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【オープンAPI】「電子決済等代行業」の「銀行代理業」への該当性についてのガイドライン

2018/03/12

執筆者:渡邉雅之(弁護士法人三宅法律事務所:パートナー弁護士)

(ニュースレター)
Miyake Newsletter(金融法務・FinTech研究会No3:【改訂版】電子決済等代行業者へのAPIの開放)
(連載記事)
【オープンAPI】「電子決済等代行業」の「銀行代理業」への該当性についてのガイドライン
【オープンAPI】電子決済等代行業に該当しない行為について
【オープンAPI】電子決済等代行業者の登録申請書の記載事項・添付書類
【オープンAPI】電子決済等代行業者の登録拒否事由・登録審査の留意事項
【オープンAPI】電子決済等代行業者の届出について
【オープンAPI】電子決済等代行業者が遵守する必要がある利用者の保護の義務
【オープンAPI】銀行との契約締結義務・銀行による基準の公表義務
【オープンAPI】施行期日・経過規定
(セミナー)
平成30年4月13日「オープンAPI・電子決済等代行業に関する法制度」(金融財務研究会)

 平成30年3月9日、金融庁は、パブリックコメントとして『「銀行法施行令等の一部を改正する政令等(案)について」を公表しました。同パブリックコメントは、平成29年6月2日に公布された「銀行法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第49号)に基づき、銀行等の金融機関が、家計簿アプリ等に代表される口座管理や電子送金サービスをする電子決済代行業者に対して、API(Application Programming Interface)を開放(これを「オープンAPI」といいます。)する場合の基準や電子決済等代行業者の登録要件や行為規制等について定めるにあたっての、政令案・施行規則案・留意事項案などが示されています。オープンAPIに関する制度は、平成30年6月1日に施行する予定です。

 今回のパブリックコメントは当初、平成29年中になされる予定でしたが、電子決済等代行業者が顧客だけでなく、銀行からも手数料を徴収しているケースがあるところ、このような場合には「電子決済等代行業」(改正銀行法2条17項)だけでなく、「銀行代理業」(同法2条14項)にも該当してしまう懸念があったため、金融庁と金融機関・電子決済等代行業者の間でギリギリの調整がなされたためであると言われています。「電子決済等代行業」のほか「銀行代理業」にも該当する場合は、「電子決済代行業者」(同条18項)としての登録(同法52条の61の2)のほか、「銀行代理業者」(同法2条15項)としての登録(同法52条の36第1項)も必要となってしまいます。これらの金融機関・電子決済等代行業者の要望に応える形で、金融庁はパブリックコメント案として『銀行法等に関する留意事項について(銀行法等ガイドライン)(案)』(以下「銀行代理業ガイドライン」といいます。)を公表し、電子決済等代行業者が銀行等の金融機関から手数料を受領する場合であっても、一定の場合には、「銀行代理業」に該当しないというセーフハーバールールを示しました。
 以下では、「銀行代理業ガイドライン」で示される「銀行代理業」と「電子決済等代行業」の関係について説明いたします。
 改正銀行法2条17項において、「電子決済等代行業」は以下のとおり、定義されています。

17 この法律において「電子決済等代行業」とは、次に掲げる行為(第一号に規定する預金者による特定の者に対する定期的な支払を目的として行う同号に掲げる行為その他の利用者の保護に欠けるおそれが少ないと認められるものとして内閣府令で定める行為を除く。)のいずれかを行う営業をいう。
一 銀行に預金の口座を開設している預金者の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けて、電子情報処理組織を使用する方法により、当該口座に係る資金を移動させる為替取引を行うことの当該銀行に対する指図(当該指図の内容のみを含む。)の伝達(当該指図の内容のみの伝達にあつては、内閣府令で定める方法によるものに限る。)を受け、これを当該銀行に対して伝達すること。
二 銀行に預金又は定期積金等の口座を開設している預金者等の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けて、電子情報処理組織を使用する方法により、当該銀行から当該口座に係る情報を取得し、これを当該預金者等に提供すること(他の者を介する方法により提供すること及び当該情報を加工した情報を提供することを含む。)。

 改正銀行法2条17項1号は、顧客のために送金の指示の伝達まで行う「更新系」、同項2号は、顧客に対して口座情報を取得し提供を行う「参照系」について定めていますが、いずれも、上記下線部のとおり、「銀行に預金の口座を開設している預金者の委託・・・を受けて」行われるものとされています。

 これに対して、銀行法2条14項において、「銀行代理業」は以下のとおり定義されています。

14 この法律において「銀行代理業」とは、銀行のために次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。

一 預金又は定期積金等の受入れを内容とする契約の締結の代理又は媒介

二 資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結の代理又は媒介

三 為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介

 「銀行代理業」は上記の定義のとおり、「銀行のために」預金等の受入れを内容とする契約の締結の代理・媒介、資金の貸付け等を内容とする契約の締結の代理・媒介、為替取引を内容とする契約の締結の代理・媒介をするものです。とりわけ、預金や資金の貸付けを内容とする契約の締結について、電子決済等代行業者がかかわることは通常想定されませんが、「為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介」(銀行法2条14項3号)は一回ごとの送金行為もこれに入るので、「更新系」のサービスを提供する電子決済等代行業者は銀行からも手数料を受領する場合には、「銀行代理業」にも該当してしまうのではないかと懸念されます。

