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速報:職業紹介事業の許可基準の改正案

2022/05/26

_ _職業安定法の一部改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第12 号。以下「改正法」という。)が令和4年3月31日に公布され、職業安定法に関する改正は令和4年10月1日に施行されることになります。_改正職業安定法については、『改正職業安定法(逐条解説)(令和4年4月26日改訂版)〜届出書の様式例・リコメンドの判断基準求人メディア等のマッチング機能の質の向上〜』をご覧ください。
_ _ これに伴い、職業安定法31条1項各号に定める職業紹介事業の許可基準について、適正な許可を行うための基準として運用する「職業紹介事業の業務運営要領」(平成11年11月17日付け職発第815号)についても、所要の改正を行う必要があり、令和4年5月25日に厚生労働省職業安定局需給調整事業課からパブリックコメント「職業紹介事業の許可基準の改正について」が公表されました(意見募集締切:令和4年6月23日)。
_ _本ニュースレターでは、職業紹介事業における個人情報の取扱いの実務に焦点を当てて解説いたします。

速報:職業紹介事業の許可基準の改正案
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本ニュースレターに関して、ご質問・ご相談がありましたら、下記にご連絡ください。
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弁護士法人三宅法律事務所
弁護士・社会保険労務士 渡邉 雅之
TEL:03-5288-1021
Email:m-watanabe@miyake.gr.jp

_第1.改正の概要
1.個人情報の適切な保護に関する措置の追加
_ _職業安定法31条1項2号の要件(「個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。」)について、「個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置」として以下のものを加えられます。
(1)職業安定法5条の5第1項の規定により業務の目的を明らかにするに当たっては、求職者の個人情報がどのような目的で収集され、保管され、又は使用されるのか、求職者が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に明示すること。
(2)個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、本人の同意の下で本人以外の者から収集し、又は本人により公開されている個人情報を収集する等の手段であって、適法かつ公正なものによらなければならないこと。
(3)職業安定法5条の5第1項又は法に基づく指針の規定により求職者本人の同意を得る際には、次に掲げるところによること。
(ア)同意を求める事項について、求職者が適切な判断を行うことができるよう、可能な限り具体的かつ詳細に明示すること。
(イ)業務の目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を収集し、保管し、又は使用することに対する同意を、職業紹介の条件としないこと。
(ウ)求職者の自由な意思に基づき、本人により明確に表示された同意であること。
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_ _職業安定法31条1項2号の要件(「個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。」)について、「個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置」として以下のものを加えられます。

〇ポイント

個人情報保護法上も「個人情報の取得」については「利用目的をできるだけ特定しなければならない」(同法17条1項)とされているが、職業紹介業については、「業務の目的」について、「求職者の個人情報がどのような目的で収集され、保管され、又は使用されるのか、求職者が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に明示」することが求められる。これにより、インターネット上で職業紹介業を行う場合には、求職者の個人情報の利用目的も記載した「利用規約」等を単に「読ませた」(同意をさせる場合を含む)だけでは足りなくなる可能性がある。求職者の個人情報の利用目的(第三者提供を含む)について、求職者が認識できるよう「具体的に明示」することが求められるようになる。

個人情報の収集は、�@本人から直接収集、�A本人の下で本人以外の者から収集、�B本人により公開されている個人情報を収集する等の手段であって、適法かつ公正なものによらなければならない。求職者本人からの直接収集の場合は、利用目的(業務の目的)を明示することは求められるが、求職者本人の同意は必ずしも求められていないが、「適法かつ公正」というためには、利用目的を求職者が認識できるよう「具体的に明示」して求職者本人の同意を取得するのが望ましいだろう。

「求職者本人の同意」については、個人情報保護法にはないレベル(GDPR(EU一般データ保護規則)に近いレベル)の同意が求められる。

�@同意が求める事項を可能な限り具体的かつ詳細に明示すること(インフォームドコンセントに近い)
�A業務の目的の達成を超えた収集・保管、使用の同意を職業紹介の条件とすることが禁じられる。これも「同意の任意性」の一種であるが、いわゆるレコメンド機能が「業務の目的の達成を超えているか否か」は論点になり得るだろう。
�B求職者本人の「自由な意思」に基づく、「明確に表示された」同意が求められる。「同意の任意性」および「明確な同意」を求めている。レコメンド機能の利用を拒否した場合にも職業紹介サービスを受けられるようにするとともに、そのことがウェブサイト上も明確になるようにしなければならない。

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2.求人等に関する情報の的確な表示に関する内容を含む業務運営規程の整備
職業安定法31条1項3号の要件(「前二号に定めるもののほか、申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること。」)のうち、業務の運営に関する規程の要件について、職業安定法5条の4(求人等に関する情報の的確な表示)に関する内容を含む業務の運営に関する規程を有し、これに従って適正に運営されることとする。
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〇ポイント

職業紹介業を営む場合、「求人等に関する情報の的確な表示に関する内容を含む業務運営規程」を整備することが求められる。

具体的には指針で定められるが、�@求人等に関する情報に虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならないこと、�A広告等により労働者の募集に関する情報・求人等に関する情報を提供するときは、正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならないこと、を社内規程において定める必要がある。

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