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2019.04.03
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【IR(特定複合観光施設)ニュース】「特定複合観光施設」の中核施設の具体的な基準・要件

(執筆者:渡邉雅之

[miyakenews] IR(特定複合観光施設)ニュースNo.1 / 「特定複合観光施設区域整備法施行令」の解説』もご覧ください。


 「特定複合観光施設区域整備法」(平成30年7月27日法律第80号、以下「IR整備法」又は「法」といいます。)の施行政令である「特定複合観光施設区域整備法施行令」(平成31年3月27日政令第72号、以下「IR整備法施行令」又は「施行令」といいます。)が公布されました。
 そこで、IR整備法施行令の内容を逐条解説いきます。
 第1回目は、「特定複合観光施設」の中核施設の具体的な基準・要件(施行令第1条~第5条)について解説いたします。
 なお、筆者は、特定複合観光施設区域整備推進会議の委員ですが、本解説の意見は個人的な見解に過ぎないことにご留意ください。

※「意見の概要及びそれに対する特定複合観光施設区域整備推進本部事務局の考え方」に示される特定複合観光施設区域整備推進本部事務局の考え方を番号順に「PC」で記載しています。


〇法第2条第1項
(定義)
第2条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設と第一号から第五号までに掲げる施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される第六号に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう。
1 国際会議の誘致を促進し、及びその開催の円滑化に資する国際会議場施設であって、政令で定める基準に適合するもの
2 国際的な規模の展示会、見本市その他の催しの開催の円滑化に資する展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設であって、政令で定める基準に適合するもの
3 我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であって、政令で定めるもの
4 我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設であって、政令で定める基準に適合するもの
5 利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの
6 前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設
 
 法第2条第1項各号は、「特定複合観光施設」(以下「特定複合観光施設」又は「IR施設」といいます。)の基準を定めるものです。
 ①国際会議場施設(同項第1号)、②展示等施設(同項第2号)、③魅力増進施設(同項第3号)、④送客施設(同項第4号)、⑤宿泊施設(同項第5号)の基準は、いずれの要件も充たすものでなければ、「特定複合観光施設」とは認められません。
 同項第6号の「前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」(以下「第6号施設」といいます。)を設けることは必ずしも求められません。
 「第6号施設」としては、例えば、以下のような施設が考えられます。
①多目的ホール
②特定複合観光施設区域内のレジデンス
③海外顧客・富裕層向けの医療施設
 
1.国際会議場施設及び展示等施設(MICE施設)の基準(法第2条第1項第1号・第2号、施行令第1条・第2条)
〇施行令第1条
(国際会議場施設の基準)
第1条 特定複合観光施設区域整備法(以下「法」という。)第2条第1項の政令で定める基準は、主として国際会議の用に供する室のうちその収容人員が最大であるものの収容人員(以下この条及び次条において「最大国際会議室収容人員」という。)がおおむね1000人以上であり、かつ、主として国際会議の用に供する全ての室の収容人員の合計が最大国際会議室収容人員の2倍以上であることとする。
 
〇法第2条第1項第1号
1 国際会議の誘致を促進し、及びその開催の円滑化に資する国際会議場施設であって、政令で定める基準に適合するもの
 
〇施行令2条
(展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設の基準)
第2条 法第2条第1項第2号の政令で定める基準は、次の各号に掲げる最大国際会議室収容人員の区分に応じ、主として展示会、見本市その他催しの用に供する全ての室の床面積の合計が当該各号に定める面積以上であることとする。
一 おおむね1000人以上3000人未満   おおむね12万平方メートル
二 おおむね3000人以上6000人未満   おおむね6万平方メートル
三 おおむね6000人以上         おおむね2万平方メートル
 
〇法第2条第1項2号
2 国際的な規模の展示会、見本市その他の催しの開催の円滑化に資する展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設であって、政令で定める基準に適合するもの
 