 「銀行代理業ガイドライン」においては、銀行代理業の対象とならない行為の一般的基準を示すとともに、電子決済等代行業者が銀行から経済的対価を受領する場合であっても、「銀行代理業」には該当しないこととする基準を示しています。
 まず、銀行代理業の対象とならない行為の一般的基準は以下のように示されています。

(銀行代理業の対象とならない営業について) 2−1
銀行法第2条第 14 項の「銀行のために」行う営業とは、銀行から委託を 受けて行うものを意味し、専ら「顧客または利用者(以下「顧客等」という。) のためだけに」行う営業は含まれない。ある行為が「銀行のために」に該当する か否かは、個別事情に即して判断することとなるが、次に掲げる場合は銀行代理 業に該当しないことに留意する。
�@ 銀行からの直接又は間接的な委託(間接的な委託とは、再委託、再々委託及びその連鎖)に基づき、預金若しくは定期積金等の受入、資金の貸付け若しくは手形の割引又は為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介に関 与するものではない場合
�A 契約の条件の確定又は締結に関与する対価として、銀行から直接又は間接的に報酬、手数料その他名目のいかんにかかわらず経済的対価(手数料収入そ の他の対価)を受領するものではない場合_

 上記の基準は、「銀行代理業」に関して従来からの考え方をガイドライン化したものに過ぎず、特に目新しいものではありません。
 これに対して、以下は、電子決済等代行業者が行う行為が銀行代理業に該当しないための基準であり、電子決済等代行業者にとっては今後重要なセーフハーバールールとなるものです。

(経済的対価について) 2−2
 銀行から受領する経済的対価が、預金若しくは定期積金等の受入、資金の 貸付け若しくは手形の割引又は為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介に係る「契約の条件の確定又は締結に関与する対価」であるか否かは当該対価 の名目ではなく、実質に着目して判断することになる。
 例えば、顧客等からの委託を受けて、顧客等に対してサービスを提供する者(以 下「サービス提供者」という。)が、銀行から経済的対価を受け取っていても、 その実質が次に掲げるものと認められる場合は、預金若しくは定期積金等の受入、 資金の貸付け若しくは手形の割引又は為替取引を内容とする契約の締結の代理 又は媒介に係る「契約の条件の確定又は締結に関与する対価」とは異なることに留意する。

–  銀行に対してサービス提供者のシステムを提供し、顧客等が当該サービス提供者のシステムを利用して銀行口座にアクセスできる状態を作成・維持した対価としてのシステム利用料であると認められる場合
–  サービス提供者のウェブサイト上に銀行のサービスを広告したことの対価としての広告料であると認められる場合
–  サービス提供者が顧客等の承諾を得て、当該サービス提供者によって取得または生成された当該顧客等に関する情報を銀行に提供する対価(情報提供料等)であると認められる場合
–  サービス提供者に対する顧客等からの手数料を、利用者利便の観点から、顧客等に説明した上で銀行がまとめて徴収し、サービス提供者に交付していると認められる場合

 一方、経済的対価の性質の判断にあたって、当該経済的対価の算出方法が銀行取引の成約高(預金残高若しくは口座数、与信残高若しくは件数又は為替取引額若しくは件数など)に連動するとの事実は、当該経済的対価が銀行代理行為に係る契約の条件の確定又は締結に関与する対価であることを推認させるこ とに留意する。

 「経済的対価」が、預金・資金の貸付け・為替取引(送金)という銀行の行為にかかるものではなく、「システム利用料」、「銀行のサービスの広告の対価」、「銀行に対する情報提供料等」、「顧客がサービス提供者に支払うべき対価を銀行がまとめて徴収し、それをサービス提供者に支払う場合」が掲げられています。

 上記の基準は、電子決済等代行業者だけでなく、例えば、銀行のサービス(外貨預金や住宅ローン)の比較サイトを運営する事業者が、銀行から手数料を受領する場合にも適用されることになります。

 経済的対価が成約高(預金残高・口座数、与信残高・件数、為替取引額・件数)に連動する場合(いわゆる成功報酬ベース)である場合には、銀行代理行為に該当することを推認させるとされていることも注目されます。
 この基準の考え方によれば、銀行のために、個別の預金契約の締結の代理・媒介や資金の貸付けに係る契約の締結の代理・媒介にはかかわらないものの、顧客紹介行為をする事業者が成約高ベース(成功報酬ベース)で報酬を受領する場合には、銀行代理業を営んでいると推認されると解釈される可能性も出てきてしまいます(解釈上の波及効果)。
 筆者は、従来から、成約にかかわらず、紹介の件数ごとに定額の報酬を支払うことが銀行代理業に該当しないと解釈されるためには安全ですが、銀行代理業に該当する行為をしない限りは成約(成功報酬)ベースでも必ずしも、銀行代理業と推認されることにはならないと考えてきました。もちろん、営業職員は成約(成功報酬)ベースですと、契約を成立させようとするインセンティブが強く働くので、成約(成功報酬)ベースはあまり望ましくはありません。

当事務所では、銀行等の金融機関・電子決済等代行業者に対してオープンAPIに関する業務を提供しております。ご提供できる業務は下記の業務です。
‐ 電子決済等代行業に関する助言・コンサルティング
‐ 電子決済等代行業に関するシステムの要件定義に関するアドバイス
‐ 電子決済等代行業者との連携・協働に係る方針の作成の支援
‐ 電子決済等代行業に係る契約書の作成支援
‐ 電子決済等代行業の業務方法書・社内規程の雛型の作成支援
‐ 銀行による電子決済等代行業者に求める事項の基準の作成支援
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