提に今後も事業を行おうとする資金移動業者に対する規制については、当該資金移動業者やその利用者の活動に支障が生じることのないよう、現行の枠組みを基本的に変えないことが適当と考えられるとされています。
ただし、一部の資金移動業者において、資金決済法制定時の想定の範囲を超えて、利用者資金が滞留していることが指摘されており、為替取引との関連性が認められないような利用者資金の滞留を防止するための方策を講ずることが必要と考えられます。
具体的には、利用者1人当たりの受入額が1件当たりの送金上限額を超えている場合、資金移動業者に対し、�@利用者資金が為替取引に関するものであるかを資金移動業者内で確認し、�A仮に為替取引に用いられる蓋然性が低いと判断される場合、利用者に払出しを要請し、利用者がこれに応じない場合、払出しを行うといった措置を講ずることを求めることが考えられます。
また、この場合において、利用者資金と為替取引との関連性を判断するにあたっては、利用者ごとに、�@受入額、�A受入期間、�B送金実績、�C利用目的を総合考慮することが考えられます。
資金移動業者が為替取引と無関係に利用者資金を受け入れた場合、その金額の多寡にかかわらず、出資法の預り金規制に抵触するおそれがあることは、資金決済法制定時にも示されている考え方であり[4]、各資金移動業者がこのことを再認識した上で、こうした資金を保有することがないよう、適正に業務を遂行していくことが重要と考えられます。その上で、今後とも、当局によるモニタリングを通じて、資金移動業者における利用者資金の滞留の実態を注視しつつ、必要に応じて追加的な規制の在り方を検討していくことが考えられます。
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(3)利用者資金の保全
 Q3参照。
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(4)送金上限額
 現行規制どおり、「100万円相当額以下」から変更される予定はありません。
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5 「少額」送金を取り扱う事業者(第3類型)
(1)参入規制・体制整備
 1件当たりの送金額や利用者1人当たりの受入額が「少額」であっても、資金移動業の適正かつ確実な遂行が求められることに変わりはない。
このため、参入規制(登録制)や、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る規制等のその他の規制は、現行の資金移動業者と同水準のものとすることが考えられる。
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(2)滞留規制
 本報告書には、「少額」送金を取り扱う事業者に関する利用者資金の滞留について規制を設けるか否かについては、特に記載はありません。
 ワーキング・グループでは、「少額」送金を取り扱う事業者については、利用者の利便性の観点から柔軟な取扱いを求めるべきであり、滞留規制を設けるべきではないのではないか、という意見も多くあったため、「少額」送金を取り扱う事業者については、滞留規制は設けられないのではない可能性があります。
(3)利用者資金の保全
本報告書では、1件当たりの送金額のみならず、利用者1人当たりの受入額の上限も「少額」とする場合、その実効性確保の観点から、上限を超えるような他者からの送金を第3類型のアカウントでは受け取れないようにする措置が必要と考えられます。その上で、具体的な規制緩和の方策として、利用者資金の保全に関し、現行の保全方法に代えて、利用者資金を自己の財産と分別した預金で管理することを認めることが考えられるとされています。
現行の保全方法のうち、供託又は信託契約を利用する場合、資金移動業者は、供託又は信託した資金を直ちに取り戻すことができないため、実務上、実際に送金を行う際に別途資金を調達する必要があります。
また、保全契約を利用する場合、契約の相手方である銀行等が資金移動業者に提供できる保証枠には、与信管理上の限度があるほか、資金移動業者は保証料を負担する必要があります。
こうした中、預金による管理が可能となれば、資金移動業者の資金繰り負担が軽減されることから、低コストで利用者利便の高いサービスの提供が促進されることが期待されます。
ただし、その場合、必ずしも倒産隔離が効かないことから、資金移動業者の破綻時に利用者が十分な資金の還付を受けられないおそれがある[5]。
このため、預金による管理を行う資金移動業者に対しては、利用者にこうしたリスクについての十分な情報提供を行うことを義務付けることが考えられます。
また、資金移動業者に対するモニタリングを強化する観点から、預金による管理の状況及び財務書類についての外部監査や、預金による管理の状況についての当局への定期的な報告を義務付けることも考えられます。
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(4)送金上限額
 「少額」の具体的な水準については、ワーキング・グループでは、数万円程度とすることを念頭に検討を行われましたが、公共料金や宿泊料金等の支払いに利用されることも想定し、利用者利便を損なわないためにも、5万円以下としてはどうかとの意見がありました。
 そこで、「5万円」以下とされる可能性が高いのではないかと思われます。
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6 複数類型の併営
本報告書では、利用者利便を確保するためにも、同一の資金移動業者による複数類型の資金移動業の併営を認めることが考えられるとされています。
ただし、併営に伴う弊害を防止する観点から、複数類型を併営する資金移動業者は、少なくとも、利用者がどの類型を利用しているかを明確に認識できるようにするとともに、類型ごとに保全が必要な額を区分管理することが必要と考えられます。具体的には、「少額」の上限を超えるような他者からの送金を第3類型のアカウント、「100万円」の上限を超える他社からの送金を第2類型のアカウントでは受け取れないようにする措置が必要となります。
また、第1類型と第2類型を併営する場合、第2類型で受け入れている利用者資金を第1類型で送金することで、第1類型の滞留規制が潜脱されることを防止する必要があり、その観点からも、第2類型において、為替取引との関連性が認められない利用者資金を保有しないための措置を適切に講ずることが重要と考えられます。