(1)国際会議場施設・展示等施設の基準
 国際会議場施設及び展示等施設(MICE施設)の基準については、以下のとおりです(法第2条第1項第1号・第2号、施行令第1条・第2条)。
(1)国際会議場施設については、最大国際会議室の収容人員がおおむね1000人以上、かつ、国際会議場施設全手体の収容人員の合計が最大国際会議室の収容人員の2倍以上であること。(施行令第1条)
(2)展示等施設については、以下の最大国際会議室の収容人員に応じた基準とすること。(施行令第2条)
  • 「一般的規模の国際会議に対応できる国際会議場施設(最大国際会議室の収容人員がおおむね1000人以上3000人未満)である場合には、「極めて大規模な展示会」が開催可能な規模を有する展示等施設(床面積の合計がおおむね12万㎡以上)であること(同条第1号)
  • 「大規模な国際会議」が開催可能な規模を有する国際会議場施設(最大国際会議室の収容人員がおおむね3000人以上6000人未満)である場合には、「大規模な展示会」が開催な規模を有する展示等施設を超えるもの(床面積の合計がおおむね6万㎡以上)であること(同条第2号)
  • 「極めて大規模な国際会議」が開催可能な規模を有する国際会議場施設(最大国際会議室の収容人員がおおむね6000人以上)である場合には、「一般的な規模の展示会」に対応できる展示等施設を超えるもの(床面積の合計がおおむね2万㎡以上)であること(同条第3号)
 
この基準は、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成30年12月4日、以下「IR推進会議取りまとめ(政令)」という。)の基本的な視点を踏まえ、世界中から観光客を集めるこれまでにないクオリティと、カジノの収益を活用して整備を行うべき施設の外形的な要件としてこれまでにないスケールを実現しつつ、民間の活力や地域の創意工夫を生かされるようにするため、我が国を代表することとなる規模等の最低基準を定めることとしたものです。具体的には、国際会議場施設、展示等施設の基準については、世界又は日本で開催されているMICEの開催規模、市場特性、一般的な形式等を分析した上で、国際会議場施設と展示等施設の基準を組み合わせて、国際会議場施設を重視するもの、展示等施設を重視するもの、両方をバランスよく整備するものの3つの類型を設けることとしており、IRが整備されることとなる立地地域の特性に合わせて、選択できるようにしております。(PC1~10)[2]
 
〇IR推進会議とりまとめ(政令)
1.国際会議場施設及び展示等施設の要件
<政令の方向性>
国際会議場施設及び展示等施設に係る具体的な要件については、IR 事業の効果を最大化するためにも、以下の3類型を設け、そのうちいずれを選択するかは、都道府県等や民間事業者に委ねるべき。
①「極めて大規模な国際会議」が開催可能な規模を有する国際会議場施設であって、「一般的な規模の展示会2」に対応できる展示等施設を併設するもの
《具体的な要件》
【国際会議場施設】
国際会議場施設で開催される国際会議のうち、我が国で開催される可能性がある国際会議の全てに対応可能な規模を有すること。
・ 少なくとも、複数の「大規模な国際会議」を同時に開催することが可能な規模を有すること。
最大の会議室の収容人数と同数以上の収容人数の規模の中小会議室群を有すること。
【展示等施設】
「一般的な規模の展示会※)」に対応可能な規模を有すること。
(※)IR 整備法第2条第1項第2号に規定する「展示会、見本市その他の催し」のことをいう。以下同じ。
②「極めて大規模な展示会」が開催可能な規模を有する展示等施設であって、「一般的な規模の国際会議」に対応できる国際会議場施設を併設するもの
《具体的な要件》
【展示等施設】
「極めて大規模な展示会」にも対応可能な規模を有すること。
・ 少なくとも、複数の「大規模な展示会」を同時に開催することが可能な規模を有すること。
【国際会議場施設】
「一般的な規模の国際会議」に対応可能な規模を有すること。
最大の会議室の収容人数と同数以上の収容人数の規模の中小会議室群を有すること。
③「大規模」な「国際会議及び展示会」が開催可能な規模を有し、バランスが取れている総合的なMICE 施設
《具体的な要件》
【国際会議場施設】
「大規模な国際会議」にも対応可能な規模を有すること。
・少なくとも、複数の「一般的な規模の国際会議」を同時に開催することが可能な規模を有すること。
・最大の会議室の収容人数と同数以上の収容人数の規模の中小会議室群を有すること。
【展示等施設】
「大規模な展示会」にも対応可能な規模を有すること。
・ 少なくとも、複数の「一般的な規模の展示会」を同時に開催することが可能な規模を有すること。その際、絶え間なく、展示会が開催できるような規模を有すること。
 
