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もう泣き寝入りはしない!ネット上での誹謗中傷

2023/07/04

(執筆者:弁護士 八木康友)

【Q.】
 私はレストランを経営しておりますが、SNS上に「あの店の料理はまずいし、厨房には干からびた生肉が放置されていた。衛生面も怖いので二度と行かない」など、事実と異なる誹謗中傷の投稿がなされています。このような投稿によって客足が遠のいてしまうことを危惧しているのですが、どのように対応していったらよいのでしょうか。
【A.】
1.はじめに
 近年、インターネットが発達し、SNSなどの利用により誰もが全世界に向けて自由に情報発信をすることができるようになりました。このように、個人がインターネットを通じた強い情報発信力を有する現代においては、どのような事業者も、インターネット上での誹謗中傷その他の有害な情報発信によって名誉毀損などの被害を受ける可能性があります。そこで、その対応方法について整理しておく必要があると思われます。
 インターネット上での誹謗中傷その他の有害な情報発信への対応としては、主に、�@情報発信にかかる投稿等の削除請求、�A情報発信者に対する損害賠償請求等が考えられます。今回は、それらの対応の概要について、ご説明します。

2.情報発信にかかる投稿等の削除請求について
 情報発信にかかる投稿等の削除請求については、その投稿等がなされたサイトの管理者等に対し、任意での削除を求める方法や、訴訟提起等により削除を求める方法が考えられます。この点、費用や削除までの期間の観点からすれば、まずは任意での投稿等の削除を求める方法から検討すべきです。
 任意での削除を求める方法については、基本的に、サイト管理者等によって用意されている手段(サイト上に設置されているウェブフォームからの削除依頼など)に従って削除を求めていくほか、プロバイダ責任制限法(※1)ガイドライン等検討協議会HPに公開されている「プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン」(※2)に沿って、書面等により削除を求めていくこととなります。
 訴訟提起等により削除を求める方法については、裁判所への仮処分申立てを通じて、サイト管理者等に対し、投稿等にかかるデータを(サーバーコンピュータを介して)第三者に提供する行為の差止めを求めていくこととなります。
 ただし、いずれの方法によるとしても、基本的に、その投稿等によって人格権や著作権、商標権などの一定の権利が侵害される場合でなければ削除が認められない点についてはご注意ください。
※1 正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」
※2 https://www.isplaw.jp/vc-files/isplaw/provider_hguideline_20220831.pdf

3.情報発信者に対する損害賠償請求等について
(1)情報発信者の特定について
 情報発信者に対する損害賠償請求等を行うためには、まず情報発信者の住所・氏名などの情報を調査する必要があります。その調査方法としては、情報発信にかかる投稿等に利用されたIPアドレス(※3)から調査する方法や、情報発信にかかる投稿等と紐づけられた電話番号から調査する方法が考えられます。
 IPアドレスから調査する方法については、従来、�@サイト管理者等から任意に、または仮処分の申立てによってIPアドレスの開示を受け、�AそのIPアドレスの割当を行った通信事業者から訴訟によってそのIPアドレス使用者の住所・氏名などの開示を受ける、という2段階の手続きを行う必要がありました。ところが、この方法には、手続き中にIPアドレス使用者を特定するためのログを消去される、というリスクがありました。そこで、令和4年10月1日施行のプロバイダ責任制限法の改正法により、サイト管理者等に対するIPアドレスの開示請求と、IPアドレスの割当を行った通信事業者に対するIPアドレス使用者の住所・氏名などの開示請求について、単一の手続きにて行うことができるようになりました(同法第8条〜第18条)。
 電話番号から調査する方法については、まず、サイト管理者等に対して電話番号の開示を求める訴訟を提起し、その電話番号の開示を受けます。その後、電話会社に対してその電話番号にかかる契約者の住所・氏名などの情報開示を求める弁護士会照会を行い、情報発信者の住所・氏名などの情報を取得します。
※3 インターネットに接続している端末に対して、通信事業者より割り当てられている符号のこと
(2)情報発信者に対する損害賠償請求等について
 情報発信者に対しては、実際に生じた損害について民事上の損害賠償請求を行うとともに、場合によっては、今後の有害な情報発信への抑止力とするために刑事告訴を行うことが考えられます。これらの手続きを行う際には、問題となる投稿等に関する証拠を提出することが想定されるため、事前にその内容について証拠化しておく必要がある点について、ご注意ください。

4.まとめ
 インターネット上での誹謗中傷その他の有害な情報発信に対しては、被害拡大の防止や被害回復、再発の抑止を図るために前述のような対応を行うことが考えられます。各種対応を進めるに当たっては、専門的な知見に基づく判断が求められますので、必要に応じて専門家に相談することをご検討ください。

以 上

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