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2019.04.04
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【IR(特定複合観光施設)ニュース】専らカジノ行為の用に供される部分(ゲーミング区域)の床面積の上限

(執筆者:渡邉雅之

[miyakenews] IR(特定複合観光施設)ニュースNo.1 / 「特定複合観光施設区域整備法施行令」の解説』もご覧ください。
 「特定複合観光施設区域整備法」(平成30年7月27日法律第80号、以下「IR整備法」又は「法」といいます。)の施行政令である「特定複合観光施設区域整備法施行令」(平成31年3月27日政令第72号、以下「IR整備法施行令」又は「施行令」といいます。)が公布されました。
 そこで、IR整備法施行令の内容を逐条解説いきます。
 今回は、専らカジノ行為の用に供される部分(ゲーミング区域)の床面積の上限(施行令第6条)について解説いたします。
 なお、筆者は、特定複合観光施設区域整備推進会議の委員ですが、本解説の意見は個人的な見解に過ぎないことにご留意ください。

※「意見の概要及びそれに対する特定複合観光施設区域整備推進本部事務局の考え方」に示される特定複合観光施設区域整備推進本部事務局の考え方を番号順に「PC」で記載しています。
 
〇施行令第6条
(法第41条第1項第7号等の政令で定める面積)
第6条 法第41条第1項第7号(法第48条第3項において準用する場合を含む。)の政令で定める面積は、特定複合観光施設の床面積の合計の100分の3の面積とする。
〇法第41条第1項第7号
(免許の基準等)
第41条 カジノ管理委員会は、第39条の免許の申請があったときは、当該申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一~六(略)
七 申請認定区域整備計画に記載された特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数が一を超えず、かつ、当該カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供されるものとしてカジノ管理委員会規則で定める部分の床面積の合計が、カジノ事業の健全な運営を図る見地から適当であると認められるものとして政令で定める面積を超えないこと。
(変更の承認等)
第48条 カジノ事業者は、次に掲げる事項の変更(第三号に掲げる事項にあっては、カジノ管理委員会規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、カジノ管理委員会規則で定めるところにより、カジノ管理委員会の承認を受けなければならない。
一~五(略)
2(略)
3 第41条第1項(第4号、第5号、第9号及び第10号を除く。)及び第2項(第1号、第4号及び第5号を除く。)の規定は、第一項の承認について準用する。
 
1.ゲーミング区域の床面積の上限
 カジノ事業者の免許の基準の一つとして、「申請認定区域整備計画に記載された特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数が一を超えず、かつ、当該カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供されるものとしてカジノ管理委員会規則で定める部分の床面積の合計が、カジノ事業の健全な運営を図る見地から適当であると認められるものとして政令で定める面積を超えないこと。」が求められています(法第41条第1項第7号)。
 すなわち、①特定複合観光施設区域(IR施設区域)内にカジノ施設の数が1つだけであること、及び、②カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供される床面積(ゲーミング区域の床面積)の合計の上限が政令で定める面積を超えないことが求められています。
施行令第6条では、ゲーミング区域の床面積の上限は、IR施設の床面積の合計の3%とされました。
 ゲーミング区域の床面積の上限については、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成29年7月31日)(以下「IR推進会議取りまとめ(法律)」といいます。)[1]においては、シンガポールにおけるカジノ施設の面積規制を参考に、絶対値を定めることが提言されていました。
 
〇IR推進会議取りまとめ(法律)(2017年7月31日)
<制度設計の方向性>
・以下の2つの観点を組み合わせてカジノ施設の規模の上限等を設定すべき
である。
ⅰ)カジノ施設がIR 施設のあくまで一部に過ぎない位置付けであること
ⅱ)カジノ施設の面積が上限値(絶対値)を超えないこと
ⅱ)の上限値(絶対値)の対象は、カジノ施設のうち、専らカジノ行為の実施や現場でその運営管理・監督等をするための区域(ゲーミング区域)とすべきである。
(参考)シンガポールにおけるカジノ施設の面積規制
カジノ施設のうち、ゲーミング区域について面積規制(15,000㎡)
※ ゲーミング区域:ゲームの実施やゲームの運営管理・監督をするための場所
※ カジノ施設=ゲーミング区域+附帯区域(主要通路、飲食スペース、トイレ、バックヤード等)
 