(2)国際会議施設の構成
施行令第1条では、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成30年12月4日)を踏まえ、国際会議は、一般的な形式として、会議参加者の大多数が一堂に会するプレナリー(全体会議)とブレイクアップ(分科会等)等で構成されることから、国際会議場施設全体の収容人員の合計が最大国際会議室の収容人員の2倍以上であることを基準としているものです。(PC18)
なお、当該趣旨を踏まえると、施行令第1条に掲げる要件を満たしていれば、申請する国際会議場施設についてはどのようなレイアウトで申請することも可能と考えます。例えば、最大国際会議室として申請された室を、他の国際会議室と接続する等により、実態上、最大国際会議室を越える大きさのレイアウトとして一体的に活用することも否定はしておりません。(PC18)
(3)「国際会議」「その他の催し」
国際会議場施設における国際会議はICCA(国際会議協会)統計の対象となるような国際会議を想定しているものでありますが、社内ミーティングやインセンティブについても、MICEの推進において重要な要素であり、国際会議場施設を活用して、積極的に誘致することが期待されるものと考えられます。(PC20・21)
また、展示等施設はMICE施設を構成する施設として整備を求めるもので、専ら展示会、見本市に用いることを想定しておりますが、観光庁のホームページではMICEのうち「E」について「国際見本市、展示会、博覧会といったエキシビションや、スポーツ・文化イベントなど大小さまざまなものが含まれる広範な概念」とされていることも踏まえ、これらに準ずる催しとして、観光客向けにテーマ性を持ったイベントも含み得ると考えられます。(PC20・21)
なお、専らスポーツやコンサートに用いる施設である場合はその内容に応じて法第2条第1項第3号(魅力増進施設)又は第6号施設(前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設)に位置付けて区域整備計画に記載されることが適切であると考えております。(PC20・21)
(4)多目的ホール
施行令第1条の基準は、専ら国際会議の用に供する室の収容人員を対象としており、主たる機能が国際会議ではないホールについて対象とすることはできないものと考えています。なお、専ら国際会議の用に供する必要があると考えておりますが、国際会議の用に供するとともに、他の機能としての活用が否定されるものではありません。(PC22)
また、「国際会議場施設」・「展示等施設」は、いずれも専ら国際会議の用・展示等施設の用に供することが求められるため、両方の要件を満たす1つの施設は認められませんが、IR整備法第2条第1項第1号・第2号の国際会議場施設と展示等施設を設けた上で、別途、法第1条第6号の施設(前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設)として設けることは認められます。
(5)最大国際会議室収容人員
最大国際会議室収容人員は、最大の国際会議室が当該収容人員を満たすものとして使用できることを求めるものですが、常に当該収容人員として使用することまで求めるものではなく、開催される国際会議の規模等に応じて区分けして使用することを妨げるものではありません。(PC23)
(6)建物自体の分離・点在
施行令第2条の基準は、主として展示会、見本市その他の催しの用に供する全ての室の床面積の合計を対象としており、主として展示会、見本市その他の催しの用に供する室が、IR区域内の隣接する建物等に分けて設置されている場合には、それらを合計したものが対象となります。一方、同条各号に掲げる基準は、IR推進会議取りまとめ(政令)を踏まえ、世界又は日本で開催されているMICEの開催規模、市場特性、一般的な形式等を分析した上で、我が国を代表することとなる規模等を定めるものであり、実際に我が国を代表することとなる規模等を有する施設として一体的に設置・運営される必要があると考えております。区域整備計画の認定において個別具体的に判断されることになります。(PC24)
(7)床面積
施行令第2条で規定する室の床面積の合計は室内であって実際に展示会等の用に供することができる面積であり、内法面積で計算することとしています。(PC26)
(8)「おおむね」(施行令第1条、第2条)と認められる範囲
施行令第1条及び第2条における数値基準について「おおむね」としたのは、区域整備計画の認定等に当たって、申請者が数値を満たすものとしておりましたが、事後的に技術的な課題等により数値から僅かに乖離することになった場合に認められないといった事態を避ける等のためこのような規定としたものです。なお、「おおむね」と認められる範囲については、申請後の事後的な事情により生じる変更が区域整備計画に記載の面積のみの場合等において個別具体的に判断されることになると考えられます。(PC71~77)
 
