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景品表示法に関して

2014/05/26

(執筆者:弁護士 岩崎浩平)

【Q.】
最近、ホテル・旅館・デパートでの食材偽装等の多発を受けて、景品表示法が改正されると報道されていますが、そもそも、景品表示法とは、どのような法律なのでしょうか。

【A.】
1.景品表示法とは
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、ごく簡単に言いますと、一般消費者が自主的・合理的な商品選択をできるようにするため、(1)過大な景品類の提供の禁止と、(2)不当表示の禁止を定める法律です。ここでは、今般の食材偽装等と関連する、(2)不当表示の禁止に関してご説明したいと思います。

2.「不当表示」の概要
景品表示法で禁止される不当表示は、大きく、�@優良誤認表示(同法4条1項1号)、�A有利誤認表示(同項2号)、�B商品・サービスの取引に関する事項について誤認されるおそれのある表示であって内閣総理大臣が指定するもの(同項3号)の3つに分けることができます。
まず、�@優良誤認表示は、品質などの商品・サービスの内容についての不当表示です。例えば、人造ダイヤを使用しながら、天然ダイヤを使用したアクセサリーであるかのように表示する行為です。
次に、�A有利誤認表示は、価格など商品・役務サービスの取引条件についての不当表示です。例えば、架空のメーカー希望小売価格を比較対照価格に用いて、自社の販売価格を安く見せかけたりする行為です。
最後に、�B商品・サービスの取引に関する事項について誤認されるおそれのある表示であって内閣総理大臣が指定するものについては、現在、無果汁の清涼飲料水、商品の原産国、おとり広告等に関する規制が定められています。

3.違反事案に対して
消費者庁は、不当表示が行われている疑いがあれば、事業者への事情聴取、関連資料の収集等の調査を実施します。一般に、不当表示の程度が軽微な事案等では、同庁長官による事実上の行政指導として警告・注意が行われますが、不当表示の程度が重大な事案等では、同庁長官による景品表示法上の行政処分として措置命令が行われることになります。措置命令では、不当表示の停止にとどまらず、訂正広告、再発防止措置等が命じられることもあります。
また、景品表示法では、都道府県が同様の調査を実施することが認められていますし、都道府県知事が行政指導として指示を行うことなども認められています。
なお、景品表示法の概要につきましては、消費者庁のホームページで公開される「よくある質問コーナー」などもご参照ください。
(http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/hyoujiqa.html)

4.改正法案の概要
景品表示法の改正法案は、2014年3月21日に国会に提出されました。
改正法案では、都道府県知事にも消費者庁と同様に措置命令を行う権限等が付与されるとともに、事業者における管理体制の整備義務が明確にされています。
加えて、改正法案では、いわば“不当表示のやり得”を防ぐために、課徴金制度の導入に係る検討を行うことも規定されています。
課徴金制度に対しては、経団連が、対象事案の限定等を求める意見を公表しています。
(http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/032.html)
今後の議論、検討の状況に注目する必要があるでしょう。

5.おわりに
このように、不当表示は景品表示法で禁止されることになりますが、表示に対する規制は、広く、商標法、不正競争防止法、独占禁止法、消費者契約法、食品表示法、食品衛生法、家庭用品品質表示法、JAS法、薬事法等の法令でも定められています。宣伝広告等の表示を行うに当たっては、これらの法令、ガイドライン等に留意する必要があります。

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