| 作成者:弁護士法人三宅法律事務所 弁護士 渡邉 雅之 ご相談についてはお気軽にお問い合わせください。 連絡先 TEL: (03)5288-1021(代表) Email: m-watanabe@miyake.gr.jp |
同一労働同一賃金ガイドライン改正の実務対応~令和8年4月28日公布版を踏まえた改正内容・実務対応・規程改訂のポイント~(ニュースレター)
第1 はじめに
令和8年4月28日、「同一労働同一賃金ガイドライン」(正式名称:短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)[1]が改正・公布され、同年10月1日から施行・適用されます(以下改正後の同ガイドラインのことを「改正後ガイドライン」という。)。
今回の改正は、単なる文言整理にとどまりません。平成30年法改正後に蓄積された実務運用・最高裁判例・施行通達の考え方を指針本文に明文化したものであり、企業の賃金制度・手当制度・退職金制度・休暇制度・福利厚生制度の運用に直接影響する内容を含んでいます。
今回の改正の本質を一言で表すとすれば、「正社員だから支給する、非正規だから支給しない」という雇用区分に基づく形式的な説明は許されず、個々の待遇ごとにその性質・目的を明確化した上で、職務内容・責任の程度・配置変更の範囲・勤続・能力・経験・成果・労使交渉の経緯等との関係において、不合理な待遇差がないかを客観的かつ具体的に検証しなければならない、ということです。
したがって、就業規則や賃金規程の文言を部分的に修正するだけでは不十分です。待遇項目の棚卸し、雇用区分別の待遇比較、待遇ごとの性質・目的の整理、待遇差の合理性の検証、説明資料の整備、労使協議の記録化、規程の改訂、これらを一体として進めることが求められます。
第2 改正後ガイドラインの全体像
1. 改正の背景
今回の改正は、主に以下の事情を踏まえたものです。
これらの事情が相まって、今回の改正は幅広い待遇項目に及ぶ内容となっています。
2. 改正の主要ポイント
今回の改正において実務上特に重要なポイントは以下のとおりです。
3. 改正の本質
今回の改正の本質は、待遇差の正当性を「雇用区分の違い」ではなく、「待遇ごとの性質・目的との整合性」から検証する枠組みを徹底した点にあります。
従来、企業側では次のような説明が行われることが少なくありませんでした。すなわち、「正社員と契約社員とでは制度が異なる」「正社員には将来の役割期待がある」「人材の確保・定着のための制度である」「非正規労働者は制度の対象外である」といった説明です。
しかし、改正後ガイドラインが求める検証は、こうした抽象的な説明で足りるものではありません。たとえば賞与であれば、それが会社業績への貢献配分なのか、労務の対価の後払いなのか、功労報償なのか、生活費補助なのか、あるいは労働意欲の向上を目的とするものなのかを具体的に確認する必要があります。退職手当であれば、労務の対価の後払いなのか、長期勤続への功労報償なのか、退職後の生活保障を目的とするものなのかを整理しなければなりません。
その上で、非正規労働者にも当該待遇の性質・目的が妥当するかを検討し、妥当する場合には、職務内容・責任・配置変更範囲・勤続・能力・経験・成果等の違いに応じた均衡のとれた待遇となっているかを検証することが必要です。
第3 基本的な判断枠組み
1.根拠条文の整理
同一労働同一賃金の判断に関係する主な条文は、対象者ごとに以下のとおり整理されます。
短時間・有期雇用労働者については、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「短時間・有期雇用労働法」という。)第8条が「均衡待遇」を、同第9条が「均等待遇」を、同第14条第2項が「待遇差の説明義務」を定めています。
派遣労働者については、労働者派遣法第30条の3が「派遣先均等・均衡方式」を、同第30条の4が「労使協定方式」を定めています。
無期フルタイム労働者等については、短時間・有期雇用労働法の直接の適用対象外となる場合であっても、労働契約法第3条第2項に基づく「均衡考慮」の視点が問われます。
2. 均衡待遇と均等待遇
「均衡待遇」とは、職務内容・責任の程度・配置変更範囲その他の事情に相違がある場合であっても、その相違に応じたバランスのとれた待遇にしなければならないという考え方です。待遇差が直ちに禁止されるわけではありませんが、その差が当該待遇の性質・目的に照らして不合理であってはなりません。
「均等待遇」とは、職務内容及び配置変更の範囲が通常の労働者と同一である短時間・有期雇用労働者について、その雇用形態を理由とする差別的取扱いを禁止する考え方です。
端的に言えば、均衡待遇は「違いに応じたバランス」、均等待遇は「同一なら差別禁止」です。