2.魅力増進施設の要件(IR整備法施行令第3条)
〇施行令第3条
(我が国の観光の魅力の増進に資する施設)
第3条 法第2条第1項第3号の政令で定める施設は、我が国の観光の魅力の増進に資する劇場、演芸場、音楽堂、競技場、映画館、博物館、美術館、レストランその他の施設とする。
 
〇法第2条第3項
3 我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であって、政令で定めるもの
 
(1)魅力増進施設の要件
 「魅力増進施設」(法第2条第1項第3号)の要件としては、我が国の観光の魅力の増進に資する劇場、演芸場、音楽堂、競技場、映画館、博物館、美術館、レストランその他の施設とされています(施行令第3条)。
 都道府県等や民間事業者の創意工夫をいかせるよう、具体的なコンテンツの内容や発信手法については、都道府県等や民間事業者に委ねる。
(2)魅力増進施設の具体的基準
法第2条第1項第3号の施設については、施設が満たすべき基準ではなく、施設そのものについて政令で定めるものとされていることを踏まえ、施行令第3条では、劇場、音楽堂、博物館等の施設を例示することとしたものです。当該施設の事業の内容等に関する基準については、IR推進会議取りまとめ(政令)を踏まえ、基本方針等において検討されることが予定されています。(PC32~34)
個別の施設が第3号に該当するかどうかについては、区域整備計画の認定において判断されることになります。(PC37~42)
 
〇IR推進会議取りまとめ(政令)
2.魅力増進施設の要件
<政令の方向性>
魅力増進施設については、以下の①又は②のいずれかを選択できる こととした上で、③の要件を満たす機能を有するもの とすべき。いずれの場合も、具体的なコンテンツの内容やその具体的な発信手法 については、都道府県等や民間事業者の創意工夫に委ねるべき。
①多様なコンテンツを、内容に応じた発信手法に絞った上で、魅力を幅広く伝える
《具体的な要件》
・ 世界中の観光客から幅広い理解を得るために、演劇・演芸、スポーツ、料理等のうち特定のジャンルについて、全国各地に存在するコンテンツや、コンテンツの歴史的背景等を 総合的かつ体系的にまとめ 、分かりやすく発信すること。
・ コンテンツの内容に最も適した発信手法として、展示、鑑賞、体験、販売・消費等のいずれかに絞った上で発信すること。
②コンテンツを絞った上で、多様な発信手法を活用し、魅力をより深く伝える
《具体的な要件》
・ 世界中の観光客から高い関心を示してもらうために、演劇・演芸、スポーツ、料理等のジャンルの中から更に、歌舞伎や落語、相撲、和食等のテーマに絞った上で発信すること。
・ 展示、鑑賞、体験、販売・消費等施設が有するあらゆる発信手法を活用すること。
③上記①②に共通して、魅力増進施設がその誘客効果を維持・向上させる仕組み
《具体的な要件》
・ 施設の誘客効果を常に維持・向上させるため、何度訪れても新たな魅力に気づき、更なる来訪が促せるよう、新たなコンテンツの創造や、発信手法の工夫による既存コンテンツの発展に、都道府県等や民間事業者が取り組むことを求める。
 
