【動画解説】金融犯罪対策と有効性検証のポイント~「やった」から「効いた」へ(外部YouTube)
【動画資料】金融犯罪対策と有効性検証のポイント~「やった」から「効いた」へ(PDFファイル)
【お問い合わせ】
本件に関するご相談は、弁護士法人三宅法律事務所 弁護士 渡邉雅之(TEL 03-5288-1021/m-watanabe@miyake.gr.jp)までお願いいたします。
※本動画及び資料は、2026年9月に実施したセミナー「金融機関における金融犯罪対策と有効性検証のポイント」の内容を、30分に再構成したものです。2026年9月16日時点の公表資料(同年9月15日公表の「2026事務年度金融行政方針」を含みます)に基づいています。
動画内の行政処分事案は、公表資料をもとに金融機関名を伏せて紹介しています。送金犯罪の成否、情報共有の提供基準、本人操作型詐欺の補償制度の見通しは当職の私見です。検証調書の記載例は架空の数値です。
【説明】
金融機関のマネー・ローンダリング対策と金融犯罪対策について、当局の関心は「規程を整備したか」から「対策が実際に機能しているか」に移りました。2024年3月末を期限とする態勢整備は、完了率が99%に達しています。2025事務年度からは、有効性検証の実施状況を確認する「対話に基づく立入検査」が本格化しました。2026年9月15日公表の2026事務年度金融行政方針は、FATF第5次対日相互審査が「間近に迫っている」と明記しています。
2027年4月1日には、本人確認方法の改正、不正利用口座の情報共有枠組みの稼働、犯罪収益移転防止法施行規則の改正が同時に施行されます。また、令和8年改正犯罪収益移転防止法(令和8年法律第34号)により新設された送金犯罪(同法32条)が、2026年7月10日から施行されています。
本動画では、次の点を整理します。
・当局の方針の変遷 ― 期限付きの態勢整備から、対話に基づく立入検査へ
・A銀行に対する業務改善命令(銀行法26条1項) ― 14,639件の未判定の放置、届出まで最長152日、経営陣の関与不足
・特殊詐欺の被害の現状 ― 本人が本人の端末で送金する「本人操作型」の広がり
・2027年4月1日の「三点セット」 ― 本人確認方法の改正、情報共有枠組み、犯収法施行規則32条1項(個人情報保護法27条1項1号の「法令に基づく場合」)
・情報共有の水準 ― STRの基準と「凍結を検討する程度」の共有基準の書き分け
・受領後の業務フロー ― 受領・照合・確認・判断・記録と還元・検証の「Who does what when」
・送金犯罪(改正犯収法32条)の構成要件と4類型、クイズで見る限界事例、全国初の摘発と報じられた事案
・第2回フォローアップで遅れが目立つ項目 ― アクセス環境の検知49%、即時検知36%、異名義送金の拒否27%
・有効性検証の三層(設計・運用・結果)
・見逃し(未検知)分析の3つの手法と、検証調書「1枚・6欄」
・「敷居値を下げれば解決」が誤答である理由
・経営関与と議事録
・取引の制限・凍結をめぐる紛争リスク(民法415条・709条)と、届出事実の秘匿(犯収法8条3項)を踏まえた顧客説明
・FATF第5次審査 ― 先発5か国のIO.3の評価と共通の指摘、「貴社の弱点は何ですか」への備え
・本人操作型詐欺の被害補償 ― 英国の強制補償制度と、日本の制度論の方向
・明日からの3つのアクション
本動画で最もお伝えしたいのは、有効性検証の本丸は「アラートが出なかった母集団」にあるという点です。アラートが出た案件の処理状況を確認するだけでは、運用の検証にとどまります。見逃し分析を行い、改善後の効果まで確認して初めて、結果の有効性を説明できます。
もう一点は、被害防止の成績表は「止めた時点で被害金がいくら残っていたか」だという点です。2027年4月1日まで約6か月です。暫定措置を含めて空白期間をつくらないこと、そして受領後の業務フローと判断理由の記録を、今のうちに決めておくことが重要です。
【主な参照資料】
・金融庁「2026事務年度金融行政方針」(2026年9月15日)
・金融庁・警察庁「暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について」(2026年8月6日)
・金融庁「マネー・ローンダリング等及び金融犯罪対策の取組と課題(2026年7月)」(別紙1:金融セクター分析結果概要、別紙2:口座不正利用対策等に係る要請文第2回フォローアップアンケートの実施結果)
・犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第34号)
・金融庁「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」改正、同FAQ改訂(2026年3月31日)
・犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令(令和8年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号)
・金融庁「マネロン等対策の有効性検証に関する事例集」(2026年3月改訂)
・金融庁「マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理(DP)」(2025年3月)
・犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)
・個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
・銀行法(昭和56年法律第59号)
・民法(明治29年法律第89号)
※個別案件については、業態、商品・チャネル、顧客層、システムの対応状況、預金規定等の契約条項を踏まえた検討が必要です。