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Q&A宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

2021/10/13

ウェビナーのレジュメを掲載いたします。
解説資料:Q&A宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

本ニュースレターにおいては、国土交通省が2021年10月8日に公表した『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』(以下「本ガイドライン」といいます。)について、Q&A形式で解説いたします。PDFファイル版は下記(↓)をご覧ください。

Q&A宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
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執筆者:渡邉雅之
* 本ニュースレターに関するご相談などがありましたら、下記にご連絡ください。
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
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FAX 03-5288-1025
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第1.本ガイドラインの制定の背景
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Q1 本ガイドラインの制定の背景について教えてください。

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A1 本ガイドライン制定は、以下の現状(�@)と課題(�A)を背景としています。
�@不動産取引における人の死の告知の現状
不動産取引においては、とりわけ住宅として用いられる不動産において、過去に人の死が発生した場合、その事案の内容に応じて、一部の買主・借主にとって不動産取引において契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があることから、売主・貸主は、把握している事実について、取引の相手方等である買主・借主に対して告知する必要があり、過去の裁判例に照らせば、取引目的、事案の内容、事案発生からの時間の経過、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上、これを取引の相手方等に告知すべき義務の有無が判断されています(高松高判平成26 年6月19 日判時2236 号101 頁、東京地判平成22 年3月8日WJ、大阪高判平成26 年9月18 日判時2245 号22 頁等)。
また、不動産取引においては、とりわけ住宅として用いられる不動産において、過去に人の死が発生した場合、その事案の内容に応じて、一部の買主・借主にとって不動産取引において契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があることから、売主・貸主は、把握している事実について、取引の相手方等である買主・借主に対して告知する必要があり、過去の裁判例に照らせば、取引目的、事案の内容、事案発生からの時間の経過、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上、これを取引の相手方等に告知すべき義務の有無が判断されています。
しかしながら、現状、不動産取引に当たって、取引対象の不動産で生じた人の死について、適切な調査や告知に係る判断基準がありません。これにより、不動産の円滑な流通、安全できる取引が阻害されています。
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�A不動産取引における人の死の告知に係る課題
 上記�@のとおり、現状、不動産取引において取引対象の不動産で生じた人の死について判断基準がないことで、所有する物件で死亡事故等が生じた場合に、全て事故物件として取り扱われるのではないかとの所有者の懸念があります。これにより、不動産取引に際し、借主に対し、当該不動産において過去に生じた人の死に関する事案の全てを告げる対応を行うことによって、賃貸住宅の入居の場面において、貸主が、入居者が亡くなった場合、亡くなった理由の如何を問わずその事実を告知対象にしなければならないと思い、特に単身高齢者の入居が困難となっています。
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 上記のような背景の下、不動産取引に際して、当該不動産において過去に人の死が発生した場合における対応の判断に資するよう、一定の考え方を示すことが求められています。
 これを踏まえ、令和2年(2020年)2月より、国土交通省において「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」(座長:中城康彦 明海大学不動産学部長)を開催し、不動産において過去に人の死が生じた場合において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、学識経験者による議論を行い、過去の裁判例の蓄積の状況等も踏まえて、過去に人の死が生じた居住用不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、現時点で妥当と考えられる一般的な基準を本ガイドラインとして取りまとめたものです。
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第2.本ガイドラインの位置付け
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Q2 本ガイドラインの位置付けについて教えてください。