(3)魅力増進施設の範囲
法第2条第1項第3号において、我が国の観光の魅力の増進に資する施設は、「我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設」と定義されており、「我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行う」ものに限定されており、法の定義に合わない内容を政令で規定することはできません。(PC35)
この点、法第2条第1項第6号の施設は「前各号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」と定義されており、同項第1号から第5号までの定義に該当しない集客施設を想定しております。例えば、施行令第3条の例示として挙がっている劇場、博物館、美術館等であっても、我が国の観光の魅力の増進に資するものでなければ、法第2条第1項第6号の施設として扱われる可能性があります。また、施行令第3条に挙がっている個別の施設は例示であって、その他の施設も認められる余地はありますが、法第2条第1項第3号の定義にある「我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設」であることは必要です。いずれにしても、当該施設における事業の内容等に関する基準についてはIR推進会議取りまとめ(政令)も踏まえ、基本方針等において検討していくこととしております。(PC36)
 
3.送客施設の基準(施行令第4条)
〇施行令第4条
(国内における観光旅行の促進に資する施設の基準)
第4条 法第2条第1項第4号の政令で定める基準は、次のとおりとする。
 一 利用者の需要を満たすことができる適当な規模の対面による情報提供及びサービスの手配のための設備並びに適当な規模の待合いの用に供する設備を有すること。
二 次に掲げる業務を行う機能を有し、かつ、これらの業務を複数の外国語により行うことができること。
イ 我が国における各地域の観光の魅力に関する情報について、視聴覚的効果を生じさせる表現その他の効果的な方法により提供する業務
ロ 目的地に到達するまでの経路及び交通手段並びに目的地における観光資源、交通、宿泊、食事その他の事項(二において「観光資源等」という。)に関する情報について、情報通信技術の活用を考慮した適切な方法により提供する義務
ハ 利用者の関心に応じて、旅行の目的地及び日程並びに旅行者が提供を受けることができるサービスの内容に関する事項を定めた旅行に関する計画について提案する業務
二 観光旅行を行おうとする者の需要に応じて、目的地に到達するまでの旅客及び手荷物の運送並びに目的地における観光資源等に係る予約、料金の支払その他の必要なサービスの手配を一元的に行う業務
 
〇法第2条第4項
4 我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設であって、政令で定める基準に適合するもの
 
(1)送客施設の基準
送客施設は、以下の①~④を全て満たすことが求められます(法第2条第1項第4号、施行令第4条)。
 ①ショーケース機能:日本各地の観光の魅力や旅行者に必要な情報を、VR等の最先端技術等を活用し、効果的・適切な方法で発信(同号イ・ロ)
 ②コンシェルジュ機能:利用者の関心等に応じ、旅行計画を提案し、必要なサービスの手配をワンストップで実施(同号ハ・二)
 ③多言語対応機能:上記①・②について英語を含め複数の外国語で提供(同号本文)
 ④適切な施設規模:多数の来訪客に対応できる情報提供・接客や待合のスペースを具備(同条第1号)
 
 送客施設の基準は、IR推進会議取りまとめ(政令)を踏まえ、観光案内に係る現状・課題に対応した基準を設けることとしたものです。(PC32)
 
〇IR推進会議とりまとめ(政令)
3.送客施設の要件
<政令の方向性>
送客施設については、以下の①~④の全ての要件を満たすものとすべき。
ショーケース機能
《具体的な要件》
・VR※等の最先端技術によって、観光の魅力を臨場感がある形で発信するなど、効果的な方法での情報発信を行うこと。※Virtual Realityの略。仮想現実のことを指す
・ 目的地までのルートや交通手段、目的地での観光スポット、ホテル等旅行者に必要な情報を、ICT※技術等も活用し、オンデマンドで分かりやすく発信するなど適切な情報発信を行うこと。
※Information & Communication Technology の略。(出典:総務省ホームページ 情報通信白書 用語集)
コンシェルジュ機能
《具体的な要件》
旅行者の関心・ニーズに応じて、
オーダーメイドで旅行計画を提案する機能を有すること。
・ その場で、目的地までのチケット、目的地での観光施設、交通機関、ホテル等の予約、決済等、必要なサービスの手配をワンストップでシームレスに行う機能を有すること。
多言語対応機能
《具体的な要件》
・ 上記①②について、英語をはじめとした 複数の外国語で提供すること。
送客施設の規模
《具体的な要件》
・ 多数の来訪客のニーズに対応し、上記①~③の機能を適切に発揮するため、適切な規模の情報提供・接客や待合のためのスペースを有すること。
 