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Q3 本報告書では、資金移動業者における利用者資金の保全に関してどのような考え方が示されていますか。

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1 現行規制
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履行保証金の供託
(法43条)

履行保証金保全契約
(法44条)

履行保証金信託契約
(法45条)

期限

�@1週間における要履行保証額の最高額以上の額を
�Aその週の末日から1週間以内に保全
※保全契約は、保証枠の範囲内であれば供託による対応不要。

�@各営業日の要履行保証額以上の額を、
�A翌営業日までに保全

事務的負荷

1週間ごとの「要履行保証額」の算定は必要。
1週間における要履行保証額以上の金額の最高額以上を供託しておけば追加の供託は必要ない。

1週間ごとの「要履行保証額」の算定は必要。
保証枠以内の要履行保証額であれば事務的負担はかからない。

各営業日の要履行保証額の算定が必要。
各営業日において信託されている信託財産の額が、その直前の営業日における「要履行保証額」以上の額である場合には、履行保証金の供託を行わないことができる。
⇒システム的に負荷がかかる。安全のため、要履行保証金以上の信託をしておく必要がある。

コスト

なし
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銀行に対して保証料を支払う。

信託銀行(信託会社)に信託報酬を支払う。

当局の承認・届出

必要なし

事前届出必要

事前承認必要

他の保全方法との併用

保全契約の併用可能

供託の併用可能

供託・保全契約の併用不可

保全状況の報告

年2回

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 資金移動業者は、送金にあたり利用者から受け入れた資金を適切に保全することが求められています。現行規制上、利用者資金の保全方法として、原則である供託のほか、保全契約又は信託契約による方法が認められています(資金決済法44条)が、供託又は保全契約による保全と、信託契約による保全を併用することは認められていません。
供託又は保全契約による保全を行う場合、資金移動業者は、�@1週間における要履行保証額[6]の最高額以上の額を、�Aその週の末日から1週間以内に保全することが求められています(資金決済法45条1項)。
他方で、信託契約による保全を行う場合、資金移動業者は、�@各営業日の要履行保証額以上の額を、�A翌営業日までに保全することが求められ、さらに、�B翌営業日までに必要な額の信託がなされない場合、その日のうちに保全すべき額の全額を供託することが求められています。また、資金移動業者と信託契約を締結する信託会社等の受託者は、資金移動業者に対するモニタリング義務を負うものとされています。こうした現状の下、実態として、信託契約を利用している資金移動業者は1業者にとどまっています。
このほか、資金移動業者による利用者資金の保全に関しては、供託金の取戻し、保全契約における保証枠の減額、信託契約による保全の開始に際して、事前承認が必要とされているなど、他の金融規制と比較しても、当局の関与が多い枠組みとなっています。
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2 改正の方向性
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〇改正後の利用者資金の保全の方向性

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履行保証金の供託

履行保証金保全契約

履行保証金信託契約

期限

週1回以上、当該期間における「要履行保証額」の最高額以上の額に相当する額の履行保証金を、当該期間の末日(基準日)から1週間以内に供託(実務状況に応じて機動的に短縮化しうる枠組み)。

保証枠の範囲内であれば供託による対応不要。

(現行制度を前提に事業を行う事業者:第2類型)
週1回以上、当該期間における「要履行保証額」の最高額以上の額に相当する額の履行保証金を、当該期間の末日(基準日)から1週間以内に信託(実務状況に応じて機動的に短縮化しうる枠組み)。
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(「高額」送金を取り扱う事業者:第1類型)
�@保全すべき額を毎日算定し、�A不足がある場合、その翌日から起算して2営業日以内に信託する

当局の承認・届出

必要なし

事前届出必要

事前関与を必要最小限度に(事前届出か?)

保全状況の報告

利用者資金の保全状況に関する当局への報告頻度を引き上げ(年2回から年4回か?)