3. 「目的」(改正後ガイドライン第1)の改正
改正後ガイドライン第1では、個々の待遇ごとに、その性質及び目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断すべきことが明確化されました。
これは実務上重要な意味を持ちます。企業は、基本給・賞与・退職手当・各種手当・休暇・休職・福利厚生・褒賞・教育訓練のそれぞれについて、当該待遇が何を目的として設けられているのかを具体的に説明できる体制を整備する必要があります。
4. 「基本的な考え方」(改正後ガイドライン第2)の4本柱
改正後ガイドライン第2では、見出しが付記され、以下の4点が整理されました。
いずれも、企業の制度設計と規程改訂に直結する重要な指針です。
5. 雇用管理区分を分けても免れない
複数の雇用管理区分を設けたとしても、それだけで不合理な待遇差の解消義務を免れることはできません。比較対象者を恣意的に限定することは許されず、職務内容を形式的に分離したとしても、実態に即した判断が行われます。
限定正社員制度や職務限定社員制度を設ける場合には、通常の正社員との待遇差、非正規労働者との待遇差の双方について、説明可能性を確保しておくことが不可欠です。
6. 待遇決定基準・ルールの違いだけでは足りない
通常の労働者と非正規労働者との間で待遇決定基準・ルールが異なる場合であっても、それだけで待遇差が正当化されるわけではありません。「将来の役割期待が異なる」「制度が違う」という主観的・抽象的な説明では足りず、待遇ごとに、職務内容・責任・配置変更範囲・勤務時間・勤続・能力・経験・成果・労使交渉の経緯等との関係において、客観的かつ具体的な説明が必要です。
7. 不利益変更による解消は原則として望ましくない
不合理な待遇差の解消の目的は、非正規労働者の待遇改善です。正社員側の待遇を引き下げて格差を縮小するという対応は、基本的に望ましい対応とはいえません。やむを得ず就業規則の変更により不利益変更を行う場合には、労働契約法第9条による合意、または同第10条による変更の合理性が必要となります。「下げてそろえる」のではなく、「不合理な差を改善してそろえる」という発想を基本とすべきです。
8. 指針に明示されていない待遇も対象
指針に具体例が記載されていない待遇であっても、不合理な待遇差と判断される可能性があります。「指針に書かれていないから問題ない」という考え方は採れません。賃金規程に記載された手当はもとより、福利厚生規程・休暇規程・休職規程・表彰規程・慶弔見舞金規程・社宅規程、さらには慣行的な給付や便益も含め、社内のすべての待遇を点検する必要があります。
9. 説明義務と労使コミュニケーション
今回の改正では、説明義務と労使コミュニケーションの重要性が特に強調されています。
待遇差の内容・理由について十分な説明を行わなかった場合や、非正規労働者の意向を十分に考慮せずに一方的に待遇を決定した場合、これらの事実は不合理性を基礎付ける事情として考慮されうる旨が明記されました。
企業としては、制度内容の整備のみならず、説明プロセス・協議プロセス・記録化プロセスを整備することが求められます。具体的には、待遇一覧表・雇用区分別比較表・制度趣旨整理表・説明資料・労使協議議事録・規程改訂メモ・労働者からの質問と回答記録等を整備・保存することが重要です。
第4 重点論点
1.重点的に点検すべき待遇
今回の改正を踏まえ、企業が重点的に点検すべき待遇は、賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、病気休暇、病気休職中の給与保障、夏季冬季休暇、褒賞・永年勤続表彰、派遣労働者・協定対象派遣労働者の待遇、無期転換後の労働者及び多様な正社員の待遇です。
2. 賞与
賞与については、通常の労働者と同一の貢献がある非正規労働者には同一の賞与を支給しなければならず、貢献に相違がある場合にはその相違に応じた賞与を支給する必要があります。
賞与の性質は一様ではなく、会社業績への貢献配分・労務の対価の後払い・功労報償・生活費補助・労働意欲の向上等、複数の性質が含まれ得ます。正社員には賞与を支給する一方で、契約社員・パート・無期転換社員・定年後再雇用者には一律に不支給としている場合、リスクは高くなります。
規程改訂の方向性としては、賞与の性質・目的・算定要素を明文化した上で、非正規労働者に対してもその相違に応じた賞与または一時金を支給する可能性を規定しておくことが考えられます。
3. 退職手当
退職手当は、今回の改正で独立した指針項目として新設された重要事項です。メトロコマース事件最高裁判決を踏まえたものです。
