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『注意したい、商品の原産地表示』

2010/08/01

(執筆者:弁護士 西堀祐也)
【Q.】
弊社は食品の製造及び販売を営んでおり、消費者向けに、商品の包装、チラシ、インターネット等で商品の広告をしています。最近、新聞等で産地偽装の記事をよく目にします。今後の参考のため、原産地の表示に関する規制についてご教示ください。
【A.】
1.景品表示法による規制
_「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)は、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を保護する観点から、広く商品または役務に関する不当表示を規制しています。商品の原産地に関する表示も、同法の規制対象に含まれます。
同法4条1項1号は、商品または役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示したり、事実に相違して、当該事業者と同種もしくは類似の商品・役務を供給している他の事業者のものよりも著しく優良であると思わせるような表示をすることを禁止しています(優良誤認表示)。
最近では、和牛以外が混在する牛の内臓を「宮崎牛ホルモン100%」と表示した事業者が、優良誤認表示をしたとして、消費者庁から再発防止措置等の命令を受けています。
なお、事業者の故意または過失が不当表示の要件とされていない点に注意が必要です。例えば、仕入先から提示された原産地の保証書に虚偽があったとしても、それを知らずに実際と異なる表示をした販売者が、不当表示に問われる可能性があります。
不当表示を行った事業者は、行政上、消費者庁や都道府県から、警告・注意、立入検査のほか、行為の差止命令、再発防止措置命令、新聞等での公示命令等の措置を受ける場合があります(同法6条、7条、9条)。また、民事上、適格消費者団体からの差止請求を受ける場合があります(同法10条)。
2.不正競争防止法等による規制
商品の原産地の誤認を惹起させる表示をし、またはその表示をした商品の譲渡等をする行為は、「不正競争防止法」によって規制されています(同法2条1項13号)。
不正を行う目的で上記行為をした場合や、不正の目的がなくとも原産地の虚偽表示をした場合は、同法21条2項1号、4号により刑事罰(5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその併科)の対象となり、直接の行為者のほか、事業者も刑事罰(3億円以下の罰金)の対象となります(同法22条1項)。
また民事上、不正競争行為の被害者から、差止請求(3条)や損害賠償請求(4条)を受ける場合があります。
このほか、特に飲食料品に関しては、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)により、製造業者に一部の商品について原産地の表示が義務づけられています(同法19条の13の2)。原産地について虚偽の表示をした飲食料品を販売した者に対しては、JAS法23条の2による処罰規定が平成21年に新設されています。
3.おわりに
近時、悪質な産地偽装行為が不正競争防止法違反として処罰されることが増えており、産地偽装の発覚により事業者が廃業に至ることも珍しくありません。
また、当初は原産地表示どおりの食材を使用していたものの、売上が増えて他産地の食材を使用するようになったのに、表示を改めずに行政指導を受けたという事例もあるようです。法規制を理解するとともに、社内での管理を徹底することが対策として重要です。
(以上)

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