他の保全方法との併用

保全契約・信託の併用可能

供託・信託の併用可能

供託・保全契約の併用可

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(1)保全方法の合理化(3つの保全方法の併用可能に・当局の事前関与の最小限化)
本報告書は、上記1で説明した現行の利用者資金の保全方法については、利用者保護と事業者の規制対応コストのバランスを考慮しつつ、より合理的なものとしていくことが適当と考えられるとしています。
具体的には、まず、資金移動業者のビジネスモデルに応じた最適な保全方法を選択可能とする観点から、供託、保全契約、信託契約のいずれについても併用を認めることが考えられます。これにより、例えば、資金移動業者が保全すべき額のうち、通常必要となる固定的な部分については、供託又は保全契約を利用しつつ、日々変動がある部分については、比較的入出金が容易な信託契約を利用するといった対応も可能になると考えられます。
また、信託契約の受託者の義務や保全に関する当局の事前関与について、必要最小限度のものに見直すことが考えられます。他方で、事後チェック機能を強化する観点から、資金移動業者の事務負担を考慮しつつ、利用者資金の保全状況に関する当局への報告頻度を引き上げることが考えられます[7]。
(2)保全が図られるまでのタイムラグの短期化
3つの保全方法の併用を認める前提として、保全すべき額(要履行保証額)の算定頻度を統一することが必要と考えられます。
具体的には、現行規制上、供託及び保全契約を利用する場合は「1週間ごと」、信託契約を利用する場合は「営業日ごと」と、それぞれ特定の算定頻度が定められています。これらの算定頻度について、既存の資金移動業者に与える影響も踏まえつつ、「週1回以上」に統一することが考えられます。このように算定頻度を画一的な期間としないことで、利用者保護の観点から、よりタイムリーな保全を図る資金移動業者の自主的な努力を阻害しない枠組みとすることができると考えられます。
また、保全すべき額の算定日から実際に保全が図られるまでの期間についても、現状、「1週間以内」と法定されていますが、利用者保護の観点からは、できる限り短期化することが適当と考えられます。実現にあたっては、既存の資金移動業者に与える影響を考慮する必要がありますが、制度上の対応として、少なくとも、実務の状況に応じて、この期間を機動的に短期化しうる枠組みとしておくことが考えられます。
ただし、Q2の3(3)で説明したとおり、現行の送金上限額を超える「高額」送金を取り扱う事業者については、破綻時の社会的・経済的な影響の大きさを踏まえ、利用者資金の全額保全をより確実なものとする観点から、利用者資金の受入れから保全が図られるまでのタイムラグをできる限り短期化することが必要と考えられます。
そこで、信託契約の利用を前提とした場合、現行の金融規制において、いわゆる外国為替証拠金取引業者(FX 業者)に対して、�@保全すべき額を毎日算定し、�A不足がある場合、その翌日から起算して2営業日以内に信託することを求めていることを参考にし、また、実務上の実現可能性も考慮し、「高額」送金を取り扱う事業者に対しても、これと同水準の対応を求めることが最低限必要と考えられます。
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3 保全契約を利用する場合の利用者資金の取扱い
資金移動業者が、利用者資金の保全方法として保全契約を利用する場合、受け入れた利用者資金は資金移動業者の預金口座等に残ることとなります。現行規制上、こうした利用者資金の使途の制限について明確な規定はなく、仮に保全契約を利用している資金移動業者が、貸金業の登録を受けて、利用者資金を貸付けに活用した場合、銀行業の免許を受けることなく、実質的に信用創造を行うことが可能となり、問題であるとの指摘がある。また、資金移動業者が、為替取引を行うために受け入れた利用者資金を流動性が低い資産である貸付金に転換すると、流動性リスクを抱えることになり、資金移動業の適正かつ確実な遂行の観点から問題であるとの指摘があります。
 資金移動業に係る規制と貸金業に係る規制は、それぞれ為替取引と貸付けの機能・リスクに着目して整備されているところ、為替取引と貸付けのほか預金の受入れを併せ行うことを前提に整備されている銀行業に係る規制との関係で、規制のアービトラージが生じるおそれがあることや、銀行預金について、過去に預金保険で全額保護が図られていた際にも、取付けが生じた事実があることには留意が必要と考えられます。また、今後、仮に事業規模が相当程度大きい資金移動業者が出現し、利用者資金を原資として貸付けを行う場合、必ずしも経済全体に与える影響が限定的とは言い切れないと考えられます。
 そこで、利用者資金の保全方法として保全契約を利用する資金移動業者に対し、利用者資金を貸付けに活用することを防止するための措置を講ずることを、制度上明確に求めることが考えられます。
なお、現行規制上、資金移動業者には、資金移動業を適正かつ確実に遂行することが求められていることを踏まえれば、貸付け以外の使途であれば利用者資金を自由に活用して良いというわけではなく、利用者からの指図に円滑に対応していくために十分な流動性を確保している必要性があると考えられます。
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※シンガポールにおいては、eマネー発行サービス提供者に対し、利用者資金を、貸付けのために活用したり、全面的(wholly)又は実質的(to any materialextent)に自らが営む事業活動のために活用したりすることを禁止しています(貸金業等を併営することは可)。
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Q4 本報告書では、前払式支払手段については、どのような改正が提言されていますか。