退職手当には、労務の対価の後払い・長期勤続への功労報償・退職後生活保障・人材定着等の性質が含まれ得ます。正社員には退職金制度がある一方で、契約社員・パート・無期転換社員・定年後再雇用者には制度がないという企業は少なくありませんが、これらの者に当該待遇の性質・目的が妥当する場合には、均衡のとれた退職手当または代替措置を検討する必要があります。
規程改訂の方向性としては、退職手当の性質・支給判断要素を明文化した上で、非正規労働者等について退職手当またはこれに代わる措置を講ずる余地を定めておくことが考えられます。
4. 無事故手当
無事故手当は、安全運転・事故防止・業務品質確保のための手当です。同一の運転・配送・現場業務に従事しているにもかかわらず、正社員のみに支給し、契約社員・パートには支給しない場合、雇用形態のみを理由とする差として説明が困難となります。業務内容が同一である場合には、同一の無事故手当を支給する必要があると考えられます。
5. 家族手当
家族手当は生活保障的な性質を持つことが多い手当であり、労働契約の更新を繰り返しているなど継続的な勤務が見込まれる非正規労働者については、同様の制度趣旨が妥当する場合があります。継続勤務者や無期転換社員を一律に対象外としていないかを確認する必要があります。
なお、配偶者手当については、就業調整を促進する構造との関係から制度見直しの検討も求められており、子ども手当・家族支援手当・生活支援手当等への再設計も選択肢となります。
6. 住宅手当
住宅手当はその目的によって判断が分かれます。転居を伴う配置変更に伴う住宅費負担を補償する趣旨の場合は、配置変更の可能性の有無が基準となります。他方、単純な生活補助として支給されている場合には、非正規労働者を一律に除外することは説明しにくくなります。
実態として正社員にも転居を伴う異動をほとんど命じていない場合には、非正規労働者への不支給を説明しにくくなる点にも注意が必要です。
規程改訂の方向性としては、住宅手当の目的(転居負担補償型か生活補助型か)を明確化した上で、配置変更の可能性・実際の住宅費負担・配置変更範囲等を踏まえて支給基準を定めることが考えられます。
7. 病気休暇・病気休職・給与保障
病気休暇・病気休職は療養への専念・健康回復・雇用継続を目的とする制度であり、有期雇用であることのみを理由に一律対象外とすることはリスクが高い対応です。
今回の改正では、病気休職中の給与保障についても点検対象であることが明記されました(日本郵便(東京)事件最高裁判決を踏まえたものです)。契約更新を繰り返すなど継続的な勤務が見込まれる非正規労働者については、通常の労働者と同様の保障を行う必要があります。
規程改訂の方向性としては、勤続期間・契約更新状況・継続勤務見込み・労働契約の残存期間等を踏まえ、均衡のとれた病気休暇・休職・給与保障を定めることが考えられます。
8. 夏季冬季休暇
夏季冬季休暇は休養・リフレッシュを目的とする制度です。繁忙期に限定された短期勤務でない有期雇用労働者については、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与する必要があるとされました(日本郵便(佐賀)事件最高裁判決を踏まえたものです)。正社員にのみ夏季冬季休暇を付与し、契約社員・パートには一律に付与していない企業は、対象者の見直しが必要となります。
規程改訂の方向性としては、雇用形態にかかわらず継続的に勤務する労働者に付与することを基本とし、短時間労働者には所定労働日数・労働時間に応じた比例付与を定めることが考えられます。
9. 褒賞・永年勤続表彰
褒賞・永年勤続表彰は、勤続への報償・会社への貢献に対する評価としての性質を持ちます(メトロコマース事件高裁判決を踏まえた追記です)。一定期間勤続した正社員に褒賞を付与している場合、同様に勤続した非正規労働者を雇用形態のみを理由に除外することは不合理と評価される可能性があります。
規程改訂の方向性としては、雇用形態にかかわらず、勤続期間・勤務実績・貢献度等を踏まえて褒賞を付与する旨を定めることが考えられます。
10. 派遣労働者・協定対象派遣労働者
「派遣先均等・均衡方式」については、派遣先に雇用される通常の労働者との比較が問題となります。派遣元・派遣先の役割分担、派遣先から派遣元への待遇情報提供、教育訓練、福利厚生施設の利用条件等に注意が必要です。
労使協定方式を採用している場合であっても、協定内容と実運用の一致が必要であることに変わりはなく、今回の改正で追加された夏季冬季休暇・褒賞・福利厚生施設の利用条件等についても点検が必要です。
11, 無期転換後の労働者・多様な正社員
今回の改正で新設された第6により、有期契約から無期契約に転換した労働者・無期フルタイム労働者・勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員等についても、均衡考慮の視点が明確化されました。
