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景品表示法に基づく課徴金に関して

2015/02/20

(執筆者:弁護士 岩崎浩平)

【Q.】
近時,食材偽装等の多発を受けて,景品表示法で課徴金制度が導入されたと聞きましたが,どのような制度なのでしょうか。

【A.】
1.____ 課徴金制度の概要
課徴金制度とは,違反行為を抑止することを目的として行政庁が事業者に対して金銭的不利益を課す制度(金銭納付を求める制度)で,被害者への損害賠償(民事上の救済),刑事罰である罰金等とは異なるものです。景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)については,2014年11月27日,課徴金制度導入に関する改正法が公布され,同日から起算して1年6か月以内に施行されることになりました。
課徴金納付命令は,�@優良誤認表示(品質など商品・サービスの内容についての不当表示)と�A有利誤認表示(価格など商品・サービスの取引条件についての不当表示)を対象とします。課徴金額は,対象となる商品・サービスの売上額に3%を乗じて算定され,課徴金算定の対象となる期間は,3年が上限とされています。

2.____ 課徴金制度の留意点
(1)主観的要素
事業者が,違反行為をした期間を通じて,違反行為に係る表示が優良誤認表示又は有利誤認表示に該当することを知らないことにつき「相当の注意」を怠った者でないと認められるときは,課徴金を賦課されません。消費者庁が公表する資料(http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2014/176/shiryou/index.html参照)では「表示をする際に必要とされる通常の商慣行に則った注意をしていれば足りる」とされ,例えば,取引先から提供される書類等で,調達する原材料等の仕様,規格,表示内容を確認するなどしておけば,「相当の注意」を怠った者でないと認められる可能性があります。
(2)規模基準(150万円未満)
課徴金額が150万円未満となる場合は,課徴金が賦課されません。これは,課徴金納付命令の執行の負担等を考慮して定められたものです。消費者委員会の議事によると,150万円未満か否かの基準となる金額は,自主申告による減額等の前の課徴金額であることには,注意が必要です。
(3)除斥期間
違反行為をやめた日から5年を経過したときは,課徴金を賦課されません。
(4)自主申告による減額
違反行為を自主申告した事業者に対しては,課徴金額の50%を減額することになりますが,その申告が,違反行為についての調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してなされたものであるときは,減額されません。
(5)自主返金による減額等
事業者が所定の手続(実施予定返金措置計画の作成,内閣総理大臣の認定等)に沿って自主返金を行った場合は,課徴金が賦課されず,又は減額されます。自主返金を行うことで,これを行わないときに比べて事業者の金銭的不利益が減るとは必ずしも言えませんが,社会的信用の回復等の観点から重要になると思われます。
(6)弁明の機会
事業者には手続保障として弁明の機会が付与されます。弁明は,原則として弁明書を提出して行う必要があります。事業者は,弁明書と併せて証拠書類・証拠物を提出することができます。

3.____ おわりに
このように,景品表示法でも課徴金制度が導入されましたが,解釈上不明確な部分も残されており,今後は,消費者庁が策定する指針に注目する必要があるでしょう。また,消費者庁が公表する「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」を参考に,表示に関する管理体制を構築することが有益でしょう。

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