(2)適切な規模(施行令第4条第1号)
特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成30年12月4日)を踏まえ、それぞれのIRの特性や利用者のニーズが様々であることから、施設の要件としてその規模を一律に定めるのではなく、多数の来訪者のニーズに対応し、送客機能を適切に発揮するため、適当な規模の対面による情報提供・サービスの手配・待合いのための設備を有することを求めることとしております。(PC43・44)
(3)対面による情報提供及びサービスの手配のための設備(施行令第4条第1号)
施行令第4条第1号において「対面による情報提供及びサービスの手配のための設備」を有することを求めており、対面で情報提供等を行うことは必要ですが、常時対面で情報提供を行うことまで求めるものではなく、都道府県等及び民間事業者の創意工夫により、対面以外の方法も活用しながら、効果的に情報提供等を行うことが期待されます。(PC45)
(4)施行令第4条第1号の「施設」と同条第2号の「機能」
施行令第4条各号はいずれも国内における観光旅行の促進に資する施設が満たすべき基準を規定しているものであり、第1号の基準を満たす設備において、第2号の機能が提供されることが求められます。(PC46)
(5)複数の外国語(施行令第4条第2号本文)
施行令第4条第2号の基準は複数の外国語であることのみを規定しており、その具体的な数について定めるものではありません。なお、日本政府観光局が実施する外国人観光案内所認定制度では、全国レベルでの観光案内に対応するカテゴリー3において、英語とそれ以外の2以上の言語での対応を求めておりますので、これが参考になります。いずれにしても、施設の基準等について必要な事項があれば基本方針等で定めることが検討されています。(PC47)
(6)視聴覚的効果を生じさせる表現(施行令第4条第2号イ)
施行令第4条第2号イにおいて、「視聴覚的効果を生じさせる表現」はVR等の最先端技術を想定したものですが、あくまで「効果的な方法」の例として挙げたものであり、それ以外の方法を排除するものではなく、都道府県等や民間事業者の創意工夫を生かした効果的な方法により、我が国における各地域の観光の魅力に関する情報が提供されることが期待されます。(PC48)
(7)一体としての施設
施行令第4条の第1号と第2号イからニまでの基準はいずれも国内における観光旅行の促進に資する施設が満たすべき基準として規定しているものであり、各基準を満たす別々の施設を国内における観光旅行の促進に資する施設として認めることはできません。(PC49)
  
4.宿泊施設の基準(施行令第5条)
〇施行令第5条
(宿泊施設の基準)
第5条 法第2条第1項第5号の政令で定める基準は、次のとおりとする。
 一 全ての客室の床面積の合計がおおむね10万平方メートル以上であること。
二 次に掲げる事項が、国内外の宿泊施設における客室の実情を踏まえ、利用者の需要の高度化を勘案して適切なものであること。
イ 客室のうち最小のものの床面積
ロ 独立に区画されたそれぞれ1以上の居間及び寝室を有する客室(ハにおいて「スイートルーム」という。)のうち最小のものの床面積
ハ 客室の総数に占めるスイートルームの割合
 
〇法第2条第5項
5 利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの
 
(1)宿泊施設の基準
 宿泊施設の基準は以下のとおり定められています。
(1)全ての客室の床面積の合計が、おおむね10万㎡以上であること(施行令第5条第1号)
(2)以下の①~③が国内外の宿泊施設の実情を踏まえ適切なものであること(同条第2号)
 ①客室のうち最小のものの床面積(同号イ)
 ②スイートルームのうち最小のものの床面積(同号ロ)
 ③客室の総数に占めるスイートルームの割合(同号ハ)
 