有期時代の待遇を無期転換後も漫然と維持している場合には、通常の正社員との待遇差を点検する必要があります。「正社員」という名称が付されていても、限定の内容と待遇差が対応しているか、職務内容・責任・配置変更範囲・能力・経験・成果等との関係で説明できるかを確認することが求められます。
第5 企業が行うべき実務対応
今回の改正への対応として、企業が取り組むべき基本ステップは以下のとおりです。
1 全待遇項目の棚卸し
2 雇用区分別の一覧化
3 待遇の性質・目的の整理
4 待遇差の合理性検証
5 高リスク項目の優先見直し
6 説明資料の整備
7 規程類の改訂
8 労使協議と記録化
1. ステップ1:全待遇項目の棚卸し
まず、社内のすべての待遇を棚卸しします。対象は、賃金規程に記載された賃金・手当のみにとどまりません。賞与・退職手当・休暇・休職・病気休職中の給与保障・福利厚生施設・健康診断・褒賞・表彰・教育訓練、そして慣行的な給付や便益も含めて網羅的に確認することが必要です。規程上の制度だけでなく、実際の運用状況も確認してください。
2. ステップ2:雇用区分別の一覧化
各待遇について、どの雇用区分に支給・付与しているかを一覧化します。正社員・総合職・地域限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員・契約社員・パートタイマー・嘱託社員・定年後再雇用者・無期転換社員・派遣労働者・協定対象派遣労働者等を横断的に比較することで、どの待遇が正社員のみを対象とし、どの待遇が非正規労働者に一律不支給・不付与となっているかが可視化されます。
3. ステップ3:待遇の性質・目的の整理
各待遇について、何のための制度かを整理します。労務の対価・成果への報償・勤続への報償・生活保障・健康確保・休養・安全確保・人材定着・転居負担補償・福利厚生等の観点から、それぞれの制度趣旨を明確化してください。一つの待遇に複数の性質が含まれる場合も多く、制度趣旨を一つに限定しすぎず、実態に即して整理することが重要です。この整理は、規程改訂・説明資料作成・労使協議のいずれの場面でも基礎資料となります。
4. ステップ4:待遇差の合理性検証
待遇差がある場合には、その差が合理的に説明できるかを検証します。検証に当たっては、職務内容・責任の程度・配置変更の範囲・勤務時間・勤務日数・勤続年数・能力・経験・成果・貢献・役割期待・教育訓練機会・労使交渉の経緯・代替措置の有無等を検討してください。
重要なのは、抽象的な説明ではなく、待遇ごとに具体的な根拠を示すことです。「正社員だから」「制度が違うから」という説明ではなく、「この待遇はこの目的のために設けられており、当該雇用区分との間にはこのような職務・責任・配置変更範囲の相違があるため、このような取扱いとしている」と説明できるようにしておくことが求められます。
5. ステップ5:高リスク項目の優先見直し
すべての待遇を同時に見直すことが難しい場合には、高リスク項目から優先的に対応することが現実的です。賞与・退職手当・家族手当・住宅手当・無事故手当・病気休暇・病気休職中の給与保障・夏季冬季休暇・褒賞・無期転換後の労働条件を優先的に点検し、正社員のみを対象とし非正規労働者を一律除外している制度については、その合理性を速やかに検証してください。
6. ステップ6:説明資料の整備
非正規労働者から待遇差の内容・理由について説明を求められた場合(短時間・有期雇用労働法第14条第2項に基づく説明義務)に備え、説明資料を整備します。説明資料には少なくとも、対象労働者の雇用区分、比較対象となる通常の労働者、待遇差の内容、当該待遇の性質・目的、待遇差の根拠、職務内容・責任・配置変更範囲等との関係、今後の見直し方針、問い合わせ窓口を記載することが望ましいです。
7. ステップ7:規程類の改訂
規程改訂においては、支給対象者の書き換えにとどまらず、待遇の性質・目的・支給判断要素・非正規労働者への適用基準・比例支給の考え方・代替措置等を明記することが重要です。見直し対象となる規程としては、就業規則・賃金規程・賞与規程・退職金規程・パートタイマー就業規則・契約社員就業規則・嘱託社員就業規則・無期転換社員規程・休暇規程・休職規程・福利厚生規程・表彰規程・慶弔見舞金規程・社宅規程・派遣労使協定・労働条件通知書等が挙げられます。
8. ステップ8 労使協議と記録化
非正規労働者の意見聴取・労働組合または過半数代表者との協議・検討経緯の記録・改訂方針の共有を行うことが望ましいです。保存すべき記録としては、待遇一覧表・雇用区分別比較表・制度趣旨整理表・説明資料・労使協議議事録・規程改訂メモ・労働者からの質問と回答・改訂しない場合の理由等が挙げられます。これらの記録は、紛争が生じた場合に、会社としてどのような検討を経てどのような制度設計をしたかを説明するための重要な資料となります。