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1 不適切な取引の防止
(1)現行規制
 現行規制上、発行者以外の加盟店でも利用可能な「第三者型」の前払式支払手段発行者に対しては、前払式支払手段の使用により販売・提供される商品・サービスが、公序良俗を害するものでないことを確保するために必要な措置を講じることが求められています。

〇事務ガイドライン(金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係)
��−3−3 加盟店の管理(第三者型発行者のみ)
第三者型発行者については、利用者に物品・役務を提供するのは主に加盟店であるため、前払式支払手段に係る不適切な使用を防止する趣旨から、加盟店が販売・提供する物品・役務の内容について、公序良俗に反するようなものではないことを確認する必要がある。
なお、法第10 条第1項第3号に規定する「公の秩序又は善良の風俗を害し、又は害するおそれがある」とは、犯罪行為に該当するなどの悪質性が強い場合のみならず、社会的妥当性を欠き、又は欠くおそれがある場合を広く含むものであり、こうしたものが含まれないように加盟店管理を適切に行う必要があることに十分留意する。
また、前払式支払手段の決済手段としての確実性を確保する観点から、加盟店に対する支払を適切に行う措置を講じる必要がある。

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(2)譲渡可能な前払式支払手段に関するサービス
前払式支払手段のうち、「第三者型」で、「IC型」や「サーバ型」に該当するものの中には、例えば、発行者が提供する仕組みを通じて、

_利用者が、他者に前払式支払手段のチャージ残高を譲渡することで、個人間で支払手段の移転を行うこと、

利用者が、他者に前払式支払手段の番号等をメール・SNS等で送付することで、当該他者が支払手段として利用すること、

が可能なものも存在します。

〇出所:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第2回)「参考資料」(2019年10月24日)
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(3)利用者が、利用者が、他者に前払式支払手段のチャージ残高を譲渡することで、個人間で支払手段の移転を行うことが可能なタイプ
「利用者が、利用者が、他者に前払式支払手段のチャージ残高を譲渡することで、個人間で支払手段の移転を行うことが可能なタイプ」は、発行者が提供する仕組みの中で、チャージ残高の譲渡が繰り返されるため、「利用者が、他者に前払式支払手段の番号等をメール・SNS等で送付することで、当該他者が支払手段として利用するタイプ」と比較して、移転の履歴が把握しやすいという利点があります。
しかしながら、こうしたタイプについても、発行者が提供する仕組みの中で財産的価値を有する支払手段の移転を伴う以上、例えば、公序良俗を害するような不適切な取引に利用されることがないようにすることが必要と考えられます。上記(1)のとおり、現行規制上、第三者型前払式支払手段発行者には、前払式支払手段の使用により販売・提供される商品・サービスが、公序良俗を害するものでないことを確保するために必要な措置を講ずることが求められています。既に自主的な対応を講じている発行者も存在するところではありますが、制度上も、発行者に求められる対応を明確化しておくことが適当と考えられます。
具体的には、発行者に対し、譲渡可能なチャージ残高の上限設定[8]や、繰り返し譲渡を受けている者の特定等の不自然な取引を検知する体制整備を求めることが考えられます。
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(4)利用者が、他者に前払式支払手段の番号等をメール・SNS等で送付することで、当該他者が支払手段として利用するタイプ
このタイプは、基本的には、ギフトや返礼目的での利用を念頭に他者へ譲渡することを目的としており、チャージが行われた後は、再譲渡できない仕組みとなっています。
しかしながら、チャージが行われる前の番号等の譲渡が非常に容易で、架空請求を通じて番号等が詐取されるなどの被害が発生したこともあり、2016 年8月に「事務ガイドライン」が改正され、被害者の申出等を速やかに受け付けるとともに、利用停止の措置を迅速かつ適切に講ずる体制整備や、販売上限額の引下げや取扱停止といった販売方法の見直しを迅速に行う体制整備等が監督上の着眼点として追加されました[9]。
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2 利用者資金の保全
(1)前払式支払手段発行者と資金移動業者との比較