 しかしながら、「与党IR実施法に関する検討WTとりまとめ(2018年4月3日)」を経て、ゲーミング区域の床面積の上限については、絶対値を設けず、延床面積の3%とすることとされました。
〇与党IR実施法に関する検討WTとりまとめ(2018年4月3日)
カジノ施設規模については、我が国の場合は立地地域や規模が未確定であることなどから、絶対値で制限するのではなくIR施設の延床面積の3%以下に制限する。その際、敷地ではなく、延床面積の3%とすることで、「一部に過ぎないこと」を確実に担保する一方で、依存防止については、厳格な入場回数制限や入場料の引上げ等と合せて万全を期す。
 
 さらに、IR推進会議取りまとめ(政令)(2018年12月4日)では、ゲーミング区域の床面積の上限IR施設の建築物の床面積の合計の3%とすることが提言されました。
 
 
〇IR推進会議取りまとめ(政令)(2018年12月4日)
Ⅱ.専らカジノ行為の用に供される部分(ゲーミング区域)の床面積の上限の考え方
<政令の方向性>
・ 「ゲーミング区域の床面積の合計」は、IR 施設全体の面積」に対する「一定の割合」を超えない面積 とすべき。
・ 具体的には、「IR 施設全体の面積」は、「IR 施設の建築物の床面積の合計 」とし、「一定の割合」は、シンガポールの実例を踏まえ、「3%」とすべき。
 
2.絶対値による定めを行わなかった理由
IRの立地地域や規模が未確定である状況では、規模の上限を絶対値で定めることによりカジノ事業の収益を活用して整備されるIRの施設規模が制限される可能性もあり、法の目的である国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するという目的の制約要因となりかねないため、施行令第6条は、絶対値による規制ではなく、割合による規制とすることが適切であると考えに基づき定められています。なお、御指摘の「カジノへののめり込みを防止するとの観点」については、カジノ施設の規模や数の制限のほか、
  • 日本人等を対象とした一律の入場回数制限や入場料の賦課
  • 依存防止規程に基づく本人・家族の申出等による利用制限措置や相談窓口の設置といった、利用者の個別の事情に応じた対応
  • 日本人等に対する貸付業務や、広告・勧誘等の誘客時における規制
といった重層的・多段階的な取組を制度的に整備しているところです。(PC81~85)
 
3.「特定複合観光施設の床面積」の解釈
施行令第6条における「特定複合観光施設」は、法第2条第1項に規定されている定義によるものです。「特定複合観光施設」を構成する各施設の定義や各施設に何が含まれるか等については基本方針等で定めることとしております。(PC87)
カジノ施設及び法第2条第1項第6号に該当する施設の床面積も合算されることとなります。(PC88)
「特定複合観光施設の床面積の合計」は、カジノ施設を含むIR施設のうち建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項第1号の定義に該当する全ての建築物の床面積の合計を指すものです。御指摘の「カジノ施設それ自体や立体駐車場」のうち、カジノ施設については法第2条第1項に定義するとおりIR施設に含まれる一方、立体駐車場については、IR施設に該当する建築物であれば含まれることとなりますが、その算入範囲等については区域整備計画の認定に当たり個別に判断することとなります。(PC89)
〇建築基準法第2条第1項第1号
(用語の定義)
第2条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨(こ)線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
 
「床面積の合計」は、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第3号により算定したIR施設の建築物全体の床面積の合計を指すものです。(PC90・91)
〇建築基準法施行令第2条第1項3号
(面積、高さ等の算定方法)
第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~二(略)
三 床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
 
規模規制の分母については、カジノ収益の内部還元によるIR区域整備を通じた観光及び地域経済の振興という法の趣旨に鑑みると、IR施設のうち、公益的機能を有する部分であって整備に一定の費用を要する建築物部分の規模を表す床面積の合計とすることが最も適切であると考えております。(PC92)
なお、段階的開発であるか否かにかかわらずゲーミング区域の床面積の合計が、営業を開始することとなるIR施設の床面積の合計の3%を超えないこととなっている必要があります。(PC93)