第6 規程改訂の考え方
1. 規程改訂の基本方針
規程改訂に当たっては、待遇の性質・目的、支給対象者、支給基準、非正規労働者等への適用基準、比例支給・比例付与の考え方、代替措置の有無、説明対応の方法を明確化することが基本となります。規程上「正社員にのみ支給する」とのみ記載されている場合には、なぜ正社員のみに支給するのか、当該待遇の性質・目的と職務内容等の違いとの関係を説明しにくくなることに留意してください。
2. 規程改訂の選択肢
待遇差がある場合の対応策は一つではありません。考えられる選択肢としては、同一支給・同一付与、勤務時間・勤務日数等に応じた比例支給・比例付与、一定の継続勤務者への適用拡大、一時金等の代替措置の設定、基本給・時給への反映、制度趣旨の再設計、待遇差を維持しつつその根拠を明確化することが挙げられます。ただし、待遇差を維持する場合には、当該待遇の性質・目的と職務内容等との関係に基づく客観的・具体的な説明が必要となります。
3. 各規程の改訂方向
(1) 賞与規程
賞与規程では、賞与の性質・目的を明記することが重要です。特に、賞与が会社業績への貢献配分なのか、労務の対価の後払いなのか、功労報償なのか、労働意欲向上・人材定着のためのものなのかを整理しておく必要があります。
また、短時間・有期雇用労働者に対して賞与を支給しない、又は異なる内容で支給する場合には、その理由を、職務内容、責任の程度、成果、貢献度、勤続状況、配置変更範囲等との関係で説明できるようにしておく必要があります。
| (規定例) 第○条(賞与の性質及び支給基準) 1 会社は、会社の業績、労働者の勤務成績、職務内容、責任の程度、成果、貢献度、勤続状況、将来の職務遂行への期待その他会社が必要と認める事情を総合的に考慮し、賞与を支給することがある。 2 賞与は、会社業績への貢献に対する報償、労務の対価の後払い、勤務成績及び成果への評価、労働意欲の向上並びに人材の定着を図る趣旨を有する。 3 賞与の支給対象者、支給額、算定方法、支給時期その他必要な事項は、会社の業績及び前各項に掲げる事情を踏まえ、会社が定める。 4 短時間・有期雇用労働者についても、職務内容、責任の程度、成果、貢献度、勤続状況、所定労働時間、労働契約の内容その他の事情に照らし、通常の労働者と同様に賞与の性質及び目的が妥当する場合には、その相違に応じた賞与又は一時金を支給することがある。 5 前項の場合において、短時間・有期雇用労働者に支給する賞与又は一時金の額は、通常の労働者との職務内容、責任の程度、成果、貢献度、勤続状況、所定労働時間その他の事情の相違を考慮して定める。 (実務上の留意点) ※この規定例では、賞与を「正社員だけの恩恵」としてではなく、会社業績、成果、貢献、勤続、労働意欲向上等と結び付けて説明できるようにしています。 ※もっとも、「支給することがある」と規定すれば常に安全というわけではありません。実際に、通常の労働者と同様の貢献がある短時間・有期雇用労働者に一切支給しない運用を続ける場合には、なお不合理性が問題となり得ます。そのため、規程改訂と併せて、寸志、一時金、業績連動手当等の代替措置も検討する必要があります。 |
(2) 退職金規程
退職金規程では、退職手当の性質・目的を明記することが重要です。退職手当は、労務の対価の後払い、長期勤続への功労報償、退職後生活保障、人材定着等の複数の性質を持ち得ます。
そのため、正社員のみに退職金を支給している企業では、なぜその制度が正社員を中心とする制度として設計されているのか、短時間・有期雇用労働者等には退職手当の趣旨が妥当しないのか、又は基本給・時給・一時金等で代替されているのかを説明できるようにしておく必要があります。
(規定例) 第○条(退職手当の性質及び目的) 1 退職手当は、労働者の長期勤続、会社への貢献、職務遂行上の責任、配置変更及び転勤を含む長期的な人材活用への対応、功労その他会社が必要と認める事情を総合的に考慮して支給する。 2 退職手当は、労務の対価の後払い、長期勤続に対する功労報償、退職後の生活補助及び人材の定着を図る趣旨を有する。 3 退職手当の支給対象者、支給額、算定方法、支給時期その他必要な事項は、本規程の定めるところによる。 第○条(短時間・有期雇用労働者等の取扱い) 1 短時間・有期雇用労働者、無期転換労働者及び定年後再雇用者については、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、勤続期間、賃金水準、労働契約の内容、退職手当に相当する要素が基本給、時間給、手当又は一時金に反映されているか否かその他の事情を踏まえ、退職手当の性質及び目的が通常の労働者と同様に妥当するかを判断する。 