〇出所:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第2回)「参考資料」(2019年10月24日)
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資金移動業者については、利用者資金の全額保全が求められている一方で、前払式支払手段発行者については、利用者資金の半額保全が求められています。
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(2)利用者資金の全額保全(規制改正見送り)
発行者が提供する仕組みの中で、利用者が他者にチャージ残高を譲渡するタイプの前払式支払手段については、財産的価値の移転を伴うものである以上、送金サービスに類似した性質を有しているといえることから、発行者に対し、資金移動業者と同様に、利用者資金の全額保全を求めるべきであるとの指摘があります。また、前払式支払手段には、原則として現金化が不可であり、使途が限定されているといった特性はあるものの、キャッシュレス化が進展すれば、現金との違いは相対的なものにとどまるとの指摘もあります。
他方で、前払式支払手段の譲渡については、使途が限定され、現金化ができず、発行者の破綻時に備えて半額保全されている財産的価値がそのまま移転されるだけであることから、送金とは性質が異なるとの指摘があります。また、前払式支払手段については、これまで多くの利用者に対して高い利便性を提供してきた経緯も考慮することが必要との指摘や、キャッシュレス社会の進展に向けて、各般の取組が進められている中、発行者の業務運営に大きな影響を与える規制強化を行うことは適当ではないとの指摘もあります。
本報告書では、利用者資金について、これまで、制度上求められる保全が半額保全であるがために社会的・経済的に重大な問題となるような被害は生じていないことも踏まえれば、現時点で共通の認識を得ることができなかった利用者資金の保全割合の引上げについては、直ちに実施することは必ずしも適当ではなく、引き続き検討課題とされました。
 ただし、その場合であっても、利用者が正確な理解の下で前払式支払手段を利用できるようにするため、利用者に対する情報提供事項として「利用者資金の保全に関する事項」を追加し、利用者に対して、法令上は利用者資金の半額以上の保全が求められており、必ずしも全額保全が図られているわけではない旨や、各発行者の保全方法についての情報提供を行うことを前払式支払手段発行者に義務付けることが考えられるとされました。
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3 無権限取引への対応
 なりすまし等による無権限取引が行われた場合の対応については、2019 年8月に、一般社団法人キャッシュレス推進協議会において、「コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集(利用者向け利用規約)」が策定・公表されました[10]。これにより、資金移動業者や前払式支払手段発行者を含め、事業者ごとに規約の内容は様々であり、消費者契約法により不当条項として無効となる可能性が指摘される「利用者に損失が発生した場合でも事業者は一切責任を負わない」旨を盛り込んだ規約も存在していたことが明らかとなりました。
他方で、現状においては、事業者による規約の自主的な見直しが進みつつあり、中には「利用者に故意・重過失があるなどの場合を除き損害を補償する」旨の規約を整備する事業者も出てきています。
本報告書においては、不正利用の態様や各事業者のビジネスモデルが多様な中で、統一的なルールの整備を直ちに実現するには課題があることや、利用者保護の観点から望ましい補償ルールの整備も進みつつある現状を踏まえれば、当面は、事業者による自主的な対応を促していくことが適当とであり、そのための制度上の対応として、利用者に対する情報提供事項に「無権限取引が行われた場合の対応方針」を追加することが考えられるとされています。
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4 監督上の対応

〇出所:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第4回)「参考資料」(2019年11月12日)
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 近年、第三者型前払式支払手段発行者の登録を受けている事業者が、資金移動業者の登録も受け、一体的なサービスを提供する例が増加してきています。
 たとえば、LINE Payは、LINE Pay残高について、銀行口座出金不可・送金不可の「LINE Cash」(前払式支払手段)と銀行口座出金可能・送金可能の「LINE Money」(資金移動業)から構成されます。
この点、現行規制上、前払式支払手段発行者には、資金移動業者に求められている業務の外部委託先の管理体制の整備が法律上は義務付けられていません。
また、業務改善命令の発出要件は、資金移動業者については、「資金移動業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるとき」とされている一方で、前払式支払手段発行者については、「利用者の利益を害する事実があると認めるとき」に限定されています。
監督上の対応の整合性・実効性を確保するため、少なくとも、これらの制度上の差異については、前払式支払手段発行者に係る規定を資金移動業者に係る規定と整合的なものとする形で解消することが必要と考えられます。
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5 犯罪収益移転防止法上の取引時確認義務等
令和元年7月26日の金融審議会 金融制度スタディ・グループ 「「決済」法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告≪基本的な考え方≫」(「基本的な考え方」)では、資金移動業者が提供する送金サービスと異なり、前払式支払手段は払戻しが認められておらず、マネー・ローンダリングやテロ資金供与に係るリスクが相対的に限定されているため、取引時確認義務等については、これを引き続き課さないこととすることが考えられるとされています。
もっとも、2019年10月〜11月のFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)の第4次対日相互審査を受け、2020年8月に公表される予定の報告において、EUの第5次EUマネー・ローンダリング指令と同様に、リローダブルな前払式支払手段については、一定金額以上(同指令では150ユーロ超)となる場合には、顧客管理措置を講じることが求められる可能性があります。

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Q5 本報告書では、収納代行サービスについてはどのような制度改正が提言されていますか。

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1 収納代行サービスについての現行法下での整理
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〇典型的な収納代行のイメージ

〇出所:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第2回)「参考資料」(2019年10月24日)

コンビニ、運送業者等の事業者が、債権者から代理受領の委託を受けて、�@債務者から商品等の代金を受領し、�A債権者に受け渡す。(コンビニの公共料金支払い等で利用され、運送会社が行う代金引換サービスも同様の仕組みとされる。