宿泊施設の基準については、IR推進会議取りまとめ(政令)の基本的な視点を踏まえ、世界中から観光客を集めるこれまでにないクオリティと、カジノの収益を活用して整備を行うべき施設の外形的な要件としてこれまでにないスケールを実現しつつ、民間の活力や地域の創意工夫を生かされるようにするため、我が国を代表することとなる規模等の最低基準を定めることとしたものです。(PC55~58)
具体的には、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめを踏まえ、諸外国のIRの宿泊施設や世界水準の宿泊施設の総客室数、一部屋当たりの客室面積等を参考に、総客室面積の合計として10万m2を基準としております。一方、総客室数や一部屋当たりの客室面積等の詳細な要件は設けず、IRへの来訪者数や客層に合わせて、地域の創意工夫が生かせるような基準としております。(PC55~58)
〇IR推進会議とりまとめ(政令)
4.宿泊施設の要件
宿泊施設については、宿泊施設全体として、一定規模以上の総客室面積を有するものの整備を求めるべき。
その際、以下の①~③を勘案したものとすべきである。
①諸外国のIR の宿泊施設を含め、近年整備された世界水準の宿泊施設の最小の客室の一部屋当たりの客室面積
②(ⅰ)諸外国のIR の宿泊施設を含め、近年整備された世界水準の宿泊施設の最小のスイートルームの一部屋当たりの客室面積
(ⅱ)諸外国のIR の宿泊施設の総客室数に対するスイートルームの割合
  • 諸外国のIR の宿泊施設の総客室数
 
「日本型IR」は、幅広く世界中から観光客を呼び込むものであり、新たな需要を生み出すものと考えております。例えば、公共政策としてIRを導入することを決定したシンガポールでは、2つのIRの導入前後5年(2009年と2014年)を比較した場合、同国全体のホテル客室数が30%増加する一方、ホテル稼働率が13%、また、客室単価が36%上昇しており、IR区域外の事業者に対しても大きな経済波及効果をもたらしていると承知しております。なお、各客室の面積の下限は設けておらず、宿泊施設の設計に当たっては、客室の面積、スイートルームの面積、客室の総数に占めるスイートルームの割合について、諸外国のIRの宿泊施設等の状況を踏まえつつ、地域の特性や民間の創意工夫を生かし、適切なものとすることが求められます。また、IR区域の整備は地域における経済・雇用情勢等に大きな影響を与えることから、法では、区域整備計画の作成に当たり地元において十分な合意形成を図るとともに、地元の合意を得た区域整備計画に従ってIR事業を実施することをIR事業者に義務付けています。(PC59)
(2)客室のうち最小のものの床面積等の基準(施行令第5条第2号イ~ハ)
施行令第5条に規定する宿泊施設の基準については、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成30年12月4日)を踏まえ、施行令第5条第1号において、共通の基準として、全ての客室の床面積の合計がおおむね10万m2以上であることとした上で、第2号では、民間事業者が実際に宿泊施設を設計する際の考え方を示しています。このため、宿泊施設の設計に当たっては、客室の面積、スイートルームの面積、客室の総数に占めるスイートルームの割合について、諸外国のIRの宿泊施設等の状況を踏まえつつ、地域の特性や民間の創意工夫を生かし、適切なものとすることが求められます。(PC63~66)
(3)「客室」の床面積の基準
施行令第5条で規定する宿泊施設の基準では、全ての客室の床面積の合計がおおむね10万㎡以上としています。客室の床面積は室内であって実際に宿泊の用に供することができる面積であり、宿泊業に係る事業法である旅館業法(昭和23年法律第138号)等を参考にしつつ、内法面積で計算することとしています。(PC67)
(3)複数のホテル・旅館
施行令第5条の要件を満たせば、複数のホテルと旅館が存在することは可能であると考えられます。(PC70)
(4)「おおむね」(施行令第5条第1号)と認められる範囲
施行令第5条における数値基準について「おおむね」としたのは、区域整備計画の認定等に当たって、申請者が数値を満たすものとしておりましたが、事後的に技術的な課題等により数値から僅かに乖離することになった場合に認められないといった事態を避ける等のためこのような規定としたものです。なお、「おおむね」と認められる範囲については、申請後の事後的な事情により生じる変更が区域整備計画に記載の面積のみの場合等において個別具体的に判断されることになると考えております。(PC71~77)