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A2 本ガイドラインは、「宅地建物取引業者の義務の判断基準」となるものです。これに対して、宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応を行った場合であっても、「民事上の責任」を回避できるものではありません。
�@ 宅地建物取引業者の義務の判断基準としての位置づけ
 宅地建物取引業者は、「宅地若しくは建物の・・・取引条件・・・であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為が禁じられます(宅地建物取引業法47条1号ニ)。
上記Q1の「本ガイドライン制定の背景」のとおり、本ガイドラインは、不動産において過去に人の死が生じた場合において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者がとるべき対応に関し、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、トラブルの未然防止の観点から、現時点において裁判例や取引実務に照らした一般的な判断基準として取りまとめられたものです。
過去に人の死が生じた不動産の取引に際し、宅地建物取引業者が本ガイドラインで示した対応を行わなかった場合、そのことだけをもって直ちに宅地建物取引業法違反となるものではありませんが、宅地建物取引業者の対応を巡ってトラブルとなった場合には、行政庁における監督に当たって、本ガイドラインが参考にされることとなります。
�A 民事上の責任の位置づけ
 個々の不動産取引において、人の死の告知に関し紛争が生じた場合の民事上の責任については、取引当事者からの依頼内容、締結される契約の内容等によって個別に判断されるべきものであり、宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応を行った場合であっても、当該宅地建物取引業者が民事上の責任を回避できるものではないことに留意する必要がありません。
もっとも、宅地建物取引業者が、一般的な基準として本ガイドラインを参照し、適切に対応することを通じて、不動産取引に際し、当該不動産において過去に生じた人の死に関する事案について、買主・借主が十分な情報を得た上で契約できるようにすることにより、取引当事者間のトラブルの未然防止とともに、取引に関与する宅地建物取引業者との間のトラブルの未然防止が期待されます。
媒介を行う宅地建物取引業者は、売主・貸主による告知書等への記載が適切に行われるよう必要に応じて助言するとともに、売主・貸主に対し、事案の存在について故意に告知しなかった場合等には、民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましいです。
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第3.適用範囲について
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Q3 本ガイドラインはどのような「対象事案」、「対象不動産」に適用されますか。

A3 本ガイドラインは 、取引の対象となる不動産において生じた「人の死に関する事案」に適用されます。また、「住宅として用いられる不動産(居住用不動産)」を対象とします。
 居住用不動産とオフィス等として用いられる不動産を比較した場合、居住用不動産は、人 が継続的に生活する場(生活の本拠)として用いられるものであり、買主・借主は、居住の快適性、住み心地の良さなどを期待して購入又は賃借し、入居するため、人の死に関する事案は、その取引の判断に影響を及ぼす度合いが高いと考えられることから、本ガイドラインは、「居住用不動産」を対象としています。
 オフィス等として用いられる不動産において発生した事案については、それが契約締結の判断に与える影響が一様でないことから本ガイドラインの対象外としているものであり、これらの不動産の取引においては、取引当事者の意向を踏まえつつ、適切に対処する必要があります。
第4.調査について
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Q4 調査の対象・方法
宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・買主に告知書等に過去に生じた事案について記載を求めれば義務を果たしたことになりますか。それとも、自ら周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットを調査するなどの自発的な調査を行う義務を負いますか。

A4 宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、告知書(物件状況等報告書)その他の書面(「告知書等」)に過去に生じた事案についての記載を求めることにより、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたことになります。
すなわち、告知書等に記載されなかった事案の存在が後日に判明しても、当該宅地建物取引業者に重大な過失がない限り、人の死に関する事案に関する調査は適正になされたものとされます。
なお、下記Q6の�Aの場合は、「概ね3年の経過」で人の死について告げなくてもよいこととされていますが、事件性等が特に高い場合等は、3年が経過した事案等についても告知する必要があるため、事案を把握する前に、売主・貸主に対して、3年を超える事案は一律に記載する必要がないと指示することは宅建業法違反に問われる可能性があります。
調査の過程において、照会先の売主・貸主・管理業者より、事案の有無及び内容について、不明であると回答された場合、あるいは回答がなかった場合であっても、宅地建物取引業者に重大な過失がない限り、照会を行った事実をもって調査はなされたものと解されます。
なお、国土交通省において示している「マンション標準管理委託契約書」においては、宅地建物取引業者が媒介等の業務のために、当該マンションに係る情報の開示を求めてきたときは、書面等をもって開示するものとされています。
宅地建物取引業者は、「特段の事情」がないのであれば、自ら周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットサイトを調査するなどの自発的な調査を行う義務はありません。
「特段の事情」は、例えば、複数の近隣住民から人の死に関する事案に係る情報が寄せられた場合等を指しております
仮に調査を行う場合においては、亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、特に慎重な対応が必要です。
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※告知書(物件状況等報告書)には、「周辺環境」に関する事項の一つとして、「事件・事故・火災等」の項目において、「売買物件やその近隣での自殺、殺傷事件等の心理的影響があると思われる事実があれば記入してください。」等の記載がなされている。(「知らない」「知っている」をチェックさせ、「知っている」場合は「概要」を記載する。)
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Q5 調査にあたっての留意事項
宅地建物取引業者は過去に人の死が生じたことの調査にあたってどのようなことに留意する必要がありますか。