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 「収納代行サービス」とは、商品やサービスの提供者のために、代理人(コンビニエンス・ストア等)が、自ら又はその関連会社の店頭において、料金を現金で受け取るサービスです(例えば、公共料金の受取サービスがこれに該当します。)。
他方、「代金引換サービス」とは、宅配業者が、顧客の代金の支払いと引き換えに、商品やサービスを引き渡すサービスです。収納代行サービスと代金引換サービスのいずれにも、現在規制は設けられていません。
 従前から、これらのサービスは、法律上、「為替取引」に該当するのではないかとの議論があります。また、これらのサービス提供者の破綻や詐欺的行為の防止のため、何らかの措置を講じるべきではないかとの議論もありました。
 もっとも、収納代行業者が債権者から代理受領権を付与されている場合、債務者が収納代行業者に代金を支払った時点で債務の弁済が終了することから、債務者に二重払いの危険はありません。 債務弁済終了後の収納代行業者の信用リスクは債務者が負担することになります。
 金融審議会金融文科会第二部会報告「資金決済に関する制度整備について」(2009年1月)[11]では、以下のとおり、収納代行サービスの制度整備を図ることなく、将来の課題としました。
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銀行法(為替取引)に抵触する疑義がある、サービスを提供する事業者が破綻した場合には収納を依頼した者に被害が生じる可能性がある等から制度整備を行うことが適当との意見に対し、為替取引に該当しない、支払人に二重支払の危険はない、利用者の利便性を低下させる等から制度整備は必要がないとの意見があり、サービスを提供する事業者や関係省庁等からも制度整備に対する強い異論が出された。このように共通した認識を得ることが困難であった事項については、性急に制度整備を図ることなく、将来の課題とすることが適当と考えられる。

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2 収納代行サービスを取り巻く状況の変化
その後、例えば、割り勘アプリといった形で、収納代行の形式をとりつつ、実質的に個人間送金を行う新たなサービスが提供されるなど、収納代行を取り巻く状況が変化しています。
ワーキング・グループでは、現時点で把握できている収納代行の形式をとったサービスを念頭に、為替取引に関する規制を適用する必要性についての検討を行われましたが、イノベーションが進展する中で、事業者の創意工夫により、将来、収納代行の形式をとった新たなサービスが提供される可能性もあります。そこで、本報告書では、今後とも、収納代行を巡る動向を注視しつつ、それぞれのサービスの機能や実態に着目した上で、為替取引に関する規制を適用する必要性の有無を判断していくことが適当と考えるとしています。
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3 債権者が事業者等である収納代行
収納代行については、サービス形態によっては、債権者・債務者双方が収納代行業者に対する信用リスクを抱える可能性があることから、利用者保護のための制度整備が必要との指摘があります。
他方で、収納代行のうち、�@債権者が事業者や国・地方公共団体であり、かつ、�A債務者が収納代行業者に支払いをした時点で債務の弁済が終了し、債務者に二重支払の危険がないことが契約上明らかである場合には、既に一定の利用者保護は図られていると考えることが可能です。したがって、本報告書では、こうした収納代行について、為替取引に関する規制を適用する必要性は、必ずしも高くないと考えられるとしています。
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4 個人間の収納代行�@(割り勘アプリ):資金移動業の対象に
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〇割り勘アプリのイメージ

〇出所:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第2回)「参考資料」(2019年10月24日)
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 「割り勘アプリ」とは、オンライン上で、債権者(宴会幹事)に代わって事業者が債務者(宴会参加者)から債権(参加費)の回収を行うサービスを指します。
割り勘アプリ事業者が、債権者(宴会幹事)から、�@宴会代金の支払を行った旨の通知と代金請求の依頼とともに、代理受領の委託を受けて、�A債務者(宴会参加者)に代金請求を行った上で、�B債務者から代金を受領し、�C債権者に受け渡します。
このようなサービスについては、サービス提供者は、個人間の債権債務関係の発生事由に関与しておらず、単に資金のやり取りを仲介しているだけであり、その経済的な効果は、債権者が、第三者であるサービス提供者に対して逆為替(取立為替)の依頼を行っている場合と同視しうると考えられます。また、一般消費者である債権者・債務者双方が、サービス提供者に対して信用リスクを抱えるおそれがあり、利用者保護を確保する必要性は高いと考えられます。
そこで、報告書は、こうしたサービスについては、収納代行の形式をとってはいるものの、資金決済法等の為替取引に関する規制の適用対象となることを明確化することが必要と考えられます。すなわち、割り勘アプリサービスの提供者は資金移動業者としての登録が必要となることが明確化されます。

5 個人間の収納代行�A(エスクローサービス):共通の認識得られず規制化見送り
〇エスクローサービスのイメージ

〇出所:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(第2回)「参考資料」(2019年10月24日)
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 エスクローサービスのイメージは、以下の通りです。

