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マイナンバー制度の運用開始に備えて

2015/06/15

(執筆者:弁護士 岸野 正)

【Q.】
来年1月から始まるマイナンバー制度の運用開始に備えて、当社が準備しておかなければならない事項を教えてください。

【A.】
平成28年1月1日から、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)が施行される予定です。同法は、取扱件数や事業者の規模に関わらず、個人番号(マイナンバー)を取り扱うすべての事業者に適用されます。一方、事業者は、社会保障や税の手続きの際にマイナンバーを利用する必要がありますので、基本的にすべての事業者において、同法施行に備えた準備が必要となります。
平成27年10月以降、各個人に対しマイナンバーの通知が開始されますので、事業者は、10月までにマイナンバーを利用するための管理体制を整備し、1月までに従業員等からマイナンバーを取得する必要があります。
以下に、事業者において整備が必要と思われる事項の概要を説明します。なお、紙面の都合上、大きくマイナンバー受け入れのための体制準備と具体的な安全管理措置に関する部分に分けて、2回にわたり解説します。
◆マイナンバー受け入れのための体制準備
(平成27年10月までに行うこと)
1.事務体制の準備
マイナンバーやそれを含む個人情報(特定個人情報)を受け入れる必要のある事務(例えば、源泉徴収、扶養控除、雇用保険、健康保険、年金事務など)を明確にし、かつ、その事務に関して取り扱う特定個人情報等の種類を明確にすることが必要です。さらに、利用事務等に従事する従業員(担当部署や担当者)も明確にしておきます(『(別添)特定個人情報に関する安全管理措置』 A〜C)

2.本人確認の方法
従業員等からマイナンバーを受け入れる際の本人確認の方法について、手続きを定めておきます(番号法16条)。原則として、次のいずれかの方法で確認する必要があります。
�@個人番号カード(番号確認と本人確認)
�A通知カード(番号確認)と運転免許証など(本人確認)
�B個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(本人確認)

3.記録・保存方法
特定個人情報等の記録・保存方法を定める必要があります(例えば、データベース化して電子ファイルとして保存する、紙ベースの書類で保管するなど)。

4.外部委託契約書等の準備
事務等に関する外部委託利用の要否を確認し、利用する場合には『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)』(第4‐2‐(1) B)に基づく委託先の選定基準に合致する委託先を選定する必要があります。また、同ガイドラインの要件を満たす委託契約書を準備することも必要です。

5.システム等の準備
源泉徴収票等の作成事務に関し、給与システム等の改修の要否を確認し、必要なら事前にシステム会社に依頼しなければなりません。

6.社内規程の準備
特定個人情報等の取り扱いに関し、基本方針、取扱規程、個人情報の利用目的の特定・通知等につき、社内規程を整備しておきます。

7.従業員等への教育・周知
従業員等に対し、マイナンバー制度一般について教育するとともに、10月以降送付される通知カード等を誤って捨てないように周知することも必要です。また、金融機関では、金融業務の顧客に対して、平成27年夏ごろまでに同様の周知が必要となります。
また、マイナンバーは平成27年10月5日時点で住民票に記載されている住民に指定され、登録されている住所に送付されます。確実に受領できるよう、従業員等には登録住所と実際の住所が一致しているかを確認してもらい、一致していない場合には、登録住所の変更、または、登録住所において受領できるよう手配してもらうことが必要です。
次回は主に、社内の具体的な安全管理体制等について説明する予定です。

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