2 前項の判断の結果、退職手当の性質及び目的が通常の労働者と同様に妥当すると会社が認める場合には、会社は、その相違に応じた退職手当又はこれに代わる一時金、手当その他の措置を講ずることがある。 3 前項の措置の内容、金額、支給時期その他必要な事項は、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、勤続期間、賃金水準及び労働契約の内容等を踏まえて会社が定める。 (実務上の留意点) ※退職金については、「正社員のみ支給」とだけ定めると、制度趣旨の説明が弱くなります。退職手当が何を評価しているのか、長期勤続、配置変更、転勤、職責、貢献等とどのように結び付いているのかを規程上も明確にしておくべきです。 ※また、短時間・有期雇用労働者について、退職金を全く支給しない場合でも、時給や基本給に退職金相当分を織り込んでいる、一時金で代替している等の事情がある場合には、その内容を説明できるようにしておくことが重要です。 |
(3) 家族手当
家族手当については、生活補助としての性質を持つことが多いため、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者を一律に除外する場合には、理由の説明が必要となります。
| (規定例) 第○条(家族手当の性質及び支給基準) 1 家族手当は、労働者の継続的な勤務を前提として、扶養親族を有する労働者の生活を補助する趣旨で支給する。 2 家族手当の支給対象となる家族の範囲、支給額、支給期間その他必要な事項は、別表又は会社が別に定める基準による。 3 短時間・有期雇用労働者についても、労働契約の更新状況、勤続期間、今後の継続勤務の見込み、所定労働時間、職務内容、責任の程度その他の事情を踏まえ、通常の労働者と同様に家族手当の性質及び目的が妥当する場合には、同一又は均衡のとれた家族手当を支給することがある。 4 会社は、配偶者手当その他の家族手当について、労働者の就業選択に中立的な制度となるよう、必要に応じて見直しを行う。 (実務上の対応) ※家族手当については、「生活補助」という制度趣旨を採る場合、継続勤務が見込まれる契約社員や無期転換社員を一律に対象外とすることはリスクになります。 |
(4) 住宅手当
住宅手当については、転居を伴う配置変更に対する補償なのか、生活補助なのかを明確化する必要があります。転居負担補償型であれば、配置変更の範囲や転居可能性を基準とすることが考えられます。生活補助型であれば、非正規労働者を一律に除外することは慎重に検討すべきです。
| (規定例) 第○条(住宅手当の性質及び支給基準) 1 住宅手当は、会社の命令による転居を伴う配置変更その他これに準ずる事情により、住宅費負担が生じる労働者に対し、その負担を補助する趣旨で支給する。 2 住宅手当は、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、転居を伴う異動の可能性、実際の住宅費負担その他の事情を踏まえて支給する。 3 短時間・有期雇用労働者についても、会社の命令により転居を伴う配置変更の対象となる場合又はこれに準ずる事情がある場合には、通常の労働者と同一又は均衡のとれた住宅手当を支給することがある。 4 会社が、転居を伴う配置変更の有無にかかわらず住宅手当を支給する場合には、当該手当の性質及び目的に照らし、雇用形態のみを理由として不合理な相違を設けないものとする。 (実務上の留意点) ※住宅手当については、転居負担補償型として説明するのであれば、実際に正社員に転居を伴う配置変更があるかを確認する必要があります。規程上は転勤ありでも、実態として転勤がほとんどない場合には、非正規労働者への不支給を説明しにくくなります。 |
(5) 休暇・休職規程
病気休暇、病気休職、病気休職中の給与保障については、雇用形態だけで一律に対象外とするのではなく、勤続期間、契約更新状況、今後の継続勤務見込み、労働契約の残存期間等を踏まえ、均衡のとれた取扱いを定めることが考えられます。
夏季冬季休暇については、雇用形態にかかわらず、継続的に勤務する労働者に付与することを基本とし、短時間労働者については所定労働日数・所定労働時間に応じた比例付与を検討することが考えられます。