ネットオークション、フリマアプリ等のサービスを提供する事業者(「事業者」)が、個人間の物品売買等の契約締結を確認し、債権者(売主)から代理受領の委託を受ける。

事業者が債務者(買主)から商品の代金を受領する。

事業者が代金入金の通知を行う。

これを受けた債権者が商品を発送する。

債務者が商品到着の通知を行う。

これを受けた事業者が、債務者から受領した代金を債権者に受け渡す。

 エスクローサービスにおいては、個人間における物品の売買等の取引に際し、当事者双方の債務の同時履行を図ることにより、当事者間トラブルの未然防止機能があり、債権者・債
務者双方がその利点を享受しています。
 エスクローサービスについては、売買契約等の当事者間に生じる信用リスクをサービス提供者に付け替えているだけであるとの指摘があります。また、仮にエスクローサービスに為替取引に関する規制を適用した場合、利用者保護上重要な役割を果たしているエコシステムに支障が生じかねないとの指摘もあります。
 他方で、エコシステムへの留意は、利用者保護に懸念を生じさせない範囲にとどめるべきであり、債務者が債権者に支払うべき資金をサービス提供者が保持する以上、利用者保護のためにその保全が図られることが必要との指摘もあります。
 本報告書では、エスクローサービスに為替取引に関する規制を適用する必要性については、現時点で共通の認識を得られておらず、また、これまで社会的・経済的に重大な問題とされるような被害は発生していないことも踏まえて、直ちに制度整備を図ることは必ずしも適当ではなく、引き続き検討課題とすることとされました。
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Q5 本報告書では、ポストペイサービスについてはどのような制度改正が提言されていますか。

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1 ポストペイサービス
 「ポストペイサービス」とは、一定期間の送金サービス利用代金をまとめて支払うことを可能とするサービスを指します。
 ポストペイサービス※を提供する場合には、
・ 銀行法上の銀行業の免許を受けて行う方法(為替取引と貸付けの組合せ)
・ 資金決済法上の資金移動業の登録及び貸金業法上の貸金業の登録を受けて行う方法
・ 割賦販売法上の信用購入あっせん業の登録を受けて行う方法
の3つの方法が考えられますが、貸金業法や割賦販売法上の規制への対応が負担であるとの指摘があります。
 ワーキング・グループでは、ポストペイサービスのうち、「資金移動業と貸金業の両方の登録を受けて、為替取引と貸付けを組み合わせる方法」に関して、利用者ニーズがあるとされる少額でのポストペイサービスを念頭に、貸金業法上の規制の合理化の必要性について検討を行われましたが、少額であっても過剰与信防止の必要性に変わりはないとの指摘があった一方で、利便性の高いポストペイサービスを実現していくために必要な規制の合理化に関し、具体的かつ喫緊のニーズについての共通の認識は得られませんでした。
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2 割賦販売法上の信用購入あっせん業の登録を受けて行う方法(「少額・低リスクの後払いサービスに対するリスクベース・アプローチの導入」)
 経済産業省の産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会は、2019年12月20日、「当面の制度化に向けた整理と今後の課題〜テクノロジー社会における割賦販売法制のあり方〜」[12]を公表しました。
 同報告書では、「少額・低リスクの後払いサービスに対するリスクベース・アプローチの導入」等について方向性が示され、「少額包括信用購入あっせん業者(仮称)」の新設が提言されています。
 具体的内容は以下のとおりです。
(1)「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」 の新設
 近時、新たに出現している「少額・低リスクの後払いサービス」のうち、少額の2ヶ月超又は リボ払いの 後払いサービスであって、ビッグデータ・AI 等の技術・データを用いた高度な与信リスク管理が行われているものについて、これを行おうとする事業者を、割賦販売法上、「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」と位置づけ、新たに登録制を創設することとします。その際、これらの事業者に対する規制については、主たる担い手として想定されるFinTech 企業のビジネス特性を踏まえた上で 現行の一律の規制ではなく、リスクに応じ柔軟な規制を行うものとします。なお、「少額」の範囲については、「極度額10万円以下」とします。
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〇「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」の新設

出所「当面の制度化に向けた整理と今後の課題〜テクノロジー社会における割賦販売法制のあり方〜」(経済産業省の産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会・2019年12月20日)
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(2)割賦販売法上のリスクとリスクベース・アプローチを適用すべき規制項目の整理
「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」 について、リスクベース・アプローチを導入するにあたり、FinTech企業のビジネス特性を踏まえた上で、割賦販売法上のリスクとリスクベース・アプローチを適用するべき規制項目について整理を行うと、次のようになると考えられます。
こうした整理に基づき、�@純資産要件等の登録基準、�A契約解除の催告期間・催告書面、�B取引条件表示・社内体制整備の見直しを行うことが適切であると考えられます。
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〇割賦販売法上のリスクベース・アプローチを適用すべき規制項目の整理

