令和8年10月9日、最高裁判所第二小法廷は、楽譜出版社が制作したバンドスコア(バンド音楽の楽譜)を競業者が模倣し、ウェブサイトで無料公開した行為について、不法行為(民法709条・719条)の成立を認めた原審の判断を是認し、上告を棄却しました(令和6年(受)第2078号)。これにより、東京高裁が命じた約1億6925万円の損害賠償が確定しました。
本件のバンドスコアは、音源を聴き取って書き起こしたものであり、著作権法2条1項1号の「著作物」には当たりません。最高裁は、北朝鮮映画事件(最判平成23年12月8日 民集65巻9号3275頁)の枠組みを踏まえ、原則として模倣は自由であるとしました。そのうえで、社会通念上自由競争の範囲を逸脱して営業を妨害し、営業上の利益を侵害する場合には、「特段の事情」があるとして不法行為が成立すると判断しました。結論は全員一致で、尾島明裁判官と高須順一裁判官の補足意見が付されています。
本解説では、①事件の経緯と模倣の手口、②約1.69億円の算定方法(逸失利益の試算の1割を認定、民訴法248条の趣旨)、③最高裁が重視した5つの事情、④北朝鮮映画事件との違い、⑤2つの補足意見と「この判決から言えないこと」、⑥生成AI・データ再利用への示唆、⑦自社の成果物を守る側・他社のデータを使う側それぞれのチェックポイントを整理しています。データベース、統計データ、書き起こし、集計データなど、制作にコストがかかる一方で著作権では守られにくい成果物を扱う事業者の方に、特にご覧いただきたい内容です。
動画解説(約16分)
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※動画は外部サイト(YouTube)にて公開しています。
動画資料(PDF)
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弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 渡邉 雅之
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