A5 宅地建物取引業者は、売主・貸主による告知書等への記載が適切に行われるよう必要に応じて助言するとともに 、売主・貸主に対し、事案の存在について故意に告知しなかった場合等には、民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましいです。
告知書等により、売主・貸主からの告知がない場合であっても、人の死に関する事案の存在を疑う事情があるときは、売主・貸主に確認する必要があります。
取引の対象となる不動産において過去に人の死が生じた事実について、媒介を行う宅地建物取引業者は、契約後、引渡しまでに知った場合についても告知義務があるとする裁判例がある(高松高判平成26年6月19日判時2236号101頁)ことに留意する必要があります。
 後日トラブルとなり、訴訟等に発展した場合でも告知書等が証拠資料になり得るため、媒介を行う宅地建物取引業者は、売主・貸主に対して告知書等への適切な記載を求め、これを買主・借主に交付することが、トラブルの未然防止とトラブルの迅速な解決のためにも有効であると考えられます。媒介を行う宅地建物取引業者が、買主・借主から、「売主・貸主が宅地建物取引業者に告知した事案について、宅地建物取引業者が買主・借主に告げなかった」等と指摘され、トラブルに発展することの未然防止にも繋がるものと考えられます。

第5.告知について
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Q6 宅地建物取引業者はどのような場合に人の死について告げなくてもよいでしょうか?

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A6 以下の�@から�Bの場合は、人の死について原則として告げなくてもよい場合とされています。
�@【賃貸借取引・売買取引取引】の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)(特殊清掃や大規模リフォーム等(「特殊清掃等」)を行う場合を除く)
�A【賃貸借取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)・特殊清掃等が行われた�@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後(事件性、周知性、社会に与えた営業等が高い事案を除く)
�B【賃貸借取引・売買取引】の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死・特殊清掃等が行われた�@の死
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�@【賃貸借取引・売買取引取引】の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)(※事案発覚からの経過期間を問わない)

 老衰、持病による病死など、いわゆる「自然死」は、自宅における死因割合の9割を占めますが、裁判例においても、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在する(東京地判平成18 年12 月6日WJほか。)ことから、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いため、原則として、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、これを告げなくてもよいです。
 また、事故死に相当するものであっても、自宅の階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など、「日常生活の中で生じた不慮の事故」による死については、そのような死が生ずることは当然に予想されるものであり、これが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、自然死と同様に、原則として、これを告げなくてもよいです。この場合、下記�Aと違い、時間的経過を要しません。
 ただし、「自然死」や「日常生活の中での不慮の死」が発生した場合であっても、取引の対象となる不動産において、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃(孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス)や大規模リフォーム等(「特殊清掃等」)が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、下記�Aの基準(概ね3年間の経過)に従います。

�A【賃貸借取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)・特殊清掃等が行われた�@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後(事件性、周知性、社会に与えた営業等が高い事案を除く)

�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)が発生している場合又は�@の死(自然死・日常生活の中の不慮の死)が発生して特殊清掃等が行われた場 合、いつまで事案の存在を告げるべきかについては、その事件性、周知性、社会 に与えた影響等により変化するものと考えられますが、賃貸借取引については、過去の裁判例等を踏まえ、賃貸借取引の対象不動産において�@以外の死が発生している場合又は�@の死が発生して特殊清掃等が行われた場合には、特段の事情がない限り、これを認識している宅地建物取引業者が媒介を行う際には、�@以外の死が発生又は特殊清掃等が行われることとなった�@の死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよいです。
また、 借主が日常生活において通常使用する必要があり(例えば、ベランダ等の専用使用が可能な部分のほか、共用の玄関・エレベーター・廊下・階段のうち、買主・借主が日常生活において通常使用すると考えられる部分が該当する。)、借主の住み心地の良さに影響を与えると考えられる「日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分」における�@以外の死及び特殊清掃等が行われた�@の死は、賃貸借取引の対象不動産と同様に概ね3年間を経過した後は、原則として、借主にこれを告げなくてもよいです。
ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案については、概ね3年を経過した後でも宅地建物取引業者は人の死について告知しなければなりません。
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�B【賃貸借取引・売買取引】の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死・特殊清掃等が行われた�@の死(事件性、周知性、社会に与えた営業等が高い事案を除く)

