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『課徴金のおそれもある独占禁止法の改正』

2009/08/17

(執筆者:弁護士 豊田孝二)
【Q.】独占禁止法改正で何が変わるの?
ニュースでもよく耳にする「独占禁止法」ですが、最近、それが改正され、課徴金制度等の見直しがされたと聞きました。何が変わったのか、その概要を教えてください。
【A.】
◆はじめに
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(いわゆる「独占禁止法」)の一部を改正する法律」が、平成21年6月3日に成立し、同月10日に公布されました。なお、課徴金制度等の見直しに関する施行日は未定ですが、公布の日から起算して1年以内に施行されることとされています。
今回の改正では、課徴金制度等の見直しがなされていますが、これは大きく、
1.課徴金の対象となる行為類型の拡大
2.課徴金を課す仕組みの見直し
の2つに分けられます。
1.課徴金の対象となる行為類型の拡大
課徴金の対象となる行為類型の拡大として、従前対象とされていた不当な取引制限及び支配型私的独占のほか、以下の�@〜�Bが、その対象として加えられることになりました。
�@排除型私的独占
…他の事業者の事業活動を排除することにより、私的独占を行う行為
�A不公正な取引方法
(a) 不当廉売
…正当な理由なく、供給に要する費用を著しく下回る対価での販売を継続することにより、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある行為
(b) 差別対価
…地域または相手方により、同じ商品・役務について不当に異なる対価を設定することで、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある行為
(c) 共同の取引拒絶
…競争関係にある事業者が、正当な理由なく、共同して取引を拒絶し、または制限する行為
(d) 再販売価格の拘束
…正当な理由なく、事業者が取引の相手方に対し、当該相手方による販売価格(再販売価格)を指定し、その価格で販売するように拘束する行為
�B優越的地位の濫用
…取引上優越した地位にある事業者が、その地位を利用して不当に不利益を被らせる行為
ただし、�Aについては、同一の違反行為を繰り返した場合に適用されることになっています。
�@〜�Bの行為は、今回、課徴金の対象となっており、取引を行うにあたって、事前に十分な検討が必要となります。実際、企業が通常の事業活動として行う事業提携、販売政策等といった活動は、排除型私的独占や不公正な取引方法(不当廉売、差別対価、共同の取引拒絶、再販売価格の拘束)、あるいは優越的地位の濫用といった類型に該当する可能性がありますので、課徴金の対象とならないよう注意すべきです。
なお、新たに課徴金の対象とされた行為類型のうち、施行日前の違反行為については課徴金が課されず、違反行為が施行日前と後とにまたがっている場合は、施行日後の行為のみが課徴金の対象となります。
2.課徴金を課す仕組みの見直し
課徴金を課す仕組みの見直しとして、大きく、以下の2点が改正されました。
�@主導的事業者に対する課徴金の割増
�A課徴金減免制度の拡充
�@主導的事業者に対する課徴金の割増は、カルテル・入札談合等において主導的な役割を果たした事業者に対し、課徴金を5割増しとするものです。また、�A課徴金減免制度の拡充として、課徴金減免の申請者数が最大5社まで拡充されることになりました。
(以上)

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