| (病気休暇規定例) 第○条(病気休暇) 1 会社は、労働者が私傷病により療養に専念する必要がある場合、会社が定める範囲で病気休暇を付与することがある。 2 病気休暇は、労働者の雇用形態、勤続期間、所定労働日数、所定労働時間、労働契約の更新状況、今後の継続勤務の見込みその他の事情を踏まえ、通常の労働者と均衡のとれた内容となるよう取り扱う。 3 病気休暇の取得手続、取得可能日数、有給又は無給の別その他必要な事項は、会社が別に定める。 (病気休職規定例) 第○条(病気休職) 1 会社は、労働者が私傷病により相当期間就業できない場合、就業規則の定めるところにより、病気休職を命じることがある。 2 短時間・有期雇用労働者についても、労働契約の更新状況、勤続期間、今後の継続勤務の見込み、労働契約の残存期間、所定労働日数及び所定労働時間その他の事情を踏まえ、通常の労働者と均衡のとれた病気休職の取得を認めることがある。 3 有期雇用労働者の病気休職期間は、原則として労働契約期間を超えないものとする。ただし、契約更新の実績、今後の継続勤務の見込み、休職事由その他の事情を踏まえ、会社が必要と認める場合はこの限りでない。 (病気休職中の給与保障規定例) 第○条(病気休職中の給与保障) 1 病気休職期間中の給与保障は、会社が定める基準に従い、雇用形態、勤続期間、所定労働日数、所定労働時間、職務内容、労働契約の更新状況及び今後の継続勤務の見込みを踏まえて行う。 2 相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者については、通常の労働者と同一又は均衡のとれた給与保障を行うことがある。 3 給与保障の額、期間、支給条件その他必要な事項は、会社が別に定める。 (夏季冬季休暇規定例) 第○条(夏季冬季休暇) 1 会社は、労働者の心身の休養及び生活上のゆとりを確保するため、会社が定める期間に夏季休暇及び冬季休暇を付与する。 2 夏季冬季休暇は、雇用形態にかかわらず、継続的に勤務する労働者に付与するものとする。 3 短時間労働者については、所定労働日数及び所定労働時間を踏まえ、通常の労働者と均衡のとれた日数を付与することがある。 4 繁忙期に限定して短期間勤務する労働者その他継続的勤務が予定されていない労働者については、勤務実態及び制度趣旨を踏まえ、会社が別に定める。 (実務上の留意点) ※休暇・休職については、有期契約であることを理由に一律対象外とするのではなく、契約更新実績や今後の継続勤務見込みを考慮することが重要です。 ※また、有期雇用労働者の病気休職については、契約期間満了との関係を整理しておく必要があります。休職制度を設ける場合でも、当然に契約期間を超えて雇用継続義務を負うものではないことを明確にしつつ、更新実績等に応じた柔軟な取扱いを検討することが考えられます。 |
(6) 福利厚生規程
福利厚生施設については、利用の可否のみならず、利用料金・割引率等の利用条件について雇用形態のみを理由とする不合理な差異を設けない旨を明記することが考えられます。
| (福利厚生施設規定例) 第○条(福利厚生施設の利用) 1 会社は、給食施設、休憩室、更衣室その他の福利厚生施設について、雇用形態にかかわらず、業務上の必要性及び施設の性質に応じて、労働者に利用を認める。 2 福利厚生施設の利用料金、割引率、利用時間、利用手続その他の利用条件については、雇用形態のみを理由として不合理な相違を設けない。 3 施設の規模、利用目的、勤務場所、勤務時間その他合理的な事情により利用条件に差を設ける場合には、その理由を明確にする。 (実務上の留意点) ※福利厚生施設については、利用を認めているかどうかだけではなく、利用料金、利用時間、割引率、予約方法等に差がないかを確認する必要があります。 |
(7)褒賞規程
褒賞・永年勤続表彰については、雇用形態にかかわらず、勤続期間、勤務実績、職務内容、貢献度等を踏まえて実施する旨を定めることが考えられます。
| (褒賞・永年勤続表彰規定例) 第○条(褒賞及び永年勤続表彰) 1 会社は、一定期間勤続し、会社に貢献した労働者に対し、褒賞又は永年勤続表彰を行うことがある。 2 褒賞及び永年勤続表彰は、雇用形態にかかわらず、勤続期間、勤務実績、職務内容、貢献度その他の事情を踏まえて行う。 3 短時間・有期雇用労働者についても、通常の労働者と同様に一定期間勤続し、制度の趣旨が妥当する場合には、同一又は均衡のとれた褒賞を付与することがある。 (実務上の留意点) ※褒賞については、勤続への報償という性質がある場合、長期勤続の契約社員やパートタイマーを雇用形態のみで除外することは説明しにくくなります。 |
(8) 無期転換後の労働条件
無期転換後の労働条件については、転換前の労働条件、職務内容、責任の程度、配置変更範囲、勤務時間、勤続期間、能力、経験、成果等を踏まえ、通常の労働者との均衡を考慮して定める旨を規程に明記することが考えられます。
無期転換後も、有期契約時代の待遇を漫然と維持する場合には、通常の労働者との待遇差を説明できるかが問題となります。