賃貸借取引及び売買取引において、その取引対象ではないものの、その隣接住戸又は借主もしくは買主が「日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分」において�@以外の死が発生した場合又は�@の死が発生して特殊清掃等が行われた場合は、裁判例等も踏まえ、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、原則として、これを告げなくてもよいです。この場合、上記�Aと違い、時間的経過を問いません。
ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案については、宅地建物取引業者は(時間の経過を問わず)人の死について告知しなければなりません。
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Q7 宅地建物取引業者はどのような場合に人の死について告げなければならないのはどのような場合ですか?

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A7 上記Q7の�@から�Bのケース以外の場合は、宅地建物取引業者は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、買主・借主に対してこれを告げなければなりません。
 具体的には以下の(ア)から(ウ)の事案です。(ア)と(ウ)は時間的経過を問いません。
(ア)【売買取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)
(イ)【賃貸借取引】の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)・特殊清掃等が行われた�@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過していない場合
(ウ)【売買取引・賃貸借取引】の事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案
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なお、地震等の大規模な災害により、対象となる不動産において人の死が生じたか明らかでないような場合には、その旨を告げれば足ります。
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Q8 宅地建物取引業者は、Q7の(ア)の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した�@以外の死(自死・他殺・日常生活の中の不慮の死以外の事故死)については、いかに時間が経過しても買主・借主に人の死について告げなければならないのでしょうか。

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A8 人の死は日々各地で発生しているが、それがいわゆる心理的瑕疵に該当するかや、その継続性の評価は、事案の態様・周知性等や当該物件の立地等の特性によって異なり、時代や社会の変化に伴い変遷する可能性もあります。また、いわゆる心理的瑕疵は時間の経過とともに希釈され、やがて消滅するとの裁判例もあります。
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Q9 Q7のとおり、宅地建物取引業者は人の死について告げなければならない場合、「どのようなこと」を買主・借主に告げる必要がありますか。

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A9 Q7のとおり、宅地建物取引業者が「人の死」について告げる場合は、Q4の調査を通じて判明した点について実施すれば足り、買主・借主に対して事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合には発覚時期)、場所、死因 (自然死・他殺・自死・事故死等の別、不明である場合にはその旨)及び特殊清掃等が行われた場合にはその旨を告げなければなりません。
ここでいう事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合には発覚時期)、場所、死因及び 特殊清掃等が行われた旨については、Q4の調査において売主・貸主・管理業者に照会した内容をそのまま告げるべきです。
なお、売主・貸主・管理業者から不明であると回答された場合、あるいは無回答の場合には、その旨を告げれば足ります。
 

Q10 宅地建物取引業者は、買主・借主から問われた場合及び買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合は、買主・借主に「人の死」について告げる必要がありますか。

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A10 取引の対象となる不動産における事案の存在に関し、人の死に関する事案の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、その社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情 があると認識した場合等には、当該事案は取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるため、宅地建物取引業者は、Q4の調査を通じて判明した点を告げる必要があります。
この場合においても、調査先の売主・貸主_ 管理業者から不明であると回答されたとき、あるいは無回答のときには、その旨を告げれば足ります。
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Q11 宅地建物取引業者は、買主・借主に「人の死」について告げる場合、どのようなことに留意する必要がありますか。

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A11 告げる際には、亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにする必要 があることから、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死の態様、発見状況等を告げる必要はありません。
また、買主・借主に事案の存在を告げる際には、後日のトラブル防止の観点から、書面の交付等によることが望ましいです。

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