出所「当面の制度化に向けた整理と今後の課題〜テクノロジー社会における割賦販売法制のあり方〜」(経済産業省の産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会・2019年12月20日)
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(3)具体的な制度措置
 「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」について登録制を新設するにあたっては、上記�Aのリスクベース・アプローチを適用すべき規制項目について、以下の通り、規制の合理化を行うことが提言されています。
(ア)純資産要件等の登録基準
(a)純資産要件
現行法上、割賦販売法では、純資産要件として、登録時に、「 資産−負債≧ 資本金又は出資額× 百分の九十」を満たすことを求めています。
今次の見直しにあたっては、主たる担い手として想定されるFinTech 企業の事業特性上、 多額の初期投資を中長期的に回収する場合が多いことから、「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」に対しては 、登録時に(資産−負債)が負の値でないこと、かつ、�@登録時にグループ全体で現行基準を満たす、�A事業開始から例えば5年以内に現行基準を満たす、又は�B事業開始から例えば5年以内に一定額以上(例えば、1,000万円以上)の純資産を保有することを許容することとされています。
(b)資本要件
現行法上、割賦販売法では、資本金要件として、登録時に2,000万円の資本金があることを求めています。この資本金要件は、旧商法上の株式会社の最低資本金が1,000 万円とされていること等を踏まえて設定されたものですが、平成17年に会社法が制定され、最低資本金制度は廃止されています。
こうしたことから、「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」には、会社規模が小さい事業者の登録が見込まれることや、個々の取引額は少額であると想定され、加盟店を害する可能性が相対的に低いこと等も踏まえ、資本金要件を登録要件としては課さないこととされています。
(c)与信審査体制のあり方
「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」においては、登録時に、技術・データを用いた与信審査手法の適正実施 が担保されていることを前提として、支払可能見込額調査に代えて、技術・データを用いた与信審査を適正に行うための体制の整備を求めることとされています。
(イ)契約解除の催告期間・催告書面
催告期間について関係各法における規制を見ると、貸金業法においては規制はなく、民法においては「相当の期間」とされ、判例・通説では3日程度とされています。
こうしたことを踏まえ、割賦販売法においても、「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」においては、 主たる担い手として想定されるFinTech 企業の 債権回収モデル等を踏まえ、 催告期間を現行法に定められている20日間から短縮(例えば7日〜8日)するとともに催告書面の電子化を進めることとされています。
(ウ)取引条件表示・社内体制整備
「少額包括信用購入あつせん業者(仮称)」 については、主たる担い手として想定されるFinTech 企業のUI・UX をより重視するサービス特性や利用者の利便性を踏まえ、取引条件の表示義務に関する規制を柔軟化し、例えば、具体的算定例や特約について、URL 表示による記載をすることを認め、その他必要な事項についても 精査した上で見直しを行うこととされています。
また、社内体制整備について、例えば、必置とされる「営業部門とは独立した監査部署」に代わる監査方法を認めることや、認定割賦販売協会が主催する研修の受講方法を柔軟化(elearning等)することとされ、その他必要な事項についても 精査した上で見直しを行うこととされています。

[1]https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20191220.html

[2]本報告書は、令和元年7月26日の金融審議会 金融制度スタディ・グループ 「「決済」法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告≪基本的な考え方≫」(以下「基本的な考え方」という。)(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190726.html)で検討された内容を更に詳細に検討したものである。

[3]送金の履行の確実性に関して、銀行の破綻時に決済途上の資金は預金保険により迅速に全額保護が図られることを踏まえ、特に企業間決済に用いられた場合の影響の大きさを念頭に、資金移動業者の破綻時にも迅速に送金が行われる制度整備を図るべきとの指摘や、業務の継続性・安定性を確保するため、最低所要自己資本規制や為替業務単独での収支確保等の方策も必要との指摘

[4]2010 年2月23 日金融庁「資金決済に関する法律の施行に伴う政令案・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について」

[5]分別管理された預金について倒産隔離の効果が認められた事例として、公共工事の請負者が、地方公共団体から支払いを受け、他の財産と分別された預金口座で管理していた前払金について、地方公共団体と請負者との間の信託契約の成立が認められた事例がある(最判平成14 年1月17 日民集56 巻1号20頁)。

[6]「要履行保証額」とは、各営業日における未達債務の額と権利実行の手続に関する費用の額の合計額をいう。資金移動業者は、各営業日における未達債務算出時点を特定した上で、未達債務の額を算出することが求められる。

[7]現行規制上、資金移動業者には、保全すべき額の算定頻度が年2回である前払式支払手段発行者と同様に、年2回、当局への利用者資金の保全状況に関する報告書の提出が求められている一方、仮想通貨交換業者には、年4回、当局への利用者財産の管理に関する報告書の提出が求められている。

[8]現状、こうしたサービスを提供している前払式支払手段発行者は、チャージ残高の譲渡額について、自主的に、1回又は1日当たり10 万円以下の上限を設定している。

[9]2016 年8月4日金融庁「「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(案)」に対するパブリックコメントの結果等について」

[10]2019 年8月30 日一般社団法人キャッシュレス推進協議会『コード決済における不正利用に関する責任分担・補償等についての規定事例集(利用者向け利用規約)』

[11]https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20090114-1/01.pdf

[12]https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000196234

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