| (無期転換後の労働条件規定例) 第○条(無期転換後の労働条件) 1 有期労働契約から期間の定めのない労働契約へ転換した労働者の労働条件は、転換前の労働条件、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、勤務時間、勤続期間、能力、経験、成果その他の事情を踏まえ、通常の労働者との均衡を考慮して定める。 2 会社は、無期転換後の労働条件を定めるに当たり、通常の労働者との間に不合理な待遇差がないかを点検し、必要に応じて待遇の見直しを行う。 3 会社は、無期転換時の労働条件明示に際し、労働者から求めがあった場合には、通常の労働者との待遇差の内容及び理由について説明するよう努める。 (多様な正社員規定例) 第○条(多様な正社員の待遇) 1 勤務地限定正社員、職務限定正社員、短時間正社員その他の多様な正社員の待遇は、限定の内容、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、勤務時間、能力、経験、成果その他の事情を踏まえて定める。 2 会社は、多様な正社員と通常の正社員との間に待遇差を設ける場合には、当該待遇の性質及び目的に照らし、客観的かつ具体的な理由に基づくものとする。 (実務上の留意点) ※無期転換は、単に契約期間が無期になるだけであり、当然に正社員化を意味するものではありません。 ※しかし、無期転換後の労働条件について、通常の労働者との間で説明できない待遇差がある場合には、労働契約法第3条第2項の均衡考慮の観点から問題となる可能性があります。 ※そのため、無期転換時の労働条件通知書や無期転換社員規程には、通常の労働者との均衡を考慮して労働条件を定める旨を入れておくことが望ましいです。 |
第7 実務対応スケジュール
今回の改正への対応として、以下のスケジュールが一つの目安となります。
現行規程の収集、待遇項目の棚卸し、雇用区分別一覧表の作成、高リスク項目の抽出
待遇ごとの性質・目的の整理、重点項目の検討、説明資料の作成
規程改訂案の作成、労使協議、経営会議・取締役会への報告
規程改訂、労働者への周知、必要な届出、運用開始
運用開始後も、年1回程度は待遇差の定期点検を行い、労働者からの質問・苦情・相談への対応を記録化することが望ましいです。
第8 経営会議・取締役会への報告ポイント
今回の改正対応は、人事・労務部門のみの問題ではありません。人件費・採用・定着率・企業レピュテーション・労務紛争リスク・内部統制に直結するテーマとして、経営会議または取締役会に報告すべき事項です。
報告に際しては、ガイドライン改正の概要、自社に影響する待遇項目の整理、高リスク項目の特定、現状の待遇差の概要、規程改訂の必要性、労使協議の予定、スケジュール、コスト影響の試算、紛争予防効果の評価を簡潔に示すことが重要です。詳細な法解釈よりも、「どの待遇がリスクとなり得るか」「どの程度のコスト影響があるか」「いつまでに何をすべきか」を経営層が判断できる形で提示することが求められます。
9 実務対応チェックリスト
今回の改正を踏まえ、企業は以下の事項を点検してください。
□ 全待遇項目を棚卸ししたか
□ 雇用区分別に待遇差を一覧化したか
□ 各待遇の性質・目的を整理したか
□ 賞与・退職手当の制度趣旨を明文化したか
□ 家族手当・住宅手当の対象者・目的を見直したか
□ 無事故手当について同一業務従事者を確認したか
□ 病気休暇・病気休職の対象者を確認したか
□ 病気休職中の給与保障を点検したか
□ 夏季冬季休暇の付与対象を見直したか
□ 褒賞・永年勤続表彰の対象者を確認したか
□ 福利厚生施設の利用条件を確認したか
□ 無期転換後の労働条件を点検したか
□ 説明資料を整備したか
□ 労使協議を実施したか
□ 協議・検討経緯を記録化したか
□ 規程改訂案を作成したか
□ 年1回の定期点検の仕組みを設けたか
第10 まとめ
今回の同一労働同一賃金ガイドライン改正は、形式上は指針の改正ですが、実務上は企業の待遇制度全体を見直す契機となる重要な改正です。
特に、退職手当・家族手当・住宅手当・無事故手当・病気休暇・病気休職中の給与保障・夏季冬季休暇・褒賞・福利厚生施設の利用条件・無期転換後の労働条件については、正社員のみを対象とし非正規労働者を一律に除外している制度がないか、速やかに確認することが求められます。
今回の改正対応の核心は、待遇差を「説明できる制度」にすることです。そのためには、以下の5点が不可欠です。
同一労働同一賃金対応は、単なる規程修正ではありません。各待遇をなぜ設けているのか、なぜ雇用区分ごとに差があるのかを、会社として客観的・具体的に説明できる体制を構築するための、継続的かつ一体的な実務対応です。
以上
[1] 同一労働同一賃金ガイドラインについては改正の内容も含め、以下の厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html)を参照。
[2] 最高裁平成30年6月1日判決
[3] 最高裁平成30年6月1日判決
[4] 最高裁令和2年10月13日判決
[5] 最高裁令和2年10月15日判決
[6] 同日判